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微細突起構造体及びその製造方法 コモンズ

国内特許コード P110003438
整理番号 Y03-P188
掲載日 2011年6月21日
出願番号 特願2004-555064
登録番号 特許第4390708号
出願日 平成15年11月27日(2003.11.27)
登録日 平成21年10月16日(2009.10.16)
国際出願番号 JP2003015171
国際公開番号 WO2004048064
国際出願日 平成15年11月27日(2003.11.27)
国際公開日 平成16年6月10日(2004.6.10)
優先権データ
  • 特願2002-344513 (2002.11.27) JP
  • 特願2003-356881 (2003.10.16) JP
発明者
  • 田中 賢
  • 下村 正嗣
  • 竹林 允史
  • 藪 浩
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 微細突起構造体及びその製造方法 コモンズ
発明の概要 ポリマーを溶解して含む疎水性有機溶媒溶液を基板上にキャストし、湿分を含んでいる雰囲気の下で該有機溶媒を蒸発させ、該キャスト液表面の雰囲気に含まれている湿分を該キャスト液表面で微小水滴に凝縮、結露させ、該液表面又は液中に最密充填構造に分散させ、次いでこの結露し液表面又は液中に分散してなる微小水滴を蒸発させる事で水滴を鋳型とする多孔質ハニカム構造体を得、次いでこの構造体を、厚み方向に剥離することによって少なくとも二分して、これによって剥離面に規則的に配列してなる微細突起あるいは異方性微細突起を有してなる多孔質ハニカム構造の薄膜構造体。
従来技術、競合技術の概要




最近、生化学の分野を中心として、細胞工学、培養工学におけるスカフォールト材料として、表面に微細な孔等が規則的に形成され、配列してなる基材が、後述するように各種学術文献、技術報文等において相次ぎ提案、発表されている。
これら提案による各基材は、特異な表面構造を有していることから、医用分野は勿論のこと、これに限らず、各種技術分野への応用、適用が検討され、例えば半導体、低誘電率材料、電子ディスプレイ用散乱層、磁気記録材料、フォトニック結晶、細胞培養用基材など多様な用途への使用、応用も含めて検討され、有望な素材の一つとして注目されている。
しかしながら、このような微細な孔が規則的に配列した構造のものを、通常の微細加工技術によって作製しようとすると、以下に記載するような点において問題があり、極めて困難であり、必ずしも現実的に適正な手段とは到底言えないものである。例えば、微細加工方法としては、リソグラフィーやレーザーによる加工方法が知られ、挙げられるが、これらの方法では、その加工できる材料に制限があることに加え、細密な微細加工を無数と言ってもいいほどに相当数、形成すること、それも規則的に形成する等の作業は極めて困難である。相当熟練した者による場合であっても、加工工程が多く、相当の時間を要するものであることは想像するに難くない。当然高コストを要するものである。
これに対して、いわゆる相分離法によってマイクロパターンを形成させる方法も知られているが、その得られた表面の状態は、再現性において問題があり、得られたものは不均質なパターンであり、特定の規則性を持ったものを得るマイクロパターン形成技術としては不十分なものであった。
何れにしても、これら従来のマイクロパターン化技術を使った表面加工は、非常に高度な技術が必要であり、大量生産が出来ないこと、高コストになること、などの点で多くの問題を抱えているものであった。



以上に対して、最近、ポリマーの希薄溶液を固体基板上にキャストすることで、比較的簡単に微細な規則的パターンが形成されることが各種文献に報告されている。これについては、本発明者等を含む研究グループにおいても提案しているところである(非特許文献1参照、)。この方法は、高分子の希薄溶液をキャストし、溶媒を蒸発させることによって高分子ポリマーに微細構造のドット(突起)パターンを形成するものである。しかしながら、この提案による方法は、その突起の配列を制御可能に規則性を持ったマイクロドットとするまでには至っておらず、不十分なものであった。



また、微細構造として、微細なハニカムパターンを有してなる多孔質膜を形成することも提案されている(非特許文献2、非特許文献3)。この方法は、自己凝集力の強い部分と柔軟性を発現する部分とを併せ持つ特殊なポリマーを利用し、これらのポリマーを疎水性有機溶液に溶解し、キャストすることによって該パターンを形成するものである。



