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パルス流制御式圧力スイング吸着法 実績あり

国内特許コード P000001116
整理番号 Y96-P47
掲載日 2002年9月30日
出願番号 特願平09-017105
公開番号 特開平10-216454
登録番号 特許第3646238号
出願日 平成9年1月30日(1997.1.30)
公開日 平成10年8月18日(1998.8.18)
登録日 平成17年2月18日(2005.2.18)
発明者
  • 野口 豊
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 パルス流制御式圧力スイング吸着法 実績あり
発明の概要 【課題】 吸着剤を充填した吸着塔を2塔以上、ポンプを1以上、複数の自動弁を有する公知の圧力スイング吸着装置(PSA法)を用いて、2つ以上の気体混合物から所望の有用成分を分離する時、流れの平滑化、定速化、定量化を可能とし、吸着剤生産性と製品収率の双方を向上できるPSA法を開発すること。
【解決手段】 PSAの1循環操作内に、原料気体供給加圧、製品気体送出、減圧放出の基本操作以外に有価ガスによるパージ、2塔間の圧力平衡化(均圧)などのPSA個別操作を含み、この個別操作における気体の移動量と移動速度を自動弁(オン-オフ弁)のパルス的開閉操作により制御する。
従来技術、競合技術の概要


図1(a)、(b)に、原料混合ガス中の不用成分を吸着除去して、非吸着質を製品とする公知の2塔構成のPSAシステム図を示す。
は図1(a)のシステムの各弁を作動させて、PSA法循環操作を実施する場合の1サイクルにおける各弁の作動状態(弁シーケンスと称す)を示す図である。斜線部は各弁が開放されていることを示す(以下同様)。



以下、空気を原料とし空気中の不用成分(水分、窒素など)を吸着分離して酸素を製品とする場合を例にとって従来技術を説明する。
図1(a)は2つの吸着塔で構成される基本システムであるが、2塔構成のPSAシステムに限ってもいくつかの変形システムが考えられる。
図1(b)は図1(a)の変形システムの例を示す。
2はポンプ2基(1つは圧縮用、他の1つは真空引用)を使用した他の基本システムの例を示す。



以下に主として図1(a)(基本ハード)-図(図1に対応する基本ソフト)について従来技術を説明するが、本発明における「パルス流制御操作」はこれらすべてのPSAシステム及びその作動ソフト(弁シーケンス)に適用可能である。



空気を原料とし、その中の水分、窒素成分(不用気体成分)を吸着除去し、酸素(有用成分)を製造する場合を例にとって説明する。
図1(a)において、10a、10bは吸着剤カラム(層)a、bをそれぞれ内蔵する吸着塔であり、1a~5a、1b~5b、6は、電気力もしくは空気圧によって開閉する電磁弁、モーター弁、ダイヤフラム弁、ピストン弁、バタフライ弁などの自動弁(オン-オフ弁)(以下自動弁と称す)である。3a、3bはパージ用弁であり、3a~4a(3b~4b)は同時に作動し2つの塔(10a、10b)間の圧力平衡化(均圧)に使用される。
Pはポンプ、11は気体混合物供給源、12と13は廃棄ラインを示す。



PSA法は図1(a)に示した2塔構成PSAシステムにおいて図7に示した弁シーケンスに従って次の7工程を順次経る。
1 原料(ガス)加圧
2 製品(ガス)取出し
3 パージ供与
4 均圧-減圧
5 減圧
6 パージ
7 均圧・加圧
以下、上記1~7の工程を繰り返す。



上記の例では「均圧」操作を含む例を示したが、もっと簡単なものは「均圧」を含まない下記の5工程を順次経る。即ち
1 原料ガス加圧
2 製品ガス取出し
3 パージ供与
4 減圧
5 パージ
以下、上記1~5の工程を繰り返す。



空気より酸素を分離する場合、吸着剤カラムa、bの吸着剤はMS-5A、MS-13X、LiXなどの窒素選択吸着剤である。なお多くの場合吸着剤層は2層で構成され、入口端部には空気中の水分除去用としてシリカゲル、活性アルミナなど水分吸着剤層が設けられる。吸着剤は予め加熱もしくは加熱と真空引の併用などの手段により活性化し、乾燥空気または乾燥窒素を充填し密封しておく。 図1(a)に示すシステム内の自動弁は弁6を除きすべて閉止しておく。この状態から動作が始まる。
次に図1(a)および図により塔10aに着目して弁シーケンス(自動弁の開放時間~時間関係)の説明を行う。



