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不死化ナチュラルキラー細胞株 コモンズ 実績あり

国内特許コード P110003063
整理番号 P029P01
掲載日 2011年6月15日
出願番号 特願2002-316870
公開番号 特開2004-147565
登録番号 特許第4033390号
出願日 平成14年10月30日(2002.10.30)
公開日 平成16年5月27日(2004.5.27)
登録日 平成19年11月2日(2007.11.2)
発明者
  • 飯塚 悟
  • 高井 俊行
  • 伊藤 由美
  • 伊藤 梢
  • 帯刀 益夫
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 不死化ナチュラルキラー細胞株 コモンズ 実績あり
発明の概要 【課題】NK細胞本来の機能・特性を保持する不死化NK細胞株及びその樹立方法並びに当該不死化NK細胞株を用いた有用物質のスクリーニング方法や細胞ワクチンを提供すること。
【解決手段】SV40の温度感受性突然変異株tsA58のラージT抗原遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの脾臓から単離して得られるナチュラルキラー細胞を培養して、細胞質内にアズール顆粒を有し、前感作無しで標的細胞を殺傷する能力及び/又は抗体で被覆された標的細胞を殺傷する能力を保持し、インターロイキン-2により増殖・活性化する細胞株を樹立する。
従来技術、競合技術の概要


従来、医薬品の安全性や有効性に関する試験研究には主として動物が用いられていたが、動物愛護の観点から動物を使用する代わりに、培養細胞等を用いてインビトロで医薬品の有効性や安全性を試験研究する技術の実用化レベルでの研究が行われている。例えば、生体組織から採取した初代培養細胞や無限増殖する不死化細胞(樹立細胞)系を用いる方法で予め試験した後に動物試験が行われている。しかし、初代細胞は初期段階ではよく増殖するが、継代培養とともに次第に増殖が停止し、やがては死滅する(この現象を細胞老化という)。さらに、初代細胞は、その特性が生体組織から採取する度に異なるという危惧に加え、継代とともに変化することが指摘されている。特に、増殖速度が非常に遅い場合や微小器官に由来する場合には、試験に供するに足る初代細胞を得ることは非常に困難であるとされている。



一方、初代培養の継代を重ねるなかで、細胞老化を免れて無限増殖する能力を獲得した不死化細胞では、安定して均一の特性を有することになるが、このような不死化細胞の多くは、その細胞が生体において本来有していた形態や機能の一部又はその全てを喪失することが多い。そのため、このような不死化細胞株を用いた試験では、その細胞株の由来する組織での本来の特性を正確に反映することは難しいとされていた。そこで、初代細胞にras遺伝子やc-myc遺伝子などの発癌遺伝子、アデノウイルスのE1A遺伝子、SV40ウイルスのラージT抗原遺伝子、ヒトパピローマウイルスのHPV16遺伝子等を導入して細胞を形質転換し、初代細胞の有する活発な増殖能を継続的に保持し、さらに継代することによってその細胞固有の特性を喪失しない不死化細胞を樹立する試みがなされている。ところが、このような不死化細胞においても、対象とする臓器によっては、その初代細胞を調製し、これらの癌遺伝子やラージT抗原遺伝子を導入する時点で、すでに幾つかの機能を喪失するため、本来の機能を保持する厳密な意味での不死化細胞の取得は困難であった。特に、増殖速度が非常に遅い場合や微小器官に由来する場合の初代細胞を調製して株化することは極めて困難であった。



これに対し、近年確立された動物個体への遺伝子導入技術を用いて、個々の細胞に癌遺伝子やラージT抗原遺伝子を導入するかわりに、これらの遺伝子を安定的に染色体に組み込んだ遺伝子導入動物を作出し、個体の発生時点において既に癌遺伝子やラージT抗原遺伝子を細胞の中に保有する動物の臓器から初代細胞を調製して、これを継代することによって不死化細胞を樹立する方法が報告されている。特にSV40の温度感受性突然変異株tsA58のラージT抗原遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの臓器から得られる不死化細胞は、その増殖や分化形質の発現を温度を変えることによって操作することができるため、非常に有効であるとされている(例えば、非特許文献1~8参照。)。



