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抗体を提示するタンパク質中空ナノ粒子を用いる治療薬剤およびタンパク質中空ナノ粒子 実績あり

国内特許コード P110003118
整理番号 P023P09
掲載日 2011年6月16日
出願番号 特願2003-045088
公開番号 特開2004-002313
登録番号 特許第4212921号
出願日 平成15年2月21日(2003.2.21)
公開日 平成16年1月8日(2004.1.8)
登録日 平成20年11月7日(2008.11.7)
優先権データ
  • 特願2002-097424 (2002.3.29) JP
発明者
  • 黒田 俊一
  • 谷澤 克行
  • 近藤 昭彦
  • 上田 政和
  • 妹尾 昌治
  • 岡島 俊英
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 抗体を提示するタンパク質中空ナノ粒子を用いる治療薬剤およびタンパク質中空ナノ粒子 実績あり
発明の概要 【課題】特定細胞または組織に対する抗体を提示するタンパク質中空ナノ粒子を用いる治療薬剤であって、動物実験により実際に治療効果が認められた薬剤、およびこの薬剤を用いる治療方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る薬剤は、粒子形成能を有するタンパク質(たとえば、本来の肝細胞に対する感染能を欠失するように改変され、さらに抗体を提示するように改変されたB型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質)からなる中空ナノ粒子に、疾患治療用の細胞導入物質(たとえば、癌治療用遺伝子である単純ヘルペスウィルス由来チミジンキナーゼ遺伝子)が包含されたものであって、さらに、上記の粒子表面に、特定の癌細胞表面に存在する分子を抗原として認識する癌特異的抗体などの抗体が提示されたものである。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


近年、医学の分野において、患部に直接作用し、高い効果を示す副作用の少ない薬品の開発が盛んに行われている。特に、ドラッグデリバリーシステム(DDS)と呼ばれる方法は、目的細胞、あるいは、目的組織に対して特異的に薬剤等の有効成分を運搬し、目的箇所で有効成分を作用させることのできる方法として注目されている。



また、最近の分子細胞生物学の分野においても特定細胞への遺伝子導入は必要不可欠な技術として盛んに研究されている。さらに、ヒトゲノム計画の進展により各種疾患の遺伝的な背景が明らかになりつつある現在、このような細胞および組織に対する特異性の高い遺伝子導入法が確立されれば遺伝子治療の分野での応用も可能となる。



細胞に遺伝子を導入する方法としては、これまでに、遺伝子を巨大分子化してエンドサイトーシスによって遺伝子を取込ませる方法(リン酸カルシウム法、リポフェクタミン法)や、電気パルス刺激により細胞膜に穿孔を開け、遺伝子を流入させる方法(エレクトロポレーション法、遺伝子銃法)が知られており、いずれも今日では分子生物学的実験において、一般的に実施されている手法である。



これらの方法は簡便であるが、細胞を直接、物理的に傷つけ、遺伝子導入部位を外科的に露出させる必要があるため、生体内部の細胞や組織には容易に適用できない。また、100%近い導入率を得ることは難しい。



一方、安全性の高い物質導入方法としてはリポソーム法が知られている。この方法は、細胞を傷つけることがないため、生体内部の細胞や組織にも適用することが可能である。しかし、単純な脂質であるリポソームに高度な細胞および組織特異性を付与することは困難であり、さらに、in vivoでの遺伝子導入率は、要求される値に比べてはるかに低いという問題がある。



最近になって、ウィルスDNAに目的の遺伝子を組み込み、感染性ウィルスを生成して遺伝子導入を行う技術が開発された。この方法は導入部位を露出する必要がなく、個体にも応用でき、導入効率も100%近い画期的な方法として注目されるが、ウィルスが広範囲の細胞に非特異的に感染するため目的の細胞以外にも遺伝子が導入されてしまうという重大な問題がある。また、ウィルスゲノム本体が染色体に組み込まれ、将来予期できぬ副作用を引き起こす可能性があるため、実際には疾病の初期治療等には用いられず、末期の患者に適用されるに留まっているのが現状である。



このように、従来の遺伝子導入方法は、いずれも、目的の細胞に対して特異的に遺伝子を送り込み、細胞内で薬剤となるタンパク質を発現させる方法としては不十分なものであった。他方、薬剤となるタンパク質を直接的に目的細胞、あるいは、目的組織に送り込む方法については、未だ有効な方法が開発されていない状況にある。



