TOP > 国内特許検索 > セルロースナノファイバーの製造方法

セルロースナノファイバーの製造方法

国内特許コード P110003628
整理番号 2489
掲載日 2011年6月27日
出願番号 特願2009-061404
公開番号 特開2010-216021
登録番号 特許第5500842号
出願日 平成21年3月13日(2009.3.13)
公開日 平成22年9月30日(2010.9.30)
登録日 平成26年3月20日(2014.3.20)
発明者
  • 矢野 浩之
  • 上谷 幸治郎
出願人
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 セルロースナノファイバーの製造方法
発明の概要 【課題】異物が混入しておらず、幅10~50nmという、植物細胞壁中の基本エレメントの状態まで解繊された、均一かつ損傷の少ないセルロースナノファイバーを、高効率で製造する技術の開発が求められており、セルロースナノファイバーの新規な製造方法を提供する。
【解決手段】リグニン含有量が0~5重量%である植物由来の繊維集合体と液体物質との混合物を攪拌するセルロースナノファイバーの製造方法。10~50nmという植物細胞壁中における基本エレメントまで解繊された、均一かつ損傷の少ないセルロースナノファイバーが効率的に得られる。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要



セルロースナノファイバーは、すべての植物の基本骨格物質(基本エレメント)であり、植物の細胞壁の中では、幅4nm程のセルロースミクロフィブリルが数本集まり束となった、幅10~50nm程度のセルロースナノファイバーとして存在している。セルロースナノファイバーの幅は、植物によって分布が異なり、例えば、木材の場合は10~20nm程度と比較的狭いが、シュガービートパルプ、ポテトパルプ、稲ワラ、オオカナダモ等の場合は、20~50nm程度の範囲に分布する。





セルロースナノファイバーは、軽量で、鋼鉄の5倍以上の強度、石英ガラス相当の低線熱膨張を有していることから、持続型植物資源から得られる高性能ナノファイバーとして、その製造と利用について多くの研究が行われている。





植物の細胞壁は、繊維構造の違いから主に一次壁と二次壁に分けられ、細胞壁同士は最外層の中葉で接着している。一次壁は細胞が分裂してすぐにできる細胞壁であり、樹木の放射・接線方向に対する細胞のふくらみを制御するように形成され、細胞の拡大・成長に伴って細胞壁をある程度引き延ばすことができる。一次壁中ではセルロースナノファイバーはランダムに配向し、ファイバー同士の結合力が比較的弱い。一方、二次壁は、拡大・成長が終わった細胞において、一次壁の内側に形成される細胞壁である。一次壁に比べて層が非常に厚く、二次壁中層では細胞長軸に対してセルロースナノファイバーが配向し、ファイバー同士が同方向に密着して互いに水素結合するため、強固で可塑性が低く単繊維が分離しにくい構造を持つ。





従来、麻、木材等の植物由来の繊維集合体からセルロースナノファイバーを抽出(取り出す)方法として、リグニンやヘミセルロースを除去した植物繊維パルプ、木材パルプをリファイナーで処理して細胞壁を横方向に数回切断した後、二軸混練機で混練処理して強固な二次壁を解繊する方法が存在する。しかしながら、この方法では、繊維の幅が10nm~5μm程度のセルロース繊維の混合物が得られ、繊維幅が均一に揃ったセルロースナノファイバーを得ることはできない。





また、パルプスラリーを狭い空隙に押し込み圧力の解放で解繊を進める高圧ホモジナイザーやマイクロフリュイダイザーといった方法も存在する(非特許文献1及び2)が、解繊を進めるためには、何回も処理を繰り返す必要がある。さらに、これらの方法では、狭い間隙にパルプスラリーを押し込み解繊するため、ナノファイバーが所々で折れて繊維が損傷したり、機械の間隙が詰まって連続的な製造が難しい等の欠点がある。





さらに、パルプスラリーを高速で対向衝突させてナノファイバー化するカウンターコリジョン法がある。しかしながら、この方法によっても、幅10~50nmという均一なセルロースナノファイバーは得られず、また、高圧ホモジナイザー法と同様に何度も繰り返し処理を行う必要があり、生産効率に劣る。





