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結晶軸の面内回転高臨界電流超伝導配線

国内特許コード P110003214
整理番号 N072P14
掲載日 2011年6月17日
出願番号 特願2003-308021
公開番号 特開2005-079351
登録番号 特許第4523249号
出願日 平成15年8月29日(2003.8.29)
公開日 平成17年3月24日(2005.3.24)
登録日 平成22年6月4日(2010.6.4)
発明者
  • 向田 昌志
  • 松本 要
  • 吉田 隆
  • 一瀬 中
  • 堀井 滋
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 結晶軸の面内回転高臨界電流超伝導配線
発明の概要

【課題】 超電導膜中に電流通電方向に沿って存在する人工ピン止めセンターが導入され、ゼロ抵抗においてより大きな電流密度の電流を流すことができる超伝導配線の提供。
【解決手段】 基板と、基板上に設けられ、LnBaCu(式中、Lnは、Yあるいはランタニド元素の中で左記構造が超伝導体となる元素を表し、6.5<x<7.1である)なる組成を有して電流を流す超伝導膜とを含み、超伝導膜は、c軸が基板表面に垂直に配向しており、かつ第1の面内配向を有する第1配向部分と、c軸が基板表面に垂直に配向しており、かつ第1の面内配向とは異なる第2の面内配向を有する第2配向部分とを有し、第2配向部分は、電流の流れる方向に沿って延在する複数の部分から構成され、該複数の部分の側面は基板に対して垂直であることを特徴とする超伝導配線。
【選択図】 図1

従来技術、競合技術の概要


超電導体に下部臨界磁場Hcl以上の磁場がかかると量子化磁束(φ=2.07×10-15Wb)が形成され超電導体中に侵入し、この状態で電流を流すと量子化磁束にローレンツ力が働き、これらが動き出すと電圧が発生して超電導状態が壊れることが知られている。



超電導体、たとえば酸化物高温超電導体LnBaCu(Lnはランタニド元素を表す)からなる超電導膜中の欠陥、たとえば酸素欠損、微細な不純物などの点状欠陥、転位などの線状欠陥、結晶粒界などの面状欠陥は、前記量子化磁束の移動を制限するピン止めセンターとして作用することが知られており、LnBaCu膜では前記結晶欠陥が膜面に垂直に、すなわち、LnBaCu結晶のc-軸に平行に入っているとき、磁場が膜面に垂直に印加された場合に臨界電流密度Jが向上する。



LnBaCu成膜時の成膜条件を種々変えることにより自然に導入される転位の単位面積当りの密度が10/μm~100/μmであったこと、膜が基板上で成長する過程で微細析出物が存在すると、そこで膜成長の連続性が崩れ、結晶欠陥、転位、結晶粒界などが生じること、およびLnBaCu膜の臨界電流密度Jが膜中の転位密度とともに増大することが報告されている(非特許文献1参照)。このことは転位が量子化磁束のピン止めセンターとして作用することを教示するが、成膜時に成膜条件を変えるだけで自然に導入される転位の密度を制御することは極めて困難である。



一方、結晶粒界はピン止めセンターとしても作用するが、超電導電流の障壁としても作用することが知られている。LnBaCuなどの高温超電導膜では傾角の大きな結晶粒界におけるJは大変小さいが、傾角の小さな結晶粒界では大きなJが維持されるので小傾角粒界は転位列とみなすことができる。転位は絶縁体であるので、転位の間隔が大きい小傾角粒界では転移間に強い超電導部分が存在し電流が流れるが、結晶粒界の傾角が大きくなって転移の歪みが重なりだすと電流が流れ難くなる。これらの結晶粒界面が超電導膜の膜面に垂直であれば、極めて有効なピン止めセンターになる。しかしながら、一般には結晶粒界はランダムに存在するため結晶粒界の傾角を制御することによってJを制御するのは極めて難しい。



超電導バルクマグネットでは、LnBaCuに高融点材料であるLnBaCuOを微細に粉砕して混合し、LnBaCuOを融解させない条件で超伝導体を作製することにより、LnBaCu中にピン止めセンターを導入している(非特許文献2参照)。一方、蒸着法によってLnBaCu膜を形成する場合、膜内の一部のみの組成が異なり、他の部分は超電導体組成であるLn:Ba:Cu比率を1:2:3に維持することは極めて困難である。たとえば、膜内の一部に高融点材料であるLnBaCuOを導入するように、成膜材料の組成を超電導YBCO組成からずらすと、膜全体の組成が膜内の一部にLnBaCuOが導入されることはなく、膜全体の組成が超電導体組成からずれてしまい超電導特性が劣化する。




