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3次元位置観測方法及び装置

国内特許コード P110003498
整理番号 K017P17
掲載日 2011年6月22日
出願番号 特願2005-197049
公開番号 特開2007-017561
登録番号 特許第4789177号
出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
登録日 平成23年7月29日(2011.7.29)
発明者
  • 西坂 崇之
  • 水谷 佳奈
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 学校法人 学習院
発明の名称 3次元位置観測方法及び装置
発明の概要 【課題】 観測対象物の位置を3次元的に検出し、顕微鏡下で運動する蛋白質1分子の3次元運動を高精度で検出することにも寄与する3次元位置観測方法と装置を提供すること。
【解決手段】 合焦及び絞り機構を有するレンズ系を備え、観測対象物からの光を撮像面に結像する観測装置において、観測対象物から撮像面に至る光路の途中に、その観測光の進行方向を複数の異なる方向に変える偏向部材を配設し、画像解析手段により、偏向部材を介して撮像面に達した複数の像の間の位置関係から、観測対象物の位置を解析する。観測対象物から撮像面に至る光路の途中に、その観測光の一部の進行方向を変える偏向部材を配設し、画像解析手段により、偏向部材を介して撮像面に達した像と、偏向部材を介さないで撮像面に達した像との位置関係から、観測対象物の位置を解析してもよい。
【選択図】 図2
従来技術、競合技術の概要


近年の光学顕微鏡に関する技術の発展はめざましく、現在は水溶液中の1個の蛋白質を対象に研究ができる段階にまで到達している。この発展を可能にしたのは、全反射照明など光学系の新技術、様々なタイプの高感度カメラの開発、光学フィルターの特性の向上などである。数多くの実験的手法があみ出され、今や「1分子生理学」という新しい流れが生まれつつある。
例えば、分子モーターや蛋白質分解酵素は、基質の結合によりダイナミックな構造変化を伴い、それが機能に密接に関係すると考えられている。
このような1個の生体分子の中で起こる構造変化を、分子レベルで生きたまま顕微鏡下で可視化できるようにする技術が求められている。この大きな流れを、次の新たなステップに進ませるためには、新しい視点に基づいた革新的な手法が必要とされている。



1分子の蛋白質を観察する手法の1つとして、蛋白質を蛍光色素で特異的にラベルし、その1個の蛍光色素分子からの信号をとらえるという技術がある。
蛍光顕微鏡は、ある特定の波長の光が当たると、その光の波長より長い波長の光を出す色素を利用し、蛍光色素を光らせるための励起光を照射するための光学系と、それにより発生した蛍光を観察する光学顕微鏡とを組み合わせた構成を備える。
観察したい細胞内の構造に蛍光色素の結合させた試薬を結合させ、所定波長の光をその蛍光色素分子に照射すると、目的の細胞内の構造が暗黒を背景にして蛍光を発する。



一般の蛍光顕微鏡で観察可能な蛍光色素分子の数は数十個以上であり、蛍光色素分子1個を識別することはできない。
これは、蛍光色素分子1個から得られる光信号強度より、ノイズ、すなわち周囲からの光信号強度の方が大きいためである。
それに対し、性能向上のために改良がなされ、フィルターの性質、対物レンズの品質の向上等により、1個の蛍光色素分子を可視化できる蛍光顕微鏡が開発されている。



蛍光色素分子1個の観察のためには、エバネッセント場による照明により、蛍光色素分子が蛍光を発することを利用する。
具体的には、対象試料を含む水溶液とガラスとの境界面に対して、ガラス側から全反射角以上の角度でレーザー光を照射(全反射照明)し、境界面近傍に発生する非伝播光であるエバネッセント場によって対象試料を照明することで、蛍光色素分子に蛍光を発生させる。



エバネッセント場は、境界面に垂直な方向に対して指数関数的に減衰するため、境界面に近い局所領域のみを照明することになるので、通常光による照明と比較して、背景光が極端に少ない利点がある。
また、試料水溶液中に多数の蛍光色素分子が存在するような条件下でも、境界面近傍の水溶液側に蛍光色素分子が存在する確率は小さいので、境界面上に固定されている1個の標的蛍光色素分子以外から発せられる蛍光は少ない。そのため、背景光や他の蛍光色素分子の蛍光によるノイズが極端に少なく、所望の標的蛍光色素分子1個からの蛍光を観察することが可能となる。



全反射照明による1分子観察では、例えば、蛍光色素で標的した蛋白質や、DNA、基質であるATPなどの生体分子をガラス面に結合させ、1個1個の分子を独立した輝点として検知する。
そして、1分子からの微弱な信号を2次元の映像として画像化するためには、イメージインテンシファイアーやクールドCCDなどの高感度カメラが用いられる。



本発明者は、1個の生体分子の特定部分の構造変化をリアルタイムで検出するために、全反射型蛍光顕微鏡を作製し観察を行っている。
例えば、本発明者による特許文献1の「全反射型蛍光顕微鏡」は、その技術の基本概念と光学系に関するものであり、振動面が任意の向きの色素分子を観察できる全反射型蛍光顕微鏡の構成を開示している。
【特許文献1】
特許3577514号



