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新規なナノポーラス炭素構造を有する吸蔵材料、及びその製造法

国内特許コード P110003454
整理番号 K020P60
掲載日 2011年6月21日
出願番号 特願2005-034156
公開番号 特開2006-219337
登録番号 特許第4854969号
出願日 平成17年2月10日(2005.2.10)
公開日 平成18年8月24日(2006.8.24)
登録日 平成23年11月4日(2011.11.4)
発明者
  • 王 正明
  • 廣津 孝弘
  • 山岸 美貴
  • 楚 英豪
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明の名称 新規なナノポーラス炭素構造を有する吸蔵材料、及びその製造法
発明の概要 【課題】層面間距離が通常のグラファイトよりも拡大されたナノポーラス炭素構造を有する吸蔵材料の製造方法を提供。
【解決手段】(1)グラファイトを酸化してグラファイト酸化物とする工程(2)グラファイト酸化物の層面間距離を固定化する工程(3)固定化された層面間距離を有する炭素の層を維持するために炭素の層と炭素の層の間にヒドロキシ炭化水素化合物を添加する工程(4)層面間距離を固定化している材料と前記(3)の工程で添加したヒドロキシ炭化水素化合物を反応させる工程(5)未反応のヒドロキシ炭化水素化合物を除去する工程(6)残存しているヒドロキシ炭化水素化合物を炭化処理して炭化処理物にする工程(7)残存する層面間距離を固定化している材料を除去する工程によりナノポーラス炭素構造材料を製造。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


メタンは地球上でぼう大な蓄積量のある一次エネルギー源であり、既存の他の燃料と比べて二酸化炭素排出量が少ないという点で地球環境温暖化防止のための次世代エネルギー源として有望視されている。特に、わが国の近海には、南海トラフとして海底に潜むメタンハイドレートベルトが存在し、他のエネルギー源に乏しいわが国において、メタンをエネルギー源として利用することは、今後のエネルギー政策上、重要な課題となっている。



ところで、メタンを自動車のエネルギーとして利用したり、海底や海外の産地から使用地まで船で輸送する場合には、メタンを貯蔵することが必要になる。これまでメタンの貯蔵方法としては、-160℃以下の低温状態に冷却するか、20MPa以上の高圧を加えて貯蔵する方法が行われているが、エネルギー消費量が多く、コスト高になる上に、ハンドリング性が悪いという欠点があった。このような欠点を克服するために、多孔性固体への気体濃縮現象を利用した吸着貯蔵方法や、0℃付近で数MPaの圧力で固体状態となるメタンハイドレートを利用した吸蔵方法などが検討されている。例えば、グラファイトナノファイバーの結晶が積層された直径が10nm~600nmの円柱状構造物からなるメタンなどのガス貯蔵材料(特許文献1参照)、ハイドロタルサイトなどの正の層電荷を有する無機層状物質の間に有機陰イオンを挿入して炭化させてなる炭化水素吸蔵材料(特許文献2参照)、銅イオンとトリメシン酸類とを反応させてなるガス吸着材料(特許文献3参照)、メタンをメタンクラスレート水和物として貯蔵する方法(特許文献4参照)などが報告されている。



これまで知られている吸着剤の中では、活性炭のメタン貯蔵量が最も多いとされているが、活性炭のポア構造の中には、メタンなどの分子のファンデンワールス力による吸着貯蔵に寄与する直径2nm以下のミクロポアのほかに、メタン貯蔵に余り寄与しない直径2nmを超えるメソポアや直径50nm以上のマクロポアなどの無駄なスペースが含まれているので、ポア構造や表面構造を改質して、メタン貯蔵に寄与する構造を増加させることが、メタン貯蔵量の増大の課題となっている。このような活性炭の改良技術としては、例えば、粉状又は粒状のセルロース又はポリイミド化合物などの原料にバインダーを添加することなく加圧成形し、これを炭化処理してなる活性炭からなるメタンなどのガス貯蔵材料(特許文献5参照)などがある。また、本発明者らも、活性炭などの多孔質炭素材料を酸化した酸化生成物からなるメタン吸着材料を開発してきた(特許文献6参照)。
さらに、ゼオライト、活性炭、シリカゲルなどの従来のメタン貯蔵物質を用いたメタンガスや天然ガスの貯蔵方法に関するものも多数報告されている(特許文献7及び8など参照)。



