TOP > 国内特許検索 > 高臨界電流超電導素子

高臨界電流超電導素子

国内特許コード P110003212
整理番号 N072P10
掲載日 2011年6月17日
出願番号 特願2003-308019
公開番号 特開2005-079350
登録番号 特許第4571789号
出願日 平成15年8月29日(2003.8.29)
公開日 平成17年3月24日(2005.3.24)
登録日 平成22年8月20日(2010.8.20)
発明者
  • 向田 昌志
  • 松本 要
  • 吉田 隆
  • 一瀬 中
  • 堀井 滋
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 財団法人電力中央研究所
発明の名称 高臨界電流超電導素子
発明の概要 【課題】 基板上の超電導膜中に電気の流れる方向に沿って連続し、かつ該膜表面に垂直な界面(結晶粒界面)を存在させた酸化物超電導体膜からなる高臨界電流超電導素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の高臨界電流超電導素子は、単結晶のab-面内が電流の流れる方向である酸化物超電導体の基板上の薄膜であって、該薄膜が前記基板面に垂直にc-軸配向した単結晶膜からなる複数のc-軸配向領域と、前記薄膜が前記c-軸配向領域の電流の流れる方向に垂直にc-軸配向した単結晶膜からなる複数のc-軸面内配列領域とを有し、該c-軸面内配列領域が前記c-軸配向領域に隣接し、かつ両領域の界面が電流の流れる方向に沿って延びていることを特徴とし、前記電流の流れる方向が、c-軸配向領域およびc-軸面内配列領域共にそれらを形成する単結晶膜のb-軸方向であり、かつ平行している。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


超電導体に下部臨界磁場Hcl以上の磁場がかかると量子化磁束が形成され(φ=2.07×10-15Wb)超電導体中に侵入し、この状態で電流を流すと量子化磁束にローレンツ力が働き、これらが動き出すと電圧発生して超電導状態が壊れることが知られている。



超電導体、たとえば酸化物高温超電導体YBaCu(以下「YBCO」と記す)からなる超電導膜中の欠陥、たとえば酸素欠損、微細な不純物などの点状欠陥、転位などの線状欠陥、結晶粒界などの面状欠陥は、前記量子化磁束の移動を制限するピン止めセンターとして作用することが知られており、YBCO膜では前記結晶欠陥が膜面に垂直に、すなわち、YBCO結晶のc-軸に平行に入っているとき、磁場が膜面に垂直に印加された場合に臨界電流密度Jが向上する。



YBCO成膜時の成膜条件を種々変えることにより自然に導入される転位の単位面積当りの密度が10/μm~100/μmであったこと、膜が基板上で成長する過程で微細析出物が存在すると、そこで膜成長の連続性が崩れ、結晶欠陥、転位、結晶粒界などが生じること、およびYBCO膜の臨界電流密度Jが膜中の転位密度とともに増大することが報告されている(非特許文献1参照)。このことは転位が量子化磁束のピン止めセンターとして作用することを教示するが、成膜時に成膜条件を変えるだけで自然に導入される転位の密度を制御することは極めて困難である。



一方、結晶粒界はピン止めセンターとしても作用するが、超電導電流の障壁としても作用することが知られている。YBCOなどの高温超電導膜では傾角の大きな結晶粒界におけるJは大変小さいが、傾角の小さな結晶粒界では大きなJが維持されるので小傾角粒界は転位列とみなすことができる。転位は絶縁体であるので、転位の間隔が大きい小傾角粒界では転位間に強い超電導部分が存在し電流が流れるが、結晶粒界の傾角が大きくなって転位の歪みが重なりだすと電流が流れ難くなる。これらの結晶粒界面が超電導膜の膜面に垂直であれば、極めて有効なピン止めセンターになる。しかしながら、一般には結晶粒界はランダムに存在するため結晶粒界の傾角を制御することによってJを制御するのは極めて難しい。



超電導バルクマグネットでは、YBCOに高融点材料であるYBaCuOを微細に粉砕して混合し、YBCO中にピン止めセンターを導入している(非特許文献2参照)。一方、YBCO膜の場合、膜内の一部のみの組成が異なり、他の部分は超電導YBCO組成であるY:Ba:Cu比率を1:2:3に維持することは極めて困難である。たとえば、膜内の一部に高融点材料であるYBaCuOを導入するように、成膜材料の組成を超電導YBCO組成からずらすと、膜全体の組成が膜内の一部にYBaCuOが導入されることはなく、膜全体の組成が超電導YBCO組成からずれてしまい超電導特性が劣化する。



【非特許文献1】
「YBa3Cu3Ox中の結晶欠陥と臨界電流(Crystal Defects and ciritical currents in YBa3Cu3Ox)」(ディー シ(D. Shi)等,超電導科学技術(Supercond. Sci. Technol.), Vol. 3, No. 9, p. 457-463, (1990))
【非特許文献2】
「溶融調製されたYbBa2Cu3O7―d中の細かく分散されたYb2BaCuO5包含物のピニング特性(Pinning properties in melt-processed YbBa2Cu3O7-d with finely dispersed Yb2BaCu3O5 inclusion)」(持田 等,物理化学(Physica. C.),Vol. 366, No. 4, p. 229-237, (2002))