他方、NK細胞は、ヒト末梢血リンパ球の約5~15%を占め、骨髄から分化し、形態学的には細胞質内にアズール顆粒を有する大型顆粒リンパ球で、抗原による前感作なしに腫瘍細胞やウイルス感染細胞などの標的抗原細胞を障害することができる、生体の恒常性維持のために重要な細胞である。NK細胞はまた、癌の増殖抑制に有効であることがよく知られており、癌細胞に対し、非特異的に、また主要組織適合抗原系(MHC)による拘束を受けることなく、キラーT細胞より広い範囲の癌細胞を攻撃する。かかる特徴から、NK細胞は癌やウイルスによる感染症の治療に用いることが期待されている。しかし、治療に用いるためには、標的の認識機構を含め、NK細胞の詳細を明らかにする必要がある。そして、かかる研究を容易ならしめるため、NK細胞の株化が強く望まれていた。



従来、高い細胞傷害活性を保った状態のNK細胞を効率的に増殖する方法として、末梢血単核球細胞とあらかじめ増殖能を失わせたヒトウイルス腫瘍細胞株HFWTとをインターロイキン-2の存在下で混合培養する工程を含む、ヒトNK細胞の増殖方法(例えば、特許文献1参照。)や、増殖刺激用細胞の混入のないヒトNK細胞を提供することを目的として、ヒトNK細胞を増殖刺激用細胞の存在下で増殖培養するために用いる足場依存性の増殖刺激用細胞であって、検出手段が導入されたことを特徴とする細胞、及びこの細胞を用いてヒトNK細胞を増殖培養する方法(例えば、特許文献2参照。)が知られているが、これらNK細胞の増殖方法は、特定条件下でNK細胞を増殖させ、NK細胞を容易に得ることを目的としている。しかし、NK細胞の細胞株の樹立と異なり、半永久的にNK細胞を産生することができるわけではなく、NK細胞を一時的に増殖する方法を開示しているに過ぎない。



また、安定的に増殖し続けるNK細胞株の作製は非常に困難であり、これまでにマウスNK細胞株として4例が報告されている(例えば、非特許文献9~12参照。)が、NK細胞としての詳細な解析がなされておらず、単にNatural Killing能を有していることが報じられているに過ぎず、動物から単離したNK細胞と同等の特徴を有するものであるか否かは明らかではない。さらに、これらマウスNK細胞株に関する報告にある細胞株については、広く配布されていないこと、及び、その動態が明らかでないことから研究・実験材料として使用されておらず、免疫の誘導、修飾及び治療などに用いられていない。



【特許文献1】
特開2001-149069号公報
【特許文献2】
特開2002-45174号公報
【非特許文献1】
Transgenic Research 4, 215-225, 1995、
【非特許文献2】
Genes to Cells, 2, 235-244, 1997
【非特許文献3】
Exp. Cell Res., 197, 50-56, 1991
【非特許文献4】
Exp. Cell Res., 209, 382-387, 1993
【非特許文献5】
Exp. Cell Res., 218, 424-429, 1995
【非特許文献6】
Blood, 86, 2590-2597, 1995
【非特許文献7】
J. Cell. Physiol., 164, 55-64, 1995
【非特許文献8】
Exp. Hematol., 27, 1087-1096, 1999
【非特許文献9】
Nature, 287, 47-49, 1980
【非特許文献10】
J. Exp. Med., 181, 1785-1795, 1995
【非特許文献11】
J. Immunol., 158, 112-119, 1997
【非特許文献12】
Int. Immunol., 10, 1093-1101, 1998