一方、回転する砥石間でパルプを磨砕するグラインダー法は、木材から一次壁切断等の前処理を行うことなく、直接的に幅10~20nmのセルロースナノファイバーが得られることが知られている(非特許文献3)。しかしながら、この方法では、砥石を接触させながら処理するために、削れた砥石成分が、ナノファイバースラリーに混ざってしまうことがあり、高純度のナノファイバーが得られにくい。また、グラインダー法による処理は、パルプ表面に強い外力を加えるため、セルロースナノファイバーが損傷を受けやすい。





この様に、機械的な処理によって、不純物が無く、かつ、損傷が極めて少ないセルロースナノファイバーを高効率で製造する手法は未だ見出されていない。





一方、セルロース表面にカルボキシル基を選択的に導入するTEMPO酸化により、セルロースナノファイバー間の相互作用を大きく低下させると、パルプスラリーをブレンダーで撹拌するだけで、4nm程度に幅の揃ったセルロースナノファイバーが得られる方法が存在する(非特許文献4)。しかしながら、本方法では、セルロース表面にカルボキシル基を導入する必要があり、化学変性していないセルロースナノファイバーを得ることはできない。さらに、パルプを高濃度の硫酸等の強酸で処理し、撹拌で解繊を行う方法があるが、強酸処理によってセルロースナノファイバーは著しい低分子化を生じ、繊維形態を保つことができない。





この様なことから、異物が混入しておらず、幅10~50nmという、植物細胞壁中の基本エレメントの状態まで解繊された、均一かつ損傷の少ないセルロースナノファイバーを、高効率で製造する技術の開発が求められていた。

産業上の利用分野



本発明は、セルロースナノファイバーの製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
リグニン含有量が0~5重量%である植物由来の繊維集合体と液体物質との混合物を攪拌するセルロースナノファイバーの製造方法であって、
該植物由来の繊維集合体の長径が1μm~10mmであり、
該混合物中の植物由来の繊維集合体の濃度が0.2~5重量%であり、
ブレンダー又はミキサーから選ばれる攪拌装置を使用して、攪拌速度を1000~50000rpmにして該混合物を攪拌することを特徴とする、セルロースナノファイバーの製造方法

【請求項2】
セルロースナノファイバーの幅が10~50nmである請求項1に記載の製造方法。

【請求項3】
前記植物由来の繊維集合体のアスペクト比が1~200である請求項1又は2に記載の製造方法。

【請求項4】
前記植物由来の繊維集合体が、植物由来の繊維集合体の粉体及び/又はチップを酸で処理して得られたものである請求項1~のいずれかに記載の製造方法。

【請求項5】
液体物質が、水、炭素数2~10のハロゲン化炭化水素、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数3~20の炭化水素、超臨界状態の二酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1~のいずれかに記載の製造方法。

【請求項6】
超音波処理を併用する請求項1~のいずれかに記載の製造方法。

【請求項7】
前記攪拌の後又は同時に、遠心分離及び/又はろ過工程を有する請求項1~のいずれかに記載の製造方法。

【請求項8】
前記植物由来の繊維集合体が酵素処理されたものである請求項1~のいずれかに記載の製造方法。

【請求項9】
前記植物由来の繊維集合体が化学処理されたものである請求項1~のいずれかに記載の製造方法。

【請求項10】
(1)長径が1μm~10mmである植物由来の繊維集合体の粉体及び/又はチップを酸で処理してリグニン含有量が0~5重量%である植物由来の繊維集合体を得る工程、
(2)工程(1)で得られた植物由来の繊維集合体と液体物質とから、植物由来の繊維集合体の濃度が0.2~5重量%である混合物を調製し、ブレンダー又はミキサーから選ばれる攪拌装置を使用して、攪拌速度を1000~50000rpmにして該混合物を攪拌する工程
を有するセルロースナノファイバーの製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、下記までご連絡ください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close