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イネのアントラニル酸合成酵素遺伝子OASA2の新規改変遺伝子およびその利用

国内特許コード P110003462
整理番号 A181P188
掲載日 2011年6月21日
出願番号 特願2005-055165
公開番号 特開2006-042801
登録番号 特許第4651410号
出願日 平成17年2月28日(2005.2.28)
公開日 平成18年2月16日(2006.2.16)
登録日 平成22年12月24日(2010.12.24)
優先権データ
  • 特願2004-118430 (2004.4.13) JP
発明者
  • 戸澤 譲
  • 菅野 拓也
  • 若狭 暁
出願人
  • 国立大学法人愛媛大学
  • 独立行政法人科学技術振興機構
  • 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 イネのアントラニル酸合成酵素遺伝子OASA2の新規改変遺伝子およびその利用
発明の概要

【課題】 トリプトファンによるフィードバック阻害に対する抵抗性を獲得した改変イネアントラニル酸合成酵素および当該改変酵素をコードする新規改変遺伝子を提供する。
【解決手段】 イネアントラニル酸合成酵素遺伝子OASA2の塩基配列に変異を導入し、特定の複数のアミノ酸に置換が生じたイネアントラニル酸合成酵素は、トリプトファンによるフィードバック阻害に対する抵抗性を獲得すると共に野生型イネアントラニル酸合成酵素と同程度以上の酵素活性を維持している。
【選択図】 なし

従来技術、競合技術の概要


トリプトファンはタンパク質を構成するアミノ酸の1つであり、生物が生きていくうえで不可欠なものである。動物はトリプトファンを体内で合成できないため、食物から摂取しなければならない。イネ、トウモロコシ、コムギなどの穀物は、トリプトファンの含有量が非常に少ないため、通常穀物飼料には工業的に製造されたトリプトファンを添加する必要がある。



トリプトファンの生合成経路において、コリスミン酸からアントラニル酸が生合成されるが、アントラニル酸の生成はアントラニル酸合成酵素の触媒作用が関与しており、これによってアントラニル酸が生成し、さらにアントラニル酸から6段階の酵素反応によりインドールを経てトリプトファンが生成することが知られている(非特許文献1参照)。



発明者らは、既にイネアントラニル酸合成酵素アルファサブユニット遺伝子としてOASA1およびOASA2が存在することを見出し、これらを単離した(特許文献1参照)。そして、これらの特徴を詳細に検討した結果、遺伝子発現量が多く、イネにおいてアントラニル酸合成酵素アルファサブユニットとして主に機能するタンパク質をコードする遺伝子はOASA2であると考えられることを報告している(非特許文献2参照)。さらに、発明者らは、OASA2タンパク質は、極めてトリプトファン濃度に感受性が高く、細胞内のトリプトファン濃度が上昇するに伴い活性を低下させてしまうことを報告している(非特許文献3参照)。



そこで、OASA2タンパク質の機能を改変することができれば、高濃度のトリプトファンが蓄積される新しい品種の植物を作出することができると考えられる。イネアントラニル酸合成酵素遺伝子の改変に関しては、例えばイネアントラニル酸合成酵素第1アイソザイムアルファサブユニットOASA1タンパク質の323番目のアスパラギン酸残基をアスパラギン残基に置換(D323N)することで得られたトリプトファンフィードバック阻害抵抗性変異体OASA1Dを形質転換すると、野生型よりもカルスで180倍、組換体イネで35倍、遊離のトリプトファン量が増加することが、発明者らにより報告されている(非特許文献2参照)。



一方、遺伝子にランダムに変異を導入し、その変異遺伝子の産物である変異タンパク質の機能をスクリーニングすることは多大な時間と労力を必要とする。さらに、目的の位置に複数の変異を同時に導入することは、ランダムに変異を導入する方法では極めて困難であり、ほとんど不可能に近いと考えられている。

【特許文献1】国際公開第WO99/11800号

【非特許文献1】生化学実験講座、第11巻、東京化学同人、1976年、652頁~653頁

【非特許文献2】Tozawa Y, Hasegawa H, Terakawa T and Wakasa K (2001) Characterization of rice anthranilate synthase alfa subunit genes OSASA1 and OSASA2: tryptophan accumulation in transgenic rice expressing a feedback-insensitive mutant of OASA1. Plant Physiology 126: 1493-1506

【非特許文献3】Takuya Kanno, Koji Kasai, Yasuko Ikejiri-Kanno, Kyo Wakasa and Yuzuru Tozawa (2004) In vitro reconstitution of rice anthranilate synthase: distinct functional properties of the alpha subunits OASA1 and OASA2. Plant Molecular Biology 54: 11-22

産業上の利用分野


本発明は、イネのアントラニル酸合成酵素遺伝子OASA2の新規改変遺伝子およびその利用に関するものであり、特に野生型イネアントラニル酸合成酵素と同程度以上の酵素活性を有し、トリプトファンによるフィードバック阻害に対して抵抗性を有する改変イネアントラニル酸合成酵素をコードする新規改変遺伝子およびその利用に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
アントラニル酸合成酵素のトリプトファン結合領域に変異を有するポリペプチドであって、配列番号26に示されるアミノ酸配列の第5位に変異を有し、トリプトファン生合成経路においてトリプトファンによるフィードバック阻害に対する抵抗性を有することを特徴とするポリペプチド。

