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ヘリコバクター・ピロリ菌に対するワクチン用タンパク質、それをコードする遺伝子、該タンパク質を利用したワクチン、及びそれらの利用方法 コモンズ

国内特許コード P110003126
整理番号 A251P10
掲載日 2011年6月16日
出願番号 特願2003-054654
公開番号 特開2004-261080
登録番号 特許第4294342号
出願日 平成15年2月28日(2003.2.28)
公開日 平成16年9月24日(2004.9.24)
登録日 平成21年4月17日(2009.4.17)
発明者
  • 宇田 泰三
  • 藤井 亮治
  • 一二三 恵美
  • 森原 史子
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 ヘリコバクター・ピロリ菌に対するワクチン用タンパク質、それをコードする遺伝子、該タンパク質を利用したワクチン、及びそれらの利用方法 コモンズ
発明の概要

【課題】ヘリコバクター・ピロリ菌のウレアーゼの活性を抑制し、かつ、ヘリコバクター・ピロリ菌の増殖を抑制する機能を兼ね備えたワクチン用タンパク質、それをコードする遺伝子、及びそれらの利用方法を提供する。
【解決手段】ヘリコバクター・ピロリ菌のウレアーゼにおける活性部位付近のアミノ酸配列のうち、特定領域内の配列からなるタンパク質は、免疫反応により、ヘリコバクター・ピロリ菌のウレアーゼの活性を抑制すると共に、ヘリコバクター・ピロリ菌の増殖を抑制する抗体を生成することが確認された。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要
ヘリコバクター・ピロリ菌(H.ピロリ菌)は、細長いS字型のグラム陰性菌であり、組織学的に胃潰瘍発症者や消化性潰瘍発症者の胃の生体試料から高い頻度で検出される。このH.ピロリ菌を胃内から根絶することによって、胃炎が治癒するととともに、消化性潰瘍の患者の再発率が減少するという報告がされている(例えば、非特許文献1参照)。このことから、H.ピロリ菌は、ヒトの胃内に感染することによって、急性胃炎、慢性胃炎、萎縮性胃炎などの各種胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍を含む消化性潰瘍、さらには胃癌までをも引き起こす原因となると考えられている。
【0003】
ヒトの胃内は胃酸の分泌によって酸性が強くなっているため、通常外部から侵入した細菌は生存することができないが、H.ピロリ菌は、自身の細胞外膜に多量のウレアーゼを生産することで、酸性の強い胃内でも生存することができる。つまり、ウレアーゼが、尿素を加水分解することで発生するアンモニアは、胃内を中性化し、胃内腔内の微生物を取り巻く中性の微小環境をつくりだしているのである。一方、アンモニアが胃や十二指腸の粘膜組織が傷つけられるということが、様々な証拠によって示されている。
【0004】
上記のようなH.ピロリ菌に対して、最近では、感染を防ぐワクチン接種が、H.ピロリ菌関連疾患の患者を守る手段として提案されている。このようなワクチンの1つとしてH.ピロリ菌のウレアーゼあるいはそのサブユニットBが提案されている(例えば、特許文献1参照)。上記ウレアーゼあるいはそのサブユニットBは、ワクチンとして生体内に投与されると、抗体を作り出だす。この抗体がウレアーゼと結合することによってウレアーゼの活性を抑制するため、H.ピロリ菌は酸性の強い胃内で生存できなくなる。従って、このようなワクチンは、H.ピロリ菌の感染を効率よく阻止することができるのである。
【0005】
【特許文献1】
特表平9-509661号公報(1997年9月30日公表)
【0006】
【非特許文献1】
Perterson, W. l. 「Helicobacter pylori and peptic Ulcer Disease.」 N. Engl. J. Med., vol. 324,1043-1048(1991).
【0007】
【非特許文献2】
Uda,T., et al. 「Immunological features and inhibitory effect on enzymatic activity of monoclonal against Helicobacter pylori urease.」 J. Ferment. Bioeng., 86, 271-276(1998).
