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高生体親和性を持つ多孔質インプラント及びその製造方法

国内特許コード P110003402
整理番号 RJ007P99
掲載日 2011年6月21日
出願番号 特願2004-327663
公開番号 特開2006-136457
登録番号 特許第4522822号
出願日 平成16年11月11日(2004.11.11)
公開日 平成18年6月1日(2006.6.1)
登録日 平成22年6月4日(2010.6.4)
発明者
  • 本津 茂樹
  • 速水 尚
  • 西川 博昭
  • 楠 正暢
  • 川島 将実
出願人
  • 学校法人近畿大学
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 高生体親和性を持つ多孔質インプラント及びその製造方法
発明の概要

【課題】被覆した生体親和性セラミックスが表面から剥離したり、生体内で早期に溶解したりすることなく、より強固、且つ、より短期間に生体骨と固定する多孔質インプラント及びその製造方法を提供する。
【解決手段】多孔質インプラントを構成するインプラント基体11は多孔質層12を備えており、前記多孔質層12中には多数の空孔13a、13bが三次元的に分布している。また、多孔質層12には、表面側に開口している空孔13aとインプラント基体側の空孔13bとが連通してなる開気孔13が存在しており、開気孔13を構成するインプラント基体11側の空孔表面13bの表面まで、生体親和性セラミックスからなる薄膜14が被覆している。なお、生体親和性セラミックスによる被覆は、レーザーアブレーション法によって、雰囲気ガスのガス圧が高い条件下で行う。
【選択図】図2

従来技術、競合技術の概要


社会の高齢化に伴って、骨粗鬆症、腿骨頸部骨折、関節リウマチ、歯周病等の骨や歯根に損傷を受けた患者が増加しており、このような患者に対しては、患部をインプラントと呼ばれる人工骨、人工関節、人工歯根などと置換する手術、例えば、人工骨頭置換術、人工関節置換術が行われることがある。



このような人工関節や人工歯根は、機械的強度や化学的安定性に優れた純チタン、チタン合金、ステンレスなどの金属から製造されており、このようなインプラントを大腿骨や歯槽骨などの生体骨に固着する方法としては、大きく分けて、骨セメントを使用する方法と、インプラントの表面を粗面化する方法と、インプラントの表面を改質する方法とがある。



骨セメントを使用する方法は、骨セメントと呼ばれるアクリル系樹脂をインプラントと生体骨の隙間に注入してインプラントと生体骨とを固着する方法であるが、患者によっては、骨折や神経の圧迫による痛み等の合併症、血圧低下、ショックが生じることもあり、場合によっては死に至ることもあった。そのため、最近では他の方法が検討されている。



また、インプラントの表面を粗面化する方法は、インプラント表面を粗くすることで表面積を増大させ、骨とインプラント表面の凹凸とのアンカリング効果を生じさせることにより、インプラントの表面と生体骨との間の機械的摩擦を増やし、インプラントを生体骨に固定する方法である。そして、粗面化の具体的な方法としては、陽極酸化、サンドブラスト等により表面処理する方法、純チタンやチタン合金のビ-ズをインプラント基体表面に数層焼き付けて多孔質する方法(例えば、特許文献1参照。)、ファイバーメッシュをインプラント基体に固着させる方法(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)等が挙げられる。



さらに、インプラントの表面を改質する方法は、上記の粗面化する方法よりもより強固に固定できる方法であり、具体的には、インプラント表面に骨等の生体硬組織の主成分であるHAp等の生体親和性セラミックスからなる薄膜を被覆して、インプラントに生体親和性を付与させるとともに、生体親和性セラミックスの骨伝導能により、インプラントを骨と直接結合させて強固に固定する方法である(例えば、特許文献4参照。)。なお、 生体親和性セラミックスをインプラント表面に被覆する技術としては、プラズマ溶射法(例えば、特許文献5参照)が最もよく知られている。



しかし、プラズマ溶射法によってインプラントに生体親和性セラミックスを被覆すると、被覆被膜の厚さが数10μm以上と厚くなって機械的強度が損なわれ、被覆皮膜が剥離するという問題があった。



