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イオン性液体で被覆された固定化ルイス酸触媒、及びその使用

国内特許コード P110003694
整理番号 E076P68
掲載日 2011年6月28日
出願番号 特願2006-066030
公開番号 特開2007-237117
登録番号 特許第5142178号
出願日 平成18年3月10日(2006.3.10)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
登録日 平成24年11月30日(2012.11.30)
発明者
  • 小林 修
  • 森 雄一朗
  • ヤンロン グー
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 イオン性液体で被覆された固定化ルイス酸触媒、及びその使用
発明の概要 【課題】本発明は、水溶液中で高い触媒活性を有し、回収・再使用、或いは長期間の連続使用が可能な新規な固定化ルイス酸触媒を提供する。
【解決手段】本発明は、ルイス酸を固体の表面上に化学結合で担持し、かつ該固体表面及びルイス酸の周囲をイオン性液体で被覆してなる固定化ルイス酸触媒、より詳細には、水中でも安定なルイス酸をシリカゲルや有機高分子物質などの固体の表面上に化学結合で担持し、かつ当該固体表面及びルイス酸の周囲の全部又は一部を疎水性のイオン性液体で被覆してなる固定化ルイス酸触媒、並びにその製造方法、その使用、及びそれを用いた化合物の製造方法に関する。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


化学工業に於いて、コスト、安全性、環境負荷の低減などを目的とした反応溶媒の有機溶媒から水中への転換が盛んに検討されてきた。しかしながら、反応基質や触媒の溶解性、或いは安定性などの問題により、転換に成功した例は少ない。近年、本発明者らは水中でも安定なルイス酸触媒、次いで界面活性剤一体型ルイス酸触媒の開発に成功し(特許文献1参照)、水中での合成反応の可能性を大きく広げた(非特許文献1参照)。また、本発明者らは生成物からの触媒の単離や回収・再使用を容易にする目的で、触媒の不溶性担体への固定化を検討し、疎水性高分子担体に結合した水中で安定なルイス酸触媒が、水中に於いて、種々の反応を有機溶媒中よりも加速することも見出している(非特許文献2、特許文献2、及び特許文献3参照)。しかしながら、有機高分子に担持したルイス酸触媒は調製が比較的難しく高価であるという問題がある。



一方、近年イオン性液体が新しい反応場として注目され(非特許文献3及び4参照)、最近では多孔質担体の表面にイオン性液体を担持し、イオン性液体相を固定化触媒とした、溶液や気体との2相系反応が開発されている(非特許文献5参照)。また、Pd/C触媒を用いたHeck反応をイオン性液体中で行う方法(特許文献4参照)や、プロリンを触媒としたアルドール反応をイオン性液体の存在下に行い、触媒や溶媒を回収して再使用する方法(特許文献5参照)、さらには、パラフィン系炭化水素を異性化や高オクタン価ガソリンの製造においてイオン性液体を触媒とする方法(特許文献6及び7参照)なども報告されている。このようにイオン性液体は反応の溶媒や触媒として広く利用されている。また、イオン性液体の陽イオンまたは陰イオンのどちらかを固定した固定化イオン性液体(特許文献8参照)、チタン、ニオブ、タンタル、錫またはアンチモンをベースにしたルイス酸からイオン性液体を製造する方法(特許文献9参照)などのようにイオン性液体自体についても多数の改良が加えられてきている。さらに、酵素をイオン性液体でコーティングし、これを酵素反応に使用する方法(特許文献10参照)や、イオン性液体を液体マトリックスとして均一相での有機反応に使用する方法(特許文献11参照)なども報告されている。
しかしながら、これまでにイオン性液体相を水溶液中における反応の疎水場として活用した例は知られていない。



【特許文献1】
特開平11-244705号公報
【特許文献2】
特開2001-137710号公報
【特許文献3】
特開2005-254115号公報
【特許文献4】
特開2002-265394号公報
【特許文献5】
特開2002-275118号公報
【特許文献6】
特開2004-269846号公報
【特許文献7】
特開2005-314500号公報
【特許文献8】
特表2003-512926合公報
【特許文献9】
特開2003-535054号公報
【特許文献10】
特開2005-514033号公報
【特許文献11】
特開2006-500418号公報
【非特許文献1】
Kobayashi,S.,Eur. J. Org. Chem., 1999,15.
【非特許文献2】
Iimura,S.; Manabe,K.; Kobayashi,S.,Tetrahedron,2004,60,7673.
【非特許文献3】
Welton T.,et al.,Chem. Reviews,1999,99,2071-2083
【非特許文献4】
Wasserscheid P,et al.,Angewadte Chemie International Edition,2000,39(21),3772-3787
【非特許文献5】
Gruttadauria,M.; Riela,S.; Aprile,C.; Meo,P. L.; D’Anna,F. and Noto,R.,Adv. Synth. Catal.,2006,348,82.
【非特許文献6】
Jones,C. W.; Tsuji,K; Davis,M. E.,Nature,1998,393,52.
【非特許文献7】
Huddleston,J. G.; Visser,A. E.; Reichert,W. M.; Willauer,H. D.; Broker,G. A.; Rogers,R. D.,Green Chem. 2001,3,156.