産業上の利用分野


本発明は、不死化ナチュラルキラー(NK)細胞株に関し、詳しくはSV40の温度感受性突然変異株tsA58のラージT抗原遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの脾臓細胞由来のNK細胞を継代培養して樹立することができる、不死化NK細胞株やその利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】脾臓細胞に由来し、細胞質内にアズール顆粒を有し、前感作無しで標的細胞を殺傷する能力及び抗体で被覆された標的細胞を殺傷する能力を保持し、インターロイキン-2により増殖・活性化することを特徴とする不死化ナチュラルキラー細胞株。
【請求項2】33℃で増殖することができるが、37℃では増殖が抑制されることを特徴とする請求項1記載の不死化ナチュラルキラー細胞株。
【請求項3】齧歯類起源であることを特徴とする請求項1又は2記載の不死化ナチュラルキラー細胞株。
【請求項4】齧歯類がマウスであることを特徴とする請求項3記載の不死化ナチュラルキラー細胞株。
【請求項5】不死化ナチュラルキラー細胞株が、細胞表面抗原としてDX5、FcγR3、Ly49H及びCD94を有しており、かつ、NK1.1を有していないことを特徴とする請求項4記載の不死化ナチュラルキラー細胞株。
【請求項6】不死化ナチュラルキラー細胞株が、細胞表面抗原としてFcγR3及びCD94を有しており、かつ、NK1.1、DX5及びLy49Hを有していないことを特徴とする請求項4記載の不死化ナチュラルキラー細胞株。
【請求項7】不死化ナチュラルキラー細胞株が、細胞表面抗原としてNK1.1、FcγR3及びCD94を有しており、かつ、DX5及びLy49Hを有していないことを特徴とする請求項4記載の不死化ナチュラルキラー細胞株。
【請求項8】不死化ナチュラルキラー細胞株が、細胞表面抗原としてNK1.1、DX5、FcγR3及びCD94を有しており、かつ、Ly49Hを有していないことを特徴とする請求項4記載の不死化ナチュラルキラー細胞株。
【請求項9】不死化ナチュラルキラー細胞株が、細胞表面抗原としてFcγR3、Ly49H及びCD94を有しており、かつ、NK1.1及びDX5を有していないことを特徴とする請求項4記載の不死化ナチュラルキラー細胞株。
【請求項10】不死化ナチュラルキラー細胞株が、細胞表面抗原としてNK1.1、DX5、FcγR3、Ly49H及びCD94を有していることを特徴とする請求項4記載の不死化ナチュラルキラー細胞株。
【請求項11】不死化ナチュラルキラー細胞株TNK1(FERM BP-08518)。
【請求項12】不死化ナチュラルキラー細胞株TNK2(FERM BP-08519)。
【請求項13】不死化ナチュラルキラー細胞株TNK3(FERM BP-08520)。
【請求項14】不死化ナチュラルキラー細胞株TNK4(FERM BP-08521)。
【請求項15】不死化ナチュラルキラー細胞株TNK6(FERM BP-08522)。
【請求項16】不死化ナチュラルキラー細胞株TNK8(FERM BP-08523)。
【請求項17】不死化ナチュラルキラー細胞株TNK9(FERM BP-08524)。
【請求項18】不死化ナチュラルキラー細胞株TNK10(FERM BP-08525)。
【請求項19】不死化ナチュラルキラー細胞株TNKb(FERM BP-08526)。
【請求項20】SV40の温度感受性突然変異株tsA58のラージT抗原遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの脾臓から単離して得られるナチュラルキラー細胞を培養して、細胞質内にアズール顆粒を有し、前感作無しで標的細胞を殺傷する能力及び抗体で被覆された標的細胞を殺傷する能力を保持し、インターロイキン-2により増殖・活性化する細胞株を樹立することを特徴とする不死化ナチュラルキラー細胞株の製造方法。
【請求項21】被検物質の存在下、請求項1~19のいずれか記載の不死化ナチュラルキラー細胞株を培養し、該不死化細胞株における細胞傷害活性の程度を測定・評価することを特徴とするナチュラルキラー細胞の細胞傷害活性促進又は抑制物質のスクリーニング方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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