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圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源 実績あり

国内特許コード P110002870
整理番号 Y01-P040
掲載日 2011年6月8日
出願番号 特願2001-165344
公開番号 特開2002-359967
登録番号 特許第4053255号
出願日 平成13年5月31日(2001.5.31)
公開日 平成14年12月13日(2002.12.13)
登録日 平成19年12月14日(2007.12.14)
発明者
  • 井森 正敏
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源 実績あり
発明の概要 【課題】 安定した直流高電圧を供給する簡単な回路構成を導入し、超強磁場の中でも効率の良い動作を維持することができる圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源を提供する。
【解決手段】 外部より供給される直流電源から高周波交流を発生させるドライバー回路1と、このドライバー回路1の出力で駆動される圧電トランス2と、この圧電トランス2の出力から直流の高電圧を発生させるコンバータ回路3と、このコンバータ回路3の出力する電圧を監視し、設定された出力高電圧からのズレを検出する誤差検出回路5と、この誤差検出回路5の出力に比例した周波数を持つパルス出力を発生させ、前記ドライバー回路1を制御する周波数変調回路とを具備する高電圧直流電源であって、前記圧電トランス2の出力から直流の高電圧を発生させる前記コンバータ回路3が、前記圧電トランス2の出力と前記高電圧直流電源の負荷4とのインピーダンスの不整合の調整を行い、前記圧電トランス2の変換効率を改善する。
従来技術、競合技術の概要


本発明は、現在、各国が協力して重さ2トンの測定器を地上40kmの高さに気球で飛ばして宇宙線を測定する研究(BESS)を行う中で、もう一段上の研究推進を達成するために提案したものである。このBESSでは、測定のために1.2テスラの強磁場と100本の増幅率の異なる光電子増倍管と、この増倍管の増幅率を一定化させるためのそれぞれに異なる数千ボルトの直流高圧とそれらの電源としてリチウム電池とそれらを総合しての測定装置とが必要とされていた。



従来は、高圧電源部を強磁場から出来るだけ遠ざけた上に鉄でシールドされた電磁トランスを使用し、長い高圧ケーブルで個々の増倍管まで配線していた。すなわち、気球で飛ばすための軽量化という要望が満たされないできた。



従来の直流高電圧電源は、高電圧を得るために電磁トランスを使用している。電磁トランスの一次側入力と二次側出力の電圧比は電磁トランスの巻線比によって決まる。出力される高周波交流の振幅は、入力された高周波交流の振幅の巻線比に比例して昇圧された電圧となる。直流高電圧電源では、巻線比の大きい高電圧トランスが使用される。



直流高電圧電源を光電子増倍管に用いる場合、入力電源は外部から供給される直流電圧である。この直流電圧は、インバータにより高周波交流に変換され、高電圧トランスに入力される。インバータは高周波交流の振幅を制御する手段を備えている。そして、高電圧トランスの出力である高周波交流をコンバータにより一定の倍率で倍圧整流することにより、出力となる直流高電圧を得る。



出力高電圧を安定化するために、出力高電圧は誤差増幅器を通してインバータに入力され、高周波交流の振幅にフィードバックされる。それにより、出力高電圧は分割抵抗により分割され、誤差増幅器によりリファレンス電圧と比較される。誤差増幅器の出力はインバータに入力され、高電圧トランスの入力される高周波交流の振幅を制御する。



出力が短絡されると高周波交流の振幅を拡大して出力電圧を保つ方向にフィードバックが働く。高電圧出力の短絡に備えるために、出力電流を監視してあらかじめ設定された値以上の出力電流を禁止することが必要になる。電磁トランスを使用した高電圧電源では、出力電流を監視して短絡による過大電流から回路を保護する回路を備えている。



直流を所望の振幅を持つ高周波交流に効率よく変換するドライバー回路は、インダクタンスにエネルギーを蓄える。インダクタンスLに等価的に抵抗rが接続されているとき、インダクタンスLから取り出せる電流は時定数L/rで減少する。抵抗rの両端に発生する電圧を維持するためには、インダクタンスに周期的に電流を注入することが必要である。つまり時定数と同じオーダーの時間間隔で電流を注入するスイッチングを行うことが必要である。



