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エステル縮合物の製造方法 コモンズ

国内特許コード P110003590
整理番号 B12P15
掲載日 2011年6月23日
出願番号 特願2005-514457
登録番号 特許第4612547号
出願日 平成16年10月1日(2004.10.1)
登録日 平成22年10月22日(2010.10.22)
国際出願番号 JP2004014474
国際公開番号 WO2005033060
国際出願日 平成16年10月1日(2004.10.1)
国際公開日 平成17年4月14日(2005.4.14)
優先権データ
  • 特願2003-345089 (2003.10.2) JP
発明者
  • 石原 一彰
  • 山本 尚
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 エステル縮合物の製造方法 コモンズ
発明の概要 等モル量のカルボン酸とアルコールとの反応によって特定の構造を有するエステル縮合物を、副生成物の生成を抑制し収率よく大量に合成することができ、使用する触媒として触媒効率がよく、少量の使用でしかも再利用を可能とし反復して利用することができ、グリーンケミストリーの点から好ましい工業的方法に適用できるエステル縮合物の製造方法やその触媒を提供するものである。ジルコニウム(IV)化合物及び/又はハフニウム(IV)化合物と、鉄化合物及び/又はガリウム化合物とを含有する触媒を用いて、エステル化反応を行なう。ジルコニウム(IV)化合物が、Zr(OH)(OR(式中、Rは、アシル基又はアルキル基を示し、a及びbは、それぞれ0又は1~4の整数であって、a+b=4の関係を有する。)で示される化合物や、ジルコニウム(IV)ハロゲン化物であることが好ましい。
従来技術、競合技術の概要

有機合成の最も基本的な反応であるエステル化反応は、環境に優しい化学プロセスからも利用価値の高い重要な反応である。エステル化反応については既に膨大な数の報告例があるが、基質に対し1当量以上の縮合剤あるいは活性化剤を用いるケースが多く、また、反応後には大量の副生成物が生じるため煩雑な分離精製操作が必要となり、カルボン酸とアルコールのどちらか一方を過剰に用いなければ効率よくエステルを得ることができないことが多く(例えば、特開昭52-75684号公報、Synthesis,1978年p.929、Chem.Lett,1977年p.55、Chem.Lett.1981年p.663、Tetrahedron.Lett.28,1987年p.3713、J.Org.Chem.56,1991年p.5307参照)等、グリーンケミストリー及び原子効率の観点から問題があった。本来、基質の過剰な使用は避けるべきであり、等モル量のカルボン酸とアルコールから直接、エステル化を行うことができれば理想的なプロセスとなる。重縮合触媒としては、スカンジウム、イットリウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウムの群から選ばれた一種以上の金属化合物と、Ar-O-(Arはアリール基を表す)等の構造を有するポリエステル重合触媒(例えば、特開2000-154241参照)や、原料である酸とアルコールをほぼ等モルで使用しても高収率でエステルが合成できるエステルの製法として、チタン族金属のハライド類、硝酸塩類、カルボン酸塩類、アルコラート類およびアセチルアセトン型錯体からなる群から選ばれるチタン族金属化合物を活性成分の少なくとも一つとして含有するエステル化触媒を用いるカルボン酸とアルコールとからのエステル製造方法(例えば、特開平8-71429号公報参照)が知られている。


その他、アルミニウム化合物とそれ以外の金属化合物とからなるエステル重縮合触媒(例えば、特開2000-302854号公報参照)や、ゲルマニウム化合物と、チタン、アンチモン、ジルコニウム、鉄等から選ばれる少なくとも一種の金属化合物とを触媒として用いる脂肪族ポリエステルの製造方法(例えば、特開平8-27262号公報参照)や、チタンハロゲン化物の加水分解物と、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ハフニウム、鉄等から選ばれる少なくとも1種の元素の化合物等を用いるポリエステル製造用触媒(例えば、特開2001-48973号公報、特開2001-64377号公報参照)や、アルミニウム、ジルコニウム、鉄から選ばれる1種以上の金属酸過物及び/又は金属水酸化物にリン酸イオンを含有させたエステル交換触媒(例えば、特開2001-17862号公報参照)等が知られている。


