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DNAメチル化率の測定方法

国内特許コード P110003351
整理番号 Y03-P597
掲載日 2011年6月20日
出願番号 特願2004-136345
公開番号 特開2005-168486
登録番号 特許第4332467号
出願日 平成16年4月30日(2004.4.30)
公開日 平成17年6月30日(2005.6.30)
登録日 平成21年6月26日(2009.6.26)
優先権データ
  • 特願2003-392564 (2003.11.21) JP
発明者
  • 山川 直美
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
  • 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター
発明の名称 DNAメチル化率の測定方法
発明の概要

【課題】 メチル化部位を予め解析することなく、任意の領域を標的配列とすることができ、しかも、簡便且つ正確にDNAのシトシンのメチル化率を測定することのできる、DNAメチル化率の測定方法を提供する。また、細胞の状態の評価方法を提供する。
【解決手段】 前記測定方法は、(1)測定対象塩基配列を含むDNAを、シトシンを別の塩基に変換可能なシトシン修飾剤で処理する工程、(2)得られたDNAの、前記測定対象塩基配列に由来する変換後塩基配列を含む鎖を鋳型とし、標識化dCTPの存在下で、DNA増幅操作を実施する工程、(3)増幅したDNAから、前記変換後塩基配列に対応する増幅後塩基配列を含むDNA鎖を分離する工程、及び(4)分離したDNA鎖中の標識化シトシンの量を測定する工程を含む。前記評価方法では、細胞の染色体標本と抗メチル化シトシン抗体との接触を、2価結合条件下において実施する。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


生物が持つ遺伝情報は、DNAの中に集約されている。一般的にはこのDNAの塩基配列で全てが規定されるように理解されているがそれだけではなく、高等動物において、体内のゲノムDNAは老化する。実際にはDNA中のシトシン塩基のメチル化が老化と共に変化し、これが原因で起こる疾患が数多くある。
ゲノムDNAを卵の中に移植すると脱メチル化され、再び若返ることは、クローン動物の実験で立証されており、この場合、テロメア長も元に戻るということが、現在、マウスで立証されている。
体内のゲノムが老化すると、働くべき遺伝子が働かなかったり、働いてはいけない遺伝子が働いてしまったりする。多くの癌細胞では、遺伝子発現を制御するプロモーター領域のメチル化の亢進が起きており、これにより癌を抑制する遺伝子群は、その多くが不活性化されている。



このように、DNA鎖のメチル化は、癌をはじめとする様々な疾患の重要な指標であり、また遺伝子発現の制御に関係することから、例えば、細胞の分化の程度を把握するための指標ともなり、これまでにその測定方法が様々に検討されている。
一方、例えば、医療の現場においてDNAメチル化を測定する場合には、迅速かつ正確に判定結果が得られることが求められている。しかしながら、このような観点からは従来の各方法は、必ずしも好ましい方法ではなかった。



現在までに行われてきたDNAのメチル化分析法、特に5-メチルシトシンの分析法には、例えば、
(1)試料DNAを酵素処理により単塩基にまで分解し、これをクロマトグラフィーやELISA法を応用して定量する方法、
(2)試料DNA中のシトシン塩基を、亜硫酸水素イオン(bisulfite)などの薬剤処理によりウラシルに変化させ、メチル化DNAに特異的にハイブリダイズする、あるいはメチル化していないDNAに特異的にハイブリダイズするPCR用プライマーを用いて、PCR増幅産物の出現のあるなしにより、プライマーがハイブリダイズする領域のメチル化を分析する方法、
(3)前記(2)の方法と同様にして亜硫酸水素イオン処理したDNAを用いて、そのDNA配列を直接シーケンシングする方法、又は
(4)亜硫酸水素イオン-PCR-SSCP(single strand conformational polymorphism)法(非特許文献1)
が知られている。



前記方法(1)では、分析対象とする遺伝子の特定領域を制限酵素で切り出して精製する必要があり、DNA断片の量として5~50μgもの多量のDNAを必要とする。この方法(1)を用いて、ヒトの血液からDNAを採取して、特定のDNA断片のメチル化解析をする場合には、その分析対象とする断片の分子サイズにもよるが、数リットルから数十リットルの血液が必要となり、臨床応用するには本方法の検出感度を飛躍的に上げるしかなく、現在のところ、実現されていない。



前記方法(2)では、方法(1)のように、多量のDNA試料は必要ではなく、PCRによって増幅してそのメチル化を分析することが可能である。しかし、分析対象であるDNAのメチル化部位は予め詳細に分析されていることが前提で、その結果を基に、PCR用のオリゴDNAプライマーを設計する。また、本方法ではプライマーがハイブリダイズする領域に存在する数個のシトシンのメチル化のみが分析対象であり、2つのPCRプライマーに挟まれる領域の全体的なメチル化率は分析することができないという欠点がある。



