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光フーリエ変換装置及び方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P110003292
整理番号 Y03-P312
掲載日 2011年6月20日
出願番号 特願2004-000464
公開番号 特開2005-195751
登録番号 特許第4471666号
出願日 平成16年1月5日(2004.1.5)
公開日 平成17年7月21日(2005.7.21)
登録日 平成22年3月12日(2010.3.12)
発明者
  • 廣岡 俊彦
  • 中沢 正隆
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 光フーリエ変換装置及び方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要 【課題】 光フーリエ変換を幅広い時間領域にわたって実行する。
【解決手段】 二次関数型光パルス発生器7は、光カップラ1からの信号光パルスに基づくクロック信号に従い、二次関数又は放物線で表される形状の制御光パルスを発生する。入力された信号光パルスは、光遅延素子8により信号光パルスとタイミングが一致するように光遅延が与えられた制御光パルスと合波器9により合波され、光カー媒質10に入射される。光カー媒質10において信号光パルスと制御光パルスとの相互位相変調によって入力された信号光パルスをパルス全体又は広い時間領域にわたって線形に位相変調(周波数チャープ)させる。その後、光フィルタ11により分離された信号光パルスを、群速度分散(二次分散)を有する分散性媒質12に通すことにより、入力された信号光パルスの時間波形をその周波数スペクトルの形状に変換する。
【選択図】 図3
従来技術、競合技術の概要


光パルスの時間波形をその周波数スペクトルの形状に、あるいは光パルスの周波数スペクトルの形状をその時間波形に変換する光フーリエ変換技術を利用したさまざまな応用が、超高速光通信や超短パルスモード同期レーザ、光信号処理などの分野において提案されている。例えば超高速光通信においては、信号光パルス列における各パルスの時間位置のランダムな揺らぎ(タイミングジッタ)の低減(例えば、非特許文献1参照)、偏波モード分散の補償(例えば、非特許文献2参照)、などへの応用が提案されている。また、モード同期レーザから発生する超短パルスのタイミングジッタの抑圧(例えば、非特許文献3)においても光フーリエ変換技術が有効である。また、正常分散を有する光ファイバ増幅器を用いた二次関数型の光パルスの発生について記載された文献がある(例えば、非特許文献4参照)。



本発明者は、一般的に光ファイバにあらゆる線形歪み効果が存在してもパルスのスペクトル形状が不変であることから受信側で時間と周波数を入れ替え送信データを完全に再生する波形無歪み伝送(特願2003-23973「光伝送方法および光伝送装置」、特願2003-181964「OTDM伝送方法及び装置」)、光パルス圧縮ならびに光関数発生(特願2003-109708「光パルス圧縮器および光関数発生器、光パルス圧縮方法および光関数発生方法」)について出願している。また、本発明者は、光ファイバ増幅器を用いずに二次関数型で表現される光パルスを発生させる方法及び装置について出願している(特願2003-387563「光パルス発生方法および光パルス圧縮方法等」)。これらの出願の内容は、参照により本明細書に組み込むことができる。



図1に、光フーリエ変換を行なうために従来用いられている回路の構成例を示す。同図において、この回路は、LiNbO結晶などの電気光学結晶におけるポッケルス効果を用いた位相変調器(LN位相変調器)2、分散量Dをもつ分散性媒質3を備える。なお、分散性媒質3の分散パラメータをβ[ps/km]、長さをL[km]とすると、分散量はD=βL[ps]で与えられる。また、図中実線は光パルスを、点線は電気信号を表す。分散性媒質3には光ファイバあるいは回折格子対、ファイバブラッググレーティング等が用いられる。位相変調器2の変調特性のピークは光パルスの中心位置に一致させる。LN位相変調器2によってパルスに印加されるチャープの大きさ(チャープ率K)は次のようにして求めることができる。位相変調器2に電圧V(t)=Vcos(ωt)を印加すると、電気光学効果による屈折率変化がもたらす光の位相変化量Δφ(t)は



【数1】




で与えられる。ただしVπは半波長電圧(光の位相をπ回転させるのに必要な印加電圧)、ωは位相変調器の駆動周波数、Vは電圧の振幅である。式(1)はパルスの中心近傍(t=0)でテイラー展開することにより



