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多環縮環型π共役有機材料、およびその合成中間体、並びに多環縮環型π共役有機材料の製造方法 コモンズ

国内特許コード P110003431
整理番号 K056P21
掲載日 2011年6月21日
出願番号 特願2004-530587
登録番号 特許第4408416号
出願日 平成15年8月20日(2003.8.20)
登録日 平成21年11月20日(2009.11.20)
国際出願番号 JP2003010538
国際公開番号 WO2004018488
国際出願日 平成15年8月20日(2003.8.20)
国際公開日 平成16年3月4日(2004.3.4)
優先権データ
  • 特願2002-244315 (2002.8.23) JP
発明者
  • 山口 茂弘
  • 徐 彩虹
  • 玉尾 皓平
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 多環縮環型π共役有機材料、およびその合成中間体、並びに多環縮環型π共役有機材料の製造方法 コモンズ
発明の概要 有機ケイ素を置換基に有するベンゼン環を炭化水素として、三重結合を備えた直鎖式炭化水素(アリールアセチレン系化合物、フェニルアセチレン系化合物)に対して、金属還元剤を反応させることにより、ケイ素と三重結合を有する炭素との間にて分子内還元的環化反応を進行させて得られる多環縮環型π共役有機材料、およびその製造方法。有機電界発光(EL)素子等の発光材料や、電荷輸送材料に適用可能な多環縮環型π共役有機材料、その合成中間体、および多環縮環型π共役有機材料の製造方法を提供する。
従来技術、競合技術の概要


従来、電界発光(EL)する発光素子を用いた表示装置は、小電力化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料から成るEL発光素子は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。



特に、光の三原色の一つである青色をはじめとする発光特性を有する有機材料の開発、および正孔、電子などの電荷輸送能(半導体や超電導体となる可能性を有する)を備えた有機材料の開発は、高分子化合物、低分子化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。



しかし、色純度、発光効率の点、あるいは電荷(キャリヤー)移動度およびキャリヤー注入の点で、本当に優れた特性を備えた有機材料は依然限られており、現在、この分野における最大の課題の一つとなっている。



高発光効率および高電荷輸送能を備えた有機材料の設計においては、高い平面性をもつπ共役系骨格を有する分子を構築することが有効な方法の一つとして挙げられている。その端的な例として、下記のtrans-スチルベンは、室温、溶液状態で0.05以下の蛍光量子収率しか発揮できないのに対し、その骨格をメチレン鎖で架橋した、下記の5,10-ジヒドロインデノ[2,1-a]インデンは、室温でも1に近い蛍光量子収率を発揮できることが知られている(J. Saltiel, A. Marinari, D. W. L. Chang, J. C. Mitchener, and E. D. Megarity, J. Am. Chem. Soc., Vol.101, pp2982 (1979)、J. Saltiel, O. C. Zafiriou, E. D. Megarity, and A. A. Lamola, J. Am. Chem. Soc., Vol.90, pp4759 (1968))。



【化1】




本発明者らは、上記のメチレン鎖をケイ素置換基に置き換えることを考えた。ケイ素で置き換えた場合も、メチレン鎖の場合と同様に高い発光効率を発揮できる。それに加え、ケイ素を導入した場合、ケイ素の置換基効果により高い電荷輸送能も併せ持たせることが可能となる。



これは、シクロペンタジエンのケイ素類縁体であるシラシクロペンタジエン(シロール)環(上記化学式を参照)を含むπ共役化合物が高い電子移動度をもち、電子輸送材料として極めて高い特性を有することが知られているからである(M. Uchida, T. Izumizawa, T. Nakano, S. Yamaguchi, K. Tamao, K. Furukawa, Chem. Mater., Vol.13, pp268 (2001))。



このような化合物としては、5,5,10,10-テトラメチル-5,10-ジシラ-5,10-ジヒドロインデノ[2,1-a]インデンが、下記の反応式(I)に示す方法により得られることが知られている(M. Serby, S. Ijadi-Maghsoodi, and T. J. Barton, XXXIIIth Symposium on Organosilicon Chemistry, Abstract No. PA-35, April 6-8, 2000, Saginaw, Michigan, USA)。
反応式(I)



【化2】




しかし、その合成法は、下記の反応式に示すように、特殊な高温熱分解反応によるものであり、(1) 大量合成に向かない、(2) 高分子合成に必要な官能基をもつ誘導体の合成に向かない、および(3) 多環縮環型の化合物の合成に応用できないといった合成上の致命的な制約があった。



本発明者らは、これらの各制約を克服すべく、概念的に新しい合成法の開発に取り組み、本発明に至った。

産業上の利用分野


本発明は、有機電界発光(EL)素子等の発光材料や、電荷輸送材料に適用可能な多環縮環型π共役有機材料、その合成中間体、および多環縮環型π共役有機材料の製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
多環縮環型π共役有機材料は、下記の式(1)
【化1】


