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有機合成反応用のポリシラン担持遷移金属触媒 実績あり

国内特許コード P110003795
整理番号 E076P74
掲載日 2011年6月29日
出願番号 特願2006-237266
公開番号 特開2007-260659
登録番号 特許第4840584号
出願日 平成18年9月1日(2006.9.1)
公開日 平成19年10月11日(2007.10.11)
登録日 平成23年10月14日(2011.10.14)
優先権データ
  • 特願2006-056393 (2006.3.2) JP
発明者
  • 小林 修
  • 小山田 秀和
  • 秋山 良
  • 内藤 武詩
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 有限会社創造科学研究所
発明の名称 有機合成反応用のポリシラン担持遷移金属触媒 実績あり
発明の概要 【課題】遷移金属を有機高分子に固定し、高活性且つ回収・再使用が容易な高分子固定化遷移金属触媒を提供する。
【解決手段】高分子担体としてポリシラン化合物又はポリシラン化合物及び無機化合物を用い、マイクロカプセル化法と配位子交換、又は還元操作を組み合わせることにより様々な遷移金属がポリシラン又はポリシラン化合物及び無機化合物に担持された。遷移金属を担持したポリシランは加熱、マイクロウェーブ照射、紫外線照射、又はヒドロシリル化反応などの化学的手法で容易に架橋でき、触媒活性を保持したまま種々の溶剤に対して不溶性となる。さらに、このポリシラン担持遷移金属触媒は無機化合物に担持することで安定性や操作性が向上する。これらのポリシラン担持遷移金属触媒は水素化反応、ヒドロシリル化反応、Heck反応や鈴木-宮浦カップリング反応などに対して高活性を示し、回収再使用が容易で金属の漏出が極めて少ない。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


遷移金属は様々な化学反応の触媒として重要な役割を担っているが、そこで用いられる金属や配位子には高価なものが多い。また、遷移金属のナノサイズクラスター(大きさがサブナノメートルから数十ナノメートルのクラスターを指す)は量子効果によりバルクとは異なる特異な性質を示すことから、近年、エレクトロニクス、環境、エネルギー、医療、化学工業などの分野で重要な役割を担う材料として注目されている。一般に金属クラスターはサイズが小さいほど機能や活性は高いが、不安定で凝集しやすい。さらに材料として利用する場合は、ナノサイズクラスターとしての機能を損なわない形でのコンポジット化も必要である。
一方、近年化学工業に求められている環境負荷の低減、資源・エネルギーの有効利用の観点からも、高活性で、回収・再使用又は長期間の連続使用が可能な触媒が求められている。さらに生成物や廃棄物への金属の混入防止、連続合成のためのカラムを用いたフローシステム、コンビナトリアル合成などの目的のためにも、無機物又は架橋高分子などの不溶性担体に固定された遷移金属触媒の開発が活発に検討されている。



しかし従来の固定化遷移金属触媒は、強い結合で担持すると活性の低下を伴い、吸着やイオン結合などの弱い相互作用により担持した場合は、金属の漏出を完全に防止することは困難であった。また、遷移金属錯体を窒素原子やリン原子を有する配位子を介して無機担体や有機高分子への固定する手法では、配位子を含む担体の合成が煩雑で高コストかつ大量合成が困難、反応速度の低下、配位子による被毒、反応の種類に制約が大きいなどの問題点を有している。
従来の金属微粒子製造方法を固相法、液相法、気相法に分類すると、固相法は安価で大量調整も可能だが、ナノサイズまでの微粒子化は困難である。化学気相析出法(CVD)に代表される気相法は、高純度・高結晶性ナノ粒子の製造に適しているが、高コスト、粒子の凝集が起こりやすい、大量合成や多成分系粒子の製造が困難などの問題点を残している。一方、液相法は、大量調整が比較的容易で、目的に応じた粒子サイズや形状のデザインが可能といった利点を有する。



化学液相法における遷移金属ナノサイズクラスターの担体としては、アルミナ、ゼオライト、シリカ、ヒドロキシアパタイト、カーボンナノチューブ、有機高分子など様々な素材が検討されている。 例えば、白金やロジウムのシリカへの固定(非特許文献1)では、金属塩を原料として熱分解や種々の還元剤により0価の金属に還元し、クラスターとして固定する方法が多く用いられる。還元剤としては水素化ホウ素ナトリウムなどの金属水素化物、トリクロロシラン、トリアルキルシラン、トリアルコキシシランなどの水素-ケイ素結合を有するシラン化合物(非特許文献2)、ジシランなどのケイ素-ケイ素結合を有する化合物、ヒドラジンなどが用いられることが多い。しかしながら、無機材料に触媒を固定した場合、熱や溶剤に対する安定性は比較的高いが、金属の漏出を完全に防ぐことは難しい。
有機高分子に遷移金属クラスターを固定する場合は、通常、窒素、酸素、リンなど配位性の原子や官能基を介するか、又は物理的な封入による方法が行われる。これまでに、2座型リン配位子を持つ有機高分子、ポリアミドやポリウレアなの有機高分子に担持したパラジウム(0)クラスターが数多く報告されているが、反応速度の低下、クラスターの凝集や漏出が課題として残されている。しかしながら、溶媒に膨潤する高分子に微小クラスターを担持した場合は、無機担体の場合と異なり担体表面積の制約を受けにくい利点を有する。