また、生体親和性セラミックスの融点を超える高温で溶射するため、組成の均一性や結晶性に欠け、固定化する前に生体内で早期に溶解する結果、再手術が必要になるとの問題点もあった。



これらに加えて、インプラント表面の粗面化と生体親和性による相乗効果よって、より強固、且つ、より短期間にインプラントと生体骨とが固定することを期待して、インプラント基体の表面に多孔質層を設けた多孔質インプラント等のように、表面構造が複雑なインプラントに生体親和性セラミックスを被覆することが試みられた(例えば、非特許文献1参照。)。



しかし、プラズマ溶射法による被覆は瞬時に多量のHApを溶射するため、インプラントの表面で目詰まりを起こしてしまい、HApは多孔質インプラントの内部は被覆できず、期待したほど強固、且つ、短期間にインプラントと生体骨とは固定しなかった

【特許文献1】特開2000-288002号公報

【特許文献2】特表2002-535109号公報

【特許文献3】特開2003-220128号公報

【特許文献4】特開平05-57011号公報

【特許文献5】特開平08-117250号公報

【非特許文献1】林和生、人工関節とハイドロキシアパタイト、 バイオマテリアル、 2002, 20-5 、P.322-328.

産業上の利用分野


この発明は、歯や骨など生体硬組織の欠損を補うために使用する多孔質インプラント及びその製造方法に関するものであり、特に、ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO4 6 (OH)2 、以下「HAp」と略す。)等の生体親和性セラミックスを用いて、骨等の生体組織との親和性を高めた多孔質インプラント及びその製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
インプラント基体の表面の一部又は全部に多孔質層を備え、多孔質層中に多孔質層の表面側に開口している空孔及びインプラント基体側に開口している空孔が多数分布しているとともに、多孔質層の表面側に開口している空孔とインプラント基体側に開口している空孔とが非直線的に連通してなる開気孔が存在し、
開気孔を構成するインプラント基体側の空孔表面の少なくとも一部を、レーザーアブレーション法によって、生体親和性セラミックスからなる薄膜で被覆してなる多孔質インプラントであって、
生体親和性セラミックスからなる薄膜を、レーザーアブレーション装置内において、試料から30cm離れた付近の圧力をサーモカップル真空計で測定したときの水蒸気または水蒸気含有ガスのガス圧が1.07~1.33Paとなる条件下で、形成してなる多孔質インプラント。

【請求項2】
薄膜を異なる複数の材料により構成することを特徴とする請求項1に記載の多孔質インプラント。

【請求項3】
薄膜をハイドロキシアパタイトにより構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質インプラント。

【請求項4】
薄膜をリン酸三カルシウムにより構成することを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質インプラント。

【請求項5】
多孔質層をインプラント基体の表面に純チタン又はチタン合金からなるビーズを数層焼
き付けて形成することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の多孔質インプラント。

【請求項6】
インプラント基体と多孔質層とが一体化しており、多孔質インプラントの形状に細線を
圧縮成形して製造することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の多孔質インプラント。

【請求項7】
インプラント基体の表面の一部又は全部に多孔質層を備え、多孔質層中に多孔質層の表面側に開口している空孔及びインプラント基体側に開口している空孔が多数分布しているとともに、多孔質層の表面側に開口している空孔とインプラント基体側に開口している空孔とが非直線的に連通してなる開気孔が存在する多孔質インプラントに、レーザーアブレーション法により生体親和性セラミックスからなる薄膜を形成する際に、レーザーアブレーション装置内において、試料から30cm離れた付近の圧力をサーモカップル真空計で測定したときの水蒸気または水蒸気含有ガスのガス圧が1.07~1.33Paとなる条件下で、薄膜を形成することを特徴とする多孔質インプラントの製造方法。

【請求項8】
多孔質インプラントを回転しながら、薄膜を形成することを特徴とする請求項7に記載
の多孔質インプラントの製造方法。

【請求項9】
薄膜を形成したのち、高温水蒸気中で熱処理を行うことを特徴とする請求項8に記載の
多孔質インプラントの製造方法。
産業区分
  • 治療衛生
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2004327663thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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