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多置換アセン誘導体及びその製造方法

国内特許コード P110003166
整理番号 A121P229
掲載日 2011年6月17日
出願番号 特願2003-133876
公開番号 特開2004-339063
登録番号 特許第4248926号
出願日 平成15年5月13日(2003.5.13)
公開日 平成16年12月2日(2004.12.2)
登録日 平成21年1月23日(2009.1.23)
発明者
  • 及川 一摩
  • 堀 順一
  • 高橋 保
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 関東化学株式会社
発明の名称 多置換アセン誘導体及びその製造方法
発明の概要 【課題】多置換ペンタセンをはじめとする多置換アセンを簡易、高収率かつ再現性良く製造する方法および新規な多置換アセンを提供する。
【解決手段】一般式(Ia )及び(Ib )で表される多置換アセン。



例えば






例えば、



(式中Prはn-プロピル基である)
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


ベンゼン環が直線状にオルト縮合したポリアセンは、通称一次元グラファイトと呼ばれ、理論的にはベンゼン環の数が増加するに従いHOMO-LUMOのエネルギーギャップが次第に小さくなる。すなわち、I2やBr2などの電子受容体をドーピングすることにより高い導電性を示すことが期待される。理想的一次元グラファイトとしてポリアセンが合成された報告はないが、フェノール樹脂を約500℃で熱分解すると類似構造のポリマーが得られることが報告されている。但し、このポリマーは均一性や溶解度に乏しく、機能性材料としての基本的特性を有するものではなかった。



市販のアセンとしては、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン及びその誘導体があり、導電性薄膜、偏光素子、リチウム二次電池などへの用途開発が行われている(特許文献1~3参照)。特にペンタセンは、有機発光ダイオード(OLED)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、太陽電池など、様々な電子デバイスへの応用が活発に検討されている(特許文献4参照)。一般にペンタセンは、コークス中から単離することによって得られるが、ベンゼン環の数が増加するに従い有機溶媒への溶解性が次第に乏しくなるため、機能性材料として使用する場合に成形性・加工性が問題となっていた。そこで有機合成的にペンタセンを始めとするアセン骨格へ置換基を導入し、アセンの化学的・物理的性質を制御する試みがなされてきた。



それらの一つに遷移金属錯体としてジルコノセンを用いた段階的環形成反応によりアセン骨格に置換基を導入する試みが報告されている(特許文献5および非特許文献1参照)。この反応により得られるヒドロアセンは芳香族化が施されていない故、さらに芳香族化反応を経て多置換アセンとする。この方法はアセンの溶解度を始めとする化学的・物理的性質を制御可能とした点で画期的であった。



多置換アセンを上記の段階的環形成反応にて製造する際、鍵となる反応は環形成後の脱水素化反応、すなわち芳香族化反応である。炭化水素縮合環の芳香族化反応としては、Pd/C、硫黄、セレン、トリチルカチオン、ルイス酸、キノン、アルキルリチウム(RLi)-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)などを用いる多くの方法が知られている(非特許文献2参照)。



しかしながら、従来の芳香族化反応は以下に示す問題点を有していた。Pd/Cでは200℃以上の高温が必要であり、硫黄ではその悪臭が問題となるうえに200℃以上の高温が必要である。さらにセレンは毒性が強いうえに、やはり300℃前後の高温を要する。強酸を用いるトリチルカチオンやAlCl3、SbCl5のようなルイス酸では、転位反応などの副反応が起こりやすい。クロラニルや2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(DDQ)などのキノンを用いた場合は、比較的穏やかな条件で芳香族化が進行するが、ディールスアルダー反応により副生成物が生成してしまうため、多置換アセンの収率は低かった(非特許文献3参照)。この場合とくに、空気中で不安定な多置換ペンタセンを再現性良く単離することができなかった。



RLi-TMEDAでは、アルキルリチウムと当量のテトラメチルエチレンジアミン存在下、対応するジアニオンを生成させた後、CdCl2、PbCl2, CuI2, CuBr2, HgCl2, ニッケル(II)アセチルアセトナートなどの金属塩、あるいはI2、Br2などの電子受容体、あるいはMeI、PrIなどのハロゲン化アルキルでジアニオンを処理することで芳香族化する方法が知られている。



