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多糖を利用する遺伝子キャリヤーとその製造方法 実績あり

国内特許コード P110003090
整理番号 K012P11
掲載日 2011年6月16日
出願番号 特願2002-571110
登録番号 特許第4057425号
出願日 平成14年3月11日(2002.3.11)
登録日 平成19年12月21日(2007.12.21)
国際出願番号 JP2002002228
国際公開番号 WO2002072152
国際出願日 平成14年3月11日(2002.3.11)
国際公開日 平成14年9月19日(2002.9.19)
優先権データ
  • 特願2001-069655 (2001.3.13) JP
  • 特願2001-130705 (2001.4.27) JP
発明者
  • 木村 太郎
  • 水 雅美
  • 櫻井 和朗
  • 新海 征治
  • 甲元 一也
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 三井製糖株式会社
  • 福岡県
発明の名称 多糖を利用する遺伝子キャリヤーとその製造方法 実績あり
発明の概要 β-1,3-グルカンを利用する遺伝子キャリヤーとその製造方法が開示されている。β-1,3-グルカンは繰り返し単位中に少なくとも1個の1,6-グルコピラノシド分枝を有し、過ヨウ素酸酸化と還元的アミノ化などにより化学修飾されて該分枝の少なくとも一部に核酸結合性官能基(例えば、カチオン性官能基)を付与される。β-1,3-グルカンは極性有機溶媒に溶解することにより3重螺旋から1本鎖にされ、更に、化学修飾後の1本鎖のβ-1,3-グルカンを含有する溶媒を極性有機溶媒から水に交換することにより、二本鎖のβ-1,3-グルカンに該酸が結合した複合体(遺伝子キャリヤー)が形成される。
従来技術、競合技術の概要


ヒトゲノムの解読が21世紀初頭に終了すると言われている。この成果を応用するには、核酸を人工的に操作(核酸の搬送、配列認識、転写や翻訳の制御、分離など)する技術の開発が不可欠である。核酸を操作するための材料として、最も重要と考えられるのは、DNAなどの核酸と複合体を形成して該核酸を搬送することのできる材料である。しかし、従来、in vivoにおける人工材料を用いた遺伝子キャリヤーは、ヒトの臨床研究ではなんら有意な効果をもたらさなかった。その理由は、▲1▼低い遺伝子伝達効率、▲2▼遺伝子の結合解離の制御の困難さ[cottonら、Meth.Enzymol.217:618-644(1993)]、および▲3▼カチオン担体材料の細胞毒性[Choksakulnimitrら、J.Control.Rel.34:233-241(1995)]に見出される。
レトロウイルス[Miller,Nature 357:455-460(1992)]またはアデノウイルス[Mulligan,Science 260:926-932(1993)]等は、遺伝子キャリヤーとしてin vitroでは極めて見込みのある結果を与えたが、これら天然由来のウイルスの炎症性、免疫原的性質、ならびに突然変異誘発および細胞ゲノム中への組み込みの危険性が特に原因してこれらのin vivoにおける使用は制限されている[Crystal,Science 270:404-410(1995)]。そこで、天然由来の遺伝子キャリヤーの代替物として、ウイルス系よりも取り扱いが簡単であるのみならず、細胞へDNAを確実に効率良く集中させることが可能な人工材料の非ウイルスキャリヤーの使用が提示された[TomlinsonおよびRolland,J.Contr.Rel.39:357-372(1996)]。
現在、非ウイルス性の人工キャリヤーとして最も検討されているのはポリエチレンイミン(PEI)である。多数の異なった付着細胞および浮遊細胞ライン中では、3次元的分岐構造のカチオンポリマーであるPEIは、ある場合には平均以上のトランスフェクション率を引き起こす結果になった[Boussifら、Gene Therapy 3:1074-1080(1996)]。例えば3T3繊維芽細胞の95%形質転換がin vitroで達成された。in vivoでの遺伝子のマウス脳中へのPEI仲介伝達では、ニューロンおよびグリア細胞中のリポーター遺伝子およびBcl2遺伝子の長期発現が起きる結果になり、アデノウイルスによる遺伝子伝達の場合と同じ程度のものであった[Abdallahら、Hum.Gene Ther.7:1947-1954(1996)]。
しかし、ポリエチレンイミンなどのカチオン性高分子の安全性は確認されていない。カチオン性を有するには、アミノ基の存在が不可欠であるが、アミノ基は生理活性が高く、体内毒性等の危険がある。事実、今まで検討されたいかなるカチオン性ポリマーも未だ実用に供されておらず、事実「医薬品添加物辞典」(日本医薬品添加剤協会編集、薬事日報社)に記載されていない。
一方、筋肉内注射製剤として臨床薬として実際の使用されている多糖として、β-1,3-グルカンが存在する。この多糖は天然では3重螺旋構造をとっていることが古くから知られている(例えば、Theresa M.Mclntire David A.Brant J.Am.Chem.Soc.120巻、6909ページ、1998年)。さらに、この多糖は、既に生体内での安全性が確認されており、筋肉内注射薬として約20年の使用実績がある(清水、陳、荷見、増淵、Biotherapy4巻、1390ページ、1990年;長谷川、Oncology and Chemotherapy 8巻、225ページ、1992年)。
PCT/US95/14800には、このようなβ-1,3-グルカンを化学修飾して、DNA等の生体材料とのコンジュゲイトを作成し、これを遺伝子キャリヤーに使用できることが述べられている。この先行技術には、天然のβ-1,3-グルカン、すなわち、3重螺旋構造を有するβ-1,3-グルカンをそのまま使用し、これと生化学活性のある材料を、共有結合を介して、β-1,3-グルカン/生体材料のコンジュゲイトを製造する方法が述べられているに過ぎない。
最近、本発明者らによって、β-1,3-グルカンを人工的に処理することにより核酸と新しいタイプの複合体を形成することが見出された(PCT/JP00/07875;櫻井、新海、J.Am.Chem.Soc.122巻、4520ページ、2000年;木村、甲元、櫻井、新海、Chem.Lett.1242ページ、2000年)。すなわち、もともと天然では、3重螺旋で存在するこの多糖を極性溶媒に溶解してばらばらの1本鎖にした後に、1本鎖の核酸を加え、溶媒を水に戻すこと(再生過程)によって、核酸1本・多糖2本からなる、3重螺旋複合体が形成することを見出した。この場合、当該多糖と遺伝子の複合体は主として水素結合に因ると考えられている(櫻井和朗、井口律子、木村太郎、甲元一也、水雅美、新海征治、Polym.Preprints,Jpn.49巻、4054ページ、2000年)。この結合エネルギーは比較的弱く、容易に複合体が解離する。したがって、この複合体を遺伝子キャリヤーとして利用するには核酸との親和性を向上させる必要があった。

