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有機ハイブリッド制振材料の層を配した積層型制振材料

国内特許コード P110002827
整理番号 V207P001
掲載日 2011年6月8日
出願番号 特願2001-007175
公開番号 特開2002-213527
登録番号 特許第3731474号
出願日 平成13年1月16日(2001.1.16)
公開日 平成14年7月31日(2002.7.31)
登録日 平成17年10月21日(2005.10.21)
発明者
  • 住田 雅夫
  • 三浦 正
  • 井上 清博
  • 伊藤 哲也
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 住田 雅夫
  • 井上 清博
発明の名称 有機ハイブリッド制振材料の層を配した積層型制振材料
発明の概要 【課題】 損失正接ばかりでなく損失弾性率をより改善した非拘束型制振材料、特に低周波の制振特性を改善した制振材料の提供
【解決手段】 少なくとも一種のポリマーと該ポリマーと相互作用して制御された大きさおよび針状ないし柱状の形状の結晶として該ポリマー中に分散している制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物とを持つ損失弾性率が107パスカル(Pa)以上の有機ハイブリッド制振材料からなる少なくとも1つの層と、前記有機ハイブリッド制振材料よりも貯蔵弾性率が102パスカル(Pa)以上小さく、かつ損失正接が生0.5以上となるように調整されたポリマーを主成分とする、または、ポリマーと制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物との配合物から実質的になる板状ないしフイルム状の成形物からなる少なくとも1層とが交互に積層されたものである積層型制振材料。
従来技術、競合技術の概要


科学技術の発展の中で色々な機器が生み出され、ある面では社会の機能性が高まる一方で、社会の一般生活の環境面において、振動、騒音などによる人に対する精神的および肉体的な障害を発生させている。特に最近では低音による人体に対する障害が確認され大きな問題として取り上げられている。このような複雑なシステムの社会が出現する中で、制振材料に要求される特性も高度で、かつ複雑化している。



高分子材料の減衰特性は動力学的挙動により評価できる。損失弾性率(E”)(力学的エネルギーの消散を伴う、加振力に対して1/4だけ遅れて応答することにより機能する。)と損失正接(tanδ)は減衰性能の指標である。特に前者は実用特性としての制振材料の性能を最も良く表す。本発明者らは、ポリマーと機能性有機低分子のコンポジットが持つ制振性能に注目し、色々な有機低分子を用いて、損失正接(tanδ)を指標として有機ハイブリッド系制振材料の研究を行ってきた(例えば文献繊維学会誌2000年9月号56巻P443-448参照)。また、単独のポリマーでは、損失正接のピークの温度領域が広くない為、非相溶性の2種類のガラス転移が異なったポリマーをブレンドする等の技術を用いて実用温度範囲を改善する研究もされてきた。しかし、該ブレンド構造のものは、損失正接のピークの温度領域は広くなるが、ピークの大きさは小さくなるという欠点がある。他方、相溶性のポリマーをブレンドしたものでは、ピークが1つしかなく実用温度領域を広げることにおいてはあまり意味がなかった。そこで、前記非相溶性と相溶性材料からの制振材料の中間の特性を持つ制振材料をねらって、半相溶性のものをブレンドしたり、相互侵入型(IPN:Inter Penetrating Network)のポリマーアロイを設計する試みもなされている。しかしながら、満足すべき制振特性を持つ材料とは言えない、特に損失弾性率(E”)による制振特性としては殆ど改善されていないというのが現状であった。



このような中で、本発明者らは前記不都合を改善する、すなわち、ガラス転移温度範囲が広く、かつ、大きな損失弾性率(E”)を持つ新しい制振材料の設計として、機能性超高分子的な、針状ないし柱状の結晶析出物(繊維状会合体と表すこともできる)を生成する低分子化合物である制振性付与剤および該制振性付与剤と相溶性を示す第1のポリマーと該制振性付与剤に対して非相溶性であり、かつ、第1のポリマーと均一配合物を形成しない第2のポリマーとを用いて得られる、前記制振性付与剤と第1の相溶性ポリマーとを主成分とする、両成分が水素結合などの共有結合より小さいが相互作用をして形成する(制振性を向上させる形態に機能性超分子を形成する構造を推測される形態を意味する。)一つの相溶性配合物相と、前記第2のポリマーを主成分とする前記相と別の第2ポリマー相とからなる複合形態型制振材料、特に相溶性配合相からなる島構造を、第2のポリマー相の海中に分散配置した構造の複合形態型制振材料、特に、該相溶性配合物からなる相は制振制付与剤を結晶化させた成分を主成分とする長さと断面の長径との比が針状乃至1となる形状(「ドメイン」とも言う。)を発現させた相が形成された島構造を、前記第2のポリマー相の海中に分散配置した構造の複合形態をなしている複合形態型制振材料を提案した(特願2000-369800、特開2002-173663号公報)。



