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気相ダイヤモンド膜のコーティング方法及び装置

国内特許コード P110003687
整理番号 RX06P17
掲載日 2011年6月28日
出願番号 特願2006-052027
公開番号 特開2007-230799
登録番号 特許第4843785号
出願日 平成18年2月28日(2006.2.28)
公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
登録日 平成23年10月21日(2011.10.21)
発明者
  • 阿部 利彦
  • 高木 敏行
  • 内一 哲哉
  • 三木 寛之
  • セルギィ・コノブリュック
出願人
  • 国立大学法人東北大学
発明の名称 気相ダイヤモンド膜のコーティング方法及び装置
発明の概要

【課題】3次元形状試料に対して、均一に気相合成ダイヤモンド膜を効率良くコーティングするための装置を提供する。
【解決手段】熱フィラメント法による気相ダイヤモンド膜のコーティング方法において、コーティング装置の内部に、加熱用フィラメント1、加熱用フィラメント1の近傍に配置した被コーティング試料4及びフィラメント加熱用の上部電極と下部電極を配置し、コーティング装置本体に上部電極を固定すると共に、該上部電極にフィラメント1の上端部を固定し、フィラメント1の下端部を移動自在な下部電極に固定して、下部電極がフィラメント1により吊持された状態とし、下部電極の重量及びフィラメント1の自重によりフィラメント1を緊張させると共に、該緊張したフィラメント1を通電加熱し、かつダイヤモンド原料となるガスを供給して、ダイヤモンド膜を試料4に気相ダイヤモンド膜をコーティングする。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


ダイヤモンドは硬さ、熱伝導率、ヤング率などが物質中で最高の値を示すので工業材料として広く利用されている。粒あるいは粉末の工業用ダイヤモンドは大掛かりな装置を用いる超高圧高温法で生産されている。
一方、気相成長法によれば比較的簡単な装置を用いて、水素ガスで希釈したメタンなどの炭化水素ガスからダイヤモンド膜が得られる。ダイヤモンドの気相合成で必要な条件は、
(1)減圧された原料ガスを2000°Cに加熱すること、
(2)材質によって異なるがコーティングする基板を700~1000°Cに加熱すること、である。
加熱用熱源としてマイクロ波などの電磁波を用いる場合と、タングステン線などのフィラメントを用いる方法がある。前者は消耗がないのでコーティング工程は極めて簡単であるが、試料形状が平面に限定される特徴がある。後者は真空容器と加熱用電源のみの簡単な装置によって、比較的形状が複雑な試料に気相ダイヤモンドを合成できる特徴がある。



熱フィラメント法では、フィラメントを2000°C以上に加熱することによって、ダイヤモンド合成に必要な水素ガスと炭化水素ガスのラジカルを発生する。同時にフィラメントの発熱によって基板を必要な温度に加熱する。
この時にフィラメント周囲に発生するラジカルは、2000°C以上に加熱されたフィラメントから5mm以内の範囲で、ダイヤモンド合成に有効な作用をする。従って、コーティング対象試料はフィラメントから5mm以内に固定して、基板温度が700°C~1000°Cに保持されるようにフィラメントの発熱量を調整する。
この際、コーティング対象試料を回転させることで試料の全面に均一にダイヤモンド膜をコーティングすることが可能と考えられるが、減圧中、高温の細いフィラメント群の中で高温の試料を回転させるには真空シール、断熱、電気絶縁を施した複雑で高価な回転機構が必要である。また、剥離して飛散するダイヤモンド粉末による真空シール不良の問題もある。



熱フィラメント法による気相ダイヤモンドコーティングに関しては次の特許文献がある。特許文献1は電磁波によって原料ガスをプラズマ化し、磁界発生コイルを用いてプラズマを細いフィラメント線の周囲に集中することにより気相合成ダイヤモンドをコーティングする方法を記載している。
また、特許文献2ではV型のくぼみを有する2枚以上の基板に気相合成ダイヤモンドをコーティングする方法を記載している。またフィラメントの材料に関して特許文献3は炭素系フィラメントを記載している。
しかしながら、フィラメントにタングステンあるいはタンタルを使用し、大きさの異なる試験片に対して気相ダイヤモンドをコーティングする方法は示されていない。

【特許文献1】特開2000-302593

【特許文献2】特開平08-104582

【特許文献3】特開2003-206196

産業上の利用分野


本発明は、3次元形状試料にダイヤモンド膜をコーティングするために、熱フィラメント法による気相ダイヤモンド膜のコーティング方法及び装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
熱フィラメント法による気相ダイヤモンド膜のコーティング方法において、コーティング装置の内部に、加熱用フィラメント、該加熱用フィラメントの近傍に配置した被コーティング試料及びフィラメント加熱用の上部電極と下部電極を配置し、コーティング装置本体に上部電極を固定すると共に、該上部電極にフィラメントの上端部を固定し、フィラメントの下端部を移動自在な下部電極に固定して、下部電極がフィラメントにより吊持された状態とし、下部電極の重量及びフィラメントの自重によりフィラメントを緊張させると共に、該緊張したフィラメントを通電加熱し、かつダイヤモンド原料となるガスを供給して、ダイヤモンド膜を前記試料にコーティングする気相ダイヤモンド膜のコーティング方法。

【請求項2】
被コーティング試料を装置本体に取り付けられた試料支持台に設置すると共に、下部電極を張りのない導線によって装置本体の電極盤に結合させることを特徴とする請求項1記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング方法。

【請求項3】
上部電極及び下部電極に細長い縦溝を形成し、この縦溝内に加熱用フィラメントを挿入することを特徴とする請求項1又は2記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング方法。

【請求項4】
上部電極及び下部電極の周囲に等間隔で2本以上の細長い縦溝を形成し、この縦溝内に加熱用フィラメントを挿入することを特徴とする請求項3記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング方法。

