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アルカロイドアシル転移酵素をコードする遺伝子

国内特許コード P110003193
整理番号 A181P82
掲載日 2011年6月17日
出願番号 特願2003-204085
公開番号 特開2005-046022
登録番号 特許第4254949号
出願日 平成15年7月30日(2003.7.30)
公開日 平成17年2月24日(2005.2.24)
登録日 平成21年2月6日(2009.2.6)
発明者
  • 斉藤 和季
  • 岡田 岳人
  • 平井 優美
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
  • 国立大学法人 千葉大学
発明の名称 アルカロイドアシル転移酵素をコードする遺伝子
発明の概要

【課題】本発明は、アルカロイドの工業的な製造のために必須のアルカロイド合成酵素の遺伝子を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明は、マメ科ルピナス属植物のエステル型アルカロイドの生合成に関わる13α-ヒドロキシマルチフロリン/13α-ヒドロキシルパニン -チグロイル転移酵素(HMT/HLTase)をコードする遺伝子、当該遺伝子を含有してなるベクター、当該遺伝子で形質転換してなる形質転換細胞、及び当該形質転換細胞を培養して、13α-ヒドロキシマルチフロリン/13α-ヒドロキシルパニン -チグロイル転移酵素(HMT/HLTase)を製造する方法に関する。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要
アルカロイドは、天然に存在する含窒素二次代謝物の総称で、もともとは「アルカリ様物質」の意味として使用されていたものである。現在までに知られているアルカロイドは、約1万種類にものぼり、その大部分は高等植物が産生するものであるが、麦角菌が産生する麦角アルカロイド、動物の両生類の一部が産生するサンショウウオアルカロイドなどがある。自然界におけるアルカロイドの役割としては、一部については個体を防衛するための自己防御機構に作用するとされているが、多くの植物についてはアルカロイドの役割は不明のものが多い。多くの植物では、アルカロイドは根、皮、種子などに局在化しており、死細胞よりも生きた細胞の方が多量に含有している。また、その含有量は一般に時間と共に激しく変化し、合成の場と蓄積の場が必ずしも一致していない。
アルカロイドは、抽出母体となる植物の系統に基づいて、アヘンアルカロイド、トコンアルカロイドなどのように呼ばれることも多いが、化学構造に基づいてピリジン系アルカロイド、キノリン系アルカロイドなどのように呼ばれる。
このようなアルカロイドは、ヒトや動物に対して顕著な生理活性を示すものが多く、医薬品の有効成分として今日でも多数のものが使用されている。
【0003】
一般のアルカロイドは極めて特異的な化学構造を有するものが多く、また構造中に多数の光学活性炭素原子を有することから、工業的にこれを合成することは困難な場合が多く、現在でもその多くは植物から抽出して製造されている。植物体の中では、これらのアルカロイドは多数の酵素の反応により生合成されているが、現在においてもこれらの酵素の多くは未解明である。これらの酵素群の解明ができれば、アンモニアや、オルニチン、トリプトファン、アントラニル酸などのアミノ酸を原料として各種のアルカロイドを工業的な規模で製造することが可能となる。しかし、これらの酵素は植物の特定の時期に、特定の器官に極微量しか存在しておらず、これを単離し同定することは極めて困難なことである。そして、当該酵素をコードする遺伝子を見出すことも、通常のクローニングには無い多くの困難性を伴い、今日に至ってもこれらの酵素の単離・同定のみならず、遺伝子のクローニングもほとんどなされていないのが現状である。
【0004】
本発明は、このようなアルカロイドの生合成酵素の1種に関するものである。
ルピン系アルカロイド(キノリチジンアルカロイド)は分子内にキノリチジン環を有する一群の植物アルカロイドであり、マメ科植物に豊富に存在する。一般に、この群のアルカロイドは鎮痛作用や血糖降下作用を始めとする動物に対する多様な薬理作用のほか、昆虫や線虫に対する忌避作用や他の植物の発芽を抑制するアレロパシー作用を有することも知られている。
