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通信システム及びそれを用いた通信方法

国内特許コード P110003633
整理番号 E062P08
掲載日 2011年6月27日
出願番号 特願2005-515832
登録番号 特許第5142095号
出願日 平成16年11月29日(2004.11.29)
登録日 平成24年11月30日(2012.11.30)
国際出願番号 JP2004017681
国際公開番号 WO2005053219
国際出願日 平成16年11月29日(2004.11.29)
国際公開日 平成17年6月9日(2005.6.9)
優先権データ
  • 特願2003-398491 (2003.11.28) JP
  • 特願2004-335228 (2004.11.19) JP
発明者
  • 富田 章久
  • 中村 和夫
  • 田島 章雄
  • 田中 聡寛
  • 南部 芳弘
  • 鈴木 修司
  • 竹内 剛
  • 前田 和佳子
  • 高橋 成五
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 日本電気株式会社
発明の名称 通信システム及びそれを用いた通信方法
発明の概要 伝送路での偏光状態の攪乱に対して安全性が損なわれない折り返し構成をとりながらファラデーミラーを用いずに、また偏光依存性のある位相変調器が使用できる通信システム及びそれを用いた通信方法を提供する。
本発明の量子暗号システムは、時間的に分割された光パルスを伝送路2に放出し、伝送路2から折り返してきた光パルス間の位相差を測定する手段を備えた第1のステーション1と、光の媒体となる前記伝送路2と、光パルスの進行方向を反転させる手段と分割された光パルス間に送信する乱数ビット値に対応した位相差を与える手段と入射した光パルスを直交偏光成分に分割し、直交偏光成分間に180度の位相差を与える手段と各々の偏光を90度回転させる手段と、さらに直交偏光成分を合成する際に前記90度回転からのずれ成分を除去する手段を有し、伝送路2に再び光パルスを放出する際、パルスの強度が1ビットあたり1光子以下になるように減衰させる手段を有する第2のステーション3からなる。
従来技術、競合技術の概要


近年、インターネットの爆発的普及、電子商取引の実用化を迎え、通信の秘密保持・改ざん防止や個人の認証などのために、暗号技術の社会的な必要性が高まっている。現在、DES(Data Encryption Standard)暗号のような共通鍵方式やRSA(Rivest Shamir Adleman)暗号をはじめとする公開鍵方式が広く用いられている。しかし、これらの方式は「計算量的安全性」にその基盤を置いている。つまり、現行の暗号方式は計算機ハードウェアと暗号解読アルゴリズムの進歩に常に脅かされている。特に、銀行間のトランザクションや軍事・外交にかかわる情報などの極めて高い安全性が要求される分野では、原理的に安全な暗号方式が実用になればそのインパクトは大きい。



情報理論で無条件安全性が証明されている暗号方式に、ワンタイムパッド法がある。ワンタイムパッド法は通信文と同じ長さの暗号鍵を用い、暗号鍵を1回で使い捨てることが特徴である。下記非特許文献1で、ワンタイムパッド法に使用する暗号鍵を安全に配送する具体的なプロトコルが提案された。これを契機に量子暗号の研究が盛んになっている。量子暗号は物理法則が暗号の安全性を保証するため、計算機の能力の限界に依存しない究極の安全性保証が可能になる。現在検討されている量子暗号は1ビットの情報を単一光子の状態として伝送するものである。このため、伝送路である光ファイバにより光子の状態が変化すると量子暗号の安全性は大きく損なわれる。



従来の量子暗号装置(下記特許文献2参照)では、第2のステーション(送信)側で光パルスを光路差のある干渉計を用いて時間的に2分割し、互いの位相差を変調することにより暗号鍵となる乱数ビットを表現し、第1のステーション(受信)側で2分割された光パルスを再び干渉させることにより伝送された乱数ビットを再生している。このため、第2のステーション(送信)側と第1のステーション(受信)側で用いる干渉計の光路差は完全に等しくなければならない。また、伝送路で偏光状態が変動すると干渉の明瞭度が低下し、受信誤り率の増大につながる。量子暗号では受信誤り率の増大を盗聴者検出の手段としているため、伝送路での偏光状態の変化に起因する受信誤り率の増大は盗聴者の発見確率を減少させ、結果として量子暗号の安全性を低下させる。また、量子暗号装置では、盗聴行為が存在したものと仮定して、第1のステーション及び第2のステーションの間で共有した乱数ビット群から、盗聴された危険性のあるビット量に相当する情報量を破棄し、共有乱数データの秘匿性を確実なものにする。この際、破棄するべき情報量は受信誤り率によって一様に定まる。受信誤り率が高い場合には、より多くの情報量を破棄する必要があり、最終的な共有乱数データ量が減少、つまり量子暗号の暗号鍵生成速度が劣化することになる。



