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脳内電流源推定方法、脳内電流源推定プログラム、脳内電流源推定プログラムを記録した記録媒体および脳内電流源推定装置

国内特許コード P110003272
整理番号 A092P42
掲載日 2011年6月17日
出願番号 特願2003-557403
登録番号 特許第3730646号
出願日 平成14年12月27日(2002.12.27)
登録日 平成17年10月14日(2005.10.14)
国際出願番号 JP2002013739
国際公開番号 WO2003057035
国際出願日 平成14年12月27日(2002.12.27)
国際公開日 平成15年7月17日(2003.7.17)
優先権データ
  • 特願2001-400519 (2001.12.28) JP
発明者
  • 佐藤 雅昭
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 株式会社国際電気通信基礎技術研究所
発明の名称 脳内電流源推定方法、脳内電流源推定プログラム、脳内電流源推定プログラムを記録した記録媒体および脳内電流源推定装置
発明の概要 電流源と観測面の間にある仮想曲面上に適当な電流を流すことによって、電流源が発生する電磁場を復元することができ、またこの曲面が真の電流源に近づくほど曲面上の電流分布の広がりが小さくなることに基づいて、観測データを復元する電流源に対するベイズ推定を行う。この推定の際に、モデル事後確率は曲面か電流源を含むときに最大になること、すなわちモデル事後確率を調べることにより電流源の位置を深さ方向まで含めて推定する。また、他の観測手段による観測データが同時に利用できる場合に、それらの情報をベイズ推定を行う際の階層事前分布に組み入れ、より精度の高い推定を行う。
従来技術、競合技術の概要


近年の生体計測技術の進歩はめざましく、従来測定が困難で誤差も大きかった脳から発生する微弱電場(脳波)や微弱磁場(脳磁波)の計測精度は、年々向上している。
すなわち、外部からの刺激を受けて、脳内の神経細胞は電流を発生する。この電流により、上述したような微弱な電場や微弱な磁場が発生することになる。このうち「脳波」とは、この神経細胞の電流により、脳から発生する電場のことである。「脳波計(Electroencephalogram:EEG)」は、このような脳波を測定する手法である。
一方、「脳磁波」とは、この神経細胞の電流により、脳から発生する磁場のことである。「脳磁計(Magnetoencephalography:MEG)」は、このような脳磁波を測定する手法である。脳磁波計測の最大の利点は、磁場が容積導体による影響をほとんど受けないので、頭蓋外からの磁気計測により、脳内電流位置を3次元的に比較的正確に推定できることが期待されることである。
このような脳磁波の解析においては、発生した磁場を脳の外部から測定することで非侵襲的に脳の活動部位を推定する。
しかしながら、この磁場は非常に微弱であるために、地磁気等の外部の磁場の影響を大きく受けていまう。そこで、外部の磁場を遮蔽するシールドを作り、その中で超伝導を用いた測定機器である超伝導量子干渉素子(SQUID:Superconducting quantum interference device)により微弱な磁場を測定することが行われる。
ただし、このような「脳内電流源位置推定」のアルゴリズムの研究においても、初期のモデルから様々な変法が使用されているにも関わらず、決定的な手法は今だ存在しないのが現状である。
たとえば、このような「脳内電流源位置推定」のアルゴリズムの1つである「双極子推定法」が、文献1:Mosher.J.C.,Lewis P.S.and Leahy R.M.IEEE Trans.Biomed.Engng.〈1992〉vol.39,pp.541-557に開示されている。しかしながら、この「双極子推定法」は、脳内の電流源が1つか数個の電流双極子で表せると仮定して観測磁場から双極子の位置を推定する方法であり、双極子の数を幾つにすれば良いかを決めるのが難しいという欠点を持っている。
一方、他のアルゴリズムとしては、「空間フィルター法」が、文献2:Toyama.K,Yoshizawa K,Yoshida Y,Kondo Y,Tomita S,Takanashi Y,Ejima Y,and Yoshikawa S.Neuroscience.1999;91(2):pp.405-415に開示されている。「空間フィルター法」は、生理学的な知見から、脳内電流源の場所を限定し、双極子の分布を推定する方法である。しかしながら、この方法の欠点は電流源の深さを正確に推定できない事である。

産業上の利用分野


本発明は、脳内活動に対応して、頭蓋外部に磁場または電場を生成する脳内電流源の位置や分布を推定する方法、脳内電流源推定プログラム、当該プログラムを記録した記録媒体および脳内電流源推定装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】頭蓋外部において観測された電磁場に基づいて、脳内に存在する前記電磁場の源となる電流源の位置を推定するための方法であって、
