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電気伝導性12CaO・7Al2O3化合物とその製造方法 実績あり

国内特許コード P110003572
整理番号 E060P39
掲載日 2011年6月23日
出願番号 特願2005-510971
登録番号 特許第4245608号
出願日 平成16年2月12日(2004.2.12)
登録日 平成21年1月16日(2009.1.16)
国際出願番号 JP2004001507
国際公開番号 WO2005000741
国際出願日 平成16年2月12日(2004.2.12)
国際公開日 平成17年1月6日(2005.1.6)
優先権データ
  • 特願2003-183605 (2003.6.26) JP
発明者
  • 細野 秀雄
  • 平野 正浩
  • 林 克郎
  • 宮川 仁
  • 田中 功
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 電気伝導性12CaO・7Al2O3化合物とその製造方法 実績あり
発明の概要 CaO又はSrOとAlの固溶系において、室温で高い電気伝導性(>10-4Scm-1)を有する物質を得ることは困難であった。 12CaO・7Al化合物、12SrO・7Al化合物、又は12CaO・7Alと12SrO・7Alとの混晶化合物に高濃度に電子を導入した化合物。フリー酸素をすべて電子で置換した該化合物は、[Ca24Al28644+(4e)又は、[Sr24Al28644+(4e)を陽イオン、電子を陰イオンとしたエレクトライド化合物とみなすことができる。単結晶や微粉末の静水圧プレス成形体をアルカリ金属又はアルカリ土類金属蒸気中で700℃程度に保持するか、粉末の静水圧プレス成形体をカーボン坩堝中で1600℃程度に保持し徐冷するか、600℃程度に保持した該化合物薄膜に希ガスイオンを打ち込むことによって、多くのフリー酸素を電子で置換できる。
従来技術、競合技術の概要




1970年にH.B.Bartlらは、C12A7結晶が2分子を含む単位胞にある66個の酸素のうち2個を、結晶中に存在するケージ内の空間に「フリー酸素イオン」として包接しているという、特異な特徴を持つことを示していた(非特許文献1)。以後、このフリー酸素イオンが種々の陰イオンに置換できることが明らかにされた。



本発明者らの一人である細野は、CaCOとAl又はAl(OH)を原料とし、空気中で1200℃の温度で固相反応により合成したC12A7結晶の電子スピン共鳴を測定することで、1×1019個cm-3程度のOが包接されていることを発見し、フリー酸素イオンの一部がOの形でケージ内に存在するというモデルを提案した(非特許文献2)。



本発明者らは、カルシウムとアルミニウムを概略12:14の原子当量比で混合した原料を、雰囲気と温度を制御した条件下で固相反応させ、1020個cm-3以上の高濃度の活性酸素種を包接するC12A7化合物が得られることを新たに見出した。その化合物自体、その製法、包接イオンの取り出し手段、活性酸素イオンラジカルの同定法、及び該化合物の用途に関する発明について、特許出願した(特許文献1)。



また、該化合物中のOHイオンなど酸素以外のアニオン濃度を制御し、700℃付近で、活性酸素を包接させたり、取り出したりする方法を新たに見出し、これに関する発明を特許出願した(特許文献2)。さらに、活性酸素を高濃度に含むC12A7化合物に電場を印加することで、高密度のOイオンビームを取り出せることを見出し、これに関する発明を特許出願した(特許文献3)。



また、水中、水分を含む溶媒中、又は水蒸気を含む気体中で水和反応させたC12A7化合物粉末を、酸素雰囲気で焼成することにより、OHイオンを1021個cm-3以上の濃度で含むC12A7化合物を合成し、その化合物自体、その製法、OHイオンの同定法、及び該化合物の応用に関する発明について、特許出願した(特許文献4)。



また、水素陰イオンを含むC12A7化合物が高速イオン伝導を示す物質であること、電場の印加によりその水素陰イオンを真空中に引き出せることを見出した。さらには、紫外線又はX線照射により緑色の着色が生じること、同時に電気的絶縁体から電気伝導体に永続的に変化し、加熱又は強い可視光の照射により再び絶縁状態に戻せることも発見し、これの応用に関する発明について特許出願した(特許文献5)。



また、C12A7化合物と同等の結晶構造を持つ化合物として、S12A7化合物が知られている(非特許文献3)。本発明者らは、S12A7についてもその合成方法と活性酸素イオンの包接方法、該化合物の応用に関する発明を特許出願した(特許文献6)。



さらに、C12A7、S12A7、及びそれらの混晶化合物にアルカリ金属ないしイオンを包接させ、10-6S/cm以上の電気伝導性が得られることを発見し、特許出願した(特許文献7)



