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粘膜ワクチンアジュバントのスクリーニング方法 コモンズ

国内特許コード P110003737
整理番号 E072P13
掲載日 2011年6月28日
出願番号 特願2006-146012
公開番号 特開2007-312682
登録番号 特許第5164034号
出願日 平成18年5月25日(2006.5.25)
公開日 平成19年12月6日(2007.12.6)
登録日 平成24年12月28日(2012.12.28)
発明者
  • 審良 静男
  • 植松 智
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 粘膜ワクチンアジュバントのスクリーニング方法 コモンズ
発明の概要 【課題】経口や経鼻などの粘膜から投与し粘膜免疫を活性化することで粘膜面と生体内の二重のバリア機能が獲得できる粘膜ワクチンのアジュバントのスクリーニング方法等を提供すること。
【解決手段】野生型非ヒト動物由来のCD11c腸管粘膜固有層細胞(LPC)と、有鞭毛細菌由来のフラジェリン又は有鞭毛細菌由来の鞭毛とを、被検物質の存在下又は非存在下に、インビトロでインキュベーションして接触させ、上清中のIL-6及び/又はIL-12p40の濃度を測定し、被検物質の非存在下に比べて被検物質の存在下におけるIL-6及び/又はIL-12p40の測定濃度の上昇を指標として選択する。また、野生型非ヒト動物に、有鞭毛細菌と被検物質とを経口的に投与し、腸間膜リンパ節(MLN)における有鞭毛細菌数を測定し、有鞭毛細菌のみを経口的に投与した場合に比べて、有鞭毛細菌数の減少を指標として選択する。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


トール(Toll)遺伝子は、ショウジョウバエの胚発生中の背腹軸の決定(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照。)、また成体における抗真菌性免疫応答に必要であることが知られている(例えば、非特許文献3参照。)。かかるTollは、細胞外領域にロイシンリッチリピート(LRR)を有するI型膜貫通受容体であり、この細胞質内領域は、哺乳類インターロイキン-1受容体(IL-1R)の細胞質内領域と相同性が高いことが明らかとなっている(例えば、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6参照。)。



近年、Toll様受容体(TLR)と呼ばれるTollの哺乳類のホモログが同定され、TLR2やTLR4など現在までに13つのファミリーが報告されている(例えば、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10参照。)。このTLRファミリーは、上記IL-1Rと同様にアダプタータンパク質であるMyD88を介し、IL-1R結合キナーゼ(IRAK)をリクルートし、TRAF6を活性化し、下流のNF-κBを活性化することが知られている(例えば、非特許文献11、非特許文献12、非特許文献13参照。)。また、哺乳類におけるTLRファミリーの役割は、細菌の共通構造を認識するパターン認識受容体(PRR:pattern recognition receptor)として、先天的な免疫認識に関わっているとも考えられている(例えば、非特許文献14参照。)。



上記PRRにより認識される病原体会合分子パターン(PAMP:pathogen-associated molecular pattern)の一つは、グラム陰性菌の外膜の主成分であるリポ多糖(LPS)であって(例えば、非特許文献15参照。)、かかるLPSが宿主細胞を刺激して宿主細胞にTNFα、IL-1及びIL-6等の各種炎症性サイトカインを産生させること(例えば、非特許文献16、非特許文献17参照。)や、LPS結合タンパク質(LBP:LPS-binding protein)により捕獲されたLPSが細胞表面上のCD14に引き渡されることが知られている(例えば、非特許文献18、非特許文献19参照。)。本発明者らは、TLR4のノックアウトマウスを作製し、TLR4ノックアウトウスが上記グラム陰性菌の外膜の主成分であるLPSに不応答性であること(例えば、非特許文献20参照。)や、TLR2ノックアウトマウスを作製し、TLR2ノックアウトマウスのマクロファージがグラム陽性菌細胞壁やその構成成分であるペプチドグリカンに対する反応性が低下すること(例えば、非特許文献21参照。)を報告している。



一方、細菌フラジェリンは構造タンパク質であり、鞭毛の大部分を形成し、宿主表面での走化作用、接着及び浸潤を通して病原性に寄与する(例えば、非特許文献22参照。)が、リステリア培養上清から単離されたTLR5刺激成分が、フラジェリンであることが明らかにされている(例えば、非特許文献23参照。)。サルモネラのフラジェリンもまた、TLR5の刺激リガンドであることが明らかになっている(例えば、非特許文献24参照。)。以上のように、TLRファミリー構成員のうち、タンパク質リガンドを認識すると明らかにされたTLRは、TLR5が初めてである(例えば、非特許文献25参照。)。このようにTLR5は、グラム陽性菌由来及びグラム陰性菌由来のどちらのフラジェリンも認識し、インビトロでの研究では、TLR5がフラジェリンモノマーの保存領域を認識して、獲得免疫応答のみならず炎症性免疫応答を惹起することが明らかにされている(例えば、非特許文献26参照。)。