産業上の利用分野


本発明は、ルイス酸を固体の表面上に化学結合で担持し、かつ該固体表面及びルイス酸の周囲をイオン性液体で被覆してなる固定化ルイス酸触媒、並びにその使用及びそれを用いた化合物の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ルイス酸を固体の表面上に化学結合で担持し、かつ該固体表面及びルイス酸の周囲をイオン性液体で被覆してなる固定化ルイス酸触媒であり、
前記ルイス酸が次の一般式
MXn
(式中、Mは希土類金属又はビスマスを示し、XはR-COO、R-SO、R-OSO、R-OPO2-、R-(フェニル)Oを示し、Rは1個又はそれ以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1~8のアルキル基又はフェニル基を示し、nはMの原子価に対応する整数を示す。)
で表わされるルイス酸であり、
ルイス酸をその表面に担持する固体が金属酸化物、活性炭、合成有機高分子又はガラスであり、
前記化学結合がイオン結合である、
固定化ルイス酸触媒。

【請求項2】
イオン性液体が疎水性のイオン性液体である請求項1に記載の固定化ルイス酸触媒。

【請求項3】
イオン性液体が、陽イオンとしてイミダゾリウム、ピリジニウム、4級アンモニウム又は4級ホスホニウムのいずれかを含むイオン性液体である請求項1又は2に記載の固定化ルイス酸触媒。

【請求項4】
イオン性液体が、陰イオンとしてハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロホスホネート又はビス(トリフルオロメタンスルホンアミド)イオンのいずれかを含むイオン性液体である請求項1~3のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。

【請求項5】
イオン性液体が、イミダゾリウム塩である請求項1~4のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。

【請求項6】
イオン性液体が、イミダゾリウム塩であり、該イミダゾリウム塩のイミダゾール環にある2つの窒素原子の少なくとも1つに炭素数が6以上の炭化水素基が結合してなるイオン性液体である請求項1~5のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。

【請求項7】
ルイス酸が、希土類金属のトリフルオロメタンスルホン酸塩又はビスマスのトリフルオロメタンスルホン酸塩である請求項1~6のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。

【請求項8】
希土類金属が、スカンジウム、イットリウム又はイッテルビウムのいずれかである請求項7に記載の固定化ルイス酸触媒。

【請求項9】
ルイス酸をその表面に担持する固体が、シリカゲル、架橋ポリスチレン、架橋ポリエチレン又は架橋パーフルオロポリエチレンのいずれかである請求項1~8のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。

【請求項10】
ルイス酸をその表面に担持する固体が、シリカゲルである請求項1~9のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。

【請求項11】
ルイス酸が、固体の表面上に直接あるいは低分子有機化合物を介して結合したスルホン酸基又はスルホンアミド基と化学結合した、請求項1~10のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。

【請求項12】
ルイス酸をその表面に担持する固体が、シリカゲルであり、該シリカゲルが低分子有機化合物とシロキサン結合(Si-O-Si)を介して結合し、該低分子有機化合物がさらにスルホン酸基を有し、ルイス酸が該スルホン酸基と化学結合した請求項1~11のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒。

【請求項13】
固体の表面上に化学結合でルイス酸が担持固定化された固定化ルイス酸を、有機溶媒に溶解した疎水性のイオン性液体の溶液に混合し、次いで有機溶媒を除去することからなる請求項1~12のいずれかに記載のイオン性液体で被覆された固定化ルイス酸を製造する方法。

【請求項14】
水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応への、請求項1~12のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒の使用。

【請求項15】
水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応が、アルドール反応、マンニッヒ型反応、ディールス-アルダー反応、アリル化反応、及びマイケル反応からなる群のいずれかの化学反応である請求項14に記載の使用。

【請求項16】
水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応への、請求項1~12のいずれかに記載の固定化ルイス酸触媒の存在下で、水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応により化学物質を製造する方法。

【請求項17】
水、または含水有機溶媒中で実施されるルイス酸触媒による化学反応が、アルドール反応、マンニッヒ型反応、ディールス-アルダー反応、アリル化反応、及びマイケル反応からなる群のいずれかの化学反応である請求項16に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 小林高機能性反応場プロジェクト 領域
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