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分子素子 コモンズ

国内特許コード P110003829
整理番号 B63P02
掲載日 2011年6月30日
出願番号 特願2006-336439
公開番号 特開2008-153245
登録番号 特許第5141943号
出願日 平成18年12月13日(2006.12.13)
公開日 平成20年7月3日(2008.7.3)
登録日 平成24年11月30日(2012.11.30)
発明者
  • 真島 豊
  • 篠原 久典
  • 安武 裕輔
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 分子素子 コモンズ
発明の概要 【課題】金属内包フラーレンの方向を制御することで、多値スイッチや各種書き換え可能な論理素子を実現する分子素子を提供する。
【解決手段】分子素子10は、第1の電極2と第1の電極上に配置した第1の自己組織化単分子膜4と第2の電極3と第2の電極上に配置した第2の自己組織化単分子膜5と第1の自己組織化単分子膜及び第2の自己組織化単分子膜5間に配置した金属内包フラーレン6とを備え、金属内包フラーレン6と第1の電極2との間に第1の自己組織化単分子膜4を介して第1のトンネル接合8を形成し、金属内包フラーレンと第2の電極3との間に第2の自己組織化単分子膜5を介して第2のトンネル接合9を形成し、金属内包フラーレンに印加する電界で、金属内包フラーレンの双極子モーメントの方向を制御する。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


半導体素子の微細化技術が伸展しているが、その微細化には限りがある。この半導体素子の微細化限界を克服するための次世代素子として、所謂、機能性分子を用いた分子素子の研究が進められている。このような分子素子の材料としては、カーボンナノチューブやフラーレンが知られている。金属内包フラーレンは、炭素からなるフラーレン殻