この方法では、高温が不要、短時間の反応、副反応が少ないために好収率、後処理が簡単、などの優れた点を有しているが、有害なCdCl2などの金属塩の使用は環境保護の観点からは好ましくなく、又I2などでは効率が良くない。さらに、ハロゲン化アルキルは、多アルキル置換ジヒドロアントラセンの芳香族化に適しており、ハロゲン化アルキルのなかでも特にMeIを用いると定量的に多アルキル置換アントラセンが得られることが報告されているものの(非特許文献4参照)、多アルキル置換ジヒドロペンタセンや多アルキル置換ジヒドロヘプタセンに適用した例はない。
又、RLiと反応してしまうエステルのような官能基を含有する炭化水素縮合環の芳香族化には、上記のRLi-TMEDA法を適用できないという問題があった。



以上のように、従来では多置換アセン誘導体の製造方法として、n-ブチルリチウム(RLi)-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、ヨウ化メチル、DDQ、又はクロラニルなどを用いて多置換アセン誘導体を製造していた(特許文献6参照)。かかる製造方法では、依然として前記同様の問題点があった。特に、クロラニルにより多置換ペンタセンジカルボキシレートを製造すると、副生成物までも生成してしまい、目的物を単離することは困難であった。また、電子吸引性のエステル基を有する多置換ペンタセンは比較的安定であるため製造可能であったが、電子供与性のアルキル基で置換された多アルキル置換ペンタセンは、アセン骨格の電子密度が高くなることから非常に不安定であり、実質的に製造ができなかった。



【特許文献1】
特開平5-81921号公報
【特許文献2】
特開平8-220530号公報
【特許文献3】
特開平11-185809号公報
【特許文献4】
PCT/US00/33087
【特許文献5】
特開2000-26339号公報
【特許文献6】
WO01/64611 A1
【非特許文献1】
T. Takahashi et al., J. Am. Chem. Soc., 122, 12876, 2000
【非特許文献2】
Peter P. Fu et al., Chem. Rev., vol.78, 317-361, 1978
【非特許文献3】
T. Takahashi et al., J. Am. Chem. Soc., 122, 12876-12877, 2000
【非特許文献4】
M. Kitamura, et. al., Chem. Lett., 646, 2001

産業上の利用分野


本発明は、機能性材料として太陽電池や電子デバイスなどに応用が期待される多置換アセン誘導体及びその製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(Ic)及び(Id )
【化1】


式中、
、R、R、R、R、R及びR10は、各々互いに独立して同一又は異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のヘテロアリール基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のヘテロアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のチオアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~20のアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のヘテロアリールチオ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルコキシカルボニル基であり、
及びRは、各々互いに独立して同一又は異なっていてもよく、置換基を有してもよい炭素原子数120のアルキル基であり、
及びRはまた、置換基を有していてもよい炭素原子数4~20の炭化水素基が互いに架橋して置換基を有していてもよい1又は2以上の飽和環及び/又は不飽和環を形成してもよく、該飽和環又は不飽和環は、酸素原子、又は式-N(R11)-で示される基(式中、R11は、水素原子又は炭素原子数1~20の直鎖または分岐状のアルキル基である)で中断されていてもよく、
前記各置換基は、炭素原子数1~20のアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基であり、
mは1~5の整数であり、
nは1~5の整数であり、
m及びnが2以上のとき、式(Ic)中に複数個存在するR同士もしくはR同士は各々同じでも異なっていてもよく、式(Id)中に複数個存在するR同士もしくはR同士は各々同じでも異なっていてもよい、
で表される多置換アセンの製造方法であって、
一般式(IIa)及び(IIb)
【化2】


式中、
【外1】


は、単結合又は二重結合であり、二重結合の場合には(H)で表される水素原子は存在しなく、
~R10、m、nは、上記の意味を有する、
で表される炭化水素縮合環をアニオン化剤でアニオン化した後、水または重水で芳香族化することを含む、前記方法。

【請求項2】
~R10がアルキル基である、請求項に記載の方法。

【請求項3】
mおよび/またはnが1である、請求項1または2に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 分子複合系の構築と機能 領域
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