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蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定法。

国内特許コード P110003361
整理番号 RX01P04
掲載日 2011年6月20日
出願番号 特願2004-166440
公開番号 特開2005-345311
登録番号 特許第4338590号
出願日 平成16年6月3日(2004.6.3)
公開日 平成17年12月15日(2005.12.15)
登録日 平成21年7月10日(2009.7.10)
発明者
  • 金城 政孝
  • 堀内 基広
  • 藤井 文彦
  • 坂田 啓司
  • 田村 守
  • 上野 雅由
  • 柳谷 孝幸
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
  • 富士レビオ株式会社
発明の名称 蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定法。
発明の概要

【課題】 異常型プリオン或いは食品素材中に含まれる有害タンパク質のような抗原タンパク質等の抗原を簡便な操作で、迅速かつ正確に検出及び/又は測定することができる検出及び/又は測定法を提供すること。
【解決手段】 蛍光相関分光法(FCS)を用いた抗原分子の検出、測定に、蛍光標識抗体断片と、該蛍光標識抗体断片と抗原を介して結合する非蛍光標識化完全抗体を用いることにより、抗原と結合していない蛍光標識抗体断片と、蛍光標識抗体断片-抗原-非蛍光標識化完全抗体との抗原抗体反応によって形成される複合体との間に、拡散速度において有意な差を生じさせ、抗原の形状や分子量に依存せず、比較的分子量の小さい抗原タンパク質のような抗原の場合でもFCSを用いて抗原の検出測定が可能となり、広い範囲の抗原を迅速に測定することができる。

従来技術、競合技術の概要


近年、天然物由来の食品素材や飼料素材の利用に際して、それらの素材中に含まれる有害タンパク質や、病原性タンパク質等の存在が問題となっている。有害タンパク質としては、例えば、ソバ、小麦、米等の食品素材に含有され問題となっているアレルゲンタンパク質等が挙げられ、病原性タンパク質としては、例えば、食肉、肉骨粉の原料に含まれ問題となっている異常型プリオン(感染型)のような病原性タンパク質等が挙げられる。例示して説明すれば、近年問題となっている病原性タンパク質の代表的な例として挙げられる異常型プリオンは、牛海綿状脳症(BSE)に代表されるプリオン病の原因となるタンパク質である。動物の脳や神経細胞膜表面に通常存在する正常型のプリオンタンパク質は分子量約3.3~3.5万(33~35kDa)の糖タンパク質であり、感染型プリオン蛋白として脳内の細胞内に蓄積されているものである(Lait, 76:571-578,1996)。異常型プリオンは、動物体内に侵入すると、体内の特定部位で生産される正常型プリオンを異常型プリオンに変換し、その結果、それらの特定部位において異常型プリオンが蓄積する。脳に異常型プリオンが蓄積すると、脳がスポンジ状になり、動物は死に至る。



このような食品素材や飼料素材の利用に際して、それらの素材中に含まれるアレルゲンタンパク質のような有害タンパク質や、病原性タンパク質を、ヒトや動物が摂取することを防止するためには、該食品素材や飼料素材に含まれるアレルゲンタンパク質のような有害タンパク質や、病原性タンパク質を検知、測定し、それらの有害タンパク質や、病原性タンパク質を含むものの利用を防止する必要がある。



従来より、プリオン(異常型)のような天然の生体タンパク質の測定には、ELISA(固相酵素免疫検定法)やウェスタンブロット法(イムノブロット法)のような免疫測定法が用いられている。ELISAは、固相で行われ、抗原又は抗体を酵素で標識し、抗体又は抗原の存在を酵素活性を利用して検出する方法であるが、例えば、マイクロタイタープレート上に固定されたプリオンをMab 3F4抗体によって結合し、この抗体をこれにカップリングする酵素による着色反応を触媒する第二の抗体によって検出するような方法で行われる(米国特許第4806627号明細書)。また、ウェスタンブロット法は、電気泳動で分離したタンパク質を疎水性の膜に固定し、抗原に特異的な抗体を用いて目的のタンパク質を検出する方法であるが、プリオンの検出には、例えば、モノクローナル抗プリオンタンパク質抗体Mab 13A5を用い、ウェスタンブロットを行って異常型プリオンを検出するような方法で行われる(J. Infect. Dis. 154:518-521,1986)。



しかし、例えば、ELISAやウェスタンブロット法のような従来法でプリオンの検出、測定を行うには、従来法では正常型プリオンと異常型プリオンを区別して検出するために、まず、被検試料から予め正常型プリオンをプロテインアーゼKで処理し、分解、除去しておくような処理を行っておく必要がある。また、ウェスタンブロット法は、電気泳動を行う必要があり、煩雑で時間がかかるので、多数の試料を短時間に検査しようとするためには適していないという問題がある。更に、ELISAは、必要な感度を達成するために、プロテインアーゼK処理後の試料をグアニジンチオシアン酸で変性処理し、プリオンタンパク質の凝集状態を解除する前に、SDSによる一次変性処理及びメタノール処理によるタンパク質濃縮操作を行う必要があり、該メタノール処理の前及びグアニジンチオシアン酸処理の前にはそれぞれ遠心分離を行う必要があり、そして、該遠心分離操作は時間がかかり、該方法はこのような煩雑な処理を行わなければならないことから、多数の試料を短時間に検査しようとするためには適していないという問題がある。