しかしながら、上記エステル化反応に使用される触媒として、原料であるカルボン酸とアルコールをほぼ等モルで使用しても高収率で、副反応が極めて少なく、選択的にエステルを合成でき、少量でも低温で反応速度が速く、しかも、簡単な処理により再利用を可能とし反復して利用することにより、その使用量を著しく削減することができる触媒はなかった。


本発明の課題は、ますます複雑な構造を有する化合物が医薬品等の合成上望まれており、かかる医薬品等の有機化合物の合成において、等モル量のカルボン酸とアルコールとの反応によって特定の構造を有するエステル縮合物を、副生成物の生成を抑制し収率よく大量に合成することを可能とし、使用する触媒として触媒効率がよく、少量の使用でしかも再利用を可能とし反復して利用することができ、グリーンケミストリーの点からも好ましい工業的方法に適用できるエステル縮合物の製造方法や、これに使用する触媒を提供することにある。


本発明者らは、ジルコニウム(IV)塩又はハフニウム(IV)塩を触媒に用いるカルボン酸とアルコールの等モル混合物からの脱水縮合反応を既に開発している。本発明者はエステル化反応について研究を推進し、4-フェニル酪酸とシクロドデカノールの等モル混合物のヘプタン溶液にZr(OH)(OAc)(x+y=4)を触媒として加え、さらに添加物として様々な金属塩2mol%を加えて加熱還流(バス温120℃、6時間)し、共沸脱水させることにより縮合反応を行った。その結果、添加剤としてGa(Oi-Pr)、Fe(Oi-Pr)、Al(Oi-Pr)、Sn(Oi-Pr)などの金属塩を加えることによって触媒活性が向上することがわかった。なかでもGa(Oi-Pr)、Fe(Oi-Pr)が特によい結果を与えた。Zr(IV)塩の代わりにこれらの添加剤だけを3mol%用いて反応を行ってもよい活性は得られなかった。Ti(Oi-Pr)もZr(IV)やHf(IV)塩同様に活性の高い触媒であることは知られているが、Ti(IV)-Zr(IV)、Zr(IV)-Hf(IV)、Ti(IV)-Hf(IV)という組み合わせでは相乗的な触媒活性の向上は見られなかった。Hf(IV)塩に対しても同様に行なったところ、Zr(IV)塩に対する添加剤効果と同様の効果が得られた。


次に、最も顕著な添加剤効果を示したFe(Oi-Pr)について、Zr(Oi-Pr)10mol%に対する添加量と触媒活性の関係について調べた。その結果、Zr(Oi-Pr)に対し、Fe(Oi-Pr)を少しずつ添加していくと触媒活性は向上し、Fe(Oi-Pr)を0.5mol%添加するまで触媒活性は向上することがわかった。Fe(Oi-Pr)の割合をさらに上げていっても触媒活性はほとんど変化しないことがわかった。従って、実質的にはZr(Oi-Pr)とFe(Oi-Pr)のモル比は20:1~1:1が適当である。


次に、複合金属塩触媒Zr(Oi-Pr)-Fe(Oi-Pr)、Hf(Oi-Pr)-Fe(Oi-Pr)、Ti(Oi-Pr)-Fe(Oi-Pr)を用いたエステル縮合反応についての経時変化を調べた。その結果、Zr(IV)-Fe(III)とHf(IV)-Fe(III)はほぼ同程度の触媒活性であることが明らかとなったが、Ti(IV)-Fe(III)ついては顕著な反応の加速効果は見られなかった。


