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カテプシンE特異的阻害剤

国内特許コード P110003761
整理番号 RJ009P05
掲載日 2011年6月29日
出願番号 特願2006-166952
公開番号 特開2007-332085
登録番号 特許第4979992号
出願日 平成18年6月16日(2006.6.16)
公開日 平成19年12月27日(2007.12.27)
登録日 平成24年4月27日(2012.4.27)
発明者
  • 西垣 功一
  • 北村 幸一郎
  • 高橋 陽子
  • 山本 健二
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
  • 国立大学法人埼玉大学
発明の名称 カテプシンE特異的阻害剤
発明の概要

【課題】カテプシンEを特異的に阻害し、かつカテプシンEと類縁性の高いリソソーム酵素であるカテプシンDは阻害しない物質、及びカテプシンE阻害剤を提供する。
【解決手段】カテプシンE活性に対する阻害作用を有し、カテプシンD活性に対する阻害作用は実質的に有さず、かつアミノ酸数が6~34の範囲であるペプチド。このペプチドを有効成分として含有するカテプシンE阻害剤。これらは、In-vitro-virus法を用いた、分子淘汰操作により作製した、ペプチドライブラリから得られた。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


カテプシンD、Eは共に細胞内アスパラギン酸プロテアーゼであり、両者の酵素学的性質は非常に似たものであるが、カテプシンDが赤血球を除くすべての組織・細胞に普遍的に存在しているのに対し、カテプシンEは免疫担当細胞や皮膚などに限局的に存在することが知られている。山本らは、カテプシンE遺伝子欠損マウス(ノックアウトマウス)を作製し、カテプシンEの機能解析を進めてきた(Yamamoto,K. Cathepsin E and D:biosynthesis, processing and subcellular location.Adv.Exp.Med.Biol., 362, 223-9(1995)、非特許文献1)。カテプシンE欠損マウスは無菌環境下で飼育しても、全く異常を示さないが、通常環境下に移すとアトピー性皮膚炎様症状を示した。病理組織学的にもヒトにおけるアトピー性皮膚炎症状と酷似した症状を示した。カテプシンE欠損マウスから調製したマクロファージを用いた研究では、正常マクロファージに比べて、殺菌能、細胞生存率、遊走能などの細胞機能に著明な低下があることが示されている。このことは、カテプシンE欠損が宿主の免疫応答自体に低下や不調をもたらし、それが何らかの外的刺激によってアトピー性皮膚炎などの個体の病態を発症させていることを示唆している。事実、カテプシンE欠損マウスでは、慢性関節リウマチのモデルである実験的関節炎が誘導されると、野生型マウスに比べてその病態に著しい増悪が見られることが示されている。カテプシンE欠損が炎症性サイトカインの分泌パターンを変化させ、関節炎を増悪させることが考えられる。一方、正常マウス(DBA/1J)にコラーゲン関節炎を起こさせると、血清中のカテプシンE活性は対照マウスの約2.5倍(p<0.001)に上昇していることが示されている。(筑波 隆幸、山本 健二:アトピー性皮膚炎とカテプシンE. 日薬理誌(Folia Pharmacol.Jpn.)122,15-20(2003)、非特許文献2)このことは、カテプシンE欠損という極端なケースを除けば、慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患等においては、一般的にカテプシンEの活性増加が生じていると考えられる。このことは、慢性関節リウマチ患者の滑液中のカテプシンE活性が病態に比例して増大するという山本らの報告とよく一致する。



また、各種癌細胞を用いた実験から、カテプシンEが癌細胞表面のTRAIL(TNF-related apoptosis-inducing ligand)を特異的に切断遊離させ、TRAILとその受容体を介するシグナリングによって癌細胞をアポトーシスに誘導することが明らかにされている。(山本ら:未発表)。TRAILはCD4+T細胞、NK細胞、単球、樹状細胞、好中球などにも発現していることから、これらの細胞を介して癌細胞をアポトーシスに誘導する一方で、自らの細胞をもアポトーシスに誘導して宿主免疫細胞系を破綻させる可能性も示唆されている。このことは、カテプシンEの過剰発現がTRAILを介するアポトーシス誘導機構を惹起させ、Th1型の免疫反応の破綻を誘導し、自己免疫疾患等の種々の疾患を生む可能性を強く示唆している。



一方、カテプシンDについてもノックアウトマウスを用いた研究により、カテプシンDがリソソーム蛋白分解系における必須の酵素であること、および同酵素の欠損により神経性セロイド様リポフスチン蓄積症(Neuronal Ceroid Lipofuscinoses; NCLs)と呼ばれる神経変性疾患に非常に類似した病態を呈することを示すことが報告されている。(Shimizu T, et al. J. Neurochem., 94(3), 680-90 (2005) 、非特許文献3)



以上のような知見から、カテプシンD,E活性の増大及び低下は、自己免疫疾患等の様々な病態に繋がると考えられ、その際の過剰な活性を抑える薬剤はこうした病態の改善に大いに役立つものと期待される。カテプシンEに対する阻害剤についてはこれまで放線菌由来のペプスタチンA(Umezawa,H.,Aoyagi,T.,Morishima,H.,Matsuzaki,M, and Hamada,M.Pepstatin, a new pepsin inhibitor produced by Actinomycetes.J.Antibiot.,23,259-62(1970)、非特許文献4)と回虫から分離されたAscaris pepsin inhibitor (Kageyama,T. Molecular cloning, expression and characterization of an Ascaris inhibitor for pepsin and cathepsin E. Eur. J. Biochem.,253.804-9(1998)、非特許文書5)が知られている。


【非特許文献1】Yamamoto,K. Cathepsin E and D:biosynthesis, processing and subcellular location.Adv.Exp.Med.Biol., 362, 223-9(1995)

【非特許文献2】筑波 隆幸、山本 健二:アトピー性皮膚炎とカテプシンE. 日薬理誌(Folia Pharmacol.Jpn.)122,15-20(2003)

【非特許文献3】Shimizu T, Hayashi Y, Yamasaki R, Yamada J, Zhang J, Ukai K, Koike M, Mine K, von Figura K, Peters C, Saftig P, Fukuda T, Uchiyama Y, Nakanishi H.Proteolytic degradation of glutamate decarboxylase mediates disinhibition of hippocampal CA3 pyramidal cells in cathepsin D-deficient mice. J. Neurochem., 94(3), 680-90(2005)

【非特許文献4】Umezawa,H., Aoyagi,T., Morishima,H., Matsuzaki,M, and Hamada,M. Pepstatin, a new pepsin inhibitor produced by Actinomycetes. J. Antibiot.,23,259-62(1970)

【非特許文献5】Kageyama,T. Molecular cloning, expression and characterization of an Ascaris inhibitor for pepsin and cathepsin E. Eur. J. Biochem.,253.804-9(1998)

産業上の利用分野


本発明は、類縁のプロテアーゼ(カテプシンD、B、L、H、トリプシン、キモトリプシン、コラゲナーゼなど)は阻害せず、カテプシンEを特異的に阻害するペプチドに関する。さらに本発明は、このペプチドを有効成分として含有するカテプシンE阻害剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
カテプシンE活性に対する阻害作用を有し、かつ配列表の配列番号48~58に記載のいずれかのアミノ酸配列からなるペプチド。

【請求項2】
前記ペプチドは配列表の配列番号48、52、53、55及び56に記載のいずれかのアミノ酸配列を有する請求項1に記載のペプチド。

【請求項3】
請求項1または2に記載のペプチドを有効成分として含有するカテプシンE阻害剤。
産業区分
  • 有機化合物
  • 薬品
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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