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2次元フォトニック結晶分合波器

国内特許コード P110003210
整理番号 A111P87
掲載日 2011年6月17日
出願番号 特願2003-307654
公開番号 特開2005-077709
登録番号 特許第3763826号
出願日 平成15年8月29日(2003.8.29)
公開日 平成17年3月24日(2005.3.24)
登録日 平成18年1月27日(2006.1.27)
発明者
  • 野田 進
  • 浅野 卓
  • 赤羽 良啓
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 住友電気工業株式会社
発明の名称 2次元フォトニック結晶分合波器
発明の概要 【課題】 波長の誤差による効率の低下や他の波長とのクロストークを防ぐことができる分合波器を提供する。
【解決手段】 空孔22を周期的に配置して成る2次元フォトニック結晶に入力導波路23と出力導波路24を設け、両導波路の間に空孔22を欠損させた2個の点状欠陥25及び26を設ける。2個の点状欠陥は、その形状により定まる共振波長の光を、様々な波長の光が伝播する入力導波路23から分波して出力導波路24に導入する。分波される光の波長スペクトルは、点状欠陥を1個のみとした場合と比較すると、共振波長付近では大きくなり、共振波長から離れた波長域では小さくなる。そのため、導波路の光の波長と共振波長とが誤差によりずれても、共振波長付近の波長スペクトルが大きいために、導波路内の目的波長の光を多く分波することができる。また、共振波長から離れた波長域のノイズや、隣接するチャネルの波長の光が分波されることが抑制される。
【選択図】 図5
従来技術、競合技術の概要


近年、波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing : WDM)伝送システムの技術が進展している。このWDMは、一本の伝送路に複数の波長(周波数)の光(本明細書において用いる「光」には、電磁波を含むものとする。)を伝播させ、それぞれに別個の信号を乗せて情報伝送するものである。伝送路の入口側で各波長の光を混合し、混合された光を出口側で各波長ごとに取り出すために、光の合波器及び分波器、あるいは波長フィルタが必要となる。従来、分波器には例えばアレイ導波路回折格子が用いられているが、この分波器では、光の損失を小さくするために、現状では数cm角程度の比較的大きな素子が用いられている。



それに対して、伝送システムの大容量化及び装置の小型化のために、フォトニック結晶を用いた分波器、合波器や波長フィルタの開発が行われている。フォトニック結晶とは周期屈折率分布をもった機能材料であり、光のエネルギーに対してバンド構造を形成する。特に、光の伝播が不可能となるエネルギー領域(フォトニックバンドギャップ)が形成されることが特徴である。フォトニック結晶中の屈折率分布に適切な欠陥を導入することにより、フォトニックバンドギャップ中にこの欠陥によるエネルギー準位(欠陥準位)が形成される。これにより、フォトニックバンドギャップ中のエネルギーに対応する波長範囲のうち、欠陥準位のエネルギーに対応する波長の光のみが存在可能になる。結晶中の前記欠陥を線状にすることにより導波路となり、結晶中の欠陥を点状にすることにより共振器となる。この点状欠陥において共振する光の波長(共振波長)は、その形状により異なる。



非特許文献1には、屈折率の高い材料から成る無限長の円柱体を正方格子状に配列したフォトニック結晶についてコンピュータシミュレーションを行った結果が記載されている。この構成では、正方格子に平行な面内ではフォトニックバンドギャップによる光の制御を行うことができるが、この面に垂直な方向には光の制御を行うことができない。従って、このような構成のフォトニック結晶は実用的ではない。



特許文献1には、板状の本体に、本体とは屈折率が異なる領域(以下、「異屈折率領域」とする)を周期的に配列することによって周期屈折率分布を設けたフォトニック結晶が記載されている。このような構成では、本体の面内ではフォトニックバンドギャップが形成され、更に、本体に垂直な方向では本体と周囲の空気との屈折率の差により光が本体内に閉じこめられるため、本体内の光を制御することができる。また、異屈折率領域を線状に欠損させることによって導波路が形成され([0025]、図1)、点状に欠損させることにより点状欠陥が形成される([0029]、図1)。特許文献1では実施例として、円柱孔から成る異屈折率領域を三角格子状に周期的に配列し、導波路近傍の1個の円柱孔の径を大きくして1個の点状欠陥を形成した2次元フォトニック結晶が開示されている。



【非特許文献1】
ファン他, フィジカル レビュー レターズ, (米国), アメリカ物理学会, 1998年, 第80巻, 960~963ページ(S. Fan et al., "Channel Drop Tunneling through Localized States", Physical Review Letters, (US), American Physical Society, 1998, vol. 80, pp. 960-963)
【特許文献1】
特開2001-272555号公報([0025]、[0029]、図1)