そこで、これらのプリオンの検出、測定に用いられているELISAやウェスタンブロット法の問題を改善するために、最近、いくつかの方法が提案されている。例えば、特開平10-267928号公報には、異常プリオンタンパク質を高感度に検出するために、ELISAを応用し、抗プリオンタンパク質抗体を用い、該抗体を任意のDNA断片で標識して、該DNA断片をPCRにより検出するイムノPCR法が開示されている。また、特開2003-130880号公報には、従来法のELISAやウェスタンブロット法の時間のかかる電気泳動操作や遠心分離操作を行うことなく高感度に異常型プリオンを免疫測定する方法として、磁性粒子に、変性剤処理した異常型プリオンと抗原抗体反応する第1抗体又はその抗原結合性フラッグメントを不動化して異常型プリオン免疫測定試薬として用いることにより、ELISAやウェスタンブロット法の遠心分離操作や電気泳動を行わずに異常型プリオンの測定を行い、多数の検体について短時間に検査を行うことが可能なようにした方法が開示されている。



更に、特開2003-215131号公報には、体液サンプルにおいて、プリオンタンパク質を化学物質と反応させて共有結合を形成させ、それにより化学的に修飾され、病原性プリオンが存在するとマススペクトルに少なくても更に1個のピークが観察されるようにしたプリオンタンパク質のマススペクトルを用いた分析方法が開示されている。これらは、従来法のELISAやウェスタンブロット法を改良するものであるが、依然として、各種の処理を経なければならず、プリオンのような抗原タンパク質を、簡便かつ迅速に検出、測定するには必ずしも十分なものではない。また、これらの検出、測定方法は、該検出、測定のための処理工程を、自動或いは半自動的に行い、大量の試料の測定を行うには適した方法とはいえない。



一方、近年、特に生物由来の分子の解析等に多く用いられ、例えば、タンパク質分子の数や、大きさ、或いは形等の物理量を、試料の物理的な分離過程を経ずに、しかもほぼ実時間で検出、測定できる分析法として蛍光相関分光法(FCS:Fluorescence Correlation Spectroscopy)が知られている(Chem. Phys.,4,390-401,1974; Biopolymers,13,1-27,1974;Physical Rev. A,10:1938-1945, 1974; in Topics in Fluorescence Spectyoscopy ,1,pp.337-378,Plenum Press,New York and London, 1991; R.Rigler,E.S.Elson(Eds.),Fluorescence Correlation Spectyoscopy.Theory and Applications, Springer, Berlin, 2001)。
FCSは、蛍光で標識した標的分子の媒質中におけるブラウン運動をレーザー共焦点顕微鏡系により微小領域で捉えることによって、蛍光強度のゆらぎから拡散時間を解析し、標的分子の物理量(分子の数、大きさ)を測定することにより実行されるもので、このような微小な領域で分子ゆらぎを捕えるFCSによる解析は、高感度、特異的に分子間相互作用を検出する上で有効な手段となっている。



FCSを、生体試料中に含まれるタンパク質等の検出、測定に用いた場合の特徴としては、溶液に含まれる蛍光で標識した標的分子の濃度や分子間相互作用を物理的な分離過程を経ずにほぼ実時間でモニタできることにある。そのため、FCSを用いた検出系では、これまで生体分子の検出系の主流として用いられてきたELISAなどの分析手段で必要であった煩雑なBound/Free分離過程を省くことができ、したがって、短時間に多量のサンプルを高感度で測定することが可能であり、自動化測定にも向いている。



ところで、FCSを用いて、抗原タンパク質等の検出を行うには、蛍光標識化した抗体分子を用い、該蛍光標識化抗体と抗原タンパク質との抗原抗体反応を利用して、該蛍光標識化抗体と、該蛍光標識化抗体と抗原タンパク質との抗原抗体反応によって形成された抗原抗体複合体分子の有する形状及びその分子量に依存する拡散速度の差を利用して、分析が行われる。ここで、拡散速度(拡散定数又はD)とは、単位時間に分子が自由拡散する面積のことをいう。他方、拡散時間(Diffusion Time:(DT)またはτD)とは、装置によって決まる焦点領域内を分子が通過するのに要する時間のことをいう。



