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リン酸カルシウム複合体およびその製造方法、ならびに、それを用いた医療用材料

国内特許コード P110003162
整理番号 K020P16
掲載日 2011年6月17日
出願番号 特願2003-125958
公開番号 特開2004-331723
登録番号 特許第4145711号
出願日 平成15年4月30日(2003.4.30)
公開日 平成16年11月25日(2004.11.25)
登録日 平成20年6月27日(2008.6.27)
発明者
  • 古薗 勉
  • 岸田 晶夫
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 国立研究開発法人国立循環器病研究センター
発明の名称 リン酸カルシウム複合体およびその製造方法、ならびに、それを用いた医療用材料
発明の概要 【課題】リン酸カルシウムの生体活性を損なわせることなく、簡単、かつ、長期間リン酸カルシウムを定着させることができる、リン酸カルシウム複合体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】イオン化しているイオン性官能基を有する高分子基材と、リン酸カルシウム焼結体の表面に存在するイオンとを反応させる反応工程を行う。これにより、リン酸カルシウム焼結体に化学的前処理をすることなく、リン酸カルシウム複合体を製造することができる。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


シリコーンゴムや、ポリウレタン等の高分子基材は、生体不活性、長期安定性、強度および柔軟性等の特性を有しており、例えば、経皮カテーテルのような医療用材料として広く用いられている。しかし、上記例示の高分子基材は生体不活性であるために、上記例示の高分子基材を医療用材料として用いる場合には、経皮部において生体組織との接着が起こらず、皮膚のダウングロース(上皮組織がカテーテル表面に沿って内部へ陥入していく現象)、および、陥入部位における細菌感染の危険性が常に問題となっている。



一方、例えば、ハイドロキシアパタイト等のリン酸カルシウムは、生体活性材料として医療分野において広く用いられている。そして、リン酸カルシウムは、具体的には、単独または無機材料や有機材料と複合化させたものが広く用いられている。上記リン酸カルシウムは、例えば、経皮カテーテル等の部材として使用されている。



しかし、上記リン酸カルシウムは、脆く、成形性が悪く、金属性部材との結合性がない。従って、例えば、上記リン酸カルシウムを経皮カテーテルとして用いた場合には、金属性部材とリン酸カルシウム端子との間隙から細菌感染が起こる可能性がある等の問題がある。



そこで、このような問題を解消する手法の一つとして、例えば、上記高分子基材の表面にハイドロキシアパタイト等のリン酸カルシウムを修飾したリン酸カルシウム複合体を用いることが提案されている。



そして、上記高分子基材の表面に、リン酸カルシウムを修飾する方法としては、具体的には、例えば、スパッタリングイオンビームを用いて修飾する方法(特許文献1参照)、プラズマ処理法を用いて修飾する方法(特許文献2参照)、ガラスとの複合化により修飾する方法(特許文献3参照)、生体模倣反応を利用して修飾する方法(特許文献4参照)、および、交互浸漬法を利用して修飾する方法(特許文献5参照)等の方法が提案されている。



しかしながら、上記特許文献1~5に開示の修飾法に用いられるリン酸カルシウムは、結晶構造がアモルファスであり、生体内で溶解し易いので、生体活性の持続が十分でない。従って、例えば、上記リン酸カルシウムを、生体内で溶解させる用途(例えば、骨置換材料)においては、好適に使用することができるが、経皮端子等の上記リン酸カルシウムを長期間、体内で保持する用途等においては、好適に用いることができない。また、上記特許文献1~5に開示の修飾法では、リン酸カルシウムを高分子基材に物理的に固着させており、接着強度が弱いという問題点がある。



そこで、上記リン酸カルシウムを長期間、体内で保持する用途に使用する場合における、高分子基材の表面を上記リン酸カルシウムで修飾する方法が求められており、例えば、特許文献6や、特許文献7に開示されている方法等が挙げられる。



上記特許文献6には、接着剤を用いてセラミック多孔質粒子を高分子基材の表面に固着する方法や、高分子基材を溶融してセラミック多孔質粒子を固定する方法によって得られる腹腔内留置カテーテルが開示されている。



【特許文献1】
特開平8-56963号公報(公開日;1996年3月5日)



【特許文献2】
特開平7-303691号公報(公開日;1995年11月21日)



【特許文献3】
特開昭63-270061号公報(公開日;1988年11月8日)



【特許文献4】
特開平7-306201号公報(公開日;1995年11月21日)



【特許文献5】
特開2000-342676公報(公開日;2000年12月12日)



【特許文献6】
特開平10-15061号公報(公開日;1998年1月20日)



【特許文献7】
特開2001-172511公報(公開日;2001年6月26日)

