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圧電材料とその製造方法

国内特許コード P110003330
整理番号 K014P46
掲載日 2011年6月20日
出願番号 特願2004-101468
公開番号 特開2004-363557
登録番号 特許第4698161号
出願日 平成16年3月30日(2004.3.30)
公開日 平成16年12月24日(2004.12.24)
登録日 平成23年3月11日(2011.3.11)
優先権データ
  • 特願2003-134630 (2003.5.13) JP
発明者
  • 任 暁兵
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 国立研究開発法人物質・材料研究機構
発明の名称 圧電材料とその製造方法
発明の概要 【課題】 前記強誘電体材料中のドメインの電場下での可逆的変換によって大きな線形電圧効果を発現し、低電圧でも変位、変形が大きく、かつ変位、変形が急峻である圧電材料とその素子、そしてその製造方法を提供する。
【解決手段】 移動性の点欠陥を有する圧電材料であって、移動性のある点欠陥がその短範囲秩序の対象性が強誘電相の結晶対称性に一致するように配置されているものとする。
【選択図】図3
従来技術、競合技術の概要


従来、電界による変形を得る方法としては以下に示す二通りのものが知られている。



(1)強誘電体の強誘電相を用いて、分極処理した後、ほぼ線形的な圧電効果(電界による変形)を得る。この方法の特徴は、強誘電体を用いて、ドメインを分極処理によって固定し(つまり、ドメインの回転をさせない)、結晶中の正イオンと負イオンを電場印加によって移動させ、線形的圧電変位を得るものである。代表的なものとして圧電材料のPb(ZrTi)O3(PZT)はこの方法を用いて圧電効果を得ている。これは、いわゆる、分極処理したPZTセラミックス〔ソフト型(図3の曲線a参照)およびハード型(図3の曲線b参照)〕と呼ばれるものである。



(2)反強誘電体の電界誘起相転移を用いて非線形的圧電効果を得る。この方法の特徴は、反強誘電体を用いて、強い電場を加えることにより、強誘電状態に変態させ、非線形変位を得る〔いわゆる、PNZSTセラミックスの電界誘起反誘電体-誘電体相移転による変形を利用する型(図3の曲線c参照)がこれに相当する〕。



以上のいずれかの方法によって電界による変位、変形を得る圧電材料そして圧電素子については、近年、加速度センサー、ノックセンサー、AEセンサー等のセンサーや超音波マイクロホン、圧電スピーカー、圧電アクチュエーター、超音波モーター、プリンターヘッド、インクジェットプリンター用ガン等への応用が急速に拡大するにつれて、アクチュエーターやセンサーの応用上、圧電素子は高い変換効率が求められている。特に、電圧から変位へ変換するアクチュエーターに関しては、低電圧でも大きなストローク(変位)を得るものが求められる。また、応用によって変位が非線形的であることが望ましい(例えば臨界電圧で変位が急激に増加するなど)。しかしながら、上記した従来の技術では、以下のような問題点を有する。



例えば、上記(1)の従来技術の場合(図3の曲線a,b参照)、<1>低電圧では変位が小さい(1000V/mmの電界下で0.01-0.1%しか変形しない)。<2>電場のほぼ線形関数でしか変形できない。<3>電極方向に分極処理が必要となる。



また、上記(2)の従来技術の場合(図3の曲線c参照)には、<1>駆動電界が大きい(>2500V/mm)。<2>最大変形が小さい(0.01-0.08%)。<3>特性が温度に非常に敏感であるという問題がある。



そこで、この出願の発明者は、従来の圧電材料について根本的な再検討を行ってきた。その際に注目したことは、従来の圧電材料における逆圧電・電歪効果は圧電材料中のイオンが電場下で微小に移動することによって結晶構造が少し伸縮することに起因し、このような過程による電歪は非常に小さいことである。一方、圧電材料には電気分極方向が異なる領域(ドメイン)が存在することが注目される。ドメインの間の分極方向は結晶対称性によって、180°や90°などの角度がある。電場を加えると、分極方向が電圧方向に沿うようにドメイン変換が起こる。たとえば、分極が電場に対し垂直であるa-ドメインが、電場印加後電場に一致するように、c-ドメインに変換される。このドメイン変換に伴い、低い対称性を持つ強誘電相の長軸方向と短軸方向が交換することになる。この過程で得られる歪の大きさは長軸と短軸の差であり、材料によるが理論上最大1-5%である。この値は通常の圧電効果より数十倍以上大きい。しかし、この巨大電歪効果は通常は不可逆であるため、その有用性は低かった。



しかしながら、発明者は、このようなドメイン交換を可逆的なものにすることで巨大な電歪効果を得ることができるとの観点に注目した。



そして、発明者は、上記状況に鑑みて鋭意検討を進め、新しい原理に基づいて、低電圧でも変位、変形が大きく、かつ変位、変形が急峻で非線形特性を顕著に発現することのできる圧電材料とこれを用いた非線形圧電素子、その応用としての電気機器あるいは機械を提供することを課題としてきた。

産業上の利用分野


この出願の発明は、圧電材料に係るものであって、特に、小さい電圧で大きく変位させることができる非線形圧電性の材料に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
移動性の点欠陥を有する強誘電体圧電材料であって、移動性の点欠陥が、その短範囲秩序の対称性が強誘電相の結晶対称性に一致するように配置されており、ドメインの電場下での可逆的変換によって非線形圧電効果が発現されることを特徴とする圧電材料。

【請求項2】
移動性の点欠陥は、化学平衡によって、または添加元素によって導入された強誘電体を構成する元素の空孔であることを特徴とする請求項1の圧電材料。

【請求項3】
キュリー温度以下で時効処理されて点欠陥の短範囲秩序の対称性が強誘電相の結晶対称性に一致するように配置されていることを特徴とする請求項1または2の圧電材料。

【請求項4】
単結晶体または多結晶体であることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれかの圧電材料。

【請求項5】
薄膜であることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれかの圧電材料。

【請求項6】
多層膜であることを特徴とする請求項5の圧電材料。

【請求項7】
強誘電体がABO3型のものであることを特徴とする請求項1から6のうちのいずれか
の圧電材料。

【請求項8】
強誘電体がBaTiO3または(Ba,Sr)TiO3であることを特徴とする請求項7の圧電材料。

【請求項9】
強誘電体がPb(Zr,Ti)O3または(Pb,希土類元素)(Zr,Ti)O3であることを特徴とする請求項7の圧電材料。

【請求項10】
他元素が添加されていることを特徴とする請求項7から9のうちのいずれかの圧電材料。

【請求項11】
他元素はアルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属のうちの1種以上の元素であることを特徴とする請求項10の圧電材料。

【請求項12】
他元素が20モル%以下の割合で添加されていることを特徴とする請求項10または11の圧電材料。

【請求項13】
添加される他元素は、Na,K,Mg,Ca,Al,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Zn,Ga,Rb,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ru,Rh,Ag,Sn,Hf,
Ta,W,Os,Ir,Pt,Pb,Bi,および希土類元素のうちの1種以上であることを特徴とする請求項10から12のうちのいずれかの圧電材料。

【請求項14】
請求項1から13のうちのいずれかの圧電材料の製造方法であって、
(a)強誘電体材料に移動性のある点欠陥を導入する工程と
(b)前記移動性のある点欠陥の短範囲秩序の対称性を強誘電相の結晶対称性に一致するように点欠陥を配置させる工程とを施し、前記強誘電体材料中のドメインの電場下での可逆的変換によって非線形圧電効果が発現されるようにしたことを特徴とする圧電材料の製造方法。
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2004101468thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 秩序と物性 領域
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