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ハイブリット複合体を表面に備える体内留置型医療用デバイスの製造方法

国内特許コード P110003400
整理番号 K020P52
掲載日 2011年6月21日
出願番号 特願2004-321101
公開番号 特開2006-130007
登録番号 特許第4570445号
出願日 平成16年11月4日(2004.11.4)
公開日 平成18年5月25日(2006.5.25)
登録日 平成22年8月20日(2010.8.20)
発明者
  • 古薗 勉
  • 安田 昌司
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 財団法人ヒューマンサイエンス振興財団
発明の名称 ハイブリット複合体を表面に備える体内留置型医療用デバイスの製造方法
発明の概要 【課題】 本発明は、生体組織、特に軟組織と迅速に接着する性質を有するリン酸カルシウムと高分子基材との複合体、および酸化チタンと高分子基材との複合体、並びに前記複合体の製造方法、前記複合体を用いた医療用材料を提供することを目的とする。
【解決手段】 アルコキシル基を表面に導入した繊維状シルクフィブロインにハイドロキシアパタイト焼結体粒子を化学結合させて作製した複合体を経皮端子の表面に被覆し、さらに前記複合体の表面に歯根膜細胞もしくは骨髄細胞を被覆する。このようにして作製した経皮端子を、ラットに埋植したところ、埋植後3日において結合組織の早期伸展が認められた。これは、当該経皮端子と生体組織(軟組織)が早期に接着していることを示している。
【選択図】 図7
従来技術、競合技術の概要


シリコーンゴムや、ポリウレタン等の高分子基材は、生体不活性、長期安定性、強度および柔軟性等の特性を有しており、例えば経皮カテーテル用の医療用材料として広く用いられている。しかし、上記例示の高分子基材は生体不活性であるために、上記例示の高分子基材を医療用材料として用いる場合には、経皮部において生体組織との接着が起こらず、皮膚のダウングロース(上皮組織がカテーテル表面に沿って内部へ陥入していく現象)、および陥入部位における細菌感染の危険性が常に問題となっている。



一方、例えばハイドロキシアパタイト等のリン酸カルシウムは、生体活性材料として医療分野において広く用いられている。当該リン酸カルシウムは、単独、または無機材料や有機材料と複合化させて医療分野に利用されている。上記リン酸カルシウムは、例えば、経皮カテーテル等の部材として使用されている。



しかし、上記リン酸カルシウムは、脆く、成形性が悪く、および金属部材との結合性がない。従って、例えば、上記リン酸カルシウムを経皮カテーテルとして用いた場合には、金属性部材とリン酸カルシウム端子との間隙から細菌感染が起こる可能性がある等の問題があった。



そこで、このような問題を解消する手法の一つとして、例えば、上記高分子基材の表面にハイドロキシアパタイト等のリン酸カルシウムを修飾したリン酸カルシウム複合体を用いることが提案されている。



そして、上記高分子基材の表面に、リン酸カルシウムを修飾する方法としては、具体的には、例えば、ガラスとの複合化により修飾する方法(特許文献1参照)、生体模倣反応を利用して修飾する方法(特許文献2参照)、交互浸漬法を利用して修飾する方法(特許文献3参照)などが行われている。これらのリン酸カルシウムは、結晶構造がアモスファス(非晶質)であり、生体内で溶解しやすく生体活性の持続が十分でないという問題点がある。



また、高結晶性リン酸カルシウムラミックスを、高分子基材表面へ修飾する方法としては、接着剤もしくは高分子基材を溶融することにより複合化する製造方法(特許文献4参照)や、スパッタリングイオンビームを用いて修飾する方法(特許文献5参照)や、プラズマ処理を用いて修飾する方法(特許文献6,7参照)、レーザーアブレーションを用いて修飾する方法(特許文献5参照)などがあるが、これは高分子基材の物性を損なう恐れがあり、スパッタリングイオンビーム法、プラズマ処理法、レーザーアブレーション法で行われたものはリン酸カルシウム粒子が均一でなく、また単に吸着しているだけであるため基材と粒子との間の結合力は十分でなく、高分子基材からリン酸カルシウム粒子が剥離する恐れがある。



一方、酸化チタンは、白色顔料としての特性を利用して塗料、合成樹脂、インキ、製紙、化学繊維等に混合・複合化されている。また、酸化チタンは、光触媒として脱臭材、防汚材、抗菌・抗ウィルス・防カビ材、防曇材、水処理材、抗癌剤(材)等に用いられている。また、上記酸化チタンは、化学的に極めて安定で毒性がない物質として知られている。具体的には、例えば、16ヶ月間飼料中に酸化チタンを添加して与えた動物試験(非特許文献1参照)、皮下注射、粉末吸入を行なった動物試験(非特許文献2参照)においても中毒症状が認められないことが報告されている。さらに、経口投与しても発癌性がないことが報告されている(非特許文献3参照)。



このような酸化チタンを医療用材料として使用したのものとしては、高い隠ぺい力による歯科用レジンコンポジット充填剤(非特許文献4参照)や、光触媒効果による抗癌剤(非特許文献5参照)、液体含有物非付着性カテーテルが提案されている。



そして、医療用材料として好適な、これら酸化チタンと上記高分子基材とを複合化させた酸化チタン複合体が提案されている。



上記酸化チタン複合体の製造方法としては、具体的には、例えば、すき込み、または、溶融による混合がある。また、高分子基材の表面に酸化チタンをコーティングする方法としては、例えば、ディップ法、スピンコート法、スプレー法、スクリーン印刷法等がある。