産業上の利用分野


本発明は、多糖に核酸が結合した複合体から成る遺伝子キャリヤーに関し、詳述すれば核酸と相互作用して複合体を形成することによって該核酸を担持することのできるアンチセンス試薬等として有用な新規な人工材料(化合物)に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
二本鎖のβ-1,3-グルカンに核酸が結合された複合体から成り、β-1,3-グルカンが繰り返し単位中に少なくとも1個の1,6-グルコピラノシド分枝を有し、その1,6-グルコピラノシド分枝の少なくとも一部に核酸結合性官能基が付与されている遺伝子キャリヤーであって、化学修飾により核酸結合性官能基が付与された後の1,6-グルコピラノシド分枝が下記の一般式(1)で表わされ〔式(1)中、2つのXは同種または異種の核酸結合性官能基を表す〕、
【化1】


核酸結合性官能基(X)が、下記の式(a)~(f)のいずれかで表される、1級もしくは2級のアミノ基を少なくとも1つ含む鎖状または環状の化合物由来のカチオン性官能基であることを特徴とする遺伝子キャリヤー。
【化2】



【請求項2】
二本鎖のβ-1,3-グルカンに核酸が結合された複合体から成り、β-1,3-グルカンが繰り返し単位中に少なくとも1個の1,6-グルコピラノシド分枝を有し、その1,6-グルコピラノシド分枝の少なくとも一部に核酸結合性官能基が付与されている遺伝子キャリヤーであって、化学修飾により核酸結合性官能基が付与された後の1,6-グルコピラノシド分枝が下記の一般式(1)で表わされ〔式(1)中、2つのXは同種または異種の核酸結合性官能基を表す〕、
【化3】


核酸結合性官能基(X)が、下記の一般式(2)で表わされる化合物由来のステロイド性官能基であることを特徴とする遺伝子キャリヤー。
【化4】


(ここで、R1、R2、R3は水素または炭素、酸素、窒素もしくは水素を含む置換基である。また、R4はスペーサーであり、水素または炭素、酸素、窒素もしくは水素を含む環状または直鎖状の化合物由来のものである。R4がステロイド骨格に結合する位置はいずれでもよい。)

【請求項3】
二本鎖のβ-1,3-グルカンに核酸が結合された複合体から成り、β-1,3-グルカンが繰り返し単位中に少なくとも1個の1,6-グルコピラノシド分枝を有し、その1,6-グルコピラノシド分枝の少なくとも一部に核酸結合性官能基が付与されている遺伝子キャリヤーであって、化学修飾により核酸結合性官能基が付与された後の1,6-グルコピラノシド分枝が下記の一般式(1)で表わされ〔式(1)中、2つのXは同種または異種の核酸結合性官能基を表す〕、
【化5】


核酸結合性官能基(X)が、下記の一般式(3)で表わされるアミノ酸または複数のアミノ酸が結合したペプチド由来の性官能基であることを特徴とする遺伝子キャリヤー。
【化6】


(ここで、R5はアミノ酸側鎖を示す。)

【請求項4】
二本鎖のβ-1,3-グルカンに核酸が結合された複合体から成り、β-1,3-グルカンが繰り返し単位中に少なくとも1個の1,6-グルコピラノシド分枝を有し、その1,6-グルコピラノシド分枝の少なくとも一部に核酸結合性官能基が付与されている遺伝子キャリヤーであって、化学修飾により核酸結合性官能基が付与された後の1,6-グルコピラノシド分枝が下記の一般式(1)で表わされ〔式(1)中、2つのXは同種または異種の核酸結合性官能基を表す〕、
【化7】


核酸結合性官能基(X)が、下記の式(4)~(6)のいずれかで表わされる化合物由来のインターカレーター性官能基であることを特徴とする遺伝子キャリヤー。
【化8】


国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 組織化と機能 領域
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