なお、この方法についても、本発明者等グループにおいて鋭意研究した結果、キャストするポリマーとして、特定のポリマーを選択することにより、特有なハニカム構造を持ってなる微細構造体を作製することに成功し、その成果については技術論文において発表、報告した(非特許文献4、非特許文献5)。
すなわち、該ポリマーの構成成分として、親水性のアクリルアミドポリマーを主鎖骨格とし、疎水性側鎖としてドデシル基と親水性側鎖としてラクトース基或いはカルボキシル基を併せ持つ両親媒性ポリマー、或いはヘパリンやデキストラン硫酸などのアニオン性多糖と4級の長鎖アルキルアンモニウム塩とのイオン性錯体を使用することによって、ハニカムパターン構造を有する多孔質薄膜を生成しうることに成功したものである。



本発明者らにおいては、また、様々な生分解性ポリマーで作製してなる多孔質ハニカム構造膜が細胞培養基材として極めて有望な材料であることについても知見し、これに基づいて特許出願した(特許文献1参照)。
この特許出願で、本発明者らの提案した作製方法は、濃度調整した疎水性有機溶液のキャスト膜に高湿度の空気を吹き付ける、または高湿度下に置くだけで作製するという、極めて簡便で製造コストにおいて利点のある、優れた手法である。
その際、孔の鋳型になる水滴径を変化させることで、多孔質膜の孔径を0.1~100μmの範囲で制御することが出来るもので、非常に独自性に富み、優れた提案であると言うことができる。



【非特許文献1】
Chemistry Letters,821,1996.
【非特許文献2】
Science 283,373,1999
【非特許文献3】
Nature 369,387,1994
【非特許文献4】
Thin Solid films 327,829,1998
【非特許文献5】
Moleculer Cryst.Liq.Cryst.322,305,1998
【特許文献1】
特開2001-157574号公報

産業上の利用分野




本発明は、極めて特異な表面状態を呈してなる微細突起構造体、すなわち、超微細な突起が基材表面に所定間隔で規則的に配列してなる多孔質薄膜構造体とその製造方法に関する。さらには超微細な突起が基材表面に所定間隔で規則的に配列し、撥水性表面、あるいは親水性表面を有してなる多孔質薄膜構造体とその製造方法に関する。何れにしてもその表面形状の特異性から、微細突起のない、あるいは不規則な突起構造のものに比し、優れた作用効果が奏せられるものと期待され、これによって細胞培養工学、医用スカフォールト材料を始めとして、半導体、記録材料、スクリーン、セパレータ、イオン交換膜、電池隔膜材料、ディスプレイ、光学材料、導波管、音響機器材料等各種技術分野において応用、使用が期待される微細突起構造体に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
基材表面に微細突起が規則的に配列してなる微細突起構造体であって、前記基材及びその微細突起が、ポリマーを含み、必要に応じ変性材を含む多孔質ハニカム構造体を前駆体とし、この前駆体を厚み方向に剥離して得られることを特徴とする、微細突起構造体。

【請求項2】
基材表面に微細突起が規則的に配列し、撥水性表面を有してなることを特徴とする、請求項1記載の微細突起構造体。

【請求項3】
基材表面に微細突起が規則的に配列し、親水性化処理によって親水性表面を有してなることを特徴とする、請求項1記載の微細突起構造体。

【請求項4】
前記前駆体及びこの前駆体から得られてなる基材が、薄膜状を呈している、請求項1乃至3の何れか1項記載の微細突起構造体。

【請求項5】
前記微細突起が、長さ0.1~50μm、先端部分の長さ0.01~20μm、突起間隔0.1~100μmに配列してなることを特徴とする、請求項1乃至の何れか1項記載の微細突起構造体。

【請求項6】
前記ポリマーが疎水性あるいは生分解性ポリマーを含み、両親媒性ポリマーを含んでいる、請求項1乃至5の何れか1項記載の微細突起構造体。

【請求項7】
前記疎水性あるいは生分解性ポリマー、および両親媒性ポリマーの含有割合が、疎水性あるいは生分解性ポリマーが50~99%、残部両親媒性ポリマーである、請求項記載の微細突起構造体。

【請求項8】
前記疎水性あるいは生分解性ポリマーとして、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、又はポリスチレンを使用する、請求項又は記載の微細突起構造体。

