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ケモカインレセプターCCR5のN末端領域に対する抗体酵素 コモンズ

国内特許コード P110003670
整理番号 A251P91
掲載日 2011年6月28日
出願番号 特願2006-023638
公開番号 特開2007-202443
登録番号 特許第4777785号
出願日 平成18年1月31日(2006.1.31)
公開日 平成19年8月16日(2007.8.16)
登録日 平成23年7月8日(2011.7.8)
発明者
  • 宇田 泰三
  • 一二三 恵美
  • 岡村 好子
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 ケモカインレセプターCCR5のN末端領域に対する抗体酵素 コモンズ
発明の概要 【課題】エイズウイルスのコレセプターであるケモカインレセプターCCR5を分解して、その機能を消失させることができ、エイズウイルスの感染の予防やエイズの治療に利用できる抗体酵素、およびそれを利用した抗HIV薬剤を提供する。
【解決手段】ケモカインレセプターCCR5のN末端領域を構成するペプチドを免疫原としてモノクローナル抗体を作製し、そのモノクローナル抗体の重鎖、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列、塩基配列を決定した。続いて、このアミノ酸配列について分子モデリングを行ない、その3次元構造を推定し触媒三つ組残基構造を有しているか否かを確認した。そして、最終的に触媒三つ組残基構造を有するモノクローナル抗体(5A2、6A2、2B8)の軽鎖の可変領域がCCR5の抗体酵素として機能するということを見出した。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


AIDS(acquired immunodeficiency syndrome)は、その原因ウイルスであるヒト免疫不全ウイルス型(human immunodeficiency virus:HIV)の感染によって免疫機能が低下し、それに伴って日和見感染症や悪性腫瘍、神経症状、痴呆などを合併した病態である。HIVに感染すると、急性期、無昇症候期、エイズ関連症候群を経てエイズへと進展する。HIV関連の研究や治療法などの進歩によって、エイズは不治の病から治療可能な病気になりつつあるが、現段階では確実な抗HIV薬剤はなく、薬物による治療法も確立できていないのが現状である。



HIVの感染機構に関する研究において、1984年にHIVのレセプターとしてCD4が同定された。HIVの感染は、ウイルス粒子表面のエンベロープタンパク質(gp120)が、ヒトの細胞表面に発現しているCD4分子に結合することから始まる。



しかし、CD4のみではウイルスの外皮と宿主細胞の細胞膜との融合は起こらず、HIVの感染は成立しないため、CD4分子以外のヒト細胞膜成分が、ウイルス侵入のために補助因子として働く可能性が考えられ、コレセプター(セカンドレセプター)の存在が示唆されていた。そして、CD4の発見から10年以上経過した後に、HIVのコレセプターの一つとして、ケモカインレセプターCCR5が発見された(非特許文献1参照)。



HIV感染の第一のステップは、血液中や粘膜下に存在するヘルパーT細胞、マクロファージ、樹状細胞への吸着および侵入である。そして上記のHIVの細胞内侵入は、ウイルスのエンベロープタンパク質と標的(宿主)細胞の膜タンパク質との多段階反応によって引き起こされる。上記HIVの標的細胞内への侵入の詳細は、以下に示すとおりである。まずHIV粒子表面のエンベロープタンパク質(gp120)が、標的細胞表面のCD4へ結合する。このgp120のCD4ヘの結合によって、gp120に構造(コンフォメーション)変化が起こり、それまでマスクされた状態にあったgp120のV3ループ領域が解放され、標的細胞表面上のコレセプター(CCR5等)に結合する。この際、V3ループ領域とコレセプターとの相互作用には、コレセプターのアミノ末端領域(N末端領域)をはじめとする、いくつかの細胞外領域が関与していると考えられている。このV3ループ領域とコレセプターとの相互作用は、さらにHIVエンベロープタンパク質の膜貫通タンパク質gp41の細胞外ドメインの構造変化を引き起こし、それによってgp41の疎水性の高いN末端部分が標的細胞膜表面の脂質二重層へ挿入され、これが引き金となって、ウイルス表面膜と標的細胞膜との間で膜融合が起こり、ウイルスが細胞内に侵入するものと考えられている(非特許文献2参照)。



その後の研究によって、標的細胞においてケモカインレセプターCCR5が正常でない場合は、HIVの感染および発症に抵抗性を示すことが報告されている(非特許文献3参照)。そのため、現在、多くの研究者や企業が、このコレセプターを標的とし、HIVの侵入を阻害する薬剤の開発に乗り出している。このようなHIVコレセプターを標的とした抗HIV薬剤の研究・開発の現状に関しては、例えば以下に示す非特許文献4に記載されている。非特許文献4には、ケモカインレセプターCCR5を標的としてHIVの感染を予防できる抗HIV薬剤の候補として、ケモカインレセプターのアンタゴニストが報告されている。



しかしながら、これまで研究が進められている抗HIV薬剤候補は上記のごとく、ケモカインレセプターCCR5のアンタゴニストであり、ケモカインレセプターCCR5を直接攻撃して、その機能を消失させることのできる有効な薬剤は全く提案されていなかった。そこで本発明者らは、ケモカインレセプターCCR5を分解して、その機能を消失させることができ、HIVの感染予防やエイズの治療に利用できる抗体酵素の開発を開始した。その結果、ケモカインレセプターCCR5の細胞外領域を構成するペプチド、RSSHFPYSQYQFWKNFQTLK(配列番号13)、または、RSQKEGLHYTCS(配列番号14)を免疫原として用いて取得されるモノクローナル抗体から、ケモカインレセプターCCR5の細胞外領域を分解し得る抗体酵素を見出した(特許文献1参照)。
【非特許文献1】
Samson,M., Libert,F.,Doranz,B,J.,et al. Resistance to HIV-1 infection in caucasian individuals bearing mutant alleles of the CCR-5 chemokine receptor gene.(1996)Nature.382:722-725.
【非特許文献2】
Lee,B.,Sharron,M.,Blanpain,C.,et al. Epitope Mapping or CCR5 Reveals Multiple Conformational States and Distinct but Overlapping Structures Involved in Chemokine and Coreceptor Function.(1999)J.Biol.Chem.274:9617-9626
【非特許文献3】
「ケンモカインハンドブック」義江修 野見山尚行 宮坂昌之 監修(秀潤社)、200年11月20日発行
【非特許文献4】
村上務、山本直樹著:タンパク質 核酸 酵素、Vol.43、677-685頁(1998年)、「新しい抗HIV薬剤の開発-HIVのコレセプター(セカンドレセプター)に作用する薬剤」
【特許文献1】
特開2004-313166号公報(公開日:平成16年(2004)11月11日)

産業上の利用分野


本発明は、エイズウイルス(HIV)のコレセプターであるケモカインレセプターCCR5のN末端領域に対する抗体酵素、それをコードする遺伝子、その遺伝子が導入された形質転換体、及びそれらを利用した抗HIV薬剤に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
ヒト由来ケモカインレセプターCCR5のN末端領域に対する抗体または抗体断片であり、
当該ケモカインレセプターCCR5のN末端領域と特異的に結合し、かつ、
当該ケモカインレセプターCCR5を分解する活性を有し、かつ、
配列番号9に示されるアミノ酸配列からなる可変領域を含むことを特徴とする抗体酵素。

【請求項2】
請求項1に記載の抗体酵素をコードする遺伝子

【請求項3】
配列番号10に示す塩基配列からなることを特徴とする請求項2に記載の遺伝子

【請求項4】
請求項2または3に記載の遺伝子が導入された形質転換体
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 医療に向けた化学・生物系分子を利用したバイオ素子・システムの創製 領域
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