しかしながら、上記製造方法によって製造された酸化チタン複合体では、高分子基材および酸化チタンが本来有する性質が変化する、または、酸化チタンが高分子基材から剥離するという問題点がある。



具体的には、すき込み、または、溶融によって製造された酸化チタン複合体の場合には、製造過程において、本来酸化チタンまたは高分子基材が本来有する物性を損なう、または、物性が変化してしまう。



また、例えば、高分子基材の表面に、酸化チタンを上記コーティングする方法によって製造された酸化チタン複合体は、高分子基材の表面に酸化チタンを塗布しただけである、つまり、酸化チタンを物理的に接着または吸着させている。従って、酸化チタンが高分子基材の表面から簡単に剥離することとなる。このように、高分子基材から酸化チタンが簡単に剥離してしまうと、酸化チタン複合体としての機能を発揮することができない。



従って、酸化チタンおよび高分子基材の本来有する物性を損なわせることなく、簡単、かつ、高分子基材の表面に酸化チタンが強固に結合された、酸化チタン複合体およびその製造方法が求められている。



以上の問題点を解決するために、本発明者らが開発した方法が、例えば特許文献8~特許文献10に開示されている。これらの技術は、リン酸カルシウムもしくは酸化チタンと化学的に結合する活性基を有する低分子もしくは高分子鎖を高分子基材表面に化学修飾することによって、化学結合を介してリン酸カルシウムもしくは酸化チタンと高分子基材との複合体形成させるという方法である。これらの方法により、上記問題点は解決された。
【特許文献1】
特開昭63-270061号公報(公開日;1988年11月8日)
【特許文献2】
特開平7-303691号公報(公開日;1995年11月21日)
【特許文献3】
特開2000-342676号公報(公開日;2000年12月12日)
【特許文献4】
特開平10-15061号公報(公開日;1998年1月10日)
【特許文献5】
特開2003-52805号公報(公開日;2003年2月25日)
【特許文献6】
特開平8-56963号公報(公開日;1996年3月5日)
【特許文献7】
特開2001-190653号公報(公開日;2001年7月17日)
【特許文献8】
特開2001-172511号公報(公開日;2001年6月26日)
【特許文献9】
特開2004-51954号公報(公開日;2004年2月19日)
【特許文献10】
特開2004-143417号公報(公開日;2004年5月20日)
【非特許文献1】
L.Herget,Chem.Ztg.,82,793(1929)
【非特許文献2】
L.Vernettiblinate,Riforma.Med.Naples,44,15,16(1928)
【非特許文献3】
清野 学著、「酸化チタン-物性と応用技術」、技術堂出版株式会社、p80
【非特許文献4】
K.Yoshida,et al.,J.Biomed.Mater.Res.Appl.Biomater.,58,525(2001)
【非特許文献5】
R.Cai,et al.,Cancer Res.,52,2346(1992)

産業上の利用分野


本発明は、体内留置型医療用デバイス用の医療材料として利用可能な複合体であって、迅速な細胞親和性および長期間細胞接着安定性を両立するハイブリット複合体、およびその製造方法、並びにそれを用いた医療用材料に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
リン酸カルシウムまたは酸化チタンと高分子基材とが化学結合してなる複合体の表面の少なくとも一部が、さらに自家細胞および/またはES細胞で被覆されてなるハイブリット複合体を表面に備える体内留置型医療用デバイスの製造方法であって、以下の(3)または(4)であることを特徴とする体内留置型医療用デバイスの製造方法:
(3)前記自家細胞および/またはES細胞を、前記複合体を含む液体培地が入った培養容器中で、当該培養容器を回転させつつ培養してハイブリット複合体を取得し、当該ハイブリッド複合体を用いて体内留置型医療用デバイスを製造する工程を含む体内留置型医療用デバイスの製造方法;
(4)前記複合体を表面に備える体内留置型医療用デバイスを含む液体培地が入った培養容器中で、前記自家細胞および/またはES細胞を培養する際に、当該体内留置型医療用デバイスを回転させつつ培養する工程を含むことを特徴とする体内留置型医療用デバイスの製造方法

【請求項2】
上記(3)において自家細胞および/またはES細胞と複合体とが接触しやすいような角度で培養容器を回転させ、
上記(4)において自家細胞および/またはES細胞と体内留置型医療用デバイスとが接触しやすいような角度で体内留置型医療用デバイスを回転させることを特徴とする請求項1に記載の体内留置型医療用デバイスの製造方法

【請求項3】
上記(3)において5分から2時間間隔で培養容器を回転させつつ培養し、
上記(4)において5分から2時間間隔で体内留置型医療用デバイスを回転させつつ培養することを特徴とする請求項1または2に記載の体内留置型医療用デバイスの製造方法

【請求項4】
上記体内留置型医療用デバイスが、経皮デバイス、腹膜透析用カテーテル、人工肛門、人工膀胱、ステント、ステントグラフト、人工血管、シャント、人工心臓、ペースメーカー、または人工靭帯である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の体内留置型医療用デバイスの製造方法

【請求項5】
上記自家細胞が、歯根膜細胞、骨髄細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞、およびES細胞からなる群より選ばれる物質、またはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の体内留置型医療用デバイスの製造方法
国際特許分類(IPC)
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JP2004321101thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ ナノと物性 領域
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