ルピン系アルカロイドに関する研究は、1890年代の長井長義らによるマトリンの単離に端を発する。これらアルカロイドについてその単離や構造解析・合成、そして、トレーサーを使った生合成研究が古くから行われてきた。一方で、詳細な生合成反応のメカニズムや制御に関する生化学的・分子生物学的研究は少ない。特に、その生合成の各段階を触媒する酵素をコードする遺伝子はこれまで単離されていなかった。
【0005】
本発明者らは、ルピン系アルカロイド生合成に関わる遺伝子を単離することを目的とした研究を行い、マメ科ルピナス属植物よりエステル型アルカロイドの生合成に関わる13α-ヒドロキシマルチフロリン/13α-ヒドロキシルパニン-チグロイル転移酵素(以下、HMT/HLTaseという。)を単離してきた(非特許文献1参照)。HMT/HLTaseは次式、
【0006】
【化1】
【0007】
で表される反応における酵素である。(-)-13α-ヒドロキシマルチフロリンの13位の水酸基をチグロイル基でエステル化し、また同様に(+)-13α-ヒドロキシルパニンの13位の水酸基をチグロイル基でエステル化する酵素である。この酵素の基質となる(-)-13α-ヒドロキシマルチフロリン及び(+)-13α-ヒドロキシルパニンは、いずれも四環性のキノリジジン環の7位及び9位の炭素原子の立体配置が(7S,9S)のものである。その対掌体である(7R,9R)体に対してはこの酵素は活性を持っていない。
【0008】
本発明者らは、1994年にこの酵素を単離した。得られた酵素は、分子量が約50kDaで、等電点が7.8と7.6の2種の異性体から成っていた(非特許文献1参照)。得られた酵素についてN末端のアミノ酸配列を知るためにエドマン分解を試みたが、この酵素は通常のエドマン分解をすることができなかった。また、他の方法でアミノ酸配列の一部を知ろうと努力したが、得られた酵素の量も極微量であり、アミノ酸配列の一部も知ることができなかった。そこで本発明者らは、マメ科植物のLupinus termis(以下、L. termisともいう。)よりHMT/HLTaseの精製を改めて行った。非特許文献1に記載の方法では極微量のHMT/HLTaseしか得ることができないので、新たな精製方法を開発してきたが、この方法では、HMT/HLTase活性のある画分には、SDS-PAGE分析により30kDaと25kDaのバンドが検出され、約50kDaのシングルバンドのものを得ることが困難であった。
【0009】
【非特許文献1】
Suzuki, H., Murakoshi, I. and Saito, K. (1994) J. Biol. Chem., 269, 15853-15860
産業上の利用分野
本発明は、アルカロイドの生合成酵素をコードする遺伝子に関する。より詳細には、本発明は、マメ科ルピナス属植物のエステル型アルカロイドの生合成に関わる13α-ヒドロキシマルチフロリン/13α-ヒドロキシルパニン -チグロイル転移酵素(以下、HMT/HLTaseという。)をコードする遺伝子に関する。また、本発明は、当該遺伝子を含有してなるベクター、それを用いて形質転換された形質転換細胞、それを用いてHMT/HLTaseを製造する方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 配列表の配列番号2の2~228番目のアミノ酸で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項2】 配列表の配列番号2の229~453番目のアミノ酸で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
【請求項3】 配列表の配列番号1の16~696番目の塩基で表される塩基配列からなるDNA。
【請求項4】 配列表の配列番号1の697~1371番目の塩基で表される塩基配列からなるDNA。
【請求項5】 請求項3又は4に記載のDNA含有してなるベクター。
【請求項6】 請求項に記載の組換えベクターを含む形質転換細胞。
【請求項7】 請求項3に記載のDNAを含有してなるベクター及び請求項4に記載のDNAを含有してなるベクターを含む形質転換細胞を培養して、13α-ヒドロキシマルチフロリン/13α-ヒドロキシルパニン O-チグロイル転移酵素(HMT/HLTase)を製造する方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 植物の機能と制御 領域
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