エレクトライド(Electride)化合物は、J.L.Dyeがはじめて提案した概念(非特許文献4)で、クラウンエーテルを陽イオンとし、電子を陰イオンとした化合物などではじめて実現した。エレクトライドは、陰イオンとして含まれる電子のホッピングにより電気伝導性を示す事が知られている。その後いくつかの有機化合物エレクトライドが見出されたが、これらの化合物は、いずれも、100°K程度以下の低温でのみ安定であり、空気や水と反応する著しく不安定な化合物である。



最近、シリカを骨格とするゼオライト化合物粉末に、セシウムをドープすることで無機エレクトライド化合物が見出された。シリカゼオライトにクラウンエーテルのような錯形成の役割を演じさせ、室温安定化を狙ったものである。しかしながら、この化合物も、水分との反応性が高く、化学的に不安定である(非特許文献5)。また、エレクトライド化合物の優れた電子放出特性を用いたダイオードが提案されている(特許文献8)が、これまで得られたエレクトライド化合物が温度及び化学的に不安定なため、提案された真空ダイオードは低温でしか作動しない。



【特許文献1】
特願2001-49524(特開2002-3218号公報)
【特許文献2】
特願2001-226843(特開2003-40697号公報)
【特許文献3】
特願2001-377293(WO 03/050037A1)
【特許文献4】
特願2001-117546(特開2002-316867号公報)
【特許文献5】
特願2002-117314(WO 03/089373A1)
【特許文献6】
特願2002-045302(特開2003-238149号公報)
【特許文献7】
特願2002-188561(特開2004-26608号公報)
【特許文献8】
米国特許第5,675,972号 明細書・図面
【非特許文献1】
H.B.Bartl andT.Scheller,Neuses Jarhrb.Mineral,Monatsh.(1970),547
【非特許文献2】
H.Hosono andY.Abe,Inorg.Chem.26,1193,(1987),「材料科学」,第33巻,第4号,p171-172,(1996)
【非特許文献3】
O.Yamaguchi et al.,J.Am.Ceram.Soc.69[2]C-36,(1986)
【非特許文献4】
F.J.Tehan,B.L.Barrett,J.L.Dye,J.Am.Chem.Soc.,96,7203-7208(1974)
【非特許文献5】
A.S.Ichimura,J.L.Dye,M.A.Camblor,L.A.Villaescusa,J.Am.Chem.Soc,124,1170,
(2002)

産業上の利用分野




本発明は、12CaO・7Al化合物(以下C12A7と記す。)に高濃度に電子を導入した化合物、化合物の製造方法と、化合物の用途に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ケージ中に含まれるフリー酸素イオンのうち、1×1018個/cm以上、1.1×1021個/cm未満のフリー酸素イオンを、該酸素イオン1個当り2個の電子で置換した、2×1018個以上、2.2×1021個/cm未満の電子をケージ中に含み、室温の電気伝導率が、10-4S/cm以上、10S/cm未満である事を特徴とする12CaO・7Al化合物。

【請求項2】
ケージ中に含まれるほぼすべてのフリー酸素イオンを、該酸素イオン当り、2個の電子(eと記述。)で置換した事を特徴とする、実質的に[Ca24Al28644+(4e)と記述されるエレクトライド12CaO・7Al化合物。

【請求項3】
ルカリ土類金属蒸気中で、12CaO・7Al単結晶を600℃から800℃の温度範囲に4時間以上240時間未満保持して、フリー酸素イオンを電子で置換することを特徴とする請求項1又は2に記載された化合物の製造方法。

【請求項4】
ルカリ土類金属として、マグネシウム又はカルシウムを用いる事を特徴とする請求項3に記載の化合物の製造方法。

【請求項5】
12CaO・7Al化合物の微粉末の静水圧プレス成形体を還元雰囲気で昇温し、1550℃超、1650℃未満、1分超、2時間未満保持して、融液を室温まで、徐冷して固化することによって、フリー酸素イオンを電子で置換することを特徴とする請求項1又は2に記載された化合物の製造方法。

【請求項6】
元雰囲気が蓋をしたカーボン坩堝中雰囲気であることを特徴とする請求項5に記載の化
合物の製造方法。

【請求項7】
12CaO・7Al化合物薄膜を、500℃以上、1400℃以下の温度に保持して、該化合物薄膜に希ガス(Ar,Kr又はXe)イオンを打ち込み、フリー酸素イオンを電子で置換することを特徴とする請求項1又は2に記載された化合物の製造方法。

【請求項8】
請求項1又は2に記載された化合物を用いる事を特徴とする電子放出材料。

【請求項9】
請求項1又は2に記載された化合物を用いることを特徴とする還元材料。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2005510971thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 細野透明電子活性プロジェクト 領域
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