前記方法(3)では、個々の試料に対するメチル化解析がDNA配列分析(シーケンシング)により分析する必要があり、操作が煩雑で分析に多大な時間と労力がかかり、実施コストが高いという欠点があり、遺伝子の網羅的なメチル化解析には向いていない。



前記方法(4)では、亜硫酸水素イオン処理を行ったDNAを鋳型としてPCR増幅を行い、その産物であるDNAをSSCP電気泳動法により分析する。しかし、SSCP電気泳動法における1本鎖DNAの挙動は予測することが難しく、2試料間のおおよそのメチル化率の違いを判別することができるが、正確に定量することは困難である。また、本方法ではポリアクリルアミドゲル中のDNAを銀染色やアイソトープ標識で可視化するため、その操作は煩雑であり、分析までに時間を要する。




【非特許文献1】エム・前川(M.Maekawa)ら,「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochemical and Biophysical Research Communications)」,(オランダ),1999年,262巻,p.671-676

産業上の利用分野


本発明は、DNAメチル化率の測定方法に関する。DNAメチル化率を測定することにより、例えば、癌細胞の悪性度を評価したり、あるいは、各種細胞の分化状態を評価することができる。また、本発明は、細胞の状態を評価する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
(1)測定対象塩基配列を含む一本鎖又は二本鎖DNAを、シトシンを別の塩基に変換可能なシトシン修飾剤で処理する工程、
(2)得られた二本鎖DNAのいずれか一方のDNA鎖、又は得られた一本鎖DNAを鋳型とし、標識化デオキシシチジン5’-三リン酸又は標識化デオキシグアノシン5’-三リン酸の存在下で、DNA増幅操作を実施する工程、及び
(3)増幅した二本鎖DNAのいずれか一方のDNA鎖、又は増幅した二本鎖DNA中の標識化シトシン又は標識化グアニンの量を測定する工程
を含むことを特徴とする、測定対象塩基配列におけるシトシンのメチル化率を測定する方法。

【請求項2】
(1)測定対象塩基配列を含む一本鎖又は二本鎖DNAを、シトシンを別の塩基に変換可能なシトシン修飾剤で処理する工程、
(2)得られた二本鎖DNAの、前記測定対象塩基配列に由来する変換後塩基配列を含むDNA鎖、又は得られた一本鎖DNAを鋳型とし、標識化デオキシシチジン5’-三リン酸の存在下で、DNA増幅操作を実施する工程、及び
(3)増幅した二本鎖DNAの、前記変換後塩基配列に対応する増幅後塩基配列を含むDNA鎖、又は増幅した二本鎖DNA中の標識化シトシンの量を測定する工程
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の測定方法。

【請求項3】
(1)測定対象塩基配列を含む一本鎖又は二本鎖DNAを、シトシンを別の塩基に変換可能なシトシン修飾剤で処理する工程、
(2)得られた二本鎖DNAの、前記測定対象塩基配列に由来する変換後塩基配列を含むDNA鎖、又は得られた一本鎖DNAを鋳型とし、標識化デオキシグアノシン5’-三リン酸の存在下で、DNA増幅操作を実施する工程、及び
(3)増幅した二本鎖DNAの、前記変換後塩基配列に対応する増幅後塩基配列を含むDNA鎖の相補鎖、又は増幅した二本鎖DNA中の標識化グアニンの量を測定する工程
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の測定方法。

【請求項4】
(1)測定対象塩基配列を含む一本鎖又は二本鎖DNAを、シトシンを別の塩基に変換可能なシトシン修飾剤で処理する工程、
(2)得られた二本鎖DNAの、前記測定対象塩基配列に由来する変換後塩基配列を含むDNA鎖の相補鎖を鋳型とし、標識化デオキシシチジン5’-三リン酸の存在下で、DNA増幅操作を実施する工程、及び
(3)増幅した二本鎖DNAの、前記変換後塩基配列に対応する増幅後塩基配列を含むDNA鎖の相補鎖、又は増幅した二本鎖DNA中の標識化シトシンの量を測定する工程
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の測定方法。

【請求項5】
(1)測定対象塩基配列を含む一本鎖又は二本鎖DNAを、シトシンを別の塩基に変換可能なシトシン修飾剤で処理する工程、
(2)得られた二本鎖DNAの、前記測定対象塩基配列に由来する変換後塩基配列を含むDNA鎖の相補鎖を鋳型とし、標識化デオキシグアノシン5’-三リン酸の存在下で、DNA増幅操作を実施する工程、及び
(3)増幅した二本鎖DNAの、前記変換後塩基配列に対応する増幅後塩基配列を含むDNA鎖、又は増幅した二本鎖DNA中の標識化グアニンの量を測定する工程
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の測定方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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