また、モンモリロナイトのような層状粘土について、その層間にアルミナ、ジルコニア、酸化クロム、酸化チタン、SiO-TiO、SiO-Fe、Al-SiOなどをインターカレーションして層間架橋多孔体を形成させることが知られており(非特許文献1参照)、このような層状構造に水素や炭化水素などを吸蔵して、燃料の供給源として利用することが考えられている。
炭素性の層状物質としては、グラファイトがよく知られているが、グラファイトは、層面間距離0.335nmの異方性の強い層状構造を有する物質である。このような強い異方性は、その反応性に大きな影響を与え、面内の結合を攻撃するような反応は進行しにくいが、層間を拡張しながら反応物質を挿入する反応、いわゆるインターカレーションを起しやすく、これによりグラファイト層間化合物を形成する。例えば、グラファイトなどの炭素系材料にセシウム又はルビジウムを添加してなるグラファイト層間化合物を用いたメタンなどのガス貯蔵材料(特許文献9参照)が報告されている。
しかし、グラファイトが層状粘土と同様に層状構造を有するにもかかわらず、アルカリ金属やハロゲンなどの比較的小さな分子とグラファイト層間化合物しか形成することができず、グラファイト或いはグラファイト層間化合物は、大きい表面積の多孔体を構成しないし、後続の加熱処理により架橋を形成しようとしても、それが崩壊して安定した孔を形成することは困難であった。



一方、シミュレーションなどの理論計算の結果によると、グラファイト一層分のポア壁を持ち、層と層の間にメタン2分子が入れるくらいの大きさ(約0.7~0.8nmくらい)を有するような吸蔵体がメタン貯蔵に理想的と示されてきている。しかし、このような究極的な吸蔵体の合成を実際に試みた研究は見当たらない。
本発明者らは、理想的な層構造を有する多孔質炭素材料を得るために、グラファイトを酸化して得たグラファイト酸化物をアルカリ中に分散し、さらに長鎖有機分子で層間拡張し、続いて金属或いは半金属酸化物のような硬い架橋剤を導入することにより、高表面積の含炭素多孔体複合材料を製造できることを示してきた(特許文献10参照)。さらにこのような高表面積の含炭素多孔体複合材料をより高温で炭化処理して、更に金属(半金属)酸化物をフッ酸等で溶出すれば、比表面積700m/g以上のメソポーラス炭素構造体を製造できることを示してきた(特許文献11参照)。そして、金属(半金属)酸化物をフッ酸等で溶出する前に固定化された層面間距離を有する炭素の層を維持するために炭素の層と炭素の層の間に含炭素化合物の炭化処理物を形成させる工程を設けることにより、壁が薄く、メタンなどの炭化水素の貯蔵に適した新規炭素系の炭化水素吸蔵材料を製造し得ることを見出してきた(特許文献12参照)。しかし、炭素の層の厚さや有効活用できる表面積の大きさにおいて十分なものではなかった。



【特許文献1】
特開2001-212453号
【特許文献2】
特開2002-28481号
【特許文献3】
特開2002-204953号
【特許文献4】
特開2003-3181号
【特許文献5】
特開2001-287905号
【特許文献6】
特開2003-144917号
【特許文献7】
特開2003-28397号
【特許文献8】
特開2003-35399号
【特許文献9】
特開2001-287907号
【特許文献10】
特開2003-192316号
【特許文献11】
特開2004-210583号
【特許文献12】
特願2003-205003号
【非特許文献1】
「表面」、第27巻、第4号(1989年)、第290~300頁

産業上の利用分野


本発明は、メタンなどの炭化水素ガスなどを吸蔵や吸着することができるナノポーラス炭素構造を有する吸蔵材料、及びその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、層面間距離が通常のグラファイトよりも拡大された炭素の層を有し、かつそれらの層の層間距離を維持する為の部分が選択的に炭化処理物により維持されていることを特徴とする層面間距離がメタンなどの炭化水素の吸蔵に適している炭素の層を有し、かつ有効活用できる親油性表面の広いナノポーラス炭素構造を有する吸蔵材料、及びその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
(1)グラファイトを酸化してグラファイト酸化物とする工程、(2)次いでこのグラファイト酸化物の層面間距離を固定化する工程、及び(3)固定化された層面間距離を有する炭素の層を維持するために炭素の層と炭素の層の間にヒドロキシナフタレン誘導体を添加する工程、(4)層面間距離を固定化している材料と前記(3)の工程で添加したヒドロキシナフタレン誘導体を反応させる工程、(5)未反応のヒドロキシナフタレン誘導体を除去する工程、(6)残存しているヒドロキシナフタレン誘導体を炭化処理して炭化処理物にする工程、及び(7)残存する層面間距離を固定化している材料を除去する工程、からなる層面間距離が通常のグラファイトよりも拡大された炭素の層を有し、かつそれらの層が炭化処理物により維持されていることを特徴とするナノポーラス炭素構造を有する吸蔵材料の製造方法。

【請求項2】
層面間距離を固定化する工程が、グラファイト酸化物の層間に、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及び鉄の中から選ばれた少なくとも1種の金属又は半金属の化合物のゾル或いは多核金属陽イオンをインターカレーションさせ、次にこれを不活性雰囲気中で加熱処理して金属又は半金属の酸化物とする工程を含むものである請求項1に記載の方法。

【請求項3】
ヒドロキシナフタレン誘導体が、2,3-ジヒドキシロナフタレンである請求項1又は2に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ ナノと物性 領域
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