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フィブロイン糸を使用した小動脈用人工血管 コモンズ

国内特許コード P110003805
整理番号 K052P25
掲載日 2011年6月30日
出願番号 特願2006-258586
公開番号 特開2008-073408
登録番号 特許第4541336号
出願日 平成18年9月25日(2006.9.25)
公開日 平成20年4月3日(2008.4.3)
登録日 平成22年7月2日(2010.7.2)
発明者
  • 佐田 政隆
  • 畑江 和夫
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 フィブロイン糸を使用した小動脈用人工血管 コモンズ
発明の概要 【課題】
良好な開存性を有し、強度が高く、適度な生体吸収性を有し、体循環系の動脈などの高圧系でも使用可能な小口径人工血管、及び該小口径人工血管の製造方法を提供すること。
【解決手段】
フィブロイン糸が多層に組み紐編みされて形成された多層の筒状構造物がフィブロインで被覆されてなる小口径人工血管、及び、フィブロイン糸を多層に組み紐編みして多層の筒状構造物を形成する工程、多層の筒状構造物をフィブロインで被覆する工程を含んでなる小口径人工血管の製造方法。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要


医療の分野において人工血管への国民的な期待は大きい。この人工血管は、大口径の人工血管については、既に一定の実用のレベルに達している。しかし、大口径の人工血管で問題なく使用されている代表的な人工素材であるポリエチレンテレフタレート(例えば商品名ダクロン)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)によって、直径5.0mm以下の小口径の人工血管を作製して使用すると、血栓性閉塞が高頻度に生じてしまい、開存性の点から未だ実用困難なレベルにある。ここで、開存性とは、人工血管を移植した後に、人工血管の内腔が閉塞することなく、開存したままである性質をいう。そのために、5.0mm以下の直径の小口径の血管(冠動脈や末梢の血管など)の血行再建術を行う場合、従来の人工素材による小口径の人工血管は開存性が悪いために使用されずに、自己の血管(内胸動脈や大伏在静脈など)を利用することがほとんどである。



しかし、自己の血管の採取は患者の負担が大きいのみならず、自己の血管が血行再建術に使用できない場合もある。特に動脈グラフトの場合には使用できる血管は限りがあるために再度の手術が不可能となる場合も多い。特に冠状動脈のバイパス手術に使用される左右内胸動脈、胃大網動脈、橈骨動脈については、その患者の生涯でただ一度しか取得することができない。このような点からも、自己の血管に頼ることなく供給可能な人工血管への期待は大きく、開存性の良好な小口径の人工血管の開発が望まれていた。



また、小児の先天性心疾患に対する手術の場合には、移植する血管は患者の成長に伴って大きさを換えること、すなわちリモデリングすることが必要となる。従来の人工素材による代用血管を用いた場合には、このリモデリングのための再手術が必要となってしまう。そのため、このような小児患者の場合には現在は、上述したような制約を受けながらも、自己の血管を使用した血行再建術が行われている。近年、このようなリモデリングを必要とするような小児患者の場合にも、人工血管ではあっても生体吸収性の素材による人工血管であれば、自己の血管の使用に換えて使用可能であると考えられてきており、この観点から、PGA(ポリグリコール酸)やPLA(ポリ乳酸)素材などの生体吸収性人工血管が開発されてきた。



しかし、このような生体吸収性人工血管は、肺動脈や静脈などの低圧系での臨床応用は可能であるが、一方、体循環系の動脈などの高圧系では、生体吸収性のために耐久性の問題が生じている。このため、強度が高く、生体における吸収までの期間が適度に長く耐久性に問題が生じない、すなわち適度な生体吸収性を有し、体循環系の動脈などの高圧系でも使用可能な小口径人工血管の開発が望まれていた。



上記のような問題点を未解決のままとしている従来の人工血管類似の構造物の作製の試みとしては、例えば特許文献1に記載されている繭糸構造物がある。特許文献1は、繭糸を組み紐作成原理によって心棒へ巻き付けて形成された繭糸構造物及びその製造方法を記載している。この繭糸構造物は、強度の確保のために繭糸をセリシンで膠着し、さらに合成繊維あるいは金属繊維を混繊することを好適な態様と記載している。しかし、この繭糸構造物は、強度を追求した構造物となっており、混繊して使用する合成繊維及び金属繊維は、小口径人工血管として用いた場合に生体吸収性の点で問題が生じる。さらに、この繭糸構造物は開存性の検討がなされておらず、小口径人工血管として実用可能であることが期待できない。
【特許文献1】
特開2004-173722号公報

産業上の利用分野


本発明は、フィブロイン糸を使用した小口径人工血管、及び該小口径人工血管の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
フィブロイン糸としての繭糸ヤーンが3又は4層に組み紐編みされて形成された多層の筒状構造物であって、当該筒状構造物からセリシンが除去されており、かつ当該筒状構造物がフィブロインで被覆されてなる、1.0~5.0mmの範囲の内径を有する小口径人工血管。

【請求項2】
組み紐編みされた層が、3層である、請求項1に記載の小口径人工血管。

【請求項3】
繭糸ヤーンが、4本取りの繭糸ヤーンである請求項1又は2に記載の小口径人工血管。

【請求項4】
小口径人工血管の内径が、1.5~3.0mmの範囲の内径である請求項1~3のいずれかに記載の小口径人工血管。

【請求項5】
体循環系の動脈で使用可能な、請求項1~4の何れかに記載の小口径人工血管。

【請求項6】
動脈が、腹部大動脈である請求項5に記載の小口径人工血管。

【請求項7】
フィブロイン糸としての繭糸ヤーンを3又は4層に組み紐編みして、3又は4層の筒状構造物を形成する工程、
形成された多層の筒状構造物からセリシンを除去する工程、
得られた筒状構造物をフィブロイン溶液に浸漬してフィブロインで被覆する工程、
を含んでなる、1.0~5.0mmの範囲の内径を有する小口径人工血管の製造方法。

【請求項8】
組み紐編みされた層が、3層である、請求項7に記載の方法。

【請求項9】
フィブロインで被覆する工程で使用されるフィブロイン溶液が、フィブロインをリチウムブロマイド水溶液に溶解した後に透析されたものである、請求項7又は8に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ タイムシグナルと制御 領域
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