【数2】




と近似することができる。すなわちLN位相変調器によってチャープ率Kの近似的に線形な周波数チャープ



【数3】




が光パルスに印加される。



図1において時間波形u(t)、周波数スペクトルU(ω)をもつ光パルスをまず光カップラ1により2つに分波し、片方をLN位相変調器2に入力する。また他方はクロック信号抽出回路4に入力し、パルス列からクロック信号(正弦波信号)を抽出する。出力された信号を位相シフタ5、電気増幅器6を介してLN位相変調器2に印加することにより、LN位相変調器2を駆動する。位相シフタ5は位相変調を光パルスに最適に同期して印加するために挿入している。また電気増幅器6はLN位相変調器2の駆動用である。



LN位相変調器2に入力された光パルスは線形チャープΔω(t)=-Ktを与えられ、その結果パルス波形の各時間位置において時間に比例した大きさの周波数シフトを受ける。さらにその線形チャープパルスは分散性媒質3に入力される。分散性媒質3においては光パルスの時間波形に群速度分散によって周波数成分に応じて異なる時間遅延(パルス内群遅延)が与えられる。前記光パルスはLN位相変調器2においてあらかじめ線形チャープを与えられていたので、分散性媒質3において光パルスの各周波数成分が時間軸上の異なった位置に分離される。その結果、チャープ率Kに対して分散量DをD=1/Kに選ぶことにより、分散性媒質3の出力で光フーリエ変換前の光パルスのスペクトル形状U(ω)(ただしω=t/D)に比例した波形が時間軸上で生成される。
【非特許文献1】
L.F.Mollenauer and C.Xu, “Time-lens timing-jitter compensator in ultra-long haul DWDM dispersion managed soliton transmissions,” in Conference on Lasers and Electro-Optics(CLEO) 2002, paper CPDB1 (2002).
【非特許文献2】
M.Romagnoli, P.Franco, R.Corsini, A.Schiffini, and M.Midrio, “Time-domain Fourier optics for polarization-mode dispersion compensation,” Optics Letters, vol.24, no.17, pp.1197-1199 (1999).
【非特許文献3】
L.A.Jiang, M.E.Grein, H.A.Haus, E.P.Ippen, and H.Yokoyama, “Timing jitter eater for optical pulse trains,” Optics Letters, vol.28, no.2, pp.78-80 (2003).
【非特許文献4】
M.E.Fermann, V.I.Kruglov, B.C.Thomsen, J.M.Dudley, and J.D.Harvey, “Self-simiar propagation and amplification of parabolic pulses in optical fibers,” Phys.Rev.Lett. Vol.84, pp.6010-6013 (2000).

産業上の利用分野


本発明は、光フーリエ変換装置及び方法に係り、特に、光パルスの時間波形をその周波数スペクトルの形状(包絡線)に、及び/又は光パルスの周波数スペクトルの形状をその時間波形に変換する光フーリエ変換装置及び方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
二次関数又は放物線で表される形状の制御光パルスを発生する二次関数型光パルス発生器と、
信号光パルスと制御光パルスを合波する合波器と、
信号光パルスと制御光パルスとの相互位相変調によって信号光パルスをパルス全体にわたって線形にチャープさせるための光カー媒質と、
群速度分散を有する分散性媒質と
を備え、
前記二次関数型光パルス発生器は、入力された信号光パルスに基づくクロック信号に従い二次関数又は放物線で表される形状の制御光パルスを発生し、
入力された信号光パルスと前記二次関数型光パルス発生器で発生された二次関数又は放物線で表される形状の制御光パルスとを前記合波器により合波して前記光カー媒質に入射し、前記光カー媒質において、前記信号光パルスと前記制御光パルスとの相互位相変調によって前記入力された信号光パルスをチャープ率Kで線形にチャープさせ、前記光カー媒質から出力された信号光パルスを分散量DがD=1/Kで与えられる前記分散性媒質に通すことにより、前記分散性媒質から出力される信号光パルスの時間波形が、入力された信号光パルスのスペクトル形状に比例する光フーリエ変換装置。

【請求項2】
請求項1に記載の光フーリエ変換装置において、
さらに、前記分散性媒質を通過した信号光パルスと前記制御光パルスとをもう一度合波して前記光カー媒質に入射し、前記光カー媒質で前記信号光パルスと前記制御光パルスとの相互位相変調によって前記分散性媒質を通過した信号光パルスを再び線形にチャープさせることにより、前記光フーリエ変換装置から出力される信号光パルスの時間波形が、入力された信号光パルスのスペクトル形状に比例し、かつ、前記光フーリエ変換装置から出力される信号光パルスの周波数スペクトルが、入力された信号光パルスの時間波形に比例する光フーリエ変換装置。