ここで、インバータの高周波交流の電圧から出力高電圧への昇圧比をnとし、出力高電圧の負荷抵抗をRとする。等価抵抗rは、負荷抵抗Rを昇圧比nの電圧変換器を通してみた抵抗である。光電子増倍管に高電圧を供給する電源の場合、Rは10MΩのオーダーである。またnは100程度の大きさである。これからrは1kΩ付近にあることがわかる。スイッチング周波数すなわち高周波交流の周波数は回路の素子の性能によって制限される。等価抵抗rを小さくすることもスイッチング周波数を高くすることも容易ではない。このように負荷抵抗の大きい直流高電圧電源の場合、インダクタンスにエネルギーを蓄えることは原理的な困難がある。



スイッチング周波数を100kHzと仮定すると、必要なインダクタンスは10mHのオーダーとなる。磁性体が飽和する強い磁場の中では、磁性体を磁心とするコイルを使用することができない。この大きさのインダクタンスを空芯コイルで実現すると、たとえばこれまでの光電子増倍管に高電圧を供給する電源に使用することはできない程度の体積が必要になる。高電圧トランスを空芯トランスで作ると、必要なインダクタンスを実現するためにコイルの巻線数が大きくなり、体積の増加を伴う。また、空芯トランスの場合、入力側と出力側の間の相互結合係数が低いため、効率的な電力変換を行うためには回路に工夫が必要である。



空芯コイルあるいは空芯トランスはそれ自体が大きくなり、またこれらによる電力の変換効率の低下を避けるために複雑な回路が必要になる。このような直流高電圧電源をコンパクトに作るためには、さらに等価抵抗rを小さくすると共にスイッチング周波数を高くすることが必要である。このような理由で、空芯コイルあるいは空芯トランスを使った直流高電圧電源は、強い磁場中で動作する直流高電圧電源として適切とは言えない。

産業上の利用分野


本発明は、直流高電圧電源に係り、当該装置の高電圧発生回路に圧電トランスを利用して効率の改善と回路の簡素化を図ると同時に、磁場の中でも効率の低下を招くことなく動作する圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
外部より供給される直流電源から高周波交流を発生させるドライバー回路と、該ドライバー回路の出力で駆動される圧電トランスと、該圧電トランスの出力から直流の高電圧を発生させるコンバータ回路と、該コンバータ回路の出力する電圧を電圧分割抵抗回路を用いて変換することにより設定された出力高電圧からのズレを検出する誤差検出回路と、該誤差検出回路の出力に比例した周波数を持つパルス出力を発生させ、前記ドライバー回路を制御する周波数変調回路とを具備する高電圧直流電源であって、原点の近傍に極を配置したゼロ点を含む伝達関数による出力電圧の搬送波の周波数への帰還により、前記圧電トランスの出力から直流の高電圧を発生させる前記コンバータ回路が、前記圧電トランスの出力と前記高電圧直流電源の負荷とのインピーダンスの不整合の調整を行い、前記圧電トランスの変換効率を改善することを特徴とする圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源。

【請求項2】
請求項1記載の圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源において、前記ドライバー回路のインダクタンス素子に空芯コイルを使用することにより、超強磁場中でも電源の電力効率の低下を招くことなく動作させることを特徴とする圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源。

【請求項3】
請求項1記載の圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源において、前記ドライバー回路に外部から供給される直流電源の電圧を可変にすることにより、出力高電圧の可変範囲を拡大することを特徴とする圧電トランスを用いた安定直流高電圧電源。

【請求項4】
請求項1記載の圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源において、負荷がある程度以上に重くなると、前記圧電トランスを駆動する動作周波数が該圧電トランスの共振周波数を越えて移動し、これに伴い出力高電圧を低下させる保護回路を有することを特徴とする圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源。

【請求項5】
請求項記載の圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源において、前記保護回路が働き、前記圧電トランスを駆動する動作周波数が共振周波数を越えて移動し、出力電圧が低下した状態からの回復を、出力電圧を設定するリファレンス電圧を低下している出力電圧よりもさらに低く設定することにより動作周波数を初期化することを特徴とする圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源。

【請求項6】
請求項1記載の圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源において、前記ドライバー回路に供給される電圧と、出力電圧を設定するリファレンス電圧と、前記圧電トランスを駆動する動作周波数とに基づいて、出力電流を推定することを特徴とする圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源。

【請求項7】
請求項1記載の圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源において、前記圧電トランスによる遅れと整流とインピーダンスの整合を行う回路の遅れとを補償する2個の零点をループに附加することにより、広い範囲の負荷に対して出力高電圧を安定化することを特徴とする圧電トランスを用いた安定化直流高電圧電源。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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