【請求項2】
上記配列番号26に示されるアミノ酸配列の第5位の変異は、チロシンをアラニンまたはイソロイシンに置換する変異であることを特徴とする請求項1に記載のポリペプチド。

【請求項3】
以下の(a)または(b)より選択されるポリペプチドにおいて、配列番号1に示されるアミノ酸配列の第126位、第367位または第369位の少なくとも1つに変異を有し、
トリプトファン生合成経路においてトリプトファンによるフィードバック阻害に対する抵抗性を有することを特徴とするポリペプチド。
(a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(b)配列番号1に示されるアミノ酸配列の第50位~第606位のアミノ酸配列からなるポリペプチド。

【請求項4】
さらに、配列番号1に示されるアミノ酸配列の第351位、第522位または第530位の少なくとも1つに変異を有し、
野生型イネアントラニル酸合成酵素と比較して少なくとも0.7倍以上の酵素活性を有することを特徴とする請求項3に記載のポリペプチド。

【請求項5】
上記配列番号1に示されるアミノ酸配列の第126位の変異は、セリンをフェニルアラニンに置換する変異であり、
上記配列番号1に示されるアミノ酸配列の第367位の変異は、チロシンをアラニンまたはイソロイシンに置換する変異であり、
上記配列番号1に示されるアミノ酸配列の第369位の変異は、アラニンをロイシンに置換する変異であることを特徴とする請求項3または4に記載のポリペプチド。

【請求項6】
上記配列番号1に示されるアミノ酸配列の第351位の変異は、アスパラギンをアスパラギン酸に置換する変異であり、
上記配列番号1に示されるアミノ酸配列の第522位の変異は、グリシンをチロシンに置換する変異であり、
上記配列番号1に示されるアミノ酸配列の第530位の変異は、ロイシンをアラニンまたはアスパラギン酸に置換する変異であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載のポリペプチド。

【請求項7】
請求項3ないし6のいずれか1項に記載のポリペプチドであって、以下の(c)または(d)より選択されるポリペプチド。
(c)配列番号2ないし7および配列番号29ないし32のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(d)配列番号2ないし7および配列番号29ないし32のいずれかに示されるアミノ酸配列の第50位~第606位のアミノ酸配列からなるポリペプチド。

【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。

【請求項9】
請求項8に記載のポリヌクレオチドであって、以下の(e)~(h)からなる群より選択されるポリヌクレオチド。
(e)配列番号9ないし14および配列番号33ないし36のいずれかに示される塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(f)配列番号9ないし14および配列番号33ないし36のいずれかに示される塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド。
(g)配列番号9ないし14および配列番号33ないし36のいずれかに示される塩基配列の第148位~第1821位の塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(h)配列番号9ないし14および配列番号33ないし36のいずれかに示される塩基配列の第148位~第1821位の塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド。

【請求項10】
請求項8または9に記載のポリヌクレオチドからなる形質転換体選抜用マーカー遺伝子。

【請求項11】
請求項8または9に記載のポリヌクレオチドを含む組換え発現ベクター。

【請求項12】
請求項8または9に記載のポリヌクレオチドまたは請求項11に記載の組換え発現ベクターが導入されており、かつ、トリプトファン生合成経路においてトリプトファンによるフィードバック阻害に対する抵抗性を有するポリペプチドが発現している形質転換体。

【請求項13】
上記形質転換体は、植物細胞または植物体であることを特徴とする請求項12に記載の形質転換体。

【請求項14】
請求項13に記載の植物体から得られる種子。

【請求項15】
請求項10に記載のマーカー遺伝子または請求項11に記載の組換え発現ベクターを細胞に導入することにより、細胞の増殖を阻害するトリプトファン類縁化合物に対する耐性を細胞に付与し、さらに当該トリプトファン類縁化合物に対する耐性を発現している細胞を選抜することからなる、形質転換細胞の選抜方法。

【請求項16】
少なくとも請求項8または9に記載のポリヌクレオチド、あるいは請求項11に記載の組換え発現ベクターのいずれかを含むことを特徴とする形質転換キット。

【請求項17】
請求項3ないし7のいずれか1項に記載のポリペプチドおよび野生型イネアントラニル酸合成酵素の、いずれか一方のみと結合する物質をスクリーニングする方法であって、
請求項3ないし7のいずれか1項に記載のポリペプチドと結合する物質をスクリーニングする工程と、
野生型イネアントラニル酸合成酵素と結合する物質をスクリーニングする工程と、
上記両工程の結果を比較する工程とを含むことを特徴とするスクリーニング方法。

【請求項18】
請求項17に記載のスクリーニング方法を実施するためのキットであって、
少なくとも請求項3ないし7のいずれか1項に記載のポリペプチドの1つと野生型イネアントラニル酸合成酵素とを含むことを特徴とするスクリーニングキット。
産業区分
  • 微生物工業
  • 農林
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 植物の機能と制御 領域
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