【0008】
【非特許文献3】
Warren, J.R. & Marshall, B.「Unidentified curved bacilli on gastric epithelium in active chronic gastritis.」 Lancet, i: 1273-1275 (1983).
【0009】
【非特許文献4】
Barer, M.R., Elliott, T.S.J., Berkeley, D.,「Thomas, J.E., & Eastham, E.J. Cytopathic effects of Campylobacter pylori urease.」 J. Clin. Pathol., 41, 597 (1986).
【0010】
【非特許文献5】
Hazell, S., & Lee, A.「Campylobacter pyloridis, urease, hydrogen ion back diffusion, and gastric ulcers.」 Lancet, ii, 15-17 (1986).
【0011】
【非特許文献6】
Smoot, D. T., Mobley, H. L. T., Chippendale, G. R., Lawison, J. F. & Resau, J. H.「Helicobacter pylori urease activity is toxic to human gastric epithelial cell.」 Infect. Immun., 58, 1992-1994 (1990).
【0012】
【非特許文献7】
Buck, G. E.「Campylobacter pylori and gastroduodenal disease.」 Clin. Microbiol. Rev., 3, 1-12 (1990).
【0013】
【非特許文献8】
Goodwin, C.S., Blake, P. & Blincow, E.「The minimum inhibitory and bactericidal concentrations of antibiotics and anti-ulcer agents against Campylobacter pyloridis.」 J.Microb. Chemother., 17, 309-314 (1986).
【0014】
【非特許文献9】
Nagata, K., Satoh, H., Iwahi, T., Shimoyama, T. & Tamura, T.「Potent inhibitory action of the gastric proton pump inhibitor lansoprazole against urease activity of Helicobacter pylori: unique action selective for H. pylori cells.」 Antimicrobial. Agents Chemotherapy, 37, 769-774 (1993).
【0015】
【非特許文献10】
Pallen, M.J. & Clayton, C.L.「Vaccination against Helicobacter pylori urease.」 Lancet, 336, 186-187 (1990).
【0016】
【非特許文献11】
Czinn, S. J. & Nedrud, J. G.「Oral immunization against Helicobacter pylori. Infect.」 Immun., 59, 2359-2363 (1991).
【0017】
【非特許文献12】
Corthesy-Theulaz, I., Porta, N., Glauser, M., Saraga, E., Vaney, A-C., Haas, R., Kraehenbuhl, J-P., Blum, A. L. & Michetti, P.「Oral immunization with Helicobacter pylori urease B subunit as a treatment against Helicobacter infection in Mice.」 Gastroenterology 109, 115-121 (1995).
【0018】
【非特許文献13】
Hirota, K., Nagata, K., Norose, Y., Futagami, S., Nakagawa, Y., Senpuku, H., Kobayashi, M. & Takahashi, H.「Identification of an antigenic epitope in Helicobacter pylori urease that induces neutralizing antibody production.」 Infect. Immun., 69, 6597-6603 (2001).
【0019】
【非特許文献14】
Sugino, N., Shimamura, K., Takiguchi, S., Tamura, H., Ohno, M, Nakata, M, Ogino, K, Uda, T., & Kato, H.「Changes in activity of superoxide dismutase in the human endometrium throughout the menstrual cycle and in early pregnancy.」Human Reproduction, 11, 1073-1078 (1996).
【0020】
【非特許文献15】
Suzuki, T., Sugino, N., Fukaya, T., Sugiyama, S., Uda, T., Takaya, R., Yajima, A., & Sasano, H.「Super oxide dismutase in normal cycling human ovaries: immunohistochemical localization and characterization.」 Fertility and Sterility, 72, 720-726 (1999).
【0021】
【非特許文献16】
Hawtin, P. R., Delves, H. T. & Newell, D. G.「The demonstration of nickel in the urease of Helicobacter pylori by atomic absorption spectroscopy.」FEMS Microbiol. Lett. 77, 51-54 (1991).