1.原料加圧
ポンプPを起動、弁6を閉止、弁1aを開放する。
気体混合物(空気または工業的に製造された混合ガス)は気体混合物供給源11からポンプPにより吸引され、弁1aを経て継続的に加圧下にて吸着塔10aの吸着剤層入口端部へ導入される。吸着塔10aへの気体の導入によって、不要気体成分は吸着剤カラムaの吸着剤に入口側から吸着され、吸着剤層に吸着気体帯域(入口側の吸着剤中の不用成分濃度が大きく、ガス流れの方向に沿って濃度が小さくなる)が形成され、気体混合物の導入に伴って、上記帯域の先端部は吸着塔に沿って前進する。



2.製品取出
吸着塔内圧力が所定の圧力に達したら弁2aが開放され所要の気体成分(O2)が弁2a、流量調節弁(記載せず)を経てシステム外へ取出される。



3.パージ供与
上記の2の工程と同時もしくは少し遅れて、パージ弁3aが開放され、製品気体(O2 )の一部が塔10aより弁3aを介して減圧下にある(図参照)塔10bの出口端部へ供給され、塔10b内を向流方向(塔10bの原料気体送入方向に対して逆の方向)に流れ、塔10bの吸着剤カラムbの吸着剤中に残留する不用ガス(N2 )をパージする。
不用ガス(N2 )の脱着効果を上げるためには、このパージ操作は重要で分離の基本性能に直接係るものである。



4.均圧減圧
弁2aを閉止、弁3a、4aを同時に開放し(弁6開放、弁5b閉止)、塔10aと塔10bとを出口端部同志、入口端部同志を同時に連結して2つの塔の圧力の平衡化(均圧)を行う。
この操作は塔10aの向流減圧に先立って有価ガス(O2 リッチガス)の回収を行う。
この操作におけるガス流れの制御は重要で分離の基本性能に直接係ることは「パージ」と同様である。



5.減圧(放出)
弁5aが開放され、吸着塔10a内に加圧された状態で残っている不用気体成分の一部は廃棄ライン13を通してシステム外に放出される。この放出工程により吸着塔10a内の気相部ガスは殆ど除かれるが、吸着剤カラムaの吸着剤内部には未だかなりの不用気体成分が吸着されたまま残っている。



6.パージ
吸着塔10aの吸着剤中に吸着されて残っている不用成分の脱着は、製品ガスの一部を用いて行われる。即ちパージ供給弁3bを開放し、塔10bからの製品ガスの一部を原料気体混合物流通方向と逆方向に塔10aの出口端部から吸着剤カラムa内に導入流通させる。
導入された製品ガスは吸着された不用気体成分を脱着し、弁5aを経て廃棄ライン13を介して脱着された気体成分とともに放出される。製品ガスを使用して吸着された気体成分を脱着する上記脱着の手順は「パージ法」と呼ばれている。 パージに使用するガスは製品ガスであり、上記操作で損失となるから、できるだけ早く、できるだけ少ない量で、大きな脱着効果を上げることが要請される。 そのため「パージ」操作時のガス流の調整は分離の基本性能に直接係るものである。



7.均圧・加圧
弁3b-弁4bを同時に開放(同時に弁6開放)し、吸着塔10a、吸着塔10bの出口端部同志、入口端部同志を連結し、圧力平衡化を行う。吸着塔10bの有価ガスを吸着塔10a内に移送し、吸着塔10aの圧力を操作の中間圧まで復圧させ、前記1.の原料加圧工程への準備をする。
この後、弁1aを開放し、以上1~7の7つの工程を繰り返す。



以上1~7の7つの工程を1サイクル工程(T、秒)という。
以上の7工程から成る吸着塔10aについての気体分離操作は吸着塔10bについても同様に行われる。
但し、図に示すように吸着塔10a(あるいは10b)の1~4の工程と吸着塔10b(あるいは10a)の5~7の工程とが同時期に進行するようT/2時間づらして実施される。
上記1~4の工程は加圧工程もしくは製品取出工程であり、上記5~7の工程は減圧工程もしくは再生工程とまとめることができる。



上記のように吸着塔10aの気体分離操作と吸着塔10bの気体分離操作は所望のガス要求量を製造するため繰り返される。
このように製品ガスは製品リザーバー(記載せず)へ各塔10a、10bから交互に送り込まれそこから連続的に消費端に供給される。



