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スピン依存伝達特性を有するトンネルトランジスタ及びそれを用いた不揮発性メモリ コモンズ

国内特許コード P110003558
整理番号 K020P42
掲載日 2011年6月23日
出願番号 特願2005-504240
登録番号 特許第4500257号
出願日 平成16年3月30日(2004.3.30)
登録日 平成22年4月23日(2010.4.23)
国際出願番号 JP2004004512
国際公開番号 WO2004088753
国際出願日 平成16年3月30日(2004.3.30)
国際公開日 平成16年10月14日(2004.10.14)
優先権データ
  • 特願2003-095600 (2003.3.31) JP
発明者
  • 菅原 聡
  • 田中 雅明
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 スピン依存伝達特性を有するトンネルトランジスタ及びそれを用いた不揮発性メモリ コモンズ
発明の概要

本発明の強磁性半導体をチャネル領域に用いたMISFETによれば、ドレイン電流をゲート電圧で制御できるトランジスタとして特性を有するとともに、その伝達コンダクタンスを強磁性チャネル領域と強磁性ソース(又は強磁性ドレイン又は強磁性ソース及び強磁性ドレインの両方)との相対的な磁化の向きによって制御できるという特徴的な特性を併せ持つ。従って、この相対的な磁化の向きによって2値の情報を記憶することができるとともに、この相対的な磁化の向きを電気的に検出することができる。また、強磁性半導体からなるチャネル領域の電界効果による磁性制御を用いれば、情報の書き換えに必要な電流の大幅な低減が可能となる。したがって、上記MISFETは、高密度集積化に適した高性能不揮発性メモリセルを構成することができる。

