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転写因子を転写抑制因子に変換するペプチド及びこれをコードするポリヌクレオチド、並びにその利用

国内特許コード P110003298
整理番号 A181P102
掲載日 2011年6月20日
出願番号 特願2004-016105
公開番号 特開2005-027654
登録番号 特許第4283127号
出願日 平成16年1月23日(2004.1.23)
公開日 平成17年2月3日(2005.2.3)
登録日 平成21年3月27日(2009.3.27)
優先権データ
  • 特願2003-177066 (2003.6.20) JP
発明者
  • 高木 優
  • 平津 圭一郎
  • 小山 知嗣
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
  • 独立行政法人産業技術総合研究所
発明の名称 転写因子を転写抑制因子に変換するペプチド及びこれをコードするポリヌクレオチド、並びにその利用
発明の概要

【課題】 遺伝子の転写を抑制する方法において、従来よりも簡便かつ広範囲に適用可能な遺伝子の転写を抑制する技術と、その利用方法とを提供する。
【解決手段】 本発明にかかるペプチドは、α1-Leu-β1-Leu-γ1-Leuで表されるアミノ酸配列、配列番号63又は、配列番号66のアミノ酸配列を有している。但し、式中α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、γ1は、Arg、Gln、Asn、Thr、Ser、His、Lys又はAspを示す。このペプチドは、極めて短いサイズであるため、その合成が簡単であり、特定の遺伝子を標的にした転写抑制を効率的に行なうことができる。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


生体において、遺伝子発現調節又は転写制御は、種々の遺伝子の機能を解析することに有用であるだけでなく、様々な産業にも応用が期待される。特に転写制御のうち、転写抑制については、応用分野として、例えば、がん遺伝子等疾患の原因となる遺伝子の発現を抑制する等の医療産業や、植物の改良等のアグリビジネス産業等が挙げられる。上記転写抑制の具体的な手段としては、従来より、アンチセンス法又はリボザイム法が知られている。



アンチセンス法では、転写を抑制しようとする標的遺伝子、又はこれを転写したmRNA等の特異部位と結合させるため、当該特異部位と相補的な配列を有するポリヌクレオチド(アンチセンスDNA又はRNA)を用いる。しかしながら、この方法では、調製されたアンチセンスDNA又はRNAは上記標的遺伝子以外の遺伝子の発現を抑制することには使用できない。それゆえ、他の標的遺伝子に対してはその配列に合わせて新たにアンチセンスDNA又はRNAを調製する必要がある。従って、アンチセンス法は、転写抑制の方法としては汎用性に欠けるという課題を有している。



一方、リボザイム法では、リボザイムすなわち酵素活性を有するRNA分子を用いる。しかしながら、この方法でも、アンチセンス法と同様に、リボザイムは、特異部位と結合させるための相補的な配列を有する必要があり、さらには、所定の位置で特異部位を切断可能なようにリボザイムを設計する必要がある。従って、リボザイム法も、転写抑制の方法としては汎用性に欠けるという課題を有している。



加えてリボザイム法では、リボザイムを実際にホスト細胞中に導入すると、転写されたリボザイムに余分な配列が付加されてリボザイム活性が失われる場合がある。具体的には、例えば、植物をホスト細胞とする場合、標的遺伝子を切断するように設計されたリボザイムを用いたとする。このとき、当該リボザイムをプロモーター(カリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーター等)及びターミネーター(転写終結配列)に連結してベクターを構築し、実際に植物細胞中に導入した場合、上記のようなリボザイム活性が失われるという現象が生じる場合がある。従って、リボザイム法では、条件によっては再現性が低いという課題も有している。



また、上記各方法では、当然のことながら、標的遺伝子の特定及び塩基配列の決定が不可欠となっている。



ところで、本発明者らは、シロイヌナズナ由来のAtERF3、AtERF4、AtERF7、及びAtERF8タンパク質を転写因子に結合させたタンパク質が、遺伝子の転写を顕著に抑制するとの知見を得た。そこで、上記タンパク質をそれぞれコードする遺伝子及びこれから切り出したDNAを含むエフェクタープラスミドを構築し、これを植物細胞に導入することにより、実際に遺伝子の転写を抑制することに成功した(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4参照)。



さらに本発明者らは、Class II ERF(ethylene responsive element binding factor)遺伝子群の一つであるタバコERF3(例えば特許文献5参照)、イネOsERF3タンパク質をコードする遺伝子(特許文献6参照)、及びZnフィンガータンパク(Zinc finger Protein)の遺伝子群の一つであるシロイナズナZAT10、同ZAT11をコードする遺伝子についてもまた、上記と同様な試験を行ったところ、遺伝子の転写を抑制することを見出している。



