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高時間分解能画像化方法及び装置並びに全反射型蛍光顕微鏡 コモンズ

国内特許コード P110003471
整理番号 K017P16
掲載日 2011年6月21日
出願番号 特願2005-101764
公開番号 特開2006-284243
登録番号 特許第4448471号
出願日 平成17年3月31日(2005.3.31)
公開日 平成18年10月19日(2006.10.19)
登録日 平成22年1月29日(2010.1.29)
発明者
  • 西坂 祟之
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 高時間分解能画像化方法及び装置並びに全反射型蛍光顕微鏡 コモンズ
発明の概要 【課題】 蛍光色素分子1個の観察を高時間分解能で可能にする画像化方法及び装置、並びに、それを用いた全反射型蛍光顕微鏡を提供すること。
【解決手段】 蛍光色素分子にレーザー光を照射し、その蛍光色素分子からの輝点信号を受光することで、蛍光色素分子またはそれに結合した組織を観察する装置において、偏光変換部材によって、照射レーザー光を直線偏光に変換し、偏向部材を回転させて、蛍光色素分子からの輝点信号の進行方向を変え、その偏向部材の回転により、蛍光色素分子からの輝点信号を受像面上で2次元的にスキャンすることで、1撮像フレームに受光される情報量を増加させることによって時間分解能を上げる。偏光変換部材を、照射するレーザー光の光軸を回転軸として回転可能に設け、偏向部材と同期して回転されるように構成してもよい。
【選択図】 図2
従来技術、競合技術の概要


近年の光学顕微鏡に関する技術の発展はめざましく、現在は水溶液中の1個の蛋白質を対象に研究ができる段階にまで到達している。この発展を可能にしたのは、全反射照明など光学系の新技術、様々なタイプの高感度カメラの開発、光学フィルターの特性の向上などである。数多くの実験的手法があみ出され、今や「1分子生理学」という新しい流れが生まれつつある。
例えば、分子モーターや蛋白質分解酵素は、基質の結合によりダイナミックな構造変化を伴い、それが機能に密接に関係すると考えられている。
このような1個の生体分子の中で起こる構造変化を、分子レベルで生きたまま顕微鏡下で可視化できるようにする技術が求められている。この大きな流れを、次の新たなステップに進ませるためには、新しい視点に基づいた革新的な手法が必要とされている。



1分子の蛋白質を観察する手法の1つとして、蛋白質を蛍光色素で特異的にラベルし、その1個の蛍光色素分子からの信号をとらえるという技術がある。
蛍光顕微鏡は、ある特定の波長の光が当たると、その光の波長より長い波長の光を出す色素を利用し、蛍光色素を光らせるための励起光を照射するための光学系と、それにより発生した蛍光を観察する光学顕微鏡とを組み合わせた構成を備える。
観察したい細胞内の構造に蛍光色素結合させた試薬を結合させ、所定波長の光をその蛍光色素分子に照射すると、目的の細胞内の構造が暗黒を背景にして蛍光を発する。



一般の蛍光顕微鏡で観察可能な蛍光色素分子の数は数十個以上であり、蛍光色素分子1個を識別することはできない。
これは、蛍光色素分子1個から得られる光信号強度より、ノイズ、すなわち周囲からの光信号強度の方が大きいためである。
それに対し、性能向上のために改良がなされ、フィルターの性質、対物レンズの品質の向上等により、1個の蛍光色素分子を可視化できる蛍光顕微鏡が開発されている。



蛍光色素分子1個の観察のためには、エバネッセント場による照明により、蛍光色素分子が蛍光を発することを利用している。
具体的には、対象試料を含む水溶液とガラスとの境界面に対して、ガラス側から全反射角以上の角度でレーザー光を照射(全反射照明)し、境界面近傍に発生する非伝播光であるエバネッセント場によって対象試料を照明することで、蛍光色素分子に蛍光を発生させる。



エバネッセント場は、境界面に垂直な方向に対して指数関数的に減衰し、その減衰度合は屈折率とレーザー光の入射角に依存している。そのため、エバネッセント場は、境界面から水溶液中約150nmの深さの局所領域のみを照明することになるので、全反射照明は、通常光による照明と比較して、背景光が極端に少ない利点がある。