本発明者による特許文献2の「全反射型蛍光顕微鏡および照明光学系」は、蛍光色素分子と結合した試料の振動モーメントの方向によらず、その対象色素分子を観察できる全反射蛍光顕微鏡を開示している。
【特許文献2】
特許3671227号



このように、1個の生体分子を観察できるようになってきたが、従来技術で得られる位置情報は2次元情報であった。すなわち、顕微鏡の対物レンズが上下する方向に関する情報は得られなかった。
顕微鏡下で運動する原子分子の3次元位置情報が観測できれば、蛋白質1分子の変位を正確に検知するなど、飛躍的な進歩が望める。



例えば、蛍光顕微鏡に関連する従来技術には、次のような文献もある。
【特許文献3】
特開2005-37572号「蛍光顕微鏡用照明装置および蛍光顕微鏡」
【特許文献4】
特開2000-56233「顕微鏡の照射光路における波長または波長領域を調整下で集束化するための装置」
【特許文献5】
特表平11-513145号「二重対物レンズ系を有する共焦点顕微鏡」



また、明視野顕微鏡法や、暗視野顕微鏡法、位相差顕微鏡法、微分干渉顕微鏡法、レーザー共焦点顕微鏡法などの顕微鏡技術の進展も著しいが、従来の顕微鏡観察で得られる位置情報は、観察面に相当するスライドガラスに平行な面(x-y平面)内における2次元情報であり、それに垂直な方位(z軸)の位置情報は得られなかった。

産業上の利用分野


本発明は、観測対象物の3次元位置、特に、顕微鏡下における微粒子の3次元運動を高い精度で検出する3次元位置観測方法及び装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
合焦及び絞り機構を有するレンズ系を備え、観測対象物からの光を撮像面に結像する観測装置において、
観測対象物から撮像面に至る光路の途中に配設され、その観測光の進行方向を複数の異なる方向に変える偏向部材と、
その偏向部材を介して撮像面に達した複数の像の間の位置関係から、観測対象物の位置を解析する画像解析手段とを設けた
ことを特徴とする3次元位置観測装置。

【請求項2】
合焦及び絞り機構を有するレンズ系を備え、観測対象物からの光を撮像面に結像する観測装置において、
観測対象物から撮像面に至る光路の途中に配設され、その観測光の一部の進行方向を変える偏向部材と、
その偏向部材を介して撮像面に達した像と、偏向部材を介さないで撮像面に達した像との位置関係から、観測対象物の位置を解析する画像解析手段とを設けた
ことを特徴とする3次元位置観測装置。

【請求項3】
偏向部材が、ウェッジプリズムである
請求項1または2に記載の3次元位置観測装置。

【請求項4】
偏向部材が、同一の傾斜角をもつ2基のウェッジプリズムであり、
その2基のウェッジプリズムが、各傾斜面の傾斜方向を逆に配向された形態で組み合わされて配置される
請求項1または3に記載の3次元位置観測装置。

【請求項5】
ウェッジプリズムの傾斜面が、撮像面に対向する側に配置される
請求項3または4に記載の3次元位置観測装置。

【請求項6】
撮像面が、撮像手段の受光部である
請求項1ないし5に記載の3次元位置観測装置。

【請求項7】
観測装置が、蛍光顕微鏡構成を備える
請求項1ないし6に記載の3次元位置観測装置。

【請求項8】
観測対象物が、蛍光色素を結合され水溶液中に存する微粒子である
請求項7に記載の3次元位置観測装置。

【請求項9】
画像解析手段が、
撮像面における複数の各像について、輝度に関する重心を独立に算出する
請求項1ないし8に記載の3次元位置観測装置。

【請求項10】
画像解析手段が、
撮像面における複数の像の同一方向への移動量から、撮像面と平行な方位への観測対象物の変位を求める
請求項1ないし9に記載の3次元位置観測装置。

【請求項11】
画像解析手段が、
撮像面における複数の像の逆方向への移動量から、撮像面と垂直な方位への観測対象物の変位を求める
請求項1ないし10に記載の3次元位置観測装置。

【請求項12】
合焦及び絞り機構を有するレンズ系を備え、観測対象物からの光を撮像面に結像する観測装置において、
観測対象物から撮像面に至る光路の途中に、その観測光の進行方向を複数の異なる方向に変える偏向部材を配設し、
画像解析手段により、偏向部材を介して撮像面に達した複数の像の間の位置関係から、観測対象物の位置を解析する
ことを特徴とする3次元位置観測方法。

【請求項13】
合焦及び絞り機構を有するレンズ系を備え、観測対象物からの光を撮像面に結像する観測装置において、
観測対象物から撮像面に至る光路の途中に、その観測光の一部の進行方向を変える偏向部材を配設し、
画像解析手段により、偏向部材を介して撮像面に達した像と、偏向部材を介さないで撮像面に達した像との位置関係から、観測対象物の位置を解析する
ことを特徴とする3次元位置観測方法。

国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005197049thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 生体分子の形と機能 領域
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