【請求項5】
上部電極及び/又は下部電極の周囲に、前記縦溝と交差する細長い横溝を1又は複数本形成し、前記縦溝内にフィラメントを配置した後、その上から横溝内に耐熱性の紐を巻いて、縦溝内にフィラメントを上部電極及び/又は下部電極に押し付け、固定することを特徴とする請求項3又は4記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング方法。

【請求項6】
電極を構成する材料として、合金鋼若しくは銅、モリブデン、チタン、タングステン又はこれらを主成分とする合金を使用することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング方法。

【請求項7】
下部電極にさらに錘を取り付け、該錘により張力を調整することを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング方法。

【請求項8】
被コーティング試料及び試料台を下部電極に取り付け、被コーティング試料及び試料台を下部電極の重量及びフィラメントの自重によりフィラメントを緊張させることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング方法。

【請求項9】
フィラメントにかかる張力を100gから3kg/mmに調整することを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング方法。

【請求項10】
平面形状が円、楕円形、三角形、正方形、矩形、多角形を呈している上部電極及び下部電極を使用することを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング方法。

【請求項11】
上部電極及び下部電極から突き出たフィラメントの上下余剰端部を束ねることを特徴とする請求項4~10のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング方法。

【請求項12】
上部電極及び下部電極を、複数に分割された等形の複数の電極部材とこれを支持する電極支持板から構成し、この電極部材の最外周にフィラメントを挿入する溝を形成し、さらに電極支持板上で前記電極部材相互が一点を中心にしてスライド可能に支持し、前記電極部材相互の拡張及び縮小によって、電極部材の周囲に配置したフィラメント相互及び被コーティング試料との距離を調節することを特徴とする請求項4~10のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング方法。

【請求項13】
電極支持板に電極の中心から外周方向に向かう細長いねじ孔又は貫通孔を設け、この孔に電極部材固定用ねじ又はボルト等の固定具を貫通させて、電極部材を電極支持板の任意の位置に固定することを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング方法。

【請求項14】
熱フィラメント法による気相ダイヤモンド膜のコーティング装置において、コーティング装置の内部に、加熱用フィラメント、該加熱用フィラメントの中央に配置した被コーティング試料及びフィラメント加熱用の上部電極と下部電極を配置し、コーティング装置本体に上部電極を固定すると共に、該上部電極にフィラメントの上端部を固定し、フィラメントの下端部を移動自在な下部電極に固定して、下部電極がフィラメントにより吊持された状態とし、下部電極の重量及びフィラメントの自重によりフィラメントを緊張させると共に、該緊張したフィラメントを通電加熱し、かつダイヤモンド原料となるガスを供給して、ダイヤモンド膜を前記試料にコーティングする気相ダイヤモンド膜のコーティング装置。

【請求項15】
被コーティング試料は装置本体に取り付けられた試料支持台に設置され、下部電極は張りのない導線によって装置本体の電極盤に結合していることを特徴とする請求項14記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング装置。

【請求項16】
上部電極及び下部電極に細長い縦溝が形成されており、その縦溝内に加熱用フィラメントが挿入されていることを特徴とする請求項14又は15記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング装置。

【請求項17】
上部電極及び下部電極の周囲に等間隔で2本以上の細長い縦溝が形成されており、その縦溝内に加熱用フィラメントが挿入されていることを特徴とする請求項16記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング装置。

【請求項18】
上部電極及び/又は下部電極の周囲に、前記縦溝と交差する細長い横溝が1又は複数本形成されており、前記縦溝内にフィラメントを配置した後、その上から横溝内に耐熱性の紐を巻いて、縦溝内にフィラメントを上部電極及び/又は下部電極に押し付け、固定することを特徴とする請求項17記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング装置。

【請求項19】
電極を構成する材料が、合金鋼若しくは銅、モリブデン、チタン、タングステン又はこれらを主成分とする合金であることを特徴とする請求項14~18のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング装置。

【請求項20】
下部電極にさらに錘を設け、該錘により張力を調整することを特徴とする請求項14~19のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング装置。

【請求項21】
被コーティング試料及び試料台を下部電極に取り付け、被コーティング試料及び試料台を下部電極の重量及びフィラメントの自重によりフィラメントを緊張させることを特徴とする請求項14~20のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング装置。

【請求項22】
フィラメントにかかる張力が100gから3kg/mmであることを特徴とする請求項14~21のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング装置。

【請求項23】
上部電極及び下部電極は、それぞれ平面形状が円、楕円形、三角形、正方形、矩形、多角形を呈していることを特徴とする請求項14~22のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング装置。

【請求項24】
上部電極及び下部電極から突き出たフィラメントの上下余剰端部は、束ねられていることを特徴とする請求項14~23のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング装置。

【請求項25】
上部電極及び下部電極が、複数に分割された等形の複数の電極部材とこれを支持する電極支持板からなり、この電極部材の最外周にフィラメントを挿入する溝が形成され、さらに電極支持板上で前記電極部材相互が一点を中心にしてスライド可能に支持されており、電極部材相互の拡張及び縮小によって、電極部材の周囲に配置したフィラメント相互及び被コーティング試料との距離を調節することを特徴とする請求項14~24のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング装置。

【請求項26】
電極支持板に電極の中心から外周方向に向かう細長いねじ孔又は貫通孔が設けられており、この孔に電極部材固定用ねじ又はボルト等の固定具を貫通させ、電極部材を電極支持板の任意の位置に固定することを特徴とする請求項14~25のいずれかに記載の気相ダイヤモンド膜のコーティング装置。
産業区分
  • 無機化合物
  • 表面処理
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2006052027thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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