[式(1)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、R3は、水素原子,アルキル基,アルキルチオ基,アリールアルキル基,アリールチオ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基や,アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは1~50の値をとり、nは0~4の値をとる]にて表される化合物を有するものである。

【請求項2】
請求の範囲第1項に記載の多環縮環型π共役有機材料は、前記化合物が、下記の式(2)
【化2】


にて表されるものである。

【請求項3】
多環縮環型π共役有機材料は、下記の式(3)
【化3】


[式(3)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、また、R3は、アルキル基,アルキルチオ基,アリールアルキル基,アリールチオ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基や,アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、nは1~4の値をとる]にて表されるものである。

【請求項4】
多環縮環型π共役有機材料は、下記式(4)
【化4】


[式(4)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、また、R4は、アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは0~50の値をとる]にて表される化合物を繰り返し単位として含み、ポリスチレン換算の数平均分子量が103~108の重合体である。

【請求項5】
請求の範囲第4項に記載の多環縮環型π共役有機材料は、前記化合物が、下記の式(5)
【化5】


にて表されるものである。

【請求項6】
請求の範囲第4項に記載の多環縮環型π共役有機材料は、前記化合物が、下記の式(6)
【化6】


にて表されるものである。

【請求項7】
請求の範囲第4項に記載の多環縮環型π共役有機材料は、前記重合体が、さらに、下記の式(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、および(12)
【化7】


[式(7)~(12)中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、およびAr6は、それぞれ独立に、アリーレン基,2価の複素環基,または金属錯体構造を有する2価の基を示し、X1、X2、X3、X4、およびX5は、それぞれ独立に、-CR4=CR5-,-C≡C-,-N(R6)-,-B(R7)-,または-(SiR89)q-を示し、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アリール基,1価の複素環基,カルボキシル基,またはシアノ基を示し、R6、R7、R8、およびR9は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アリール基,1価の複素環基,またはアリールアルキル基を示し、o、p、およびqは、それぞれ独立に、1~12の整数を示す]からなる群から選択される少なくとも一つの繰り返し単位を含むものである。

【請求項8】
多環縮環型π共役有機材料の合成中間体は、下記式(13)
【化8】


[式(13)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、また、R4は、アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは0~50の値をとり、Y3、およびY4は、それぞれ独立に、リチウム,カリウム,ナトリウム,ハロゲン化マグネシウム,マグネシウムアミド,またはジアルキル亜鉛を示す]にて表される化合物である。

【請求項9】
多環縮環型π共役有機材料の合成中間体は、下記式(14)
【化9】


[式(14)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、また、R4は、アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは0~50の値をとり、Y5、およびY6は、それぞれ独立に、ハロゲン原子,ハロゲン化マグネシウム,アルキルマグネシウム,ジアルキル亜鉛,ハロゲン化亜鉛,シリル基,スタンニル基,ボロン酸,またはボロン酸エステルを示す]にて表される化合物である。

【請求項10】
多環縮環型π共役有機材料の合成中間体は、下記式(15)
【化10】


[式(15)中、Y1、およびY2は、それぞれ独立に、水素原子,ハロゲン原子,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリールオキシ基,アリールチオ基,シリル基,またはスタンニル基を示し、また、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、R3は、水素原子,アルキル基,アルキルチオ基,アリールアルキル基,アリールチオ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基や,アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは0~50の値をとり、nは0~4の値をとる]にて表される化合物である。

【請求項11】
多環縮環型π共役有機材料の製造方法は、有機ケイ素基を有するアリールアセチレン系化合物に対して、金属還元剤を反応させ、分子内還元的環化反応を進行させて、下記の式(1)
【化11】


[式(1)中、R1、およびR2は、それぞれ独立に、水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルチオ基,アリール基,アリールオキシ基,アリールチオ基,アリールアルキル基,アリールアルコキシ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基,アミノ基,シリル基,シリルオキシ基,1価の複素環基,フッ化アルキル基,またはハロゲン原子を示し、R3は、水素原子,アルキル基,アルキルチオ基,アリールアルキル基,アリールチオ基,アリールアルキルチオ基,アリールアルケニル基,アリールアルキニル基や,アルコキシ基,アリールオキシ基,アリールアルコキシ基,アミノ基,ハロゲン原子,トリフルオロメチル基,カルバモイル基,イミノ基,オキサゾリジル基,アミノアルキル基,アルコキシアルキル基,スルフォ基,リン酸エステル基,シアノ基,アリール基,またはエチニル基であるオルト位活性化効果を有する置換基を示し、mは0~50の値をとり、nは0~4の値をとる]にて表される化合物を得るものである。

【請求項12】
請求の範囲第11項に記載の多環縮環型π共役有機材料の製造方法は、アリールアセチレン系化合物が、フェニルアセチレン系化合物である。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 合成と制御 領域
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