前記脳内に脳表面からの深さが互いに異なり、かつ互いに交わらない形状を有する複数の仮想曲面と、各前記仮想曲面上に格子点を設定するステップと、
各前記仮想曲面上において、それぞれ前記観測された電磁場を復元するための電流分布を推定するステップと、
前記複数の仮想曲面上において推定された電流分布の広がりと、前記電流分布に基づいて復元される電磁場と前記観測された電磁場との誤差とに基づいて、前記複数の仮想曲面のうちから前記広がりと誤差とが極小となる仮想曲面を、真の前記電流源の存在する曲面として特定するステップとを備える、脳内電流源推定方法。
【請求項2】前記電流分布を推定するステップは、
事前分布と前記電磁場の観測データとから、ベイズ推定法により事後確率を求めるステップを含み、
前記真の電流源の存在する曲面として特定するステップは、
前記仮想曲面のうち、対応する前記事後確率が最大となる仮想曲面を特定するステップを含む、請求項1記載の脳内電流源推定方法。
【請求項3】前記電流分布を推定するステップは、
前記複数の仮想曲面のうち、脳表面側の仮想曲面から順次深い側の仮想曲面に移行するのに応じて、前記脳表面に最も近く、かつ事後確率が極大になる第1の仮想曲面を特定するステップを含み、
前記真の電流源の存在する曲面として特定するステップは、
前記第1の仮想曲面において、前記電流分布の極大点に対応する局在電流分布を特定するステップと、
前記局在電流分布を各々が含む複数の局所面を切り出すステップと、
前記複数の局所面のうち、特定対象となる局所面以外を固定し、前記特定対象となる局所面を深さ方向に動かして、前記事後確率が極大となる位置を、前記脳表面に近い側から順次特定するステップとを含む、請求項2記載の脳内電流推定方法。
【請求項4】前記電流分布を推定するステップにおいては、第1の空間分解能で、前記電流分布を推定し、
前記複数の仮想曲面の深さ方向の分解能を高め、かつ、前記第1の空間分解能よりも高い第2の空間分解能で、前記電流分布の再推定を行うステップをさらに備える、請求項3記載の脳内電流源推定方法。
【請求項5】前記電流分布を推定するステップは、前記電流分布をベイズ推定する際に、前記電流源の推定のための前記電磁場の観測とは独立した他の観測方法による観測データを用いて、前記ベイズ推定における階層事前分布を設定するステップを含む、請求項1記載の脳内電流源推定方法。
【請求項6】頭蓋外部において観測された電磁場に基づいて、脳内に存在する前記電磁場の源となる電流源の位置を推定するコンピュータのためのプログラムであって、
前記脳内に脳表面からの深さが互いに異なり、かつ互いに交わらない形状を有する複数の仮想曲面と、各前記仮想曲面上に格子点を設定するステップと、
各前記仮想曲面上において、それぞれ前記観測された電磁場を復元するための電流分布を推定するステップと、
前記複数の仮想曲面上において推定された電流分布の広がりと、前記電流分布に基づいて復元される電磁場と前記観測された電磁場との誤差とに基づいて、前記複数の仮想曲面のうちから前記広がりと誤差とが極小となる仮想曲面を、真の前記電流源の存在する曲面として特定するステップとを実行させるためのプログラム。
【請求項7】前記電流分布を推定するステップは、
事前分布と前記電磁場の観測データとから、ベイズ推定法により事後確率を求めるステップを含み、
前記真の電流源の存在する曲面として特定するステップは、
前記仮想曲面のうち、対応する前記事後確率が最大となる仮想曲面を特定するステップを含む、請求項6記載のプログラム。
【請求項8】前記電流分布を推定するステップは、
前記複数の仮想曲面のうち、脳表面側の仮想曲面から順次深い側の仮想曲面に移行するのに応じて、前記脳表面に最も近く、かつ事後確率が極大になる第1の仮想曲面を特定するステップを含み、
前記真の電流源の存在する曲面として特定するステップは、
前記第1の仮想曲面において、前記電流分布の極大点に対応する局在電流分布を特定するステップと、
前記局在電流分布を各々が含む複数の局所面を切り出すステップと、
前記複数の局所面のうち、特定対象となる局所面以外を固定し、前記特定対象となる局所面を深さ方向に動かして、前記事後確率が極大となる位置を、前記脳表面に近い側から順次特定するステップとを含む、請求項7記載のプログラム。
【請求項9】前記電流分布を推定するステップにおいては、第1の空間分解能で、前記電流分布を推定し、
前記複数の仮想曲面の深さ方向の分解能を高め、かつ、前記第1の空間分解能よりも高い第2の空間分解能で、前記電流分布の再推定を行うステップをさらに備える、請求項8記載のプログラム。
【請求項10】前記電流分布を推定するステップは、前記電流分布をベイズ推定する際に、前記電流源の推定のための前記電磁場の観測とは独立した他の観測方法による観測データを用いて、前記ベイズ推定における階層事前分布を設定するステップを含む、請求項6記載のプログラム。
【請求項11】頭蓋外部において観測された電磁場に基づいて、脳内に存在する前記電磁場の源となる電流源の位置を推定するための脳内電流源推定装置であって、
