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分別マーカーを用いた間葉系幹細胞の識別・分離方法

国内特許コード P110003195
整理番号 V320P004
掲載日 2011年6月17日
出願番号 特願2003-271649
公開番号 特開2005-027579
登録番号 特許第4540948号
出願日 平成15年7月7日(2003.7.7)
公開日 平成17年2月3日(2005.2.3)
登録日 平成22年7月2日(2010.7.2)
発明者
  • 加藤 幸夫
  • 辻 紘一郎
  • 原 真依子
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
  • 加藤 幸夫
  • 株式会社ツーセル
発明の名称 分別マーカーを用いた間葉系幹細胞の識別・分離方法
発明の概要

【課題】 形態的に類似しており、その区別が困難な間葉系幹細胞と繊維芽細胞とを、遺伝子マーカー及び/又はタンパク質マーカーを用いて効果的に識別し、分離する方法を提供すること。
【解決手段】 該ビタミンD受容体の遺伝子又はそのタンパク質、或いは、オステオカルシン及びオステオポンチンの遺伝子のようなビタミンD受容体関連遺伝子又はそのタンパク質を間葉系幹細胞と繊維芽細胞との分別マーカーとして用い、被検細胞における該遺伝子及びタンパク質の発現を検出することにより、間葉系幹細胞と繊維芽細胞との識別・分離を行う。また、ビタミンD受容体の標的遺伝子が、1,25水酸化ビタミンDのような遺伝子の発現活性化物質の添加により、間葉系幹細胞中において、その発現が亢進されることから、該亢進した遺伝子の発現を検出することにより、効果的に間葉系幹細胞の識別・分離を行う。

従来技術、競合技術の概要


間葉系幹細胞は、哺乳類の骨髄等に存在し、脂肪細胞、軟骨細胞、骨細胞に分化する多能性の幹細胞として知られている。間葉系幹細胞は、その分化多能性の故に、骨、軟骨、腱、筋肉、脂肪、歯周組織など、多くの組織の再生医療のための移植材料として注目されている(遺伝子医学、Vol.4、No.2(2000)p58-61)。最近、間葉系幹細胞研究の現状と展望についての総説が発行され、間葉系幹細胞の採取や培養に関する報告がなされている(実験医学、Vol.19、No.3(2月号)2001、p350-356)。更に、脂肪組織にも間葉系幹細胞が存在することが報告された(Tissue Engineering, P.A. Zuk et al., Multilineage cells from human adipose tissue : implications for cell-based therapies. 7 : 211-228, 2001)。



近年、間葉系幹細胞の培養、分化等に関しいくつかの特許出願が公開されている。例えば、特表平11-506610号公報には、無血清環境下でヒト間葉前駆細胞の生存を維持する組成物及び方法について、特表平10-512756号公報には、間葉系幹細胞の分化を誘導するために、プロスタグランジン、アスコルビン酸、コラーゲン細胞外基質等からなる骨誘導因子、分化付随因子、軟骨誘導因子等の生物活性因子と接触させることよりなる方法について、特開2000-217576号公報には、プロラクチン又はその同効物の共存下で多能性間葉系幹細胞を培養し、間葉系幹細胞を脂肪細胞へ分化させる方法について、それぞれ発明が開示されている。



本発明者は、先に、基底膜細胞外基質の存在下において、または繊維芽細胞増殖因子(FGF)等の含有培地で間葉系幹細胞を培養することによって、間葉系幹細胞が著しく速く増殖させ、かつ、その分化能を維持できることを見い出して、従来の培養方法と比較して顕著に多くの間葉系幹細胞を得る培養方法を開示した(特開2003-52360号公報)。また、間葉系幹細胞の採取に際して、採取母体に安全で、且つ採取が容易な分離採取を行うために、口腔組織から間葉系幹細胞を分離採取する方法を開示した(特開2003-52365号公報)。



近年、再生医療の進展とともに、間葉系幹細胞は、その分化多能性の故に、骨、軟骨、腱、筋肉、脂肪、歯周組織など、多くの組織の再生医療のための移植材料として注目されている。間葉系幹細胞を、組織の再生医療に利用するためには、まず、この幹細胞を生体組織から採取し、それを増殖し、更にそれを分化増殖して、組織の調製を行うことが必要となる。間葉系幹細胞は骨髄や骨膜に存在するが、組織再生医療への実用化のためには、まず、これらの組織から間葉系幹細胞を安全且つ容易に採取する方法を開発することが必要である。そして、間葉系幹細胞を組織再生医療へと実用化するためには、間葉系幹細胞を十分な量確保する技術を開発することが必要である。そのためには、採取した間葉系幹細胞を分化能力を維持したまま培養増殖させる技術を開発することが重要である。