さらにTLR5は、腸管上皮細胞の基底膜側に発現し、粘膜面における有鞭毛細菌の浸潤の認識に、重要な役割を果たすと考えられており(例えば、非特許文献27参照。)、ヒト腸管上皮細胞株では、フラジェリンに応答してケモカインの産生を誘導し、それが後に未成熟樹状細胞(DC)の遊走を導くこと(例えば、非特許文献28参照。)や、TLR5がヒトの肺に高度に発現し(例えば、非特許文献29参照。)、ヒトTLR5の多形性とレジオネラ症に対する感受性との間には、相関関係があることが明らかになっている(例えば、非特許文献30参照。)。このような証拠から、TLR5が有鞭毛病原体の重要な感知器であることが示唆されるが、TLR5のインビボでの役割は未だ解明されていなかった。



【非特許文献1】
Cell 52, 269-279, 1988
【非特許文献2】
Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 12, 393-416, 1996
【非特許文献3】
Cell 86,973-983, 1996
【非特許文献4】
Nature 351, 355-356, 1991
【非特許文献5】
Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 12, 393-416, 1996
【非特許文献6】
J. Leukoc. Biol. 63, 650-657, 1998
【非特許文献7】
Nature 388, 394-397, 1997
【非特許文献8】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 588-593, 1998
【非特許文献9】
Blood 91, 4020-4027, 1998
【非特許文献10】
Gene 231, 59-65, 1999
【非特許文献11】
J. Exp. Med. 187, 2097-2101, 1998
【非特許文献12】
Mol. Cell 2, 253-258, 1998
【非特許文献13】
Immunity 11, 115-122, 1999
【非特許文献14】
Cell 91, 295-298, 1997
【非特許文献15】
Cell 91, 295-298, 1997
【非特許文献16】
Adv. Immunol. 28, 293-450, 1979
【非特許文献17】
Annu. Rev. Immunol. 13, 437-457, 1995
【非特許文献18】
Science 249, 1431-1433, 1990
【非特許文献19】
Annu. Rev. Immunol. 13, 437-457, 1995
【非特許文献20】
J. Immunol. 162, 3749-3752, 1999
【非特許文献21】
Immunity, 11, 443-451, 1999
【非特許文献22】
Annu Rev Genet 26, 131-58., 1992
【非特許文献23】
Nature 410, 1099-103. , 2001
【非特許文献24】
J Immunol 167, 1882-5, 2001
【非特許文献25】
Nature 410, 1099-103. , 2001
【非特許文献26】
Immunol Lett 101, 117-22., 2005
【非特許文献27】
J Immunol 167, 1882-5., 2001
【非特許文献28】
Proc Natl Acad Sci USA 98, 13722-7., 2001
【非特許文献29】
Genomics 64, 230-40., 2000
【非特許文献30】
J Exp Med 198, 1563-72., 2003

産業上の利用分野


本発明は、細菌由来フラジェリンを特異的に認識するTLR5タンパク質をコードする遺伝子機能が染色体上で欠損した非ヒト動物を用いた粘膜ワクチンアジュバントのスクリーニング方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
TLR5をコードする内在性遺伝子の全部又は一部を遺伝子変異により不活性化し、TLR5を発現する機能を喪失させた非ヒト動物から単離されるCD11c腸管粘膜固有層細胞(LPC)。

【請求項2】
TLR5をコードする内在性遺伝子の全部又は一部を遺伝子変異により不活性化し、TLR5を発現する機能を喪失させた非ヒト動物から単離されるCD11c腸管粘膜固有層細胞(LPC)を、フラジェリンに対して免疫不応答性を示すモデル細胞としてインビトロで使用する方法。

【請求項3】
TLR5をコードする内在性遺伝子の全部又は一部を遺伝子変異により不活性化し、TLR5を発現する機能を喪失させることによって作製される、腸管粘膜へのサルモネラ菌感染に対して耐性を示す非ヒトモデル動物。

【請求項4】
サルモネラ菌が、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)であることを特徴とする請求項記載の非ヒトモデル動物。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 審良自然免疫プロジェクト 領域
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