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高性能ヘリウムガス精製器 実績あり

国内特許コード P110002953
整理番号 A091P30
掲載日 2011年6月9日
出願番号 特願2002-016430
公開番号 特開2003-214764
登録番号 特許第3645526号
出願日 平成14年1月25日(2002.1.25)
公開日 平成15年7月30日(2003.7.30)
登録日 平成17年2月10日(2005.2.10)
発明者
  • 武田 常広
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 高性能ヘリウムガス精製器 実績あり
発明の概要 【目的】ヘリウムガス中の不純物を固化して取り除くと同時に、固化した部分を加熱し、液化したあと速やかに冷凍運転を再開始し、運転時間を長くできることを目的とする。
【構成】液体ヘリュム槽で気化したヘリュムガスは、精製器10の細管22に導入され、内管18を通過する間に冷却され、フィン14を迂回しながら銅管13を流通する。気化したヘリュムガスに窒素、酸素の不純物が混入していると、フィン14を蛇行する間に氷結する。氷結によって、管が閉塞すると、ヒ-タ16でもって、上部管11を加熱し、液体にする。液体は、フィン14、鍔部20を伝わり、液だまり21に落下され、貯蔵される。
従来技術、競合技術の概要


人間の脳から発する磁界を検出する脳磁気計測システムの開発が進められている。このシステムでは脳の活動を高時空間分解能で非侵襲的に計測できるSQUID(超電導量子干渉計)が利用されており、このSQUIDは断熱された槽内に貯留されている液体ヘリウムに侵漬され、冷却された状態で用いられる。
上記システムに使用している従来からの液体へリュウム槽では、同槽から蒸発したヘリウムガスは、ほとんどの場合大気に開放している。しかし、この場合1リットル当たり約1200円する高価なヘリウムを多量に無駄に消費するため経済的かつ資源的に問題がある。このため、ヘリウムを大量に使う所では、蒸発ガスを回収し、低温センタ-において液化するシステムが稼動している。また、小さなシステムではガスバッグ等に回収し、液化システムに輸送した後、再液化を行ったりしている。しかしながら、液体ヘリウムを完全に回収することが不可能であり、また、ガス回収中にガス内に不純物が混入し、ガスが汚染されてしまう問題がある。
特に、回収ヘリウムガス中には不純物として窒素や酸素が何らかの理由で混入することが避けられないため、回収ヘリウムガスの再利用を進める上で大きな障害となっている。



これらの不純物は、いずれもヘリウムガスより液化及び固化温度が高いので、不純物が混入しているヘリウムガスを使用した場合、工程中の低温部分で液化し、更に凍結、固化し、工程の流路を閉塞し、長期間の連続運転の際には、ヘリウムガスの流通を止めてしまうという現象を起こし、ヘリウムガスの循環に支障をきたす。このようなことからヘリウムガス内に混入している不純物を除く除去手段として、ヘリウムガス精製器として従来より冷凍チャンバ内に置くタイプと、チャンバ外に置くタイプとが提案されてきている。後者は、ヘリウムガスを別の冷凍機で冷やしたり、液体窒素で冷やしたりする方式を取っているが、その場合、別の冷凍機を用意するのは、価格、大きさ等、大きな欠点がある。また、液体窒素で冷やす方式は、安価かつ簡便であるが、液体窒素を再充填しなければならないため、手間が掛かるという問題がある。



上記背景から、最近では、液体ヘリウム貯留槽で気化したヘリウムガスを全量回収し、システム内でヘリウムガス内の不純物を除去した後、再凝縮して液化する再循環システムが提案されている。この液体ヘリウム再循環システムの一例を図4を参照して説明する。
図中101は脳磁計を収容している液体ヘリウム貯留槽、102は前記貯留槽101内で気化したヘリウムガスを回収するドライポンプ、103はヘリウムガス内に混入している水分を除去する乾燥器、104は流量調整弁、105はヘリウムガス内に混入している不純物を除去する精製器、106は補助冷凍機、107は同補助冷凍機106の第一熱交換器、108は再凝縮冷凍機、109は再凝縮冷凍機108の再凝縮熱交換器である。液体ヘリウム貯留槽101で気化し昇温した後、約300Kになったヘリウムガスは、ドライポンプ102で吸引され、乾燥器103で乾燥され、さらに精製器105でヘリウムガス中の不純物が除去される。不純物が除去されたヘリウムガスは補助冷凍機106で温度約40Kの極低温ヘリウムガスに冷却され、さらに再凝縮冷凍機108の再凝縮熱交換器109で温度4Kの液体ヘリウムに液化され、ここからトランスファ-ライン110を経由して液体ヘリウム貯留槽に供給される構成となっている。



ここで、上記液体ヘリウム再循環システムに使用されている従来型の精製器105についてその構造を図面を参照して説明すると、図5は同精製器の断面図である。
図において120は外壁、121は冷凍チャンバの壁であり、両壁の間は断熱性を保持するために真空層Bとして形成され、冷凍チャンバRは真空層Bによって周囲を取り囲まれた断熱室として形成されている。冷凍チャンバR内には精製器の本体122が配置されており、精製器の本体122は外周が銅管123、内周がステンレス管124からなる二重の管状体として構成されており、銅管123およびステンレス管124の間は図示のように前記真空層Bに連通され、銅管123とステンレス管124の間を断熱している。また本体122を形成する銅管123の下部は冷凍チャンバRの壁121面に密封状態で取付けられている。
ステンレス管124の下部は外壁120と冷凍チャンバRの壁121との間に形成される真空層B内に突出して配置され、その下端には約300Kのヘリウムガスをステンレス管124内に導入する細管126が接続されており、この細管126には図4に示すように乾燥器103が接続されている。またステンレス管124の上部には、ヘリウムガス内の不純物を取り除く(固化する)フィン125がステンレス管124の内壁から流路内に突出して適宜個数取付けられており、さらにステンレス管124の上端にはヘリウムガスを補助冷凍機106に供給する管127が接続されている。管127と銅管123とは密封状態で接合されている。