前記技術を用いれば、相溶するポリマーと相溶しないポリマーの比を変えることによって、ドメインの大きさや形態(針状、柱状、塊状、超高分子の形成)を制御でき、例えば、ドメインのサイズを調整することによって、特定の周波数の振動を制御できること、針状結晶に制御することにより吸音実験では160Hz近傍の低周波領域の音を吸音できることを確認した。しかしながら、このような複合構造においても損失弾性率(E”)からみた制振特性からは十分とはいえない。

産業上の利用分野


本発明は、マトリックスを構成するポリマーと該ポリマーと共有結合より弱い結合力、すなわち、静電相互作用、水素結合力、ファンデルワールス力、π-π相互作用などにより相互作用を形成する(機能性超分子の形成ともいう。)制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移温度を有し、該ガラス転移温度以上で融点より10℃以上低い温度による結晶化処理により制御された大きさと針状ないし柱状の形状に結晶化析出物を生成する有機低分子の前記結晶を5%以上含む有機ハイブリッド制振材料の層と前記有機ハイブリッド制振材料よりも貯蔵弾性率(E')が10パスカル(Pa)以上小さく、かつ損失正接が0.5以上となるように調整されたポリマーと制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物との配合物から実質的になる非晶質の板状ないしフイルム状の成形物からなる層を積層層として含む積層型制振材料に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも1種の前記ポリマー成分と溶融ブレンド状態の温度から板状ないしフイルム状の成形物の成形直後において非結晶で該ポリマー成分と均一系の相溶状態ないし該ポリマー成分中に分散状態で存在し、該成型物を結晶化処理することにより、該ポリマー成分と相互作用した制御された大きさおよび針状ないし柱状の形状の結晶化析出物を生成する制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物とを含む溶融ブレンド状態の配合物から前記板状ないしフイルム状の成形物を成形し、該成型物に該低分子化合物のガラス転移温度以上で融点より10℃以上低い温度において処理して前記低分子化合物の前記結晶化析出物を生成させることにより得られた損失弾性率が10パスカル(Pa)以上の有機ハイブリッド制振材料からなる少なくとも1層と、前記有機ハイブリッド制振材料よりも貯蔵弾性率が10パスカル(Pa)以上小さく、かつ損失正接が0.5以上となるように調整されたポリマーと制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移点を有する低分子化合物との配合物から実質的になり非結晶質である板状ないしフイルム状の成形物からなる少なくとも1層とが交互に積層されたものである積層型制振材料。

【請求項2】
制振性付与剤として機能する分子量10000以下でガラス転移温度を有し、該ガラス転移温度以上で融点より10℃以上低い温度による結晶化処理により制御された大きさと針状ないし柱状の形状の結晶化析出物を生成する低分子化合物が、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、テトラキス〔メチレン-ジ-t-ブチル-4-ヒドロハイドロシシンナメート〕、4,4-チオービス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール、および2-〔2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾールからなる群から選択される少なくとも一種であり、該低分子化合物と相溶性の溶融ブレンドを生成するポリマー成分が塩素化ポリエチレン、ポリエステル、およびポリアミドからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載の積層型制振材料。

【請求項3】
有機ハイブリッド制振材料よりも弾性率が10パスカル(Pa)以上小さく、かつ損失正接が0.5以上となるように調整されたポリマーを主成分とする層を形成する材料がN,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、テトラキス〔メチレン-ジ-t-ブチル-4-ヒドロハイドロシシンナメート〕、4,4-チオービス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール、および2-〔2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)フェニル〕-2H-ベンゾトリアゾールからなる群から選択される少なくとも一種と塩素化ポリエチレンからなることを特徴とする請求項1または2に記載の積層型制振材料。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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