上述のような問題を解決するため、下記特許文献1またはこれを簡略にした下記特許文献3および下記非特許文献2に記載されているように、ファラデーミラーを用いて偏光方向の変動を補償する量子暗号装置が発明されている。この装置では、まず受信者が時間的に分割され偏光が直交した光パルスを送信者に送り、送信者はファラデーミラーを用いて送られてきた光の進行方向を反転させ、同時に偏光方向を90度回転させた後、分割された光パルスの間に位相変調器により位相差を与えて受信者に送り返すという構成をとっている。このような折り返し構成により、光パルスを時間的に分割する干渉計と時間的に再び結合させる干渉計は同一のものになるため、干渉計の光路差が光パルスの往復時間より長い時間だけ一定に保たれれば明瞭度の高い干渉が得られる。よく知られているように、ファラデーミラーで反射された光は、途中の伝送路でいかなる偏光状態の攪乱を受けても戻った光の偏光方向は初めの状態に直交するため、伝送路での偏光状態の攪乱に対しても干渉計の明瞭度は損なわれることはなく、量子暗号の安全性は保障される。
【特許文献1】
特表2000-517499号
【特許文献2】
特許第2951408号
【特許文献3】
USP 6,188,768B1
【非特許文献1】
ベネット(Bennett)、ブラッサード(Brassard)著 IEEEコンピュータ、システム、信号処理国際会議〔IEEE Int.Conf.on Computers,Systems,and Signal Processing,Bangalore,India,p.175(1984)〕
【非特許文献2】
リボルディ(Ribordy)、ガウチャー(Gautier)、ジサン(Gisin)、グィナルド(Guinnard)、ツビンデン(Zbinden)著 エレクトロニクスレターズ(Electronics Letters) 34巻 2116-2117頁(1998)

産業上の利用分野


本発明は、通信システム及びそれを用いた通信方法に係り、特に暗号鍵を光ファイバ通信により共有する量子暗号鍵の配布を行う通信システム及びそれを用いた通信方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
第1のステーションと、光の媒体となる伝送路と、第2のステーションとからなる通信システムであって、
前記第1のステーションは、時間的に分割された光パルスを前記伝送路に放出し、前記第2のステーションで変調された後、前記伝送路に戻し、前記第1のステーションで前記伝送路から折り返してきた光パルス間の位相差を測定し、
前記第2のステーションは、前記時間的に分割された光パルスを第1の直交偏光成分と第2の直交偏光成分に分割する偏光ビームスプリッタと、
前記第1の直交偏光成分を受信し、前記時間的に分割された光パルス間に乱数ビットの値に対応して位相差を与える第1の位相変調器と、
前記第2の直交偏光成分の偏光方向を90度回転した後、前記第2の直交偏光成分を受信し、前記時間的に分割された光パルス間に前記乱数ビットの値に対応した位相差と同じ大きさの位相差を与え、前記第1の直交偏光成分と前記第2の直交偏光成分の間に180度の位相差を与える第2の位相変調器とを備え、
前記第1の位相変調器の出力は偏光方向を90度回転させた後、前記偏光ビームスプリッタにおいて前記第2の位相変調器の出力と合成され、前記伝送路に再び戻されることを特徴とする通信システム。

【請求項2】
請求項1記載の通信システムにおいて、同一の位相変調器が前記第1の位相変調器および前記第2の位相変調器として構成されることを特徴とする通信システム。

【請求項3】
請求項2記載の通信システムにおいて、前記第2のステーションへ入射した光パルスを直交偏光成分に分割した後、前記分割された偏光成分が前記位相変調器に入射するまでの距離を各々の偏光成分で異なる値とし、信号電圧を時間的に変化させることによって乱数ビット値に対応した位相差と直交偏光成分間の180度の位相差を同時に与えることを特徴とする通信システム。