従来技術、競合技術の概要

近年の高度情報化社会の発展は目覚しく、特に最近では“モバイル機器”を媒介として急速に展開してきている。“モバイル機器”という大きな需要は今後の半導体産業の要になりうると認識されているが、この対応には半導体集積回路の高速化・低消費電力化・大容量化といった従来通りの高性能化に加え、情報の不揮発といった新たな要求に応じる必要が生じる。このような要求に対して、不揮発高密度記録として優れた強磁性体ストレージ技術と半導体集積エレクトロニクス技術とを融合させた新しいメモリデバイスが注目を集めている(例えば、非特許文献1参照)。このデバイスは磁気ランダムアクセスメモリ(magnetoresistive random access memory;以下、「MRAM」と称する。)と呼ばれ、薄い絶縁性のトンネル障壁を強磁性電極で挟み込んだ構造を持つ強磁性トンネル接合(magnetic tunnel junction;以下「MTJ」と称する)をその記憶素子として用いる。
MTJでは強磁性電極間の相対的な磁化の方向によってトンネル抵抗が異なるトンネル磁気抵抗(tunneling magnetoresistance;以下「TMR」と称する)効果を有することから、これを用いれば強磁性体の磁化状態を電気的に検出することが可能となる。したがって、MTJの存在によって強磁性体による情報の不揮発ストレージ技術を半導体集積エレクトロニクスに理想的に取り込むことが可能となる。
以下、図8を参照して従来技術の一例について説明する。図8に示すように、MRAMのメモリセル100では、1ビットのメモリセルを1つのMTJ101と1つのMOSトランジスタ103とにより構成する方法が主に用いられる。MTJ101は、第1の強磁性電極105と、第2の強磁性電極107と、両者の間に設けられた絶縁体により形成されたトンネル障壁108とからなるトンネル接合である。
MOSトランジスタ103のソース(S)を接地(GND)し、ドレイン(D)をMTJ101の一方の強磁性電極107にプラグPLなどを用いて接続する。MTJ101の他方の強磁性電極105はビット線BLに接続し、書き換え用のワード線111は、MTJ101の直上または直下でMTJ101及び他の配線と、絶縁膜115により電気的に絶縁した状態でビット線BLと交差するように配置する。読み出し用ワード線WLはMOSトランジスタ103のゲート電極Gに接続する。
強磁性体では、磁化の方向を不揮発に保持することができるので、MTJでは強磁性電極間の相対的な磁化状態を平行磁化または反平行磁化とすることによって、2値の情報を不揮発に記憶することができる。また、MTJではTMR効果のため2つの強磁性電極間における相対的な磁化状態でトンネル抵抗が異なる。よって、平行磁化、反平行磁化といった磁化状態に対応したトンネル抵抗を用いればMTJ内の磁化状態を電気的に検出することができる。
情報の書き換えは、MTJ101における2つの強磁性電極105、107の保持力を変えておくか、一方の強磁性電極の磁化方向を固定しておき、保持力の小さな強磁性電極または磁化方向の固定されていない強磁性電極を磁化反転させることによって行なう。以下、磁化反転を行う強磁性をフリー層、磁化反転を行わない強磁性体をピン層と呼ぶ。具体的には、選択メモリセル上で交差するビット線BLと書き換え用ワード線111とのそれぞれに電流を流し、それぞれの電流によって誘起される磁界の合成磁界によって選択されたメモリセル100内のMTJ101の磁化状態のみを平行磁化または反平行磁化に変化させる。この際、選択したメモリセルと同一のビット線BLまたは書き換え用ワード線111を有する非選択メモリセルが磁化反転しないように、一方の配線のみからの磁界では非選択メモリセルのMTJ101が磁化反転をしないようにそれぞれの配線に流す電流値を設定しておく。
情報の読み出しは、選択セルに接続された読み出し用のワード線WLに電圧を印加してMOSトランジスタ103を導通させてから、ビット線BLを介して読み出し用の駆動電流をMTJ101に流す。MTJ101では、TMR効果によって平行磁化または反平行磁化の磁化状態によってトンネル抵抗が異なるため、読み出し用の駆動電流によるMTJ101における電圧降下(以下、「出力電圧」と呼ぶ)を検出すれば磁化状態を判定することができる。上記技術に関連する文献例を以下に挙げる。
1)K.Inomata,“Present and future of magnetic RAM technology”,IEICE Trans.Electron.Vol.E84-C,pp740-746,2001.
2)H.Ohno,D.Chiba,F.Matsukura,T.Omiya,E.Abe,T.Dietl,Y.Ohno and K.Otani,“Electric-field control of ferromagnetism”,Nature 408(2000)944.(後述)
3)D.Chiba,M.Yamanouchi,F.Matsukura and H.Ohno,“Magnetic manipulation of magnetization reversal in a ferromagnetic semiconductor”,Science 301(2003)943.(後述)