本発明者は、上記の通り、間葉系幹細胞の採取に際して、採取母体に安全で、且つ採取が容易な分離採取を行うための方法を開発した。更に本発明者は、基底膜細胞外基質の存在下において、あるいは繊維芽細胞増殖因子(FGF)等の含有培地で間葉系幹細胞を培養することによって、間葉系幹細胞をその分化能を維持したまま爆発的に増殖させる方法を開発した。しかしながら、培養増殖した間葉系幹細胞を再生医療へと実用化するためには、培養した細胞が間葉系幹細胞であることを確認する必要があり、該間葉系幹細胞を検出、識別する方法を開発することが必要である。従来、間葉系幹細胞において、該細胞を特徴づけるマーカー遺伝子の特定はなされてきていなかった。したがって、間葉系幹細胞を特徴づけるマーカー遺伝子を特定し、間葉系幹細胞を検出、分離・識別する方法を開発することは、間葉系幹細胞を再生医療へと実用化するために、解決されなければならない重要な課題である。

【特許文献1】特表平10-512756号公報。

【特許文献2】特表平11-506610号公報。

【特許文献3】特開2000-217576号公報。

【特許文献4】特開2003-52360号公報。

【特許文献5】特開2003-52365号公報。

【非特許文献1】遺伝子医学 Vol.4、No.2(2000)p58-61。

【非特許文献2】実験医学 Vol.19、No.3(2月号)2001、p350-356。

【非特許文献3】Tissue Engineering, P.A. Zuk et al., Multilineage cells from human adi pose tissue : implications for cell-based therapies. 7 : 211-228, 2001 。

産業上の利用分野


本発明は、間葉系幹細胞の検出、識別・分離に関し、特に、間葉系幹細胞と繊維芽細胞とでその発現が異なる、間葉系幹細胞検出用遺伝子マーカー及び/又は間葉系幹細胞検出用タンパク質マーカーを用いた間葉系幹細胞の識別・分離方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ビタミンD受容体遺伝子の標的遺伝子であるオステオカルシンの遺伝子或いはオステオポンチンの遺伝子を分別マーカーとし、間葉系幹細胞及び繊維芽細胞において、遺伝子の発現活性化物質である1,25水酸化ビタミンDを添加して活性化した遺伝子の発現及び/又は該活性化した遺伝子がコードするタンパク質を検出することにより、該遺伝子の間葉系幹細胞と繊維芽細胞とにおける発現の差を検出して、間葉系幹細胞と繊維芽細胞とを識別することを特徴とする間葉系幹細胞の繊維芽細胞からの識別方法

【請求項2】
分別マーカー遺伝子の検出が、定量的又は半定量的PCRの使用を含んでいることを特徴とする請求項1記載の間葉系幹細胞の繊維芽細胞からの識別方法

【請求項3】
定量的又は半定量的PCRの使用が、RT-PCR法であることを特徴とする請求項2記載の間葉系幹細胞の繊維芽細胞からの識別方法

【請求項4】
分別マーカー遺伝子の検出が、該遺伝子の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNA配列からなる遺伝子検出用プローブを用いて行われることを特徴とする請求項1記載の間葉系幹細胞の繊維芽細胞からの識別方法

【請求項5】
遺伝子検出用プローブが、該遺伝子の塩基配列のアンチセンス鎖の全部又は一部からなる請求項4記載の間葉系幹細胞の繊維芽細胞からの識別方法

【請求項6】
分別マーカー遺伝子がコードするタンパク質の検出が、該タンパク質によって誘導され、該タンパク質に特異的に結合する抗体を用いて行われることを特徴とする請求項1記載の間葉系幹細胞の繊維芽細胞からの識別方法

【請求項7】
抗体が、モノクロナール抗体であることを特徴とする請求項6記載の間葉系幹細胞の繊維芽細胞からの識別方法

【請求項8】
被検細胞中における間葉系幹細胞を、分別マーカー遺伝子がコードするタンパク質に特異的に結合する抗体を用いた蛍光抗体法により標識化し、該標識化した間葉系幹細胞を分離・識別することを特徴とする請求項6又は7記載の間葉系幹細胞の繊維芽細胞からの識別方法

【請求項9】
ビタミンD受容体遺伝子の標的遺伝子であるオステオカルシンの遺伝子或いはオステオポンチン遺伝子からなる分別マーカー遺伝子検出用のプローブ、及び分別マーカー遺伝子の発現活性化物質である1,25水酸化ビタミンDを装備するか、及び/又は、ビタミンD受容体遺伝子の標的遺伝子であるオステオカルシンの遺伝子或いはオステオポンチンの遺伝子がコードするタンパク質検出用の抗体、及び分別マーカー遺伝子の発現活性化物質である1,25水酸化ビタミンDを装備してなる間葉系幹細胞の繊維芽細胞からの識別用キット
産業区分
  • 微生物工業
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
出願権利状態 権利存続中
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