一方、単一金属種の固定とは別に、複数の遷移金属種を同一の担体に担持することにより相乗効果や新機能発現が期待できる。例えば、銅-パラジウム混合ナノクラスターを用いた鈴木カップリング反応等が報告されているほか、燃料電池用の白金触媒ではルテニウムと合金化することで一酸化炭素に対する耐被毒性が高まることが知られている。しかしながら、複数種の金属微粒子を任意の比率で担体に固定する技術は確立されていない。
最近、マイクロカプセル化法を用いる遷移金属ナノサイズクラスターの有機高分子への固定方法が開発された。この手法によると遷移金属は、スチレン系高分子のベンゼン環との弱い配位によってサブナノメートルサイズのクラスターとして固定され、非常に高い触媒活性を示す。その後、マイクロカプセル化法と、架橋やミセル化の手法を組み合わせることで、高活性を保持しつつ安定性が向上した高分子担持遷移金属触媒が得られている(特許文献1)。
このマイクロカプセル化法による遷移金属クラスターの芳香族高分子への固定では、パラジウムの場合、(1)テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(Pd(PPh3)4)など0価のパラジウムを原料とした配位子交換による方法(非特許文献3)、(2)酢酸パラジウム(II)を原料とし、加熱による還元を利用する方法などがある。また、パラジウム以外の金属では、テトラキストリフェニルホスフィン白金(Pt(PPh3)4)を原料とした白金の固定(非特許文献4)、ジクロロトリストリフェニルホスフィンルテニウム(RuCl2(PPh3)3)を原料としたルテニウムの固定、スカンジウムトリフラート(Sc(OTf)3)を原料としたスカンジウムの固定、四酸化オスミウム(OsO4)を原料としたオスミウムの固定などが報告されている。



ポリシランはケイ素の持つ金属的性質や非局在化したシグマ結合をもち、導電材料や光学材料として近年注目され、またセラミックス原料として大量合成方法も確立されている。また、架橋ポリシランの製造方法としては、ケイ素-水素結合を有するポリシランとビニル基を有する架橋剤との白金又はロジウム触媒によるヒドロシリル化(特許文献2)、酸素酸化によるシロキサン結合の形成、ビニル基を有するポリシランの熱架橋、光架橋などが知られている(非特許文献5)。遷移金属クラスターの固定にポリシランを利用した例としては、ポリシランとポリ(メタクリル酸)のブロックポリマーからポリマーミセルを作り、外層のメタクリル酸を架橋して殻とした後、内層のポリシラン部分に金又はパラジウムのナノサイズクラスターを固定する手法が報告されている(非特許文献6、特許文献3)。この例では、ポリシランがクラスターの担体としてではなく、金属塩の還元剤として用いられている。また、表面をポリシランで被覆した粉体を金属塩水溶液で処理することにより、ポリシラン上に金属コロイドを析出させる、所謂無電解メッキの手法も知られているが(特許文献4)、この場合もポリシランは還元剤として用いられている。



【非特許文献1】
J.Mol.Catl.A:Chem. 149,83-94(1999).
【非特許文献2】
Chem.Mater. 1,106-114(1989).
【非特許文献3】
J.Am.Chem.Soc. 127,2125-2135(2005).
【非特許文献4】
Synlett 2005,813-816.
【非特許文献5】
J.Organomet.Chem. 300,327-346(1986).
【非特許文献6】
Chem. Lett. 32,980-981(2003).
【特許文献1】
特開2002-66330
【特許文献2】
特開平6-49215
【特許文献3】
特開2003-147418
【特許文献4】
特開2002-4057

産業上の利用分野


この発明は、高い触媒活性を有し、大量製造及び取り扱いが容易で、回収・再使用又は長期間の連続使用が可能なポリシラン担持遷移金属触媒及びその触媒を用いる反応に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ポリシラン化合物に遷移金属を担持させ、80℃~160℃で1~24時間加熱することにより得られる、架橋された有機合成反応用のポリシラン担持遷移金属触媒であって、該遷移金属が、パラジウム、白金又は金であって、該有機合成反応が、還元反応、酸化反応、分解反応又はカップリング反応である触媒。

【請求項2】
ポリシラン化合物及び無機化合物に遷移金属を担持させ、80℃~160℃で1~24時間加熱することにより得られ、該無機化合物が、金属酸化物、炭酸塩、硫酸塩又はリン酸塩である、架橋された有機合成反応用のポリシラン/無機化合物担持遷移金属触媒であって、該遷移金属が、パラジウム、白金又は金であって、該有機合成反応が、還元反応、酸化反応、分解反応又はカップリング反応である触媒。

【請求項3】
前記無機化合物が、アルミニウム、チタン、ケイ素、マグネシウム又はジルコニウムから成る群から選択される少なくとも1種の金属酸化物である請求項に記載の触媒。

【請求項4】
有機合成反応のための請求項1~のいずれか一項に記載の触媒の使用方法であって、該有機合成反応が、還元反応、酸化反応、分解反応又はカップリング反応である使用方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 小林高機能性反応場プロジェクト 領域
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