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チロソール高生産性酵母変異株及び該酵母を用いた発酵アルコール飲料の製造法 実績あり

国内特許コード P110003120
整理番号 RJ006P13
掲載日 2011年6月16日
出願番号 特願2003-048313
公開番号 特開2004-215644
登録番号 特許第3898652号
出願日 平成15年2月25日(2003.2.25)
公開日 平成16年8月5日(2004.8.5)
登録日 平成19年1月5日(2007.1.5)
優先権データ
  • 特願2002-336791 (2002.11.20) JP
発明者
  • 小関 敏彦
  • 工藤 晋平
  • 松田 義弘
  • 石垣 浩佳
  • 安食 雄介
  • 村岡 義之
  • 和田 弥寿子
出願人
  • 山形県
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 チロソール高生産性酵母変異株及び該酵母を用いた発酵アルコール飲料の製造法 実績あり
発明の概要 【課題】発酵アルコール飲料に用いられる酵母を改変し、他成分の生成などに影響が少なく、苦味成分として、チロソールだけを多く生産する酵母を取得し、該酵母を用いて発酵アルコール飲料を製造し、チロソール含量の高い清酒等の個性のある酒質を有する発酵アルコール飲料を提供すること。
【解決手段】自然変異或いは人工変異処理した酵母を、2-フルオロ-L-チロシンを含有する培地を選択培地として培養し、2-フルオロ-L-チロシンに耐性を有する酵母株を分離することにより、チロソールだけを多く生産する酵母変異株を取得する。本発明のチロソール高生産性酵母変異株を用いて、清酒等の発酵アルコール飲料を製造することにより、チロソール含量の高い、個性のある酒質を有する発酵アルコール飲料を製造する。
従来技術、競合技術の概要


発酵アルコール飲料の製造には、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisie)に属する清酒酵母、焼酎酵母、ビール酵母、ワイン酵母等が用いられるが、該発酵アルコール飲料の製造に用いられる酵母については、その発酵性能や発酵特性、或いは香味等の改善のために、古くから改良が行われてきた。



近年においても、発酵アルコール飲料の香気や味の改良のために、新規酵母の開発が行われている。例えば、特開平5-317034号公報には、清酒酵母701号と清酒酵母901号由来の一倍体株同士の交雑により育種される芳香性清酒酵母新菌株について、特開平7-79766号公報には、カプロン酸エチル成分のような香気エステルを多量生産するサッカロミセス・セレビシエに属する新規酵母について、特開平7-184638号公報には、吟醸香の豊かな酒類を製造するための、酢酸イソアミル成分を多量生産するミコナゾール及び/又はエコナゾール耐性のサッカロミセス・セレビシエに属する新規酵母について、特開平7-184639号公報には、同じく吟醸香の豊かな酒類を製造するための、酢酸イソアミル成分を多量生産するアンホテリシンB耐性のサッカロミセス・セレビシエに属する新規酵母について、及び、特開平8-173147号公報には、カプロン酸エチル及び酢酸イソアミルをバランスよく高生産し、発酵力の強い酵母として、カプロン酸感受性で、カプロン酸エチル高生産であり、かつアルコール耐性の改善されたサッカロミセス・セレビシエに属する新規酵母について、それぞれ開示されている。



また、特開平9-248178号公報には、もろみ末期において自己消化を起こしにくく、かつ発酵性能の優れた、エチルアルコール耐性及びジオキサン類耐性を有するサッカロミセス・セレビシエに属する新規酵母について、特開平10-262653号公報には、有機酸が少なく、後味の軽いまろやかな酒質の清酒を製造するための酵母として、エタノールの生成速度が速く、有機酸とアミノ酸の生成が少なく、かつ気泡付着性がないサッカロミセス・セレビシエに属する新規酵母について、特開2001-128664号公報には、2-フルオロエタノールを含有する選択培地、或いは、更にイソアミルアルコールを含有する選択培地を用いて分離した高アルコール耐性を有し、高アルコール生産性を有するサッカロミセス・セレビシエに属する新規酵母について、特開2001-103958号公報には、有機酸及び香気成分を高生産する酵母として、2-オキソグルタル酸のようなクエン酸シンターゼの阻害剤に耐性を示し、有機酸を高生産するサッカロミセス・セレビシエに属する新規酵母について、及び、特開2002-253210号公報には、コクのある低アルコール清酒を製造するための酵母として、アルコール感受性を有し、2~10%のアルコール濃度の培地では増殖できないサッカロミセス・セレビシエに属する新規酵母について、それぞれ開示されている。



