TOP > 国内特許検索 > 改良されたATPの増幅方法およびその利用

改良されたATPの増幅方法およびその利用 新技術説明会 実績あり

国内特許コード P110003191
整理番号 K053P68
掲載日 2011年6月17日
出願番号 特願2003-202992
公開番号 特開2005-046010
登録番号 特許第4431334号
出願日 平成15年7月29日(2003.7.29)
公開日 平成17年2月24日(2005.2.24)
登録日 平成21年12月25日(2009.12.25)
発明者
  • 黒田 章夫
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 改良されたATPの増幅方法およびその利用 新技術説明会 実績あり
発明の概要 【課題】1個の微生物の存在を検出し得る超高感度のアッセイ法を提供すること。
【解決手段】ATP、AMPおよびポリリン酸化合物を含有する混合物にADPを含まないポリリン酸キナーゼとアデニレートキナーゼとの融合タンパク質(PKK-ADK)を作用させるATPの増幅方法を用いて、外因性の極微量のATPが増幅、検出される。細胞1個のレベルのATPを増幅し、検出できる超高感度のATP増幅法およびこのATP増幅法に基づく超高感度微生物アッセイ法が提供される。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


迅速かつ高感度で微生物を検出する方法は、例えば、食中毒予防のための食品製造工場における微生物の検出などの環境微生物の制御、食品(例えば、ミルクなどの乳製品)における微生物の混入の検査など、食品業界、酪農業界などにおいて非常に重要である。従来の栄養培地を用いて生細胞を検出する方法においては、生存微生物をカウントするまでに数日を要する。



このような微生物の検出に、全ての生物に存在するATPを利用する方法が検討されている。ATPを検出する方法として、ホタルルシフェラーゼを用いる生物発光アッセイが知られている。この方法は、ATPを測定する確立された方法であり(非特許文献1参照)、迅速な衛生学的なモニタリングとして用いられている(非特許文献2)。さらに、最近ではバイオテロに対する対抗技術として、ATPアッセイが提案されている(非特許文献3)。



しかし、従来のATPのアッセイ法には検出限界(例えば、約10大腸菌コロニー形成単位(CFU)/アッセイ)がある。この感度では、工業的な応用には充分な感度とはいえない。



コンピューターシュミレーションでは、アデニレートキナーゼ(ADK)およびピルビン酸キナーゼ(PVK)を用いるATP増幅は、高感度の光度計を用いなくとも、非常に低いレベルのATPを検出し得る可能性があることが示唆されている(非特許文献4)。しかし、この方法は、実際に行われていない。



微量のATPをアッセイするために、ATPを増幅させる方法が提案されている(特許文献1)。この特許文献1に示される方法を図1で説明する。図1において、ADKはアデニレートキナーゼ(adenylate kinase)、polyPはポリリン酸(polyphosphate)、PPKはポリリン酸キナーゼ(polyphospate kinase)を意味する。以下、本明細書においても、この略号を使用するときがある。図1aは、ATPの非存在下では、理論的には、AMPとポリリン酸とからはATPが生成しないことを示している。図1bに示すように、ATPが存在すると、ADKによって、ATPからAMPへのリン酸基転移反応が起こり、2分子のADPが生成する(第1反応)。この第1反応で生じた2分子のADPは、PPKの作用により、ポリリン酸からリン酸基を受け取り、2分子のATPを生じる(第2反応)。この第2反応で生じた2分子のATPは、再度、第1反応に使用され、4分子のADPを生成し、この4分子のADPはPPKによって4分子のATPに変換される。



このように、特許文献1では、過剰のAMPとポリリン酸を存在させて、ADKとPPKの平衡状態をそれぞれ、ADP生成方向(第1反応)およびATP生成方向(第2反応)に向かわせるようにし、第1反応と第2反応を1つの反応系として、n回この反応系を繰り返すことにより、1個のATPが2個に増幅される。従って、この方法は、優れたATPの増幅方法である。



この特許文献1の方法は、従来のレベルよりも高い感度で、細胞の存在を検出し得る点では優れた方法であるが、この方法では、理論的には起こらないATP非存在下でのATPの増幅が、低いレベルであるが、時折見られることが判明し、外因性の(外部から添加した)ATPのみを増幅し、検出するという確実性に欠けるという問題がある。すなわち、細胞1個のレベルのATPを増幅し、検出し得るまでの感度を確実に提供できないという問題がある。さらに、ADKとPPKとの活性の調整などの問題もある。