【請求項9】
ポリマーを溶解して含む疎水性有機溶媒溶液を基板上にキャストし、湿分を含んでいる雰囲気の下で該有機溶媒を蒸発させ、該キャスト液表面の雰囲気に含まれている湿分を該キャスト液表面で微小水滴に凝縮、結露させ、該液表面又は液中に最密充填構造に分散させ、次いでこの結露し液表面又は液中に分散してなる微小水滴を蒸発させる事で水滴を鋳型とする多孔質ハニカム構造体を得、次いでこの構造体を、厚み方向に剥離することによって少なくとも二つに分離し、前記分離によって微細突起が剥離面に規則的に形成され、配列してなるハニカム構造体を得ることを特徴とする、請求項1乃至の何れか1項記載の微細突起構造体。

【請求項10】
前記微細突起が垂直方向以外の任意方向に指向され、異方性を有して設定されていることを特徴とする、請求項1乃至の何れか1項記載の微細突起構造体。

【請求項11】
前記異方性を有する微細突起が、微細突起の前駆体である多孔質ハニカム構造体を厚み方向に剥離する際、生成する微細突起が、厚み方向以外に任意の方向に指向するよう、横ずり応力を含む剥離処理によって得られることを特徴とする、請求項10記載の微細突起構造体。

【請求項12】
前記親水性化処理が、化学的修飾処理、オゾン酸化処理、アルカリ処理の何れか一つまたはそれらの組み合わせである請求項3記載の微細突起構造体。

【請求項13】
ポリマーを溶解して含む疎水性有機溶媒溶液を基板上にキャストし、湿分を含んでいる雰囲気の下で該有機溶媒を蒸発させ、該キャスト液表面の雰囲気に含まれている湿分を該キャスト液表面で微小水滴に凝縮、結露させ、該液表面又は液中に最密充填構造に分散させ、次いでこの結露し液表面又は液中に分散してなる微小水滴を蒸発させる事で水滴を鋳型とする多孔質ハニカム構造体を得、次いでこの構造体を、厚み方向に剥離することによって少なくとも二つに分離し、これによって微細突起が剥離面に規則的に配列してなるハニカム構造体を得ることを特徴とする、微細突起構造体の製造方法。

【請求項14】
前記ポリマーが疎水性あるいは生分解性ポリマーと両親媒性ポリマーとから構成され、必要に応じて変性材が配合されていることを特徴とする、請求項13記載の微細突起構造体の製造方法。

【請求項15】
前記疎水性あるいは生分解性ポリマーと両親媒性ポリマーの組成割合が、疎水性あるいは生分解性ポリマーが50~99%、残部両親媒性ポリマーである、請求項14記載の微細突起構造体の製造方法。

【請求項16】
前記疎水性あるいは生分解性ポリマーが、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、又はポリスチレンを基本骨格としたポリマーよりなることを特徴とする、請求項14又は15記載の微細突起構造体の製造方法。

【請求項17】
前記湿分を含んでいる雰囲気が、相対湿度50~95%に調製された雰囲気である、請求項13記載の微細突起構造体の製造方法。

【請求項18】
前記雰囲気が、通常の大気であることを特徴とする、請求項13又は17に記載の微細突起構造体の製造方法。

【請求項19】
前記湿分を含んでいる雰囲気の下で該有機溶媒を蒸発させる操作態様が、高湿度を含む雰囲気を有機溶媒の蒸発面に向けて吹き付けることによって行なわれることを特徴とする、請求項13記載の微細突起構造体の製造方法。

【請求項20】
前記剥離操作が粘着テープによって行われることを特徴とする、請求項13記載の微細突起構造体の製造方法。

【請求項21】
前記剥離操作がポリマーの溶解によって行われることを特徴とする、請求項13記載の微細突起構造体の製造方法。

【請求項22】
前記剥離操作が超音波照射によって行われることを特徴とする、請求項13記載の微細突起構造体の製造方法。

【請求項23】
前記微細突起が、長さ0.1~50μm、先端部分の長さ0.01~20μm、間隔密度0.1~100μmに形成され、配列されたことを特徴とする、請求項13乃至22の何れか1項に記載の微細突起構造体の製造方法。

【請求項24】
前記微細突起が垂直方向以外の任意方向に指向されてなる異方性を有して設定される、請求項13乃至23の何れか1項記載の微細突起構造体の製造方法。

【請求項25】
前記異方性を有する微細突起が、微細突起の前駆体である多孔質ハニカム構造体を厚み方向に剥離して微細突起を生成する際、生成する微細突起が、厚み方向以外に任意の方向に指向するよう、横ずり応力がかけられて剥離処理されて得られることを特徴とする、請求項24記載の微細突起構造体の製造方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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