上記各遺伝子の塩基配列はまちまちであるが、これらの遺伝子がコードするタンパク質又はペプチドには、7つのアミノ酸からなる共通のモチーフが存在することを明らかにした(例えば非特許文献1、2参照)。



なお、このようなキメラ遺伝子を用いた遺伝子の転写抑制の技術は、上記と同様、幾つかの植物で報告されており(非特許文献3、4参照)、さらに動物でも報告されている(非特許文献5~9)。

【特許文献1】特開2001-269177号公報(公開日:平成13(2001)年10月2日)

【特許文献2】特開2001-269178号公報(公開日:平成13(2001)年10月2日)

【特許文献3】特開2001-292776号公報(公開日:平成13(2001)年10月23日)

【特許文献4】特開2001-292777号公報(公開日:平成13(2001)年10月23日)

【特許文献5】特開2001-269176号公報(公開日:平成13(2001)年10月2日)

【特許文献6】特開2001-269179号公報(公開日:平成13(2001)年10月2日)

【非特許文献1】Ohta. M., Matsui. K., Hiratsu, K., Shinshi, H., and Ohme-Takagi, M., The Plant Cell, Vol.13, 1959-1968, August, 2001

【非特許文献2】Hiratsu. K., Ohta. M., Matsui. K., and Ohme-Takagi, M., FEBS letter, Vol.514, 351-354, 2002

【非特許文献3】Guan, X., Stege, J., Kim, M., Dahmani, Z., Fan, N., Heifetz, P., Barbas, C.F. III. and Briggs, S.P., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. Vol.99, 13296-13301, 2002

【非特許文献4】Markel, H., Chandler, J. and Werr, W., Nuclelic Acids Res. Vol.30, 4709-4719. 2002

【非特許文献5】Badiani, P., Corbella, P., Kioussis, D., Marvel, J. and Weston, K., Genes Dev. Vol.8, 1994

【非特許文献6】Beerli, R.R., Segal, D.J., Dreier, B. and Barbas, C.F. III., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. Vol.95, 14628-14633, 1998

【非特許文献7】Beerli, R.R., Dreier, B. and Barbas, C.F. III., Proc. Nat. Acad. Sci. USA. Vol.97, 1495-1500, 2000

【非特許文献8】de Haan, G., Chusacultanachai, S., Mao, C., Katzenellenbogen, B.S. and Shapiro, D.J., J. Biol. Chem. Vol.275, 13493-13501, 2000

【非特許文献9】John, A., Smith, S.T. and Jaynes, J.B., Development Vol.121, 1801-1813, 1995

産業上の利用分野


本発明は、転写因子を転写抑制因子に変換するペプチド及びこれをコードするポリヌクレオチド、並びにその利用方法に関するものであり、例えば、特定の遺伝子の転写を抑制することで、新規な植物の創出等植物への応用が可能であり、さらには、ガン遺伝子の転写抑制によるヒトも含む動物への応用の可能性も見出される、各種遺伝子の転写抑制方法に好適に利用することができる転写因子を転写抑制因子に変換するペプチド及びこれをコードするポリヌクレオチド、並びにその利用方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
配列番号1、4、7、10、13、16、19、31、34、42、45、48、51、54、57、60、69、72又は75で表されるアミノ酸配列を有しており、転写因子を転写抑制因子に変換するペプチド。

【請求項2】
請求項1に記載のペプチドと転写因子とを融合させてなることを特徴とするキメラタンパク質。

【請求項3】
請求項1に記載のペプチドをコードするポリヌクレオチド。

【請求項4】
請求項3に記載のポリヌクレオチドと転写因子をコードする遺伝子とを連結してなるキメラ遺伝子。

【請求項5】
請求項3に記載のポリヌクレオチドと、これに隣接する1つ以上の制限酵素認識部位とを含む組換え発現ベクター。

【請求項6】
請求項4に記載のキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクター。

【請求項7】
請求項5又は6に記載の組換え発現ベクターを導入した形質転換体。

【請求項8】
上記組換え発現ベクターが導入されるホストが植物である請求項7に記載の形質転換体。

【請求項9】
請求項3に記載のポリヌクレオチドと、転写因子をコードする遺伝子と、プロモーターとを含む組換え発現ベクターを得る工程と、
得られた組換え発現ベクターを宿主細胞に導入して、転写因子を転写抑制因子に変換するペプチドと転写因子とを融合させたキメラタンパク質を発現させる工程とを含んでいることを特徴とする遺伝子の転写抑制方法。

【請求項10】
上記宿主が植物であることを特徴とする請求項9に記載の遺伝子の転写抑制方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 植物の機能と制御 領域
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