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動物細胞の分化能の制御系 実績あり

国内特許コード P110003142
整理番号 V119P001
掲載日 2011年6月16日
出願番号 特願2003-083106
公開番号 特開2004-290006
登録番号 特許第3736636号
出願日 平成15年3月25日(2003.3.25)
公開日 平成16年10月21日(2004.10.21)
登録日 平成17年11月4日(2005.11.4)
発明者
  • 帯刀 益夫
  • 鈴木 義久
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 株式会社ファクト
発明の名称 動物細胞の分化能の制御系 実績あり
発明の概要 【課題】動物細胞の分化能を制御するための系の提供
【解決手段】動物細胞の培養または増殖に際して2種以上のサイトカインを組み合わせて用いる。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


交通事故やケガで、あるいは病気で心臓、肺、腎臓、血管、消化管、さらには神経等の組織や臓器を欠損させてしまった場合、他人の臓器に頼らず、本人の細胞を利用し、心臓や血管などの欠損組織等に分化する機能を保持した幹細胞や機能細胞を用いて、もとの臓器に再生させる再生医療技術の開発が望まれている。



このような背景の下、例えば心臓に関しては、心臓の発生・分化に重要な遺伝子が多数単離され、また胚性幹細胞(ES細胞)などの多分化能を有する細胞を用い、心筋細胞の発生・分化の解析が行われている。さらに、骨髄細胞を含めた幹細胞が種々の細胞へ分化する多分化能(または多能性)を有することが示唆されている。そして、このような骨髄由来細胞がマウスの生体においても傷害心筋の再生に寄与し、心機能の改善が認められるとの報告もなされている。



より具体的には、ES細胞の発生・分化の解析に関して、未分化なネズミES細胞を、トランスフォーミング増殖因子β1(TGF-βスパーファミリーの構成員、すなわちTGF-βおよびBMP2)でプライムして形成される胚様体(embryoid body)は著しく増大した拍動領域を有する心筋への分化を促進することが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。



他方、骨髄由来の細胞に関して、温度感受性SV-40T抗原遺伝子のトランスジェニックマウスから樹立され、そして筋形成性、骨形成性および脂肪形成性分化を示す骨髄間質細胞株(TBR細胞株)のあるものは、骨格筋に分化し、そしてその分化はオンコスタチンM(OSM)により刺激されるが、別のTBR細胞株の平滑筋への分化はOSMにより阻害されることが報告されている(例えば、非特許文献2参照。)。なお、TBR細胞株の一般的な作製方法および具体的な株についての詳細も公表されている(例えば、特許文献1、ならびに非特許文献3および4参照。)。非特許文献3および4には、TBR細胞株はT抗原の不活化や増殖条件に応じて表現型変化を示し、脂肪前駆細胞が脂肪細胞および骨形成性細胞に誘導され、いくつかの脂肪前駆細胞および内皮細胞株は筋細胞および脂肪細胞に誘導される、ことも記載されている。このような性質からTBR細胞は多能性間葉系幹細胞由来であることが示唆されている。また、間葉系幹細胞から、骨細胞、軟骨細胞、腱細胞、靭帯細胞、骨格筋細胞、脂肪細胞、間質細胞等へ誘導できることも知られている(非特許文献5参照。)。



さらに、心筋細胞への分化能を有する骨髄由来の細胞が5-アザシチジン等のDNAの脱メチル化剤の投与により、確率的(stochastic)に心筋細胞、脂肪細胞および骨格筋細胞の系列に分化することが公表されている(例えば、特許文献2参照。)。



また、特許文献2には、FGF-8、ET1、Midkine、BMP4の4種類のうち少なくとも一種のサイトカインと5-アザシチジンとを組み合わせて添加することで骨髄由来の細胞に心筋特異的な遺伝子の発現を促進できることも記載されている。またさらに、特許文献2には、心筋細胞への分化能を有するマウス骨髄細胞を予め5-アザシチジンで処理した後、マウスに移殖すると心筋細胞および血管細胞において移殖細胞に由来する細胞が見られることも示唆している。