更に、グリーンケミストリーを推進するため、触媒の再利用の可能性を検討した結果、Zr(Oi-Pr)又はHf(Oi-Pr)とFe(Oi-Pr)の混合物に1M塩酸水を加えて室温で0.5時間攪拌した後、乾固することによって生じる固体にはZr(Oi-Pr)-Fe(Oi-Pr)と同等の触媒活性があることがわかった。そこで、Zr(Oi-Pr)3mol%とFe(Oi-Pr)4mol%を用いてエステル縮合反応を行った後、1M塩酸水を加えて抽出し、有機層からエステルを得た。一方、水層から金属塩を回収し、濃縮することなくその水溶液に、再びカルボン酸とアルコールと反応溶媒を加えて加熱還流による共沸脱水を行うと、エステル縮合反応は1回目と同様に進行した。この一連の操作を繰り返すことにより、触媒を回収、再利用できるとの知見を得た。


更に、塩酸を使用しない触媒の再利用の可能性を検討した結果、低極性有機溶媒とイオン性液体の混合溶媒中でZr(Oi-Pr)又はHf(Oi-Pr)とFe(Oi-Pr)の混合物を触媒に用いて加熱還流下、共沸脱水しながらエステル化反応を行い、反応終了後、室温でしばらく放置すると、有機溶媒層とイオン性液体層の2層に分離した。上部の有機層から高収率でエステルを得た。一方、金属塩を含むイオン性液体層を濃縮することなく、その溶液に、再びカルボン酸とアルコールと有機溶媒を加えて加熱還流による共沸脱水を行うと、エステル縮合反応は1回目と同様に進行した。この一連の操作を繰り返すことにより、触媒を回収、再利用できるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。

産業上の利用分野

本発明は、エステル縮合物の製造方法や、これに用いる触媒に関し、より詳しくは、等モル量の原料からエステル縮合物を高収率で得ることができ、回収した触媒の反復使用を可能とし、資源の浪費を著しく削減し、資源の有効利用を図り、環境破壊を抑制することができるエステル縮合物の製造方法や、これに用いる触媒に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ジルコニウム(IV)化合物及び/又はハフニウム(IV)化合物と、鉄(III)化合物及び/又はガリウム(III)化合物とを含有する触媒を用いて、カルボン酸とアルコールとのエステル化反応を行なうことを特徴とするカルボン酸とアルコールとのエステル縮合物の製造方法。

【請求項2】
ジルコニウム(IV)化合物が、一般式(1)
Zr(OH)(OR (1)
(式中、Rは、アシル基又はアルキル基を示し、a及びbは、それぞれ0又は1~4の整数であって、a+b=4の関係を有する。)で示される化合物であることを特徴とする請求項1記載のエステル縮合物の製造方法。

【請求項3】
ジルコニウム(IV)化合物が、一般式(3)
ZrX (3)
(式中、Xはハロゲン原子を示し、Yはテトラヒドロフランを示し、eは0又は2を示す。)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載のエステル縮合物の製造方法。

【請求項4】
ハフニウム(IV)化合物が、一般式(2)
Hf(OH)(OR (2)
(式中、Rは、アシル基又はアルキル基を示し、c及びdは、それぞれ0又は1~4の整数であって、c+d=4の関係を有する。)で示される化合物であることを特徴とする請求項1記載のエステル縮合物の製造方法。

【請求項5】
ハフニウム(IV)化合物が、一般式(4)
HfX (4)
(式中、Xはハロゲン原子を示し、Yはテトラヒドロフランを示し、fは0又は2を示す。)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載のエステル縮合物の製造方法。

【請求項6】
鉄化合物が、鉄(III)アルコキシドであり、ガリウム化合物がガリウム(III)アルコキシドであることを特徴とする請求項1~5のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法。

【請求項7】
鉄化合物の存在量が、ジルコニウム(IV)化合物及び/又はハフニウム(IV)化合物に対して、5mol%以上であることを特徴とする請求項1~6のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法。

【請求項8】
エステル化反応が、溶媒を用いて加熱還流し共沸する水を反応系から除去して行なわれることを特徴とする請求項1~7のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法。

