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一次元モット絶縁体、一次元モット絶縁体薄膜及びそれらの製造方法 コモンズ

国内特許コード P110003701
整理番号 N031P30
掲載日 2011年6月28日
出願番号 特願2006-082966
公開番号 特開2007-256775
登録番号 特許第4930685号
出願日 平成18年3月24日(2006.3.24)
公開日 平成19年10月4日(2007.10.4)
登録日 平成24年2月24日(2012.2.24)
発明者
  • 山下 正廣
  • 岡本 博
  • 大津 英揮
  • 松▲崎▼ 弘幸
  • 田尾 祥一
  • 宮越 達三
  • 高石 慎也
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 一次元モット絶縁体、一次元モット絶縁体薄膜及びそれらの製造方法 コモンズ
発明の概要 【課題】大きな三次の非線形光学定数を有し、且つ、薄膜化できる新たな一次元モット絶縁体を提供する。
【解決手段】化学組成式が、〔Ni(L2 )X〕Y2 、ただし、Lは1,2-ジアミノアルカン、X及びYはハロゲン化物イオン、で表され、Ni3+イオンとX- イオンとが交互に結晶b軸に沿って配置され、2つのLは、2つのLのアミノ基の4つのN原子を介してNi3+イオンに結合し、且つ、結晶b軸に垂直な面内でNi3+イオンに配位した、NiとXから成る一次元鎖構造を有する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


非線形光学効果は、原子核に弱く結合された価電子が光電界に応じて変位することによって生ずることから、非線形光学効果の応答速度は光周波数に追随できる程度に超高速である。また、非線形光学効果によって物質の屈折率が変化するので、非線形光学物質に非線形光学効果を生起するエネルギーの光を照射すれば、物質の屈折率を超高速に変化させることができる。



非線形光学効果を有する材料は、光で光を制御するデバイス、すなわち、全光型デバイスへの応用が嘱望されている。例えば、情報通信の高速化需要に伴い光情報通信が普及しつつあるが、現状では、信号及び信号の伝送路が光化されているに止まっている。さらなる高速化のためには、信号経路の交換動作も光交換動作とする必要がある。例えば、非線形光学材料で形成した光導波路から成る光方向性結合器の光結合部に、非線形光学効果を生起するエネルギーの光を照射すれば、光結合部の光導波路の屈折率を超高速に変化させることができるので、光信号が伝搬する光導波路を超高速に切り替えることができ、超高速な交換動作を実現することができる。



このため、従来から、大きな非線形光学効果を有する材料の探索が行われてきたが、中でも、電子とホールを一次元空間に閉じ込めることによる量子効果により、三次の非線形光学効果が大きくなることが理論的に予測されてからは、電子とホールを一次元空間に閉じ込めた電子構造を有する物質の三次の非線形光学効果の探索が行われてきた。
そのような物質として、シリコンポリマー・バンド絶縁体や、π共役系ポリマー・パイエルス(Peierls)絶縁体が注目されてきた。



このような状況の中で、本発明者らは、電子とホールを一次元空間に閉じ込めた構造を有する他の物質として一次元モット絶縁体を提案し、実際に、ハロゲン架橋〔Ni(chxn)2 X〕Y2 (ただし、chxnはシクロヘキサンジアミン、Xはハロゲン化物イオン、Yはハロゲン化物イオン又は硝酸イオン)からなる一次元モット絶縁体が、10-8~10-5esuの大きさの三次の非線形光学定数を有することを見いだした。この三次の非線形光学定数は、シリコンポリマー・バンド絶縁体やπ共役系ポリマー・パイエルス絶縁体の三次の非線形光学定数10-12 ~10-7esuに較べて極めてきい(非特許文献1~3参照)。



図3は、ハロゲン架橋〔Ni(chxn)2 X〕Y2 の主要な構造を示す図である。図に示すように、Ni3+イオンとX- イオンとが交互に結晶b軸に沿って配置され、2つのchxn(cyclohexanediamine)のアミノ基の4つのN原子がNi3+イオンと結合し、この2つのchxn配位子が結晶b軸に垂直な面内でNi3+イオンに配位した、NiとXから成る一次元鎖構造を有し、Ni3+イオンのd軌道とX- イオンのp軌道とが混成した一次元電子構造を有している。また、この物質は強相関電子系物質に属し、格子点のNi間の大きなクーロン斥力によって、ハバード・バンド(Hubbard・band)が上下に分割されて形成されるバンドギャップを有し、バンドギャップ内にX- イオンのp軌道準位が存在するエネルギー構造を有している。上部ハバード・バンドとp軌道準位とのエネルギー差に相当するエネルギーの光を照射すると、X- イオンのp軌道準位からNi3+イオンの上部ハバード・バンドへ電子が励起される電荷移動(Charge Transfer)が強く起こり、大きな三次の非線形光学効果が生じる。またハロゲン架橋〔Ni(chxn)2 X〕Y2 の三次の非線形光学定数の大きさは、十分、上記全光型デバイスの応用に供することができる大きさである。
【非特許文献1】
H.Kishida et al.,Nature 405,929(2000)
【非特許文献2】
M.Ono et al.,Physical Review B 70,85101(2004)
【非特許文献3】
M.Ono et al.,Physical Review Letters 95,87401(2005)
【非特許文献4】
MANSOOPR SHEIK-BAHAE et al.,IEEE JOURNAL OF QUANTUM ELECTRONICS,VOL.26,NO.4,APRIL,760(1990)