【特許文献1】
国際出願番号WO01/64930(出願日2001年2月9日)



【特許文献2】
特開2001-316298(公開日2001年11月13日)

産業上の利用分野


本発明は、抗体を提示するタンパク質中空ナノ粒子を用いる治療薬剤およびタンパク質中空ナノ粒子に関し、より詳細には、特定の細胞または組織に対する抗体などの生体認識分子が粒子表面に提示される一方、粒子内部には疾患治療用の細胞導入物質が包含されており、この細胞導入物質を特定細胞または組織内に特異的に導入可能な薬剤およびその薬剤に好適に利用できる粒子に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
特定の細胞または組織に対する抗体が提示され、粒子形成能を備えたタンパク質を有する中空ナノ粒子に、疾患治療用の細胞導入物質が包含されてなり、
上記粒子形成能を備えたタンパク質は、改変されたB型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質であり、
上記改変されたB型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質は、血清型yタイプであり、かつ、pre-S領域の全アミノ酸配列のうち、少なくともN末端から1番目~20番目のアミノ酸残基を保持するように改変されており、
上記改変されたB型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質は、さらに、pre-S領域の全アミノ酸配列のうち、N末端から50番目~153番目のアミノ酸を欠失するように改変されていることを特徴とする薬剤。

【請求項2】
特定の細胞または組織に対する抗体が提示され、粒子形成能を備えたタンパク質を有する中空ナノ粒子に、疾患治療用の細胞導入物質が包含されてなり、
上記粒子形成能を備えたタンパク質は、改変されたB型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質であり、
上記改変されたB型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質は、血清型dタイプであり、かつ、pre-S領域の全アミノ酸配列のうち、少なくともN末端から12番目~31番目のアミノ酸残基を保持するように改変されており、
上記改変されたB型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質は、さらに、pre-S領域の全アミノ酸配列のうち、N末端から61番目~164番目のアミノ酸を欠失するように改変されていることを特徴とする薬剤。

【請求項3】
上記抗体は、癌特異的抗体または抗ウィルス性タンパク質抗体であることを特徴とする請求項1または2に記載の薬剤。

【請求項4】
上記抗体は、上記粒子形成能を備えたタンパク質に融合したZZタグとの結合により粒子表面に提示されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の薬剤。

【請求項5】
上記抗体は、ビオチン修飾され、上記粒子形成能を備えたタンパク質に融合したストレプトタグと結合したストレプトアビジンまたはその誘導体と、上記ビオチンとの結合により粒子表面に提示されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の薬剤。

【請求項6】
上記抗体は、上記粒子形成能を備えたタンパク質に融合した一本鎖抗体であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の薬剤。

【請求項7】
上記粒子形成能を備えたタンパク質を有する中空ナノ粒子は、真核細胞で発現させることにより得られることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の薬剤。

【請求項8】
上記真核細胞は、酵母、昆虫細胞または動物細胞のいずれかであることを特徴とする請求項記載の薬剤。

【請求項9】
上記改変されたB型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質は、preS領域のアミノ酸の一部を欠失するように改変されていることを特徴とする請求項1または2に記載の薬剤。

【請求項10】
上記細胞導入物質は、遺伝子であることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の薬剤。

【請求項11】
上記遺伝子は、単純ヘルペスウィルス由来チミジンキナーゼ(HSV1 tk)遺伝子であることを特徴とする請求項10に記載の薬剤。

【請求項12】
静脈注射により人体に投与されることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の薬剤。

【請求項13】
粒子形成能を備え、かつ、pre-S領域の全アミノ酸配列のうち、少なくともN末端から1番目~20番目のアミノ酸残基を保持するように改変された血清型yタイプのB型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質を有し、
上記改変された血清型yタイプのB型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質は、さらに、pre-S領域の全アミノ酸配列のうち、N末端から50番目~153番目のアミノ酸を欠失するように改変されていることを特徴とする中空ナノ粒子。

【請求項14】
粒子形成能を備え、かつ、pre-S領域の全アミノ酸配列のうち、少なくともN末端から12番目~31番目のアミノ酸残基を保持するように改変された血清型dタイプのB型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質を有し、
上記改変された血清型dタイプのB型肝炎ウィルス表面抗原タンパク質は、さらに、pre-S領域の全アミノ酸配列のうち、N末端から61番目~164番目のアミノ酸を欠失するように改変されていることを特徴とする中空ナノ粒子。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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