【0022】
【非特許文献17】
Ha, N. C., Oh, S. T., Sung, J. Y., Cha, K. A., Lee, M. H. & Oh, B.H.「Supramolecular assembly and acid resistance of Helicobacter pylori urease.」 Nat. Struct. Biol. 8, 505-509 (2001).
【0023】
【非特許文献18】
Ikeda, Y., Fujii, R., Ogino, K., Fukushima, K., Hifumi, E., & Uda, T.「Immunological features and inhibitory effects on enzymatic activity of monoclonal antibodies against Helicobacter pylori urease.」 J. Ferment. Bioeng., 86, 271-276 (1998).
【0024】
【非特許文献19】
Dixon, N.E., Gazzola, C., Blakeley, R.L., and Zerner, B.「Jack bean urease. A metalloenzyme. A simple biological role for nickel?」 J. Am. Chem. Soc., 97, 4131-4133(1975).
【0025】
【非特許文献20】
Dixon, N.E., Blakeley, R.L., and Zerner, B.「Jack bean urease. I. A simple dry ashing procedure for the microdetermination of trace metals in proteins. The nickel content of urease.」 Can. J. Biochem., 58, 469-473 (1980).
【0026】
【非特許文献21】
Takishima, K., Suga, T. & Mamiya, G.「The structure of jack bean urease.」 Eur. J. Biochem., 175, 151-165 (1988).
【0027】
【非特許文献22】
Andrews, A.T., and Reithel, F.J.「The thiol groups of Jack bean urease.」 Arch.Biochem. Biophys., 141, 538-546 (1970).
産業上の利用分野
本発明は、ヘリコバクター・ピロリ菌のウレアーゼの活性を抑制すると共に、ヘリコバクター・ピロリ菌の増殖を抑制する抗体を生成するタンパク質、それをコードする遺伝子、該タンパク質を利用したワクチン、及びこれらの利用方法に関するものである。
特許請求の範囲 【請求項1】 以下の(a)又は(b)のタンパク質。
(a)配列番号1に示すアミノ酸配列からなるタンパク質。
(b)配列番号1に示すアミノ酸配列において、1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、免疫反応によって、ヘリコバクター・ピロリ菌のウレアーゼの活性を抑制すると共に、ヘリコバクター・ピロリ菌の増殖を抑制する抗体を生成するタンパク質。
【請求項2】 請求項1に記載のタンパク質をコードする遺伝子。
【請求項3】 請求項1に記載のタンパク質を含んでなるヘリコバクター・ピロリ菌に対するワクチン。
【請求項4】 請求項2に記載の遺伝子を導入してなる形質転換体。
【請求項5】 請求項1に記載のタンパク質を非ヒトの生体に免疫して、ヘリコバクター・ピロリ菌のウレアーゼの活性を抑制すると共に、ヘリコバクター・ピロリ菌の増殖を抑制する抗体を含む血清を生産する方法。
【請求項6】 請求項1に記載のタンパク質を乳牛に免疫した後、ヘリコバクター・ピロリ菌のウレアーゼの活性を抑制すると共に、ヘリコバクター・ピロリ菌の増殖を抑制する抗体を含む牛乳を上記乳牛より採取する方法。
【請求項7】 請求項1に記載のタンパク質をニワトリに免疫した後、ヘリコバクター・ピロリ菌のウレアーゼの活性を抑制すると共に、ヘリコバクター・ピロリ菌の増殖を抑制する抗体を含む鶏卵を上記ニワトリより採取する方法。
【請求項8】 請求項2の遺伝子を植物に導入し、発現させることを特徴とする形質転換植物。
産業区分
  • 微生物工業
  • 農林
  • 有機化合物
  • 薬品
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 医療に向けた化学・生物系分子を利用したバイオ素子・システムの創製 領域
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