以上で従来技術を最も基本的な2塔構成システムについて、“パージ”と“均圧”の2つの個別操作を含むPSAを説明した。
図1(b)は、図1(a)の変形態様である。E1 、E2 は均圧弁で、前記4と7の工程において作動する。



PSAシステムは最も基本的な2塔構成装置に限ってもいくつかの変形態様がある。例えば、1つのポンプを使う方式でも2通りある(加圧専用ポンプのみ使う方式と加圧-真空引併用ポンプを使う方式と2通りある)
2は2つのポンプを使う方式を示す。
もっとも基本的な2塔システムのみ示したが、PSAシステムの変形態様は塔数、ポンプ数を変えれば他にも多数の構成が考えられる。
PSA操作はいくつかの個別操作(ステップ)の組合せから成立ち、前記従来技術の説明においては「パージ」と「均圧」の2つの個別操作を含む代表的な分離方法を説明したが、PSA操作には他に「製品加圧」、「リサイクル」、「気相置換」(吸着成分を製品とするとき行われる)などの個別操作が含まれる場合もある。

産業上の利用分野


この発明は圧力スイング吸着法およびガス流れのパルス流制御法に関するものであり、さらに詳しくは原料とする混合気体から所要気体を分離して抽出するためのパルス流制御式圧力スイング吸着法(PF-PSA、以下PSAと略す)による気体分離方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
2以上の吸着塔、1以上のポンプ、複数の自動弁(オン-オフ弁)を備えた圧力スイング吸着(Pressure Swing Adsorption 、PSA)装置による非吸着成分および/または吸着成分を製品とする圧力スイング吸着法(PSA法)であって、上記PSAの1循環操作内に、原料気体供給加圧、製品気体送出、減圧放出の基本的個別操作以外に下記の1)5)から選ばれる少なくとも1つのPSA個別操作(ステップ)を含み、上記装置におけるステップの転換は1以上の瞬間的(パルス的)開閉を含む一定パターンの自動弁開閉操作に拠ること、上記パターンの決定はシミュレーター(吸着塔-自動弁系)により、シミュレーターをステップ転換前の条件(吸着塔、自動弁の上・下流間差圧等)に設定しガス移動試験を実施する、自動弁(オン-オフ弁)の開放時間(△ti)をパラメーターとして、△tiに対応する吸着剤カラム内差圧(△p、入口端部-出口端部間差圧)の時間的変化を測定し、△pを縦軸、経過時間(t)を横軸とした図形とし、この図形が正弦波(半波長)もしくはその近似形を示すときの△tiをパルス時間、△tiに対応するガス移動量をVi、上記正弦波の半波長時間から△tiを引いた値を△Ziとしたとき、△t1 -△Z1 -△t2 -△Z2 ・・・・△ti-△Ziの弁シーケンス(弁開放時間-時間関係)により上記個別操作に必要な気体移動量(ΣVi)と気体の移動速度(ΣVi/Σ(△ti+△Zi))を制御し、ステップ転換における圧力変動を円滑化し、ガス分離効果を向上させることを特徴とするパルス流制御式圧力スイング吸着法(Pulsed Flow Controlled Pressure Swing Adsorption,PF-PSA )。
1)有価ガスによるパージ(パージ)
2)2塔間の圧力平衡化(均圧)
3)製品ガスによる再加圧(製品加圧)
4)ポンプを介する有価ガスの回収(リサイクル)
5)吸着成分ガスによる塔内気相ガスの置換(気相置換)

【請求項2】
パージ操作を次式(1)に基づいて行うことを特徴とする請求項1記載のパルス流制御式圧力スイング吸着法。
【数1】



【請求項3】
自動弁を通過するガス量(Vi)を次式(2)により定めることを特徴とする請求項1ないし請求項2記載のパルス流制御式圧力スイング吸着法。
【数2】



【請求項4】
請求項1記載のパルス時間△ti、ポーズ時間△Ziを下記の範囲とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のパルス流制御式圧力スイング吸着法。
電磁弁:△ti;0.05~1.0秒
△Zi;0.1~2.0秒
空気圧作動弁:
△ti;0.5~3.0秒
△Zi;1.0~6.0秒
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP1997017105thum.jpg
出願権利状態 登録
ライセンス状況 通常実施権[L05-21]
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