このような2次元フォトニック結晶は、導波路を伝播する、複数の波長が重畳した光のうち、点状欠陥の共振波長を有する光が点状欠陥を介して結晶外部に分波される分波器として機能する。また、点状欠陥の共振波長を有する光が結晶外部から、導波路を伝播する重畳光へ合波される合波器としても機能する。このように、同じ2次元フォトニック結晶が分波器及び合波器として機能するため、本明細書では、このような2次元フォトニック結晶を「分合波器」と呼ぶ。更に、形状の異なる複数の点状欠陥を導波路近傍に設けた2次元フォトニック結晶は、各点状欠陥がそれぞれ波長の異なる光を分合波する分合波器となる。複数の波長の光にそれぞれ別個の信号を乗せることにより、分波器を用いて伝送路(導波路)から所定の信号を取り出したり、合波器により所定の信号を伝送路に導入したりすることができる。



このような分合波器では、点状欠陥はその共振波長λ0を有する光のみならず、共振波長λ0を中心としてある波長幅に含まれる光も一定の割合で分合波する。上記従来の2次元フォトニック結晶分合波器では、分合波スペクトルは図1に示すような、共振波長λ0を中心とするローレンツ関数形となる。ローレンツ関数形の場合には、分合波スペクトルのピークが鋭く、共振波長λ0近くではλ0から離れるにつれて急激に分合波スペクトルの値が小さくなると共に、λ0から離れるにつれて長い裾を引く分布を示す。このようなローレンツ関数形の分合波スペクトルを有する場合、分合波に関して以下の2つの改善すべき課題がある。



第1の課題は、分合波スペクトルのピークが鋭いことに起因するものである。装置の経年劣化や温度変化等により、導波路を伝播する光の波長に誤差が生じ、或いは分合波器の共振波長にも誤差が生じる。そのため、点状欠陥の共振波長(分合波スペクトルのピークトップの波長)λ0と導波路を伝播する光の波長λ1との間に誤差δλが生じる。この誤差がわずかであっても、図1に示すように、λ1における分合波スペクトルの値がλ0における値よりも大幅に減少する。このことは分合波スペクトルがローレンツ関数形の場合には、わずかな波長のずれが分合波の効率を低下させることを意味する。



第2の課題は、分合波スペクトルの長い裾に起因するものである。このような裾を有することにより、λ0から離れた波長を有する不所望の光が混入し、ノイズの原因となる。更に、この裾が隣接するチャネルの信号波長に重なり、2つの信号が混信(クロストーク)する原因となる。

産業上の利用分野


本発明は、波長分割多重通信等に用いられる2次元フォトニック結晶分合波器に関する。特に、その分合波の特性を改善する技術に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
a)スラブ状の本体と、
b)前記本体内に所定の周期で格子状に配置された複数の、本体とは屈折率の異なる領域と、
c)前記本体に設けた、前記異屈折率領域の欠陥を線状に設けた導波路から成る第1光導出入部と、
d)前記本体に設けた第2光導出入部と、
e)前記異屈折率領域の欠陥を点状に設けて成り、略同一の共振波長を有する点状欠陥共振器であって、第1光導出入部と第2光導出入部との間に2個、直列に配置した点状欠陥共振器と、
を備え、
点状欠陥共振器の共振周波数ω0、点状欠陥共振器と第1及び第2光導出入部の間のQ値であるQin、及び点状欠陥共振器と結晶外部の間のQ値であるQvにより求められる値[(ω0/2)×(1/Qin+1/Qv)]2と2個の点状欠陥共振器の間の相互結合係数μの2乗との比で定義される結合比μ2/[(ω0/2)×(1/Qin+1/Qv)]2が0.2~10である、
ことを特徴とする2次元フォトニック結晶分合波器。

【請求項2】
第2光導出入部は、結晶外部との間のQ値が前記点状欠陥共振器のQ値よりも小さい点状欠陥であることを特徴とする請求項1に記載の2次元フォトニック結晶分合波器。

【請求項3】
前記点状欠陥共振器のうちの少なくとも1個は前記異屈折率領域を欠損させることにより形成されるドナー型欠陥であることを特徴とする請求項2に記載の2次元フォトニック結晶分合波器。

【請求項4】
第2光導出入部が前記異屈折率領域の欠陥を線状に設けた導波路であることを特徴とする請求項1に記載の2次元フォトニック結晶分合波器。

【請求項5】
第2光導出入部に前記共振波長の光を反射する第2反射部を設けたことを特徴とする請求項4に記載の2次元フォトニック結晶分合波器。

【請求項6】
第1光導出入部に前記共振波長の光を反射する第1反射部を設けたことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の2次元フォトニック結晶分合波器。

【請求項7】
前記本体は前記異屈折率領域の周期の異なる複数の禁制帯領域から成り、第1光導出入部又は第2光導出入部は該複数の禁制帯領域を通過し、前記共振波長は前記点状欠陥共振器の属する禁制帯領域では第1光導出入部又は第2光導出入部の導波路透過波長帯に含まれ、他の禁制帯領域で該導波路透過波長帯に含まれないことを特徴とする請求項5又は6に記載の2次元フォトニック結晶分合波器。

【請求項8】
個の点状欠陥共振器及び前記2個の光導出入部が点対称に配置されていることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の2次元フォトニック結晶分合波器。

【請求項9】
前記点状欠陥共振器の近傍の異屈折率領域を前記配置周期により定められる位置から変位させたことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の2次元フォトニック結晶分合波器。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 電子・光子等の機能制御 領域
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