【請求項4】
請求項2記載の通信システムにおいて、前記第2のステーションへ入射した光パルスを直交偏光成分に分割した後、前記分割された偏光成分を前記位相変調器の両端から入射するまでの光路が、定偏波光ファイバで構成されていることを特徴とする通信システム。

【請求項5】
請求項4記載の通信システムにおいて、前記定偏波光ファイバの偏光軸を入射した光パルスの直交偏光成分の電界ベクトルの向きに合わせることにより、前記分割された偏光成分が合成される際にもとの偏光方向から90度回転されていることを特徴とする通信システム。

【請求項6】
請求項1記載の通信システムにおいて、前記偏光ビームスプリッタの偏光回転の90度からのずれ成分が出力される端子が無反射終端されていることを特徴とする通信システム。

【請求項7】
請求項1記載の通信システムにおいて、前記第2のステーションが、前記第1の位相変調器の出力と前記第2の位相変調器の出力を合成し前記伝送路に再び光パルスを放出する際、光パルスの強度が1ビットあたり1光子以下になるように減衰させる手段を有し、量子暗号鍵を配布することを特徴とする通信システム。

【請求項8】
第1のステーションで、時間的に分割された光パルスを伝送路に放出し、第2のステーションで変調した後、前記伝送路へ戻し、前記伝送路から折り返してきた光パルス間の位相差を測定し、
前記第2のステーションにおいて、偏光ビームスプリッタにより、前記時間的に分割された光パルスを第1の直交偏光成分と第2の直交偏光成分に分割し、
前記第2のステーションにおいて、第1の位相変調器により、前記第1の直交偏光成分を受信し、前記時間的に分割された光パルス間に乱数ビットの値に対応して位相差を与え、
前記第2のステーションにおいて、第2の位相変調器により、前記第2の直交偏光成分の偏光方向を90度回転した後、前記第2の直交偏光成分を受信し、前記第1の位相変調器により前記時間的に分割された光パルス間に与えたのと同じ大きさの位相差を与え、前記第1の直交偏光成分と前記第2の直交偏光成分の間に180度の位相差を与え、
前記第1の位相変調器の出力偏光方向を90度回転させた後、前記偏光ビームスプリッタにおいて前記第2の位相変調器の出力と合成し、前記伝送路に再び戻すことを特徴とする通信方法。

【請求項9】
請求項記載の通信方法において、同一の位相変調器が前記第1の位相変調器および前記第2の位相変調器として構成されることを特徴とする通信方法。

【請求項10】
請求項9記載の通信方法において、前記第2のステーションへ入射した光パルスを直交偏光成分に分割した後、前記分割された偏光成分が前記位相変調器に入射するまでの距離を各々の偏光成分で異なる値とし、信号電圧を時間的に変化させることによって乱数ビット値に対応した位相差と直交偏光成分間の180度の位相差を同時に与えることを特徴とする通信方法。

【請求項11】
請求項9記載の通信方法において、前記第2のステーションへ入射した光パルスを直交偏光成分に分割した後、前記分割された偏光成分を前記位相変調器の両端から前記偏光ビームスプリッタへ入射するまでの光路が、定偏波光ファイバで構成されていることを特徴とする通信方法。

【請求項12】
請求項11記載の通信方法において、前記定偏波光ファイバの偏光軸を入射した光パルスの直交偏光成分の電界ベクトルの向きに合わせることにより、前記分割された偏光成分が合成される際にもとの偏光方向から90度回転されていることを特徴とする通信方法。

【請求項13】
請求項記載の通信方法において、前記偏光ビームスプリッタの偏光回転の90度からのずれ成分が出力される端子が無反射終端されていることを特徴とする通信方法。

【請求項14】
請求項記載の通信方法において、前記第2のステーションが、前記第1の位相変調器の出力と前記第2の位相変調器の出力を合成し前記伝送路に再び光パルスを放出する際、光パルスの強度が1ビットあたり1光子以下になるように減衰させ、量子暗号鍵を配布することを特徴とする通信方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 今井量子計算機構プロジェクト 領域
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