また、試料水溶液中に多数の蛍光色素分子(濃度~50x10-9モル/リットル)が存在するような条件下でも、境界面近傍の水溶液側に蛍光色素分子が存在する確率は小さいので、境界面上に固定されている1個の標的蛍光色素分子以外から発せられる蛍光は少ない。そのため、背景光や他の蛍光色素分子の蛍光によるノイズが極端に少ないので、所望の標的蛍光色素分子1個からの蛍光を観察することが可能となる。



全反射照明による1分子観察では、例えば、蛍光色素で標的した蛋白質や、DNA、基質であるATPなどの生体分子をガラス面に結合させ、1個1個の分子を独立した輝点として観察する。
蛍光色素分子を励起する場合、色素分子の振動面と励起光の偏光方向が一致していることが必要である。



しかし、従来の全反射照明では、色素分子の振動面と励起光の偏光方向が一致した分子は明るくて観察できるが、一致しない分子は暗くて観察できないという問題点があった。
これに対し、本発明者は、1個の生体分子の特定部分の構造変化をリアルタイムで検出するために、全反射型蛍光顕微鏡を作製し観察を行っている。



本発明者による特許文献1の「全反射型蛍光顕微鏡」は、その技術の基本概念と光学系に関するものであり、振動面が任意の向きの色素分子を観察できる全反射型蛍光顕微鏡の構成を開示している。
【特許文献1】
特許3577514



本発明者による特許文献2の「全反射型蛍光顕微鏡および照明光学系」は、蛍光色素分子と結合した試料の振動モーメントの方向によらず、その対象色素分子を観察できる全反射蛍光顕微鏡を開示している。
【特許文献2】
特開2004-138735



1分子からの微弱な信号を、2次元の映像として画像化するためには、イメージインテンシファイアーやクールドCCDなどの高感度カメラが用いられる。
これらのカメラは、ビデオ信号、もしくはそれより遅いデジタルの信号を出力するため、データの時間分解能は、100~30ミリ秒(ビデオの時間分解能)を超えることはできない。この時間分解能の上限が、1分子レベルでの研究を進めるうえで障害となっている。

産業上の利用分野


本発明は、蛍光色素分子1個の観察等が可能な高時間分解能の画像化方法及び装置、並びに、それを用いた全反射型蛍光顕微鏡に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
蛍光色素分子にレーザー光を照射し、その蛍光色素分子からの輝点信号を受光することで、蛍光色素分子またはそれに結合した組織を観察する装置において、
照射するレーザー光を直線偏光に変換する偏光変換部材と、
回転可能に設けられ、蛍光色素分子からの輝点信号の進行方向を変える偏向部材とを有し、
その偏向部材の回転により、蛍光色素分子からの輝点信号を受像面上で2次元的にスキャンすることで、1撮像フレームに受光される情報量を増加させることによって時間分解能を上げる
ことを特徴とする高時間分解能画像化装置。

【請求項2】
偏光変換部材が、照射するレーザー光の光軸を回転軸として回転可能に設けられ、
偏向部材と同期して回転される
請求項1に記載の高時間分解能画像化方法装置。

【請求項3】
偏光変換部材が、1/4波長板である
請求項1または2に記載の高時間分解能画像化装置。

【請求項4】
偏向部材が、プリズムである
請求項1ないし3に記載の高時間分解能画像化装置。

【請求項5】
蛍光色素分子からの輝点信号を受ける受像面が、
受光時に光電面で発生した電子を、素子の後方でシリコンに加速衝突させ、2次電子増倍するCCD撮像素子を備える
請求項1ないし4に記載の高時間分解能画像化装置。

【請求項6】
蛍光色素分子が、エバネッセント場による照明によって蛍光を発生させられる
請求項1ないし5に記載の高時間分解能の画像化方法装置による全反射型蛍光顕微鏡。

【請求項7】
蛍光色素分子にレーザー光を照射し、その蛍光色素分子からの輝点信号を受光することで、蛍光色素分子またはそれに結合した組織を観察する装置において、
偏光変換部材によって、照射レーザー光を直線偏光に変換し、
偏向部材を回転させて、蛍光色素分子からの輝点信号の進行方向を変え、
その偏向部材の回転により、蛍光色素分子からの輝点信号を受像面上で2次元的にスキャンすることで、1撮像フレームに受光される情報量を増加させることによって時間分解能を上げる
ことを特徴とする高時間分解能画像化方法。

国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005101764thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 生体分子の形と機能 領域
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