ところで、図5に示す精製器では、300Kのヘリウムガスが細管126を介して精製器本体のステンレス管124内に流入すると、ステンレス管124内で同ガスはステンレス管124内を図中上方に向かって流れ、冷凍チャンバ内の約40Kの温度によって冷却されているステンレス管124上部によってガス温度が約40Kにまで下げられる。この過程においてヘリウムガスがフィン125を通過する際に約40Kよりも高い温度で固化する不純物が約40Kに冷却されたフィンによって固化され取り除かれる。不純物が除去されたヘリウムガスは補助冷凍機106に供給される。
この精製器では、熱勾配を小さくするために精製器本体の高さ(ステンレス管124の高さ)hはある程度の高さとなるように設定されており、また、ステンレス管124の内径2rはできるだけ小さく、かつ、細管126の径もできるだけ小さく構成してある。こうした構成により、この精製器では、300Kのヘリウムガスから約40Kの温度を維持している冷凍チャンバR内に侵入する侵入熱をできるだけ小さく抑えている。



上記精製器Sを用いてヘリウムガスを精製する過程を説明すると、液体ヘリウム貯留槽で気化した温度約300Kのヘリウムガスは、温度約40Kの状態の冷凍チャンバR内に置かれている精製器本体121の細管126に導入される。そして、細管126からステンレス管124内に流入したヘリウムガスは冷凍チャンバ内の冷気によって約40Kに冷却されているステンレス管上部に向かって流れ、この過程でフィン125を蛇行しながら冷却される。
そしてヘリウムガスが前記フィン125を通過する際に、ヘリウムガスに混入している不純物の窒素や酸素は除去される。即ち不純物の窒素や酸素は、それぞれ温度63、54Kで固化(氷結)することから、約40Kに冷やされているフィン125間をヘリウムガスが蛇行通過する間にそれらの不純物はフィン上で固化され、ヘリウムガスが精製される。

産業上の利用分野


本発明は冷凍機用高性能ヘリウムガス精製器に関するものであり、特に液体ヘリウムの再液化装置に好適なヘリウムガス精製器に関するものである。さらに具体的には、脳磁計を極低温に維持するための液体ヘリウム貯留槽において、同槽から気化したヘリウムガスを再び液体ヘリウム貯留槽に循環利用できる循環式の液体ヘリウム再液化装置に適用でき、ヘリウムガス内に混入している不純物を効率よく取り除くことができる高性能ヘリウムガス精製器である。

特許請求の範囲 【請求項1】液体ヘリウム再液化装置の冷凍チャンバ内に配置し、高温(約300K)ヘリウムガスを導入し同ガスを徐々に冷却するための下部管と、窒素、酸素等の不純物を固化(氷結)する固化部を備えた上部管とからなる精製器において、前記下部管に接続する上部管の径を下部管に比較して大きく設定し、その内部に不純物固化部を形成するフィンを流路がジクザクになるように配置したことを特徴とする高性能ヘリウムガス精製器。
【請求項2】前記上部管の上方には、ヘリウムガスの排出管となる管を、また、前記上部管の内壁には適宜数のフィンからなる不純物固化部(氷結部)を、さらに上記上部管の下部には液溜まりを形成したことを特徴とする請求項1に記載の高性能ヘリウムガス精製器。
【請求項3】液体ヘリウム再液化装置の冷凍チャンバ内に配置される精製器において、前記精製器は上部管と、該上部管に挿入、固定した前記上部管より小径の下部管からなり、前記上部管を、小径部と、大径部からなるハット型の形状とし、小径部の内部には適宜数のフィンからなる不純物固化部を形成し、大径部には、大径部の内壁と前記下部管周囲とで液だまりを構成したことを特徴とする高性能ヘリウムガス精製器。
【請求項4】前記下部管には温度勾配を緩くするために流路の長い形状を採用したことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の高性能ヘリウムガス精製器。
【請求項5】前記フィンを、上は密に、下は粗に配置してガス中の不純物を均等に固化させるように配置したことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の高性能ヘリウムガス精製器。
【請求項6】前記上部管にはフィンに堆積した不純物を液化するヒータを配置したことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の高性能ヘリウムガス精製器。
【請求項7】前記ヒータは、ヘリウムガス通路の閉塞による管内の圧力上昇を検知して作動し、上部管内の温度が所定の温度となった時にヒータによる加熱を停止し、精製器の作動を再開始できることを特徴とする請求項6に記載の高性能ヘリウムガス精製器。
【請求項8】前記ヒータは、ヘリウムガス通路内のガス流速が所定値以下になった時に作動し、上部管内の流速が所定の流速となった時にヒータによる加熱を停止し、精製器の作動を再開始できることを特徴とする請求項6に記載の高性能ヘリウムガス精製器。
【請求項9】前記ヒータは、ヘリウムガス通路の閉塞による管内の圧力上昇を検知して作動し、管内の圧力が所定の圧力以下になった時にヒータの加熱を停止することを特徴とする請求項6に記載の高性能ヘリウムガス精製器。
【請求項10】前記ヒータはヘリウムガス通路が固化物で閉塞し温度が所定以下になったことを検知して作動し、固化物が溶けて所定温度以上になった時に加熱を停止することを特徴とする請求項6に記載の高性能ヘリウムガス精製器。
【請求項11】前記冷凍チャンバは真空内に配置し、また、前記下部管は、内管と外管とからなる二重管とし、内管はステンレス、外管は銅で形成したことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の高性能ヘリウムガス精製器。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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