【特許文献1】
特開2001-299390号公報
【非特許文献1】
デルカおよびマッケルロイ(DeLuca, M. and W. D. McElroy. )「Kinetics of the firefly luciferase catalyzed reactions」 Biochemistry 26巻、921-925頁(1974年)
【非特許文献2】
バウティスタ(Bautista, D. A.)ら、「Adenosine triphosphate bioluminescence as a method to determine microbial levels in scald and chill tanks at a poultry abattoir」 Poult. Sci. 73巻、1673-1678頁(1994年)
【非特許文献3】
スペンサーおよびライトフット(Spencer, R. C. and N. F. Lightfoot) 「Preparedness and response to bioterrorism」 J. Infect. 43巻104-110頁(2001年)
【非特許文献4】
チトック(Chittock, R. S.)ら、「Kinetic aspects of ATP amplification reactions」 Anal. Biochem 255巻、120-126頁(1998)
【非特許文献5】
アキヤマ(Akiyama, M.)ら、「The polyphosphate kinase gene of Escherichia coli. Isolation and sequence of the ppk gene and membrane location of the protein」 J. Biol. Chem. 267巻、22556-22561頁(1992年)
【非特許文献6】
ブルーン(Brune, M.)ら、「Cloning and sequencing of the adenylate kinase gene (adk) of Escherichia coli」 Nucleic Acids Res. 13巻、7139-7151頁(1985年)
【非特許文献7】
ニューハード J、およびY.ニガード(Neuhard, J., and Y. Nygaard) 「Purines and pyrimidines」 445-473頁、ネイドハルト(F. C. Neidhardt)ら編、 Escherichia coli and Salmonella typhimurium: cellular and molecular biology, ASM press, Washington, D. C. (1987年)
【非特許文献8】
ネイドハルト(F. C. Neidhardt) 「Chemical composition of Escherichia coli」 3-6頁、ネイドハルト(F. C. Neidhardt)ら編、 Escherichia coli and Salmonella typhimurium: cellular and molecular biology」 ASM press, Washington, D. C.(1987年)
【非特許文献9】
ベルト(Bert, F.)ら、「Multi-resistant Pseudomonas aeruginosa outbreak associated with contaminated tap water in a neurosurgery intensive care unit」 J. Hosp. Infect. 39巻、53-62頁(1998年)
【非特許文献10】
オルソン(Olsson, T.)ら、「Extraction and determination of adenosine 5'-triphosphate in bovine milk by the firefly luciferase assay. Biotech」 Appl. Biochem 8巻、361-369頁(1986)

産業上の利用分野


本発明は、ATPの増幅方法および該方法を用いて微生物の存在を迅速に検出する方法、並びのそのためのキットに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ATP、AMPおよびポリリン酸化合物を含有する混合物に、N末端側から順にポリリン酸キナーゼ-アデニレートキナーゼを有しかつADP除去処理が施された融合タンパク質を作用させる工程を含み、該ADP除去処理が、アピラーゼ処理およびピロリン酸処理を含む、ATPの増幅方法。

【請求項2】
ATP、AMPおよびポリリン酸化合物を含有する混合物に、N末端側から順にポリリン酸キナーゼ-アデニレートキナーゼを有しかつADP除去処理が施された融合タンパク質を作用させて、ATPを増幅する工程;および、該増幅したATPを検出する工程;を包含し、該ADP除去処理が、アピラーゼ処理およびピロリン酸処理を含む、ATPの検出方法。

【請求項3】
微生物の存在を迅速に検出する方法であって、
微生物含有試料を処理して、ATP含有試料を調製する工程;
該ATP含有試料をATP増幅系に添加してATPを増幅する工程;および、
該増幅したATPを検出する工程;を包含し、
該ATP増幅系がAMP、ポリリン酸化合物、およびN末端側から順にポリリン酸キナーゼ-アデニレートキナーゼを有しかつADP除去処理が施された融合タンパク質を含み、
該ADP除去処理が、アピラーゼ処理およびピロリン酸処理を含む、方法。

【請求項4】
微生物の存在を迅速に検出するためのキットであって、AMP、ポリリン酸化合物、およびN末端側から順にポリリン酸キナーゼ-アデニレートキナーゼを有しかつADP除去処理が施された融合タンパク質、を含有するATP増幅試薬と、ATPを検出するATP検出試薬とを包含し、該ADP除去処理が、アピラーゼ処理およびピロリン酸処理を含む、キット。

【請求項5】
さらに細胞溶解用試薬を備える、請求項4に記載のキット。

【請求項6】
N末端側から順にポリリン酸キナーゼ-アデニレートキナーゼを有しかつADP除去処理が施された融合タンパク質であって、該ADP除去処理が、アピラーゼ処理およびピロリン酸処理を含む、融合タンパク質。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 変換と制御 領域
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close