前記脳内に脳表面からの深さが互いに異なり、かつ互いに交わらない形状を有する複数の仮想曲面と、各前記仮想曲面上に格子点を設定する仮想曲面設定手段と、
各前記仮想曲面上において、それぞれ前記観測された電磁場を復元するための電流分布を推定する電流分布推定手段と、
前記複数の仮想曲面上において推定された電流分布の広がりと、前記電流分布に基づいて復元される電磁場と前記観測された電磁場との誤差とに基づいて、前記複数の仮想曲面のうちから前記広がりと誤差とが極小となる仮想曲面を、真の前記電流源の存在する曲面として特定する電流源特定手段とを備える、脳内電流源推定装置。
【請求項12】前記電流分布推定手段は、
事前分布と前記電磁場の観測データとから、ベイズ推定法により事後確率を求める事後確率導出手段を含み、
前記電流源特定手段は、
前記仮想曲面のうち、対応する前記事後確率が最大となる仮想曲面を特定する仮想曲面特定手段を含む、請求項11記載の脳内電流源推定装置。
【請求項13】前記電流分布推定手段は、
前記複数の仮想曲面のうち、脳表面側の仮想曲面から順次深い側の仮想曲面に移行するのに応じて、前記脳表面に最も近く、かつ事後確率が極大になる第1の仮想曲面を特定する最浅仮想曲面特定手段を含み、
前記電流源特定手段は、
前記第1の仮想曲面において、前記電流分布の極大点に対応する局在電流分布を特定する局在電流分布特定手段と、
前記局在電流分布を各々が含む複数の局所面を切り出す局所面抽出手段と、
前記複数の局所面のうち、特定対象となる局所面以外を固定し、前記特定対象となる局所面を深さ方向に動かして、前記事後確率が極大となる位置を、前記脳表面に近い側から順次特定する局所面位置特定手段とを含む、請求項12記載の脳内電流源推定装置。
【請求項14】前記電流分布推定手段は、初期的に第1の空間分解能で、前記電流分布を推定した後、前記複数の仮想曲面の深さ方向の分解能を高め、かつ、前記第1の空間分解能よりも高い第2の空間分解能で、前記電流分布の再推定を行う、請求項13記載の脳内電流源推定装置。
【請求項15】前記電流分布推定手段は、前記電流分布をベイズ推定する際に、前記電流源の推定のための前記電磁場の観測とは独立した他の観測方法による観測データを用いて、前記ベイズ推定における階層事前分布を設定する手段を含む、請求項11記載の脳内電流源推定装置。
【請求項16】頭蓋外部において観測された電磁場に基づいて、脳内に存在する前記電磁場の源となる電流源の位置を推定するコンピュータのためのプログラムを記録した記録媒体であって、前記プログラムは、
前記脳内に脳表面からの深さが互いに異なり、かつ互いに交わらない形状を有する複数の仮想曲面と、各前記仮想曲面上に格子点を設定するステップと、
各前記仮想曲面上において、それぞれ前記観測された電磁場を復元するための電流分布を推定するステップと、
前記複数の仮想曲面上において推定された電流分布の広がりと、前記電流分布に基づいて復元される電磁場と前記観測された電磁場との誤差とに基づいて、前記複数の仮想曲面のうちから前記広がりと誤差とが極小となる仮想曲面を、真の前記電流源の存在する曲面として特定するステップとを備える記録媒体。
【請求項17】前記電流分布を推定するステップは、
事前分布と前記電磁場の観測データとから、ベイズ推定法により事後確率を求めるステップを含み、
前記真の電流源の存在する曲面として特定するステップは、
前記仮想曲面のうち、対応する前記事後確率が最大となる仮想曲面を特定するステップを含む、請求項16記載の記録媒体。
【請求項18】前記電流分布を推定するステップは、
前記複数の仮想曲面のうち、脳表面側の仮想曲面から順次深い側の仮想曲面に移行するのに応じて、前記脳表面に最も近く、かつ事後確率が極大になる第1の仮想曲面を特定するステップを含み、
前記真の電流源の存在する曲面として特定するステップは、
前記第1の仮想曲面において、前記電流分布の極大点に対応する局在電流分布を特定するステップと、
前記局在電流分布を各々が含む複数の局所面を切り出すステップと、
前記複数の局所面のうち、特定対象となる局所面以外を固定し、前記特定対象となる局所面を深さ方向に動かして、前記事後確率が極大となる位置を、前記脳表面に近い側から順次特定するステップとを含む、請求項17記載の記録媒体。
【請求項19】前記電流分布を推定するステップにおいては、第1の空間分解能で、前記電流分布を推定し、
前記複数の仮想曲面の深さ方向の分解能を高め、かつ、前記第1の空間分解能よりも高い第2の空間分解能で、前記電流分布の再推定を行うステップをさらに備える、請求項18記載の記録媒体。
【請求項20】前記電流分布を推定するステップは、前記電流分布をベイズ推定する際に、前記電流源の推定のための前記電磁場の観測とは独立した他の観測方法による観測データを用いて、前記ベイズ推定における階層事前分布を設定するステップを含む、請求項16記載の記録媒体。
国際特許分類(IPC)
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