【非特許文献1】D. Shi et al., Supercond. Sci. Technol., vol.3, no.9, pp457-463, 1990

【非特許文献2】T. Mochida et al., Physica C, vol.366, no.4, pp229-237, 2002

産業上の利用分野


本技術は酸化物超伝導膜の高臨界電流密度化に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
基板と、
基板上に設けられ、LnBaCu(式中、Lnは、Yあるいはランタニド元素の中で左記構造が超伝導体となる元素を表し、6.5<x<7.1である)なる組成を有して電流を流す超伝導膜と
を含み、
前記超伝導膜は、c軸が基板表面に垂直に配向しており、かつ第1の面内配向を有する第1配向部分と、c軸が基板表面に垂直に配向しており、かつ第1の面内配向とは異なる第2の面内配向を有する第2配向部分とを有し、
前記第2配向部分は、前記電流の流れる方向に沿って延在する複数の部分から構成され、該複数の部分の側面は前記基板に対して垂直であることを特徴とする超伝導配線。

【請求項2】
前記第1配向部分の面内配向方位と前記第2配向部分の面内配向方位との差が35°以上45゜以下であることを特徴とする請求項1に記載の超伝導配線。

【請求項3】
前記基板と前記超伝導膜の前記第2配向部分との間に第1バッファ層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の超伝導配線。

【請求項4】
前記基板がMgO、および他の基板にMgO層を積層したものからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の超伝導配線。

【請求項5】
基板と、
前記基板上に設けられた複数の部分からなる第2バッファ層と、
前記基板および前記第2バッファ層を覆って設けられた第3バッファ層と
前記第3バッファ層の上に設けられ、LnBaCu(式中、Lnは、Yあるいはランタニド元素の中で左記構造が超伝導体となる元素を表し、6.5<x<7.1である)なる組成を有して電流を流す超伝導膜と
を含み、
前記超伝導膜は、c軸が基板表面に垂直に配向しており、かつ第1の面内配向を有する第1配向部分と、前記第2バッファ層の上方に位置し、c軸が基板表面に垂直に配向しており、かつ第1の面内配向とは異なる第2の面内配向を有する第2配向部分とを有し、
前記第2配向部分は、前記電流の流れる方向に沿って延在する複数の部分から構成され、該複数の部分の側面は前記基板に対して垂直であることを特徴とする超伝導配線。

【請求項6】
前記第1配向部分の面内配向方位と前記第2配向部分の面内配向方位との差が35°以上45゜以下であることを特徴とする請求項5に記載の超伝導配線。

【請求項7】
前記基板がMgO;R面サファイア;A面サファイア;および他の基板にMgO層、R面サファイア層、もしくはA面サファイア層を積層したものからなる群から選択されることを特徴とする請求項5に記載の超伝導配線。

【請求項8】
基板と、
前記基板を覆って設けられた第4バッファ層と
前記第4バッファ層上に設けられた複数の部分からなる第2バッファ層と、
前記第2バッファ層および第4バッファ層の上に設けられ、LnBaCu(式中、Lnは、Yあるいはランタニド元素の中で左記構造が超伝導体となる元素を表し、6.5<x<7.1である)なる組成を有して電流を流す超伝導膜と
を含み、
前記超伝導膜は、c軸が基板表面に垂直に配向しており、かつ第1の面内配向を有する第1配向部分と、前記第2バッファ層の上方に位置し、c軸が基板表面に垂直に配向しており、かつ第1の面内配向とは異なる第2の面内配向を有する第2配向部分とを有し、
前記第2配向部分は、前記電流の流れる方向に沿って延在する複数の部分から構成され、該複数の部分の側面は前記基板に対して垂直であることを特徴とする超伝導配線。

【請求項9】
前記第1配向部分の面内配向方位と前記第2配向部分の面内配向方位との差が35°以上45゜以下であることを特徴とする請求項8に記載の超伝導配線。

【請求項10】
前記基板がMgO;R面サファイア;A面サファイア;および他の基板にMgO層、R面サファイア層、もしくはA面サファイア層を積層したものからなる群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の超伝導配線。
産業区分
  • 固体素子
  • 電線ケーブル
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2003308021thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST エネルギーの高度利用に向けたナノ構造材料・システムの創製 領域
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