【請求項3】
請求項1又は2に記載の光フーリエ変換装置において、
信号光パルスを前記光カー媒質に2回通過させることによってチャープが完全に補償され、出力においてチャープのないトランスフォームリミットな波形が得られることを特徴とする光フーリエ変換装置。

【請求項4】
請求項2に記載の光フーリエ変換装置において、
前記光カー媒質を通過した前記信号光パルス及び前記制御光パルスを分波し、分波された信号光パルスを前記分散性媒質に入力するための分波器と、
前記分散性媒質を通過した信号光パルスと分波した制御光パルスとをもう一度合波し、前記光カー媒質に入射するための合波器と
をさらに備えた光フーリエ変換装置。

【請求項5】
二次関数又は放物線で表される形状の制御光パルスを発生する二次関数型光パルス発生器と、
信号光パルスと制御光パルスを合波する合波器と、
信号光パルスと制御光パルスとの相互位相変調によって信号光パルスをパルス全体にわたってチャープ率Kで線形にチャープさせるための光カー媒質と、
群速度分散を有する分散性媒質と
を備え、
さらに、
前記二次関数型光パルス発生器は、
光パルスを発生する光パルス送信器と、
正常分散の絶対値が長手方向に減少する分散減少ファイバと
を有し、
前記二次関数型光パルス発生器は、入力された信号光パルスに基づくクロック信号に従い二次関数又は放物線で表される形状の制御光パルスを発生し、
入力された信号光パルスを分散量Dの前記分散性媒質に通過させ、前記分散性媒質から出力された信号光パルスと制御光パルスとを前記合波器により合波して前記光カー媒質に入射し、前記光カー媒質において、前記信号光パルスと前記制御光パルスとの相互位相変調によって前記分散性媒質から出力された信号光パルスをD=1/Kの関係にあるチャープ率Kで線形にチャープさせることにより、前記光フィルタから出力される信号光パルスの周波数スペクトルが、入力された信号光パルスの時間波形に比例する光フーリエ変換装置。

【請求項6】
請求項5に記載の光フーリエ変換装置において、
さらに、前記光カー媒質において線形にチャープされた信号光パルスをもう一度前記分散性媒質に通すことにより、前記光フーリエ変換装置から出力される信号光パルスの時間波形が、入力された信号光パルスのスペクトル形状に比例し、かつ、前記光フーリエ変換装置から出力される信号光パルスの周波数スペクトルが、入力された信号光パルスの時間波形に比例する光フーリエ変換装置。

【請求項7】
請求項5又は6に記載の光フーリエ変換装置において、
信号光パルスを前記分散性媒質に2回通過させることによってチャープが完全に補償され、出力においてチャープのないトランスフォームリミットな波形が得られることを特徴とする光フーリエ変換装置。

【請求項8】
請求項1又は5に記載の光フーリエ変換装置において、
前記光カー媒質による信号光パルスと制御光パルスとの相互位相変調によって信号光パルスに印加される周波数チャープのャープ率Kは制御光パルスのピークパワー、前記光カー媒質の長さ及び前記光カー媒質の非線形屈折率のいずれか又は複数により調節することができることを特徴とする光フーリエ変換装置。

【請求項9】
請求項に記載の光フーリエ変換装置において、
前記二次関数型光パルス発生器は、
光パルスを発生する光パルス送信器と、
正常分散を有し、前記光パルス送信器からの光パルスが伝搬する光ファイバ増幅器と
を備える光フーリエ変換装置。

【請求項10】
請求項に記載の光フーリエ変換装置において、
前記二次関数型光パルス発生器は、
光パルスを発生する光パルス送信器と、
正常分散の絶対値が長手方向に減少する分散減少ファイバと
を備える光フーリエ変換装置。

【請求項11】
請求項5又は10に記載の光フーリエ変換装置において、
前記分散減少ファイバは、分散値が連続的に変化する、又は、分散値が一定あるいは長手方向に線形に変化する複数種類の光ファイバを複数縦続接続することにより、分散値の変化が区間ごとに離散的に近似されたファイバ、又は、分散値が連続的に変化するひとつのファイバを含み、分散値の変化は次式で表される又は次式で近似される光フーリエ変換装置。
D(z)=D/(1+DΓz)
(ただし、D(z);分散値の変化を表す関数、z:ファイバの長手方向の座標、D;入射端(z=0)での関数値、Γ:正常分散の大きさの減少の比率)