産業上の利用分野


本発明は、大きな三次の非線形光学定数を有し、薄膜化が可能な一次元モット絶縁体とこれを用いた一次元モット絶縁体薄膜及びそれらの製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
化学組成式が、〔Ni(L2)X〕2、ただし、Lは1,2-ジアミノアルカン、はハロゲン化物イオン、で表され、
上記Ni3+イオンとX-イオンとが交互に結晶b軸に沿って配置し、上記2つのLが、この2つのLの4つのN原子を介してNi3+イオンと結合し、且つ、結晶b軸に垂直な面内でNi3+イオンに配位した、NiとXから成る一次元鎖構造を有することを特徴とする、一次元モット絶縁体。

【請求項2】
前記1,2-ジアミノアルカンは、1,2-ジアミノヘキサデカン、1,2-ジアミノデカン、1,2-ジアミノウンデカン、1,2-ジアミノドデカン、1,2-ジアミノトリデカン、1,2-ジアミノテトラデカン又は1,2-ジアミノペンタデカンであることを特徴とする請求項1に記載の一次元モット絶縁体。

【請求項3】
前記は、Br又はClであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の一次元モット絶縁体。

【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の一次元モット絶縁体とポリマーとから成ることを特徴とする、一次元モット絶縁体薄膜。

【請求項5】
前記ポリマーは、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル又はポリフェニレンビニレ
ンであることを特徴とする、請求項4に記載の一次元モット絶縁体薄膜。

【請求項6】
NiX2(ただし、Xはハロゲン化物イオン)粉末と前記1,2-ジアミノアルカンの粉末とをアルコールに溶かし、この溶液を室温で放置して上記アルコールを蒸発させることにより、NiII(ビス-1,2-ジアミノアルカン)22からなる微結晶を沈殿させる工程と、この微結晶をアルコールに分散させた縣濁液に、上記Xから成るガスを吹き込んで、〔NiIII(ビス-1,2-ジアミノアルカン)2X〕X2からなる微結晶を沈殿させる工程と、この微結晶を濾過して取り出す工程とから成り、請求項1~3の何れかに記載の一次元モット絶縁体を製造することを特徴とする、一次元モット絶縁体の製造方法。

【請求項7】
前記Xは、Br又はClであることを特徴とする、請求項6に記載の一次元モット絶縁体の製造方法。

【請求項8】
前記1,2-ジアミノアルカンは、1,2-ジアミノヘキサデカン、1,2-ジアミノデカン、1,2-ジアミノウンデカン、1,2-ジアミノドデカン、1,2-ジアミノトリデカン、1,2-ジアミノテトラデカン又は1,2-ジアミノペンタデカンであることを特徴とする、請求項6に記載の一次元モット絶縁体の製造方法。

【請求項9】
請求項1~3の何れかに記載の一次元モット絶縁体の粉末とポリマーと溶媒とを混合する工程と、この混合液をスピンコートする工程とからなり、請求項4に記載の一次元モット絶縁体薄膜を製造することを特徴とする、一次元モット絶縁体薄膜の製造方法。

【請求項10】
前記ポリマーは、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル又はポリフェニレンビニレンであることを特徴とする、請求項9に記載の一次元モット絶縁体薄膜の製造方法。

【請求項11】
前記溶媒は、クロロホルム、ブロモホルム、ジクロロメタン又はトルエンであることを特徴とする、請求項9に記載の一次元モット絶縁体薄膜の製造方法。

【請求項12】
前記一次元モット絶縁体の粉末とポリマーとの重量混合比は、一次元モット絶縁体を1として、ポリマーは1~20の範囲であることを特徴とする、請求項9に記載の一次元モット絶縁体薄膜の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2006082966thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 高度情報処理・通信の実現に向けたナノ構造体材料の制御と利用 領域
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