産業上の利用分野


本発明は、リン酸カルシウム焼結体と高分子基材とが化学結合してなるリン酸カルシウム複合体およびその製造方法に関するものであり、より詳細には生体適合性および生体組織に対する密着性(接着性)を有する、医療用材料として好適なリン酸カルシウム複合体およびその製造方法、ならびに、この複合体を用いてなる医療用材料に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
リン酸カルシウム焼結体と、官能基を有する高分子基材とが、化学結合を介して結合されているリン酸カルシウム複合体であって、
上記官能基を有する高分子基材の表面に、リン酸カルシウム焼結体が結合しており、
上記リン酸カルシウム焼結体自体と、上記官能基とが、直接化学結合してなることを特徴とするリン酸カルシウム複合体。

【請求項2】
リン酸カルシウム焼結体と、官能基を有する高分子基材とが、化学結合を介して結合されているリン酸カルシウム複合体であって、
上記リン酸カルシウム焼結体が、ハイドロキシアパタイト焼結体またはβ-トリリン酸カルシウムから構成されており、
上記官能基を有する高分子基材の表面に、リン酸カルシウム焼結体が結合しており、
上記リン酸カルシウム焼結体自体と、上記官能基とが、直接化学結合してなることを特徴とするリン酸カルシウム複合体。

【請求項3】
上記化学結合が、イオン的相互作用による結合であることを特徴とする請求項1または2に記載のリン酸カルシウム複合体。

【請求項4】
上記官能基は、イオン化しているイオン性官能基であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム複合体。

【請求項5】
上記イオン性官能基は、酸性官能基であり、
上記酸性官能基と、リン酸カルシウム焼結体のカルシウムイオンとがイオン的相互作用によって化学結合されていることを特徴とする請求項4記載のリン酸カルシウム複合体。

【請求項6】
上記イオン性官能基は、塩基性官能基であり、
上記塩基性官能基と、リン酸カルシウムのリン酸イオンおよび/または水酸化物イオンとがイオン的相互作用によって化学結合されていることを特徴とする請求項4記載のリン酸カルシウム複合体。

【請求項7】
上記イオン性官能基は、-COOであり、
上記リン酸カルシウム焼結体のカルシウムイオンと、-COOとがイオン的相互作用によって化学結合されていることを特徴とする請求項4記載のリン酸カルシウム複合体。

【請求項8】
上記官能基を有する高分子基材は、高分子基材と4-メタクリロキシエチルトリメルリテートアンハイドライドとを反応させてなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または7のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム複合体。

【請求項9】
リン酸カルシウム焼結体層と、高分子基材層とからなる、請求項1~8のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム複合体。

【請求項10】
上記リン酸カルシウム焼結体層の厚さは、上記高分子基材層の厚さを100%としたときに、0.0001%~100%の範囲内である、請求項9記載のリン酸カルシウム複合体

【請求項11】
上記官能基を有する高分子基材の形状は、シート状、繊維状、チューブ状、または多孔体である、請求項1~10のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム複合体

【請求項12】
上記高分子基材が、医療用高分子材料であることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム複合体

【請求項13】
上記医療用高分子材料が、シルクフィブロインであることを特徴とする請求項12記載のリン酸カルシウム複合体

【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム複合体を用いてなる医療用材料。

【請求項15】
イオン化しているイオン性官能基を有する高分子基材と、リン酸カルシウム焼結体の表面に存在するイオンとを反応させて、上記高分子基材の表面にリン酸カルシウム焼結体を直接化学結合させる反応工程を含むことを特徴とするリン酸カルシウム複合体の製造方法。

【請求項16】
イオン化しているイオン性官能基を有する高分子基材と、リン酸カルシウム焼結体の表面に存在するイオンとを反応させて、上記高分子基材の表面にリン酸カルシウム焼結体を直接化学結合させる反応工程を含み、
上記リン酸カルシウム焼結体が、上記リン酸カルシウム焼結体が、ハイドロキシアパタイト焼結体またはβ-トリリン酸カルシウムから構成されていることを特徴とするリン酸カルシウム複合体の製造方法

【請求項17】
上記反応工程は、リン酸カルシウム焼結体を分散させた分散液に、上記高分子基材を浸漬することにより行われる、請求項15または16に記載のリン酸カルシウム複合体の製造方法。

【請求項18】
上記イオン性官能基は、塩基性官能基であることを特徴とする請求項15~17のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム複合体の製造方法。

【請求項19】
上記官能基を有する高分子基材は、高分子基材と4-メタクリロキシエチルトリメルリテートアンハイドライドとを反応させてなるものであることを特徴とする請求項15~17のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム複合体の製造方法。

【請求項20】
上記反応工程の前に、高分子基材に官能基を導入する官能基導入工程と、
上記官能基をイオン化させるイオン化工程を含むことを特徴とする請求項15~19のいずれか1項に記載のリン酸カルシウム複合体の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ ナノと物性 領域
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