【請求項9】
溶媒として、非極性溶媒又は低極性溶媒を用いることを特徴とする請求項8記載のエステル縮合物の製造方法。

【請求項10】
非極性溶媒又は低極性溶媒が、トルエン、キシレン、メシチレン、アニソールから選ばれる1種又は2種以上の溶媒であることを特徴とする請求項9記載のエステル縮合物の製造方法。

【請求項11】
触媒として、エステル化反応終了後、反応系にイオン性液体を添加し、有機層からエステルを得た後、触媒を含有するイオン性液体層そのもの溶液用いることを特徴とする請求項1~10のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法。

【請求項12】
イオン性液体が、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホンイミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナートであることを特徴とする請求項11記載のエステル縮合物の製造方法。

【請求項13】
イオン性液体が、N-アルキルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸イミドであることを特徴とする請求項11記載のエステル縮合物の製造方法。

【請求項14】
触媒として、エステル化反応終了後、反応系に塩酸水溶液を添加し、有機層からエステルを得た後、触媒を含有する水層そのもの溶液用いることを特徴とする請求項1~10のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法。

【請求項15】
溶媒として、トルエンやヘプタンの低極性有機溶媒を用いることを特徴とする請求項11~14のいずれか記載のエステル縮合物の製造方法。

【請求項16】
カルボン酸とアルコールとのエステル化反応に使用され、ジルコニウム(IV)化合物及び/又はハフニウム(IV)化合物と、鉄化合物及び/又はガリウム化合物とを含有することを特徴とするカルボン酸とアルコールとのエステル縮合物製造用触媒。

【請求項17】
ジルコニウム(IV)化合物が、一般式(1)
Zr(OH)(OR (1)
(式中、Rは、アシル基又はアルキル基を示し、a及びbは、それぞれ0又は1~4の整数であって、a+b=4の関係を有する。)で示される化合物であることを特徴とする請求項16記載のエステル縮合物製造用触媒。

【請求項18】
ジルコニウム(IV)化合物が、一般式(3)
ZrX(3)
(式中、Xはハロゲン原子を示し、Yはテトラヒドロフランを示し、eは0又は2を示す。)で表される化合物であることを特徴とする請求項16記載のエステル縮合物製造用触媒。

【請求項19】
ハフニウム(IV)化合物が、一般式(2)
Hf(OH)(OR (2)
(式中、Rは、アシル基又はアルキル基を示し、c及びdは、それぞれ0又は1~4の整数であって、c+d=4の関係を有する。)で示される化合物であることを特徴とする請求項16記載のエステル縮合物製造用触媒。

【請求項20】
ハフニウム(IV)化合物が、一般式(4)
HfX (4)
(式中、Xはハロゲン原子を示し、Yはテトラヒドロフランを示し、fは0又は2を示す。)で表される化合物であることを特徴とする請求項16記載のエステル縮合物製造用触媒。

【請求項21】
鉄化合物が、鉄(III)アルコキシドであり、ガリウム化合物がガリウム(III)アルコキシドであることを特徴とする請求項16~20のいずれか記載のエステル縮合物製造用触媒。

【請求項22】
鉄化合物の存在量が、ジルコニウム(IV)化合物及び/又はハフニウム(IV)化合物に対して、5mol%以上であることを特徴とする請求項16~21のいずれか記載のエステル縮合物製造用触媒。

【請求項23】
触媒が、エステル化反応終了後、反応系にイオン性液体を添加し、有機層からエステルを得た後触媒を含有するイオン性液体層そのものであることを特徴とする請求項16~22のいずれか記載のエステル縮合物製造用触媒。

【請求項24】
イオン性水溶液が、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホンイミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナートであることを特徴とする請求項23記載のエステル縮合物製造用触媒。

【請求項25】
イオン性液体が、N-アルキルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸イミドであることを特徴とする請求項23記載のエステル縮合物製造用触媒。

【請求項26】
触媒が、エステル化反応終了後、反応系に塩酸水溶液を添加し、有機層からエステルを得た後触媒を含有する水層そのものであることを特徴とする請求項16~22のいずれか記載のエステル縮合物製造用触媒。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) SORST 平成12年度採択課題
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