産業上の利用分野


本発明は、高臨界電流超電導素子に係り、さらに詳しくは、基板上に結晶の配向方向が異なるが同一の組成を有する酸化物超電導体の単結晶膜からなる少なくとも2つの領域を並列して形成した高臨界電流超電導素子およびその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
単結晶のab-面内が電流の流れる方向である酸化物超電導体の基板上の薄膜であって、該薄膜が前記基板面に垂直にc-軸配向した単結晶膜からなる複数のc-軸配向領域と、前記薄膜が前記c-軸配向領域の電流の流れる方向に垂直にc-軸配向した単結晶膜からなる複数のc-軸面内配列領域とを有し、該c-軸面内配列領域が前記c-軸配向領域に隣接し、かつ両領域の界面が、前記薄膜表面に対して垂直であり、電流の流れる方向に沿って延びていることを特徴とする高臨界電流超電導素子。

【請求項2】
前記電流の流れる方向が、c-軸配向領域およびc-軸面内配列領域共にそれらを形成する単結晶膜のb-軸方向であり、かつ平行している請求項1に記載の高臨界電流超電導素子。

【請求項3】
酸化物超電導体が、化学式(1)
LnBaCu・・・・・・・(1)
(式中、LnはY元素またはランタニド元素から選択される1種または2種以上の元素を表し、6.5<x<7.1である)で表される銅酸化物系高温超電導体である請求項1に記載の高臨界電流超電導素子。

【請求項4】
前記基板が、前記酸化物超電導体結晶のc-軸が基板面に垂直に配向した酸化物超電導体単結晶膜が選択的に形成される第1の表面特性を有する領域と、前記c-軸が基板面に平行に配向した酸化物超電導体膜が選択的に形成される第2の表面特性を有する領域とを表面に並列して存在させた基板である請求項1に記載の高臨界電流超電導素子。

【請求項5】
前記基板の第1の表面特性を有する領域が、前記酸化物超電導体結晶のb-軸長またはa-軸長と格子整合性のあるb-軸長またはa-軸長と、該b-軸長またはa-軸長の3倍かつ前記酸化物超電導体結晶のc-軸長よりも大きなc-軸長とを有する単結晶の該当面であり、前記第2の表面特性を有する領域が、前記酸化物超電導体結晶のc-軸長と格子整合性を有する軸とa-またはb-軸長のいずれかと格子整合性を有する軸とを有する単結晶の該当面である請求項1または4に記載の高臨界電流超電導素子。

【請求項6】
前記第1の表面特性を有する単結晶表面が、KNiF型単結晶の(100)面であり、前記第2の表面特性を有するLnCuO単結晶(式中、Lnは前記定義した通りの意味を表す)の(100)面である請求項1、4または5のいずれかに記載の高臨界電流超電導素子。

【請求項7】
前記基板がKNiF型単結晶基板または単結晶基板上にKNiF型単結晶層を積層した複合基板の前記第1の表面特性を有する面上に、前記第2の表面特性を有する単結晶からなる中間層を積層した基板である請求項1、4、5または6のいずれかに記載の高臨界電流超電導素子。

【請求項8】
前記c-軸配向領域が前記基板の第1の表面特性を有する領域上の単結晶膜であり、前記c-軸面内配列領域が前記基板の第2の表面特性を有する領域上の単結晶膜である請求項1ないし7のいずれかに記載の高臨界電流超電導素子。

【請求項9】
単結晶のab-面内が電流の流れる方向である酸化物超電導体の単結晶のb-軸長および/またはa-軸長と格子整合性がありc-軸長と格子整合性のない第1の表面特性を有する単結晶基板上に、前記酸化物超電導体単結晶のc-軸長またはc-軸長およびb-軸長と格子整合性がありa-軸長と格子整合性のない、もしくはc-軸長またはc-軸長およびa-軸長と格子整合性がありb-軸長と格子整合性のない第2の表面特性を有する単結晶膜からなる複数の中間層を、前記単結晶基板のb-軸またはa-軸方向に沿って配列する工程、
および
前記基板表面上および前記中間層表面上に前記酸化物超電導体をエピタキシャル成長させる工程、
を含み、
前記基板表面上の前記酸化物超電導体はc-軸配向領域を有し、前記中間層表面上の前記酸化物超電導体はc-軸面内配列領域を有し、
前記c-軸配向領域は、前記基板表面に対して垂直にc-軸配向した単結晶膜からなり、前記c-軸面内配列領域は、当該領域と前記c-軸配向領域との界面に対して垂直にc-軸配向し、かつ前記中間層面に対して垂直にa-軸またはb-軸が配向した単結晶膜からなることを特徴とする高臨界電流超電導素子の製造方法。

【請求項10】
前記基板上に中間層を配列する工程が、前記基板上の全面に前記中間層を構成する単結晶膜を真空蒸着法によりエピタキシャル成長させる工程、得られた単結晶膜の全面にエッチングレジストを付与し、リソグラフィによりc-軸配向領域を形成する部分のエッチングレジストを除去する工程、およびc-軸配向領域を形成する部分の前記単結晶膜をエッチングして除去する工程を含む請求項9に記載の高臨界電流超電導素子の製造方法。

【請求項11】
前記酸化物超電導体のエピタキシャル成長工程が、真空蒸着法または塗布法である請求項9に記載の高臨界電流超電導素子の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2003308019thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST エネルギーの高度利用に向けたナノ構造材料・システムの創製 領域
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close