【請求項12】
請求項に記載の光フーリエ変換装置において、
前記二次関数型光パルス発生器は、
光パルスを発生する光パルス送信器と、
振幅透過特性が二次関数又は放物線で表され、前記光パルス送信器からの光パルスの周波数スペクトルを二次関数型又は放物線状にする光フィルタと、
前記光フィルタを通過した光パルスの周波数スペクトル波形の形状に光パルスの時間波形を変換する光フーリエ変換装置と
を備える光フーリエ変換装置。

【請求項13】
請求項1又は5に記載の光フーリエ変換装置において、
制御光と信号光の高速な相互位相変調を効率よく発生させるために、前記光カー媒質として分散値が小さい低分散光カー媒質を用いるか、あるいは、信号光と制御光の波長が前記光カー媒質の零分散波長を挟んで互いに対称な波長になるように信号光及び/又は制御光の波長を設定することを特徴とする光フーリエ変換装置。

【請求項14】
請求項1又は5に記載の光フーリエ変換装置において、
信号光パルスに基づいてクロック信号を抽出するクロック信号抽出回路と、
制御光パルスに光遅延を与える光遅延素子と
をさらに備え、
前記二次関数型光パルス発生器は、前記クロック信号抽出回路からのクロック信号に従い制御光パルスを発生し、及び/又は、前記光遅延素子は、前記制御光パルスに対し信号光パルスとタイミングが一致するように光遅延を与える光フーリエ変換装置。

【請求項15】
入力された信号光パルスに基づくクロック信号に従い二次関数又は放物線で表される形状の制御光パルスを発生し、
入力された信号光パルスと発生された二次関数又は放物線で表される形状の制御光パルスとを合波して光カー媒質に入射し、光カー媒質において前記信号光パルスと前記制御光パルスとの相互位相変調によって前記入力された信号光パルスをパルス全体にわたってチャープ率Kで線形にチャープさせ、光カー媒質から出力された信号光パルスを分散量DがD=1/Kで与えられる群速度分散を有する分散性媒質に通すことにより、前記分散性媒質から出力される信号光パルスの時間波形が、前記入力された信号光パルスのスペクトル形状に比例する光フーリエ変換方法。

【請求項16】
請求項15に記載の光フーリエ変換方法において、
さらに、分散性媒質を通過した前記信号光パルスと前記制御光パルスとをもう一度合波して光カー媒質に入射し、光カー媒質で前記信号光パルスと前記制御光パルスとの相互位相変調によって分散性媒質を通過した前記信号光パルスを再び線形にチャープさせることにより、光フーリエ変換された信号光パルスの時間波形が、前記入力された信号光パルスのスペクトル形状に比例し、かつ、光フーリエ変換された信号光パルスの周波数スペクトルが、前記入力された信号光パルスの時間波形に比例することを特徴とする光フーリエ変換方法。

【請求項17】
入力された信号光パルスに基づくクロック信号に従い二次関数又は放物線で表される形状の制御光パルスを発生し、
入力された信号光パルスを分散量Dの群速度分散を有する分散性媒質に通過させ、その信号光パルスと発生された二次関数又は放物線で表される形状の制御光パルスとを合波して光カー媒質に入射し、光カー媒質において前記信号光パルスと前記制御光パルスとの相互位相変調によって前記分散性媒質から出力された信号光パルスをD=1/Kの関係にあるチャープ率Kで線形にチャープさせることにより、前記光フィルタから出力される信号光パルスの周波数スペクトルが、前記入力された信号光パルスの時間波形に比例する光フーリエ変換方法。

【請求項18】
請求項17に記載の光フーリエ変換方法において、
さらに、光カー媒質において線形にチャープされた前記信号光パルスをもう一度分散性媒質に通すことにより、光フーリエ変換された信号光パルスの時間波形が、前記入力された信号光パルスのスペクトル形状に比例し、かつ、光フーリエ変換された信号光パルスの周波数スペクトルが、前記入力された信号光パルスの時間波形に比例することを特徴とする光フーリエ変換方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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出願権利状態 登録
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