従って、FCSによって、試料中の抗原タンパク質等の正確な測定を行うためには、標識化抗体の拡散速度と、該標識化抗体と抗原タンパク質との抗原抗体反応によって形成される抗原抗体複合体の拡散速度との間に有意な差を生じさせるような抗原と抗体の組み合わせを用いる必要がある。したがって、従来、この必要性のため、FCSにより検出できる抗原タンパク質等の種類は非常に限られていた。この問題を解決する手段として、従来、抗原と抗体との形状及び分子量を考慮して抗原抗体複合体に対して種々の修飾を施し、拡散速度に有意な差を設けるということが行われていた(特開2001-272404号公報、特許第3517241号公報)。しかし、これらの方法を用いても、FCSの検出方法を適用検出対象には限度があった。




【特許文献1】特開平10-267928号公報。

【特許文献2】特開2001-272404号公報。

【特許文献3】特開2003-130880号公報。

【特許文献4】特開2003-215131号公報。

【特許文献5】特許第3517241号公報。

【非特許文献1】J. Infect. Dis. 154:518-521,1986。

【非特許文献2】Chem. Phys.,4,390-401,1974。

【非特許文献3】Biopolymers,13,1-27,1974。

【非特許文献4】Physical Rev. A,10:1938-1945 ,1974。

【非特許文献5】in Topics in Fluorescence Spectyoscopy ,1,pp.337-378,Plenum Press,New York and London,1991。

【非特許文献6】R.Rigler, E.S.Elson(Eds.), Fluorescence Correlation Spectyoscopy.Theory and Applications,Springer,Berlin,2001。

産業上の利用分野


本発明は、蛍光相関分光法を用い、異常型プリオンのような病原性タンパク質或いは食品素材中に含まれる有害タンパク質等の抗原タンパク質等の抗原を迅速に検出及び/又は測定する抗原の迅速検出及び/又は測定法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
被検試料に、抗原のエピト-プを標的とする蛍光標識化された蛍光標識抗体断片、及び、抗原の他のエピト-プを標的とする非蛍光標識化完全型抗体を添加して、抗原抗体反応を行わせ、抗原と蛍光標識抗体断片及び非蛍光標識化完全型抗体との抗原抗体複合体を形成させ、形成された抗原と蛍光標識抗体断片及び非蛍光標識化完全型抗体との抗原抗体複合体を、蛍光相関分光法により検出、解析することを特徴とする蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定法。

【請求項2】
抗原が、抗原タンパク質であることを特徴とする請求項1記載の蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定法。

【請求項3】
形成された抗原抗体複合体の蛍光相関分光法による検出、解析が、蛍光標識化された蛍光標識抗体断片と形成された標識化された抗原抗体複合体との拡散速度の差に基く識別を利用した抗原の検出、解析であることを特徴とする請求項1又は2記載の蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定法。

【請求項4】
抗原の迅速検出及び/又は測定が、形成された抗原抗体複合体の蛍光相関分光法による検出、解析に基く抗原の存在、又は、抗原の濃度の検出及び/又は測定であることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定法。

【請求項5】
抗原のエピト-プを標的とする蛍光標識化された蛍光標識抗体断片が、抗原を免疫原として作製されたモノクローナル抗体から調製されたものであり、抗原タンパク質の他のエピト-プを標的とする非蛍光標識化完全型抗体が、抗原を免疫原として作製されたモノクローナル抗体であることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定法。

【請求項6】
蛍光相関分光法による抗原の検出及び/又は測定が、被検試料に含まれる抗原の物理的な分離過程を経ることなく行われることを特徴とする請求項1~5のいずれか記載の蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定法。

【請求項7】
被検試料へ、抗原のエピト-プを標的とする蛍光標識化された蛍光標識抗体断片、及び、抗原の他のエピト-プを標的とする非蛍光標識化完全型抗体を添加する工程、該被検試料、蛍光標識抗体断片及び非蛍光標識化完全型抗体により抗原抗体反応を行う工程、及び、該抗原抗体反応を行った被検試料を蛍光相関分光法により検出、解析を行う工程を、自動的又は半自動的に行うことを特徴とする請求項1~6のいずれか記載の蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定法。

【請求項8】
被検試料が、生体タンパク質試料であり、抗原が病原性タンパク質抗原であることを特徴とする請求項1~7のいずれか記載の蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定法。

【請求項9】
病原性タンパク質抗原が、異常型プリオンであることを特徴とする請求項8記載の蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定法。

【請求項10】
被検試料が、食品素材であり、抗原が食品素材中に含まれる有害タンパク質抗原であることを特徴とする請求項1~7のいずれか記載の蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定法。

【請求項11】
検出及び/又は測定する抗原のエピト-プを標的とする蛍光標識化された蛍光標識抗体断片、及び、抗原の他のエピト-プを標的とする非蛍光標識化完全型抗体からなる、蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定用の検出試薬。

【請求項12】
請求項11記載の検出試薬を装備した、蛍光相関分光法による抗原の迅速検出及び/又は測定用キット。
産業区分
  • 試験、検査
  • 治療衛生
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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