更に、特開平10-75770号公報には、ビールの製造等に用いる新規な吟醸香を有する酵母として、清酒酵母由来の単胞子分離株とビール酵母由来の単胞子分離株とを交雑することによって得たサッカロミセス・セレビシエに属する新規酵母について、特開2000-350575号公報及び特開2001-321159号公報には、ワインのような酒類の製造において、重要な呈味成分の一つであるアミノ酸含有量を改善するための酵母として、アミノ酸の取込みに関与する遺伝子を変異させたサッカロミセス・セレビシエに属する新規酵母について、それぞれ開示されている。



前記のとおり近年においても、発酵アルコール飲料等の製造に用いる酵母について、その発酵性能・発酵特性や香味等の改善のために、多くの新規な酵母の開発が行われているが、その中で、最近、香りが高く苦味成分を高含有するアルコール飲料等の製造のために、香気成分としてβ-フェネチルアルコール及びその酢酸エステルを、苦味成分としてチロソールを多く生成する変異酵母を用いた方法が開発されている(特開平5-49465号公報;Journal of Fermentation and Bioengineering 69, 2, 125-128, 1990)。この方法に用いられる酵母は、具体的には、酵母に突然変異を起こし、β-(2-チエニル)アラニンを選択培地に添加し耐性株を分離してβ-フェネチルアルコールやその酢酸エステル及びチロソールの生産に特徴を持つ変異酵母を分離・取得したものである。この変異酵母の分離・取得方法は、選択培地の成分からβ-フェネチルアルコールやその酢酸エステル及びチロソール等の多量生産に重きを置いた分離・取得方法になっている。しかし、本発明者らも酢酸イソアミルや有機酸を多量に生産する酵母を開発し製品化を行ったが(Journal of Society Japan 90, 3, 217-221, 1995)、製品として販売する場合、それぞれの成分で表される酒の特徴を多量に含む酒質のものが必ずしも好ましいものではないという評価を得ている。



【特許文献1】
特開平5-49465号公報。
【非特許文献1】
Journal of Fermentation and Bioengineering 69, 2, 125-128, 1990
【非特許文献2】
Journal of Society Japan 90, 3, 217-221, 1995

産業上の利用分野


本発明は、苦味成分であるチロソールを特異的に高生産する、チロソール高生産性酵母変異株、該酵母を用いた個性のある酒質を有する清酒等の発酵アルコール飲料、及び、その製造法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
サッカロミセス・セレビシエに属し、2-フルオロ-L-チロシン耐性を有することを特徴とする、チロソール高生産性酵母変異株。

【請求項2】
サッカロミセス・セレビシエに属し、2-フルオロ-L-チロシン耐性を有するチロソール高生産性酵母変異株が、サッカロミセス・セレビシエTY24株(受託番号:FERM BP-8297)であることを特徴とする請求項1記載のチロソール高生産性酵母変異株。

【請求項3】
自然変異或いは人工変異処理したサッカロミセス・セレビシエに属する酵母を、2-フルオロ-L-チロシンを含有する培地で培養し、2-フルオロ-L-チロシン耐性を有する酵母変異株を分離することを特徴とするサッカロミセス・セレビシエに属するチロソール高生産性酵母変異株の取得方法。

【請求項4】
請求項1又は2記載のサッカロミセス・セレビシエに属するチロソール高生産性酵母変異株を用いて発酵を行うことを特徴とする発酵アルコール飲料の製造法。

【請求項5】
発酵アルコール飲料が、清酒であることを特徴とする請求項4記載の発酵アルコール飲料の製造法。

【請求項6】
請求項4又は5記載の発酵アルコール飲料の製造法によって製造されたチロソール高含有発酵アルコール飲料。

【請求項7】
チロソール高含有発酵アルコール飲料が、発泡性を有する清酒及び/又は甘味及び酸味を多量に含有する清酒であることを特徴とする請求項6記載のチロソール高含有発酵アルコール飲料。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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