産業上の利用分野

本発明は、新規なトランジスタに関し、より詳細には、スピン依存伝達特性を有するトランジスタと、それを用いた不揮発性記憶回路(不揮発性メモリ)に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 キャリアを注入する強磁性体からなるソース(以下、「強磁性ソース」と称する。)と、該強磁性ソースから注入されたキャリアを受けるドレインと、前記強磁性ソースと前記ドレインとの間に設けられ強磁性体からなるトンネル障壁(以下、「強磁性トンネル障壁」と称する。)と、前記強磁性トンネル障壁に対して形成され、該強磁性トンネル障壁に電界を印加することにより前記強磁性ソースから前記ドレインへのキャリアの伝導を制御するゲート電極とを有し、前記キャリアが電子の場合には前記強磁性トンネル障壁における伝導帯のエネルギーバンド端がスピン分裂しており、前記キャリアが正孔の場合には前記強磁性トンネル障壁における価電子帯のエネルギーバンド端がスピン分裂しており、
前記強磁性トンネル障壁は、前記強磁性ソースに対する前記強磁性トンネル障壁の相対的な磁化の向きが同じ方向である場合または前記強磁性ソースの多数スピンの向きと前記強磁性トンネル障壁の前記エネルギーバンド端におけるスピンバンドのスピンの向きとが同じである場合(以下、「平行磁化」と称する。)に、前記強磁性ソースの多数スピンに対するトンネル障壁が低く、前記強磁性ソースに対する前記強磁性トンネル障壁の相対的な磁化の向きが互いに反対方向である場合または前記強磁性ソースの多数スピンの向きと前記強磁性トンネル障壁の前記エネルギーバンド端におけるスピンバンドのスピンの向きとが異なる場合以下「反平行磁化」と称する。)には、前記強磁性ソースの多数スピンに対するトンネル障壁が高く形成され、
前記強磁性トンネル障壁は、前記強磁性ソースと前記強磁性トンネル障壁とが平行磁化である場合に、前記ゲート電極に対して印加する電圧(以下、「ゲート電圧」と称する。)により、前記強磁性ソースの多数スピンに対する前記強磁性トンネル障壁のトンネル確率を制御できることを特徴とするトランジスタ。
【請求項2】前記強磁性トンネル障壁と前記ゲート電極との間に形成されたゲート絶縁膜を有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載のトランジスタ。
【請求項3】 前記強磁性トンネル障壁は、前記強磁性ソースと前記強磁性トンネル障壁とが平行磁化である場合に、ゲート電圧を前記強磁性トンネル障壁に対して印加することにより、前記強磁性ソースの多数スピンが前記強磁性トンネル障壁をトンネルすることによる電流を生じる程度の厚さを有することを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載のトランジスタ。
【請求項4】 前記強磁性ソースと前記強磁性トンネル障壁とが平行磁化である場合に、ゲート電圧の印加によって前記強磁性ソースと前記ドレインとの間に、定められたある電流を生じさせるゲート電圧として定義されるしきい値を有することを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載のトランジスタ。
【請求項5】 前記強磁性ソースと前記強磁性トンネル障壁とが反平行磁化である場合には、前記強磁性ソースの多数スピンに対する前記強磁性トンネル障壁のバリア高さが前記エネルギーバンド端におけるスピン分裂の幅だけ高くなることにより前記強磁性ソースと前記ドレインとの間に生じる電流が平行磁化の場合に比べて小さくなることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載のトランジスタ。
【請求項6】 同一バイアス下において、前記強磁性ソースと前記強磁性トンネル障壁との相対的な磁化の向きにより相互コンダクタンスを制御できることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載のトランジスタ。
【請求項7】 請求の範囲第1項から第6項までのいずれか1項に記載のトランジスタであって、前記ソース又はソース及びドレインがハーフメタル強磁性体により構成されていることを特徴とするトランジスタ。
【請求項8】 請求の範囲第1項から第7項までのいずれか1項に記載のトランジスタであって、さらに前記強磁性ソースと前記強磁性トンネル障壁との間に非磁性体が設けられていることを特徴とするトランジスタ。
【請求項9】 前記ドレインが、非磁性体又は強磁性体のいずれかであることを特徴とする請求の範囲第1項から第6項まで又は第8項のいずれか1項に記載のトランジスタ。
【請求項10】 請求の範囲第1項から第9項までのいずれか1項に記載の1つのトランジスタを用いて、前記強磁性ソースと前記強磁性トンネル障壁との相対的な磁化の方向によって情報を記憶し、前記強磁性ソースと前記強磁性トンネル障壁との相対的な磁化の方向に依存するトランジスタの相互コンダクタンスに基づく出力特性から前記トランジスタ内に記憶された情報を検出することを特徴とする記憶素子。
【請求項11】 請求の範囲第1項から第9項までのいずれか1項に記載の1つのトランジスタと、前記強磁性ソースを接地する第1の配線と、前記ドレインと接続する第2の配線と、前記ゲート電極と接続する第3の配線とを有する記憶素子。
【請求項12】 請求の範囲第1項から請求の範囲第9項までのいずれか1項に記載の1つのトランジスタと、前記強磁性ソースを接地する第1の配線と、前記ドレインと接続する第2の配線と、前記ゲート電極と接続する第3の配線と、前記第2の配線の一端に形成される出力端子と、前記第2の配線から分岐し負荷を介して電源と接続する第4の配線とを有する記憶素子。
【請求項13】 前記強磁性トンネル障壁は前記強磁性ソースと前記ドレインとの間に1つのトンネル障壁として設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のトランジスタ。
産業区分
  • 固体素子
  • 記憶装置
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005504240thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ ナノと物性 領域
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