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核内レセプターのアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブとそれを用いた核内レセプターに対するアゴニストおよびアンタゴニストのスクリーニング方法 実績あり

国内特許コード P110003660
整理番号 A161P29
掲載日 2011年6月27日
出願番号 特願2005-518070
登録番号 特許第4485475号
出願日 平成17年2月14日(2005.2.14)
登録日 平成22年4月2日(2010.4.2)
国際出願番号 JP2005002660
国際公開番号 WO2005078119
国際出願日 平成17年2月14日(2005.2.14)
国際公開日 平成17年8月25日(2005.8.25)
優先権データ
  • 特願2004-035678 (2004.2.12) JP
発明者
  • 梅澤 喜夫
  • 佐藤 守俊
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 核内レセプターのアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブとそれを用いた核内レセプターに対するアゴニストおよびアンタゴニストのスクリーニング方法 実績あり
発明の概要

少なくとも、核内レセプターのリガンド結合ドメインを含むリガンド認識部位と、該核内レセプターリガンド結合ドメインにおける活性化補助因子結合ドメインに特異的に結合するペ
プチド鎖を含む結合応答部位が、屈曲性のリンカーを介して連結されており、この[リガンド認識部位/リンカー/結合応答部位]融合構造の両末端に、互いの接近が検出可能な二つのマーカー部位が各々連結されていることを特徴とする核内レセプターのアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブとする。

従来技術、競合技術の概要

エストロゲン、プロゲステロン、アンドロゲン、グルココルチコイド、ミネラルコルチコイドなどのステロイドホルモンや、甲状腺ホルモン、レチノイン酸等の脂溶性シグナル分子は、標的組織(細胞)の増殖・分化の制御、個体発生、精神活動等、高等動物の生命活動全般に深く関わるとともに、多くの疾患の発症や悪化にも関与していることが明らかになっている。また、核内には、これらの脂溶性シグナル分子に対する特異的なレセプターが存在することが知られており、これらのレセプター群は核内レセプターと総称され、一つの遺伝子スーパーファミリーを形成している。
このような核内レセプターは、リガンド依存性転写因子であり、前記の脂溶性シグナル分子と特異的に結合し、標的遺伝子のプロモーター上の応答配列を認識して結合することにより転写促進作用を発揮することが知られている。
また、最近の核内レセプターの研究により、核内レセプターの転写制御機構においてはリガンドだけでなく、転写を各々正負に制御する活性化補助因子の機能が重要な役割を果たすことが明らかになっている。
例えば、多くの生殖組織の成長、発達、維持の原因となるエストロゲンは(非特許文献1)、エストロゲンレセプター(ER)に結合することにより、生理学的ならびに薬理学的効果を発揮する(非特許文献2および3)。一方、ステロイドレセプター活性化補助因子1(SRC-1)はp160核内ホルモンレセプター活性化補助因子ファミリーに属し、ERがアゴニストと複合体を形成した場合に、ERの活性化補助因子結合ドメインと相互作用してERの転写活性を誘起するようになるが、アゴニストが存在しない場合やERがアンタゴニストと結合している場合にはこのような現象が生じないことが明らかにされている(非特許文献4)。このとき、アゴニストはERの高次構造の変化を誘導し、これによりER上に活性化補助因子結合ドメインが形成され、ERへの活性化補助因子の結合が促進および安定化される。同時にERと活性化補助因子の結合により、ERとアゴニストの結合が相互的に安定化され、アゴニストのERからの解離速度が顕著に低下する(非特許文献5)。
ところで、従来より、天然エストロゲンに対して構造的類似性をほとんど有さない多くの合成化学物質が、ERと結合し、生体内での天然エストロゲン活性を模倣または阻害する内分泌攪乱物質として作用することが報告されている(非特許文献6~9)。野生動物やヒトが発達の比較的初期にこのようなエストロゲン性化学物質に曝露された場合には、生殖器官の異常、生殖器重量の減少、精子の数的減少や質低下が生じることが知られている(非特許文献10~12)。同様に、エストロゲン以外の脂溶性シグナル分子に関しても、内分泌攪乱物質の存在や影響が明らかにされている。
そこで、ERに対する物質の結合性を試験する方法について多くの研究が進められている(非特許文献7、13~16)が、これら従来の結合試験方法は、いずれも競合反応に基づくものであり、通常、試験物質がERに結合された標識リガンド(一般的には、放射性17βエストラジオール(E2))を置換するものである。このような方法では、内分泌攪乱物質の大規模なスクリーニングが可能であるが、例えば、アンタゴニストの場合のように、レセプターに対する物質の結合が必ずしも転写活性を起こすとは限らないため、試験物質がアゴニストとして作用するのか、アンタゴニストとして作用するのかを区別できないという問題があった。
また、これら従来の試験方法は、水溶性の低い物質の結合親和性を調べるには不向きであるという問題もあった。さらに、生理学的条件より低い温度でのインキュベーションが必要である上、測定前に数回の洗浄を行うことにより遊離の放射性標識分子を除去する必要があり、これらの操作よってERとリガンドの反応平衡が乱される場合があるという問題もあった。
最近になって蛍光偏光結合アッセイ(非特許文献17)、電気化学的結合アッセイ(非特許文献18)、表面プラズモン共鳴バイオセンサー技術(非特許文献19)などの放射性同位元素を使用しない新しいin vitro結合アッセイ法も提案されているが、これらもエストロゲンに対するアゴニストとアンタゴニストを区別できない。また、レセプター結合アッセイは大量の精製レセプター蛋白質を必要とする。
さらに、化学物質のエストロゲン感受性細胞に対する増殖刺激能力を分析する細胞増殖アッセイとして、MCF-7細胞やT47D細胞を用いるE-スクリーニング法が知られている(非特許文献20)。また、ある化学物質による細胞培養中のレポーター遺伝子作成物に対する転写刺激能を分析する手法としては、酵母や哺乳類細胞を対象とするレポーター遺伝子アッセイ(非特許文献21、22)が、エストロゲン活性を有する物質を特定するための非常に有用な方法として知られている。これらE-スクリーニング法とレポーター遺伝子アッセイ法では、アゴニストとアンタゴニストを区別することができるが、哺乳類細胞や酵母を含む培地にリガンドを添加してから結果を得るまでに約1日かかるという問題があった。
したがって、エストロゲンを初めとする核内レセプターに対するアゴニストやアンタゴニストを高速で、選択性高くスクリーニングできる簡便な方法は知られていなかったのが実情である。
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、核内レセプターに対するアゴニストやアンタゴニストを高選択的にスクリーニングするための簡便で精度高い方法を提供することを課題としている。
文献