【特許文献1】
特開平5-292958号公報



【特許文献2】
国際公開第01/48151号パンフレット、特に4頁2-11行、53頁-55頁



【非特許文献1】
The FASEB J. 2002;16:1558-1566、要約部



【非特許文献2】
In Vitro Cell. Dev. Biol.-Animal 37:698-704(2001)、要約部



【非特許文献3】
J. Cellular Physiology 164:55-64(1995)



【非特許文献4】
Experimental Cell Research 218、424-429(1995)



【非特許文献5】
Science 284、143-147(1999)

産業上の利用分野


本発明は動物細胞の維持、増殖、さらには分化誘導、殊に再生医療の技術分野で用いることのできる手段、より具体的には、サイトカインの使用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
2種以上が組み合わさったサイトカインを有効成分とし、かつ、髄間質細胞の3以上の分化の方向性の決定と方向性の決定された各細胞における分化の程度を制御するためのサイトカインのセットであって、骨髄間質細胞が単離または樹立された細胞株であり、前記分化の方向性が少なくとも、平滑筋細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、内皮細胞および脂肪細胞に向かうことからなる群より選ばれ、前記各分化の程度が血清の存在下でもたらされる分化のいずれか一つに比べ少なくとも10%促進または抑制され、そして2種以上が組み合わさったサイトカインが、骨形成因子-2(BMP-2)骨形成因子-4(BMP-4)、オンコスタチンM(OSM)、グロース・ディファレンシェーション・ファクター(GDF-5)およびトランスフォーミング増殖因子(TGF-β2)からなる群より選ばれることを特徴とするサイトカインのセット。

【請求項2】
組み合わさったサイトカインが、BMP-2とBMP-4、BMP-2とOSM、BMP-2とTGF-β2、BMP-2とBMP-4とOSM、OSM-BMP-4、OSMとTGF-β2、OSMとGDF-5、OSMとGDF-5とBMP-4、OSMとGDF-5とTGF-β2とBMP-4、BMP-2とOSMとGDF-5とBMP-4およびBMP-2とOSMとGDF-5とTGF-β2とBMP-4からなる群より選ばれる請求項記載のサイトカインのセット。

【請求項3】
骨髄間質細胞が、BMP-2による刺激により少なくとも平滑筋細胞、拍動する心筋細胞および内皮細胞に分化しうる多能性成体幹細胞である請求項1または2に記載のサイトカインのセット。

【請求項4】
骨髄間質細胞が温度感受性SV-40T細胞遺伝子を担持するトランスジェニックマウス由来である請求項1~のいずれかに記載のサイトカインのセット。

【請求項5】
骨髄間質細胞の分化が、イン・ビトロ(in vitro)、エクス・ビボ(ex vivo)およびイン・ビボ(in vivo)からなる群から選ばれる環境下で誘導される請求項1~のいずれかに記載のサイトカインのセット。

【請求項6】
ex vivo または in vivo での骨髄間質細胞の分化が再生医療における細胞移殖に際して利用されるものである請求項1~のいずれかに記載のサイトカインのセット。

【請求項7】
in vitro での骨髄間質細胞の分化が、該細胞を分化しうる能力を有する作用剤をスクリーニングするのに利用されるものである請求項記載のサイトカインのセット。

【請求項8】
(A) 温度感受性SV-40T抗原遺伝子を担持するトランスジェニックマウス由来の多能性の骨髄間質細胞を用意し、
(B) 該細胞を、分化しうる能力を有することが期待される候補作用剤の存在下で該細胞を増殖しうる培地で培養し、
(C) 培養細胞の分化の方向性または分化の程度を決定し、そして
(D) こうして決定された分化の方向性または分化の程度についての結果を該作用剤の不存在下での該細胞の培養結果と比べ、両結果の差異を該作用剤が骨髄間質細胞の分化能に及ぼす作用の指標とすることを特徴とする脊椎動物細胞の分化能を有する薬剤のスクリーニング方法。

【請求項9】
比較作用剤として、BMP-2、BMP-4、OSM、GDF-5およびTGF-β2からなる群から選ばれる少なくとも2種が利用される請求項記載のスクリーニング方法。

【請求項10】
無血清培地で培養が行われる請求項記載のスクリーニング方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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