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アクチュエータ素子

国内特許コード P110003248
整理番号 E063P16
掲載日 2011年6月17日
出願番号 特願2003-409344
公開番号 特開2005-176428
登録番号 特許第4038685号
出願日 平成15年12月8日(2003.12.8)
公開日 平成17年6月30日(2005.6.30)
登録日 平成19年11月16日(2007.11.16)
発明者
  • 安積 欣志
  • 福島 孝典
  • 相田 卓三
  • 小川 敦子
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明の名称 アクチュエータ素子
発明の概要 【課題】空気中または真空中で安定して作動し、低電圧で駆動できるアクチュエータ素子を提供する。
【解決手段】イオン性液体とポリマーとのゲル状組成物からなるイオン伝導層1の表面に、カーボンナノチューブとイオン性液体とポリマーとのゲル状組成物からなる電極層2が相互に絶縁状態で少なくとも2個形成され、該電極層に電位差を与えることにより湾曲および変形を生じさせ得るアクチュエータ素子;ならびに、イオン伝導層1の表面に、電極層2が相互に絶縁状態で少なくとも2個形成され、該電極層2の表面に導電層3が形成され、該導電層に電位差を与えることにより湾曲および変形を生じさせ得るアクチュエータ素子。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


医療機器や産業用、およびパーソナルロボット、マイクロマシンなどの分野において小型かつ軽量で柔軟性に富むアクチュエータの必要性が高まっている。



このようにアクチュエータを小型化すると、慣性力よりも摩擦や粘性力が支配的になるため、モーターやエンジンのような慣性力を利用してエネルギーを運動にかえる機構は、小型アクチュエータの動力として用いることは困難であった。このため、小型アクチュエータの作動原理としては、静電引力型、圧電型、超音波式、形状記憶合金式、高分子伸縮式が提案されている。



しかしながら、これらの小型アクチュエータには、それぞれ作動環境に制限があったり、応答性が不十分であったり、構造が複雑であったり、また柔軟性が欠如しているなどの問題点があり、そのため用途も制約されている。



これらの問題点を克服し、また、小型アクチュエータの用途をより広範なものに拡張させるため、低電圧で駆動し、応答性が速く、柔軟性に富み、小型化および軽量化が容易で、しかも小電力で作動する高分子アクチュエータの開発が行われてきた。これらの中には、ポリピロール、ポリアニリン等の電子導電性ポリマーの電解質中におけるレドックス伸縮を利用したもの(電子導電性高分子アクチュエータ)、また、イオン交換膜と接合電極とからなり、イオン交換膜の含水状態において、イオン交換膜に電位差をかけてイオン交換膜に湾曲、変形を生じさせることにより、アクチュエータとして機能させることのできるもの(イオン導電性高分子アクチュエータ)の大きく分けると2種のものが知られている。



これらのなかで、電子導電性高分子アクチュエータは、低電圧駆動で、伸縮率が大きく、発生圧力も大きいなどの利点があるが、応答速度が遅く、最も性能の良いポリピロールの製造法が電解重合のみであること、また、応答がレドックス反応に基づいたイオンのドーピング、脱ドーピングによることから、原理として繰り返し耐久性に問題のあることが指摘されてきた。



これらの問題を克服するために、カーボンナノチューブをペーパー状に成形した電極に二重層充放電に基づく界面応力変化による伸縮現象を利用したアクチュエータが提案された(非特許文献1参照)。このアクチュエータは、応答速度が速く、二重層充放電に基づく原理から寿命も長い。また、発生圧も大きいことが分かっている。ただ伸縮率が小さく、製造法においても、長時間に渡るろ過という極めて煩雑な操作を必要とする。加えて、このアクチュエータは、機械的強度も脆弱であり、作動条件も電解質溶液中に限られている。



一方、従来の電子導電性高分子アクチュエータ、あるいはイオン導電性高分子アクチュエータは、いずれも、その動作のために電解質が必要なことから、主に電解質水溶液中で使用されてきた。イオン導電性高分子アクチュエータは、イオン交換樹脂が水で膨潤した状態でないと十分なイオン伝導性を示さないため、基本的には水中で使用する。空中でこのアクチュエータを使用するためには、水の蒸発を防ぐ必要がある。そのため、樹脂コーティングの方法が報告されているが、この方法では、完全にコーティングするのが困難なこと、また、電極反応によるわずかな気体発生によってもコーティングが破れること、さらに、コーティング自身が変形応答の抵抗となることから、実用化されていない。また、水の代わりに、プロピレンカーボネートなどの高沸点有機溶媒なども使用されているが、これについても同様の問題があり、しかも、水ほどイオン導電性が大きくなく、応答性が劣る点でも問題がある。



かくして、従来型のアクチュエータは、主に電解質溶液中という限られた環境でのみ駆動するため、用途が極めて限られていた。従って、空中で駆動するアクチュエータ素子の開発は、小型アクチュエータの幅広い用途への実用化のために不可欠である。



アクチュエータの空中作動への適用の目的で、イオン交換樹脂の両側に電子導電性高分子を貼付けた例、あるいはプロピレンカーボネートなどの高沸点有機溶媒を含んだゲル膜に導電性高分子を貼付け、両側の電極の伸縮を利用してアクチュエータの素子として利用した例がある。これらの例も、イオン導電性高分子アクチュエータの場合と同様、溶媒の乾燥の問題、イオン導電性の低さの問題があり、本質的な解決となっていない。



これらの問題を解決するために、最近、イオン性液体(ionic liquid)として知られており、常温溶融塩または単に溶融塩などとも称される、常温(室温)を含む幅広い温度域で溶融状態を呈する塩を用いた応用研究が進められている。イオン性液体は、蒸気圧が無視できるため、揮発による溶媒の乾燥を防ぐことが可能である。



電子導電性高分子アクチュエータの空中作動への適用の目的で、イオン性液体中における導電性ポリマーの伸縮現象の研究(非特許文献2参照)、およびポリピロールとイオン性液体のポリフッ化ビニリデンの複合体を用いた、全固体素子の研究(非特許文献3参照)がある。しかしながら、これらの研究においても、前述した、導電性ポリマーに起因する原理的な問題、すなわち、応答性の遅さ、製造法、寿命の問題は解決されていない。
【非特許文献1】
サイエンス(Science),第284巻,1999年,p.1340
【非特許文献2】
サイエンス(Science),第297巻,2002年,p.983
【非特許文献3】
エレクトロチミカ アクタ(Electrochimica Acta),第48巻,2003年,p.2355

産業上の利用分野


本発明は、電気化学アクチュエータ素子に関する。ここで、電気化学アクチュエータ素子とは、電気化学反応や電気二重層の充放電などの電気化学プロセスを駆動力とするアクチュエータ素子である。

特許請求の範囲 【請求項1】
カーボンナノチューブとイオン性液体とのゲルからなるアクチュエータ素子用導電体材料。

【請求項2】
カーボンナノチューブとイオン性液体とポリマーとのゲル状組成物からなるアクチュエータ素子用電極層。

【請求項3】
イオン性液体とポリマーとのゲル状組成物からなるアクチュエータ素子用イオン伝導層の表面に、請求項2に記載の電極層が相互に絶縁状態で少なくとも2個形成され、該電極層に電位差を与えることにより湾曲および変形を生じさせ得るアクチュエータ素子。

【請求項4】
イオン性液体とポリマーとのゲル状組成物からなるアクチュエータ素子用イオン伝導層の表面に、請求項2に記載の電極層が相互に絶縁状態で少なくとも2個形成され、該電極層の表面に導電層が形成され、該導電層に電位差を与えることにより湾曲および変形を生じさせ得るアクチュエータ素子。

【請求項5】
カーボンナノチューブとイオン性液体とポリマーとのゲル状組成物、および、イオン性液体とポリマーとのゲル状組成物を、展延、塗布、印刷、押し出し、または射出により積層することにより、電極層およびイオン伝導層を形成することを特徴とする請求項またはに記載のアクチュエータ素子の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2003409344thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 相田ナノ空間プロジェクト 領域
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