【特許文献1】特願2003-145466号
【特許文献2】特願2003-301259号
【非特許文献1】Ciocca,D.R.and Roig,L.M.V.Endocr.Rev.1995,16,35-62.
【非特許文献2】Tsai,M.J.and O’ Malley,B.W.Annu.Rev.Biochem 1994,63,451-486.
【非特許文献3】Nilsson,S.et al.Physiological Rev.2001,81,1535-1565.
【非特許文献4】McKenna,N.J.et al.Endocr.Rev.1999,20,321-344.
【非特許文献5】Gee,A.C.et al.Mol.Endocrinol.1999,13,1912-1923.
【非特許文献6】Korach,K.S.Endocrinology 1993,132,2277-2278.
【非特許文献7】Shelby,M.D.et al.Environ.Health Perspect.1996,104,1296-1300.
【非特許文献8】Oosterkamp,A.J.et al.Anal.Chem.1997,16,545-553.
【非特許文献9】Sonnenschein,C.;Soto,A.M.J.Steroid Biochem.Mol.Biol.1998,65,143-150.
【非特許文献10】Colborn T.Environ.Health Perspect.1995,103,135-136.
【非特許文献11】Neubert,D.,Regul.Toxicol.Pharmacol.1997,26,9-29.
【非特許文献12】Daston,G.P.et al.Reprod.Toxicol.1997,11,465-481.
【非特許文献13】Salomonsson,M.et al.J.Steroid Biochem.Mol.Biol.1994,50,313-318.
【非特許文献14】Kuiper,G.G.J.M.et al.Endocrinology 1997,138,863-870.
【非特許文献15】Tabira,T.et al.Eur.J.Biochem.1999,262,240-245.
【非特許文献16】Blair,R.M.et al.Toxicol.Sci.2000,54,138-155.
【非特許文献17】Bolger,R.et al.Environ.Health Perspect.1998,106,551-557.
【非特許文献18】Kuramitz,H.et al.Anal.Chem.2002,74,533-538.
【非特許文献19】Usami,M.et al.J.Steroid Biochem.Mol.Biol.2002,81,47-55.
【非特許文献20】Soto,A.M.et al.Environ.Health Perspect.1995,103(Suppl.7),113-122.
【非特許文献21】Bronstein,I.et al.J.Anal.Biochem.1994,219,169-181.
【非特許文献22】Gaido,K.W.et al.Toxicol.Appl.Pharmcol.1997,143,205-213.
【非特許文献23】Herry,D.M.et al.Nature 1997,387,733-736.
【非特許文献24】Mak,H.Y.et al.Mol.Cell.Biol.1999,19,3895-3903.
【非特許文献25】Weatherman,R.V.et al.Mol Endocrinol.2002,16,487-496.
【非特許文献26】Ueda H.et al.J.Immunol Methods.2003,279(1-2),209-18.
【非特許文献27】Pollock,B.A.;Heim,R.Cell Biol,1999,9,57-60.
【非特許文献28】Mochizuki,N.et al.Nature 2001,411,1065-1068.
【非特許文献29】Sato M.et al.Nature Biotech.2002,20,287-294.
【非特許文献30】Sasaki,K.et al.J.Biol.Chem.2003,278,30945-30951.
【非特許文献31】Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77;7380-7384,1980
【非特許文献32】Brzozowski,A.M.et al.Nature 1997,389,753-758.
【非特許文献33】Shiau,A.K.et al.Cell 1998,95,927-937.
【非特許文献34】Routledge,E.J.et al.J.Biol.Chem.2000,275,35986-35993.
【非特許文献35】Fang,H.et al.Chem.Res.Toxicol.2001,14,280-294.
【非特許文献36】Jordan,V.C.et al.Cancer Res.2001,61,6619-6623.

産業上の利用分野

この出願の発明は、核内レセプターのアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブに関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、核内レセプターに対するアゴニストとアンタゴニストを選択性高く検出、定量するためプローブと、それを用いた核内レセプターに対するアゴニストおよび/またはアンタゴニストのスクリーニング方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】少なくとも、核内レセプターのリガンド結合ドメインを含むリガンド認識部位と、該核内レセプターリガンド結合ドメインにおける活性化補助因子結合ドメインに特異的に結合するペプチド鎖を含む結合応答部位が、屈曲性のリンカーを介して連結されており、この[リガンド認識部位/リンカー/結合応答部位]融合構造の両末端に、互いの接近が検出可能な二つのマーカー部位が各々連結されており、前記結合応答部位は配列番号1のモチーフを含むものであることを特徴とする核内レセプターのアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブ。
【請求項2】リガンド認識部位は、グルココルチコイドレセプター、エストロゲンレセプター、プロゲステロンレセプター、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプター、アンドロゲンレセプター、甲状腺ホルモンレセプター、レチノイン酸レセプター、およびビタミンDレセプターからなる群より選択されるいずれかの核内レセプターのリガンド結合ドメインを含むものである請求項1のアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブ。
【請求項3】リガンド認識部位は、エストロゲンレセプターαリガンド結合ドメイン、ペルオキシソーム増殖因子活性化レセプターリガンド結合ドメインまたはアンドロゲンレセプターリガンド結合ドメインである請求項1のアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブ。
【請求項4】結合応答部位は、配列番号2のアミノ酸配列を有するステロイドレセプター活性化補助因子1NRボックスIIペプチドである請求項1のアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブ。
【請求項5】互いの接近が検出可能な二つのマーカー部位は、黄色蛍光タンパク質とシアン蛍光タンパク質である請求項1ないし3のいずれかのアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブ。
【請求項6】核内レセプターに対するアゴニストをスクリーニングするための方法であって、請求項1ないし5のいずれかのアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブとアゴニスト候補物質を共存させ、アゴニスト候補物質非存在下および存在下におけるシグナルの変化を測定するアゴニストのスクリーニング方法。
【請求項7】請求項1ないし5のいずれかのアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブを発現するポリヌクレオチドを細胞内に導入し、細胞内で該プローブとアゴニスト候補物質を共存させる請求項6のアゴニストのスクリーニング方法。
【請求項8】請求項1ないし5のいずれかのアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブを発現するポリヌクレオチドを細胞内に導入し、非ヒト動物全能性細胞を個体発生することによって、この動物またはその子孫動物の全細胞において、該プローブとアゴニスト候補物質を共存させる請求項6のアゴニストのスクリーニング方法。
【請求項9】核内レセプターに結合し、拮抗作用を示すアンタゴニストをスクリーニングするための方法であって、既知のアゴニストの存在下で、請求項1ないし5のいずれかのアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブと過剰量のアンタゴニスト候補物質を共存させ、アンタゴニスト候補物質非存在下および存在下におけるシグナルの変化を測定するアンタゴニストのスクリーニング方法。
【請求項10】請求項1ないし5のいずれかのアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブを発現するポリヌクレオチドを細胞内に導入し、細胞内で、該プローブと既知のアゴニストとアンタゴニスト候補物質を共存させる請求項9のアンタゴニストのスクリーニング方法。
【請求項11】請求項1ないし5のいずれかのアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブを発現するポリヌクレオチドを細胞内に導入し、非ヒト動物全能性細胞を個体発生することによって、この動物またはその子孫動物の全細胞において、該プローブと既知のアゴニストとアンタゴニスト候補物質を共存させる請求項9のアンタゴニストのスクリーニング方法。
【請求項12】請求項1ないし5のいずれかのアゴニスト・アンタゴニスト検出用プローブを発現するポリヌクレオチドを細胞内に導入し、非ヒト動物全能性細胞を個体発生することによって得られる非ヒト動物またはその子孫動物。
産業区分
  • 微生物工業
  • 畜産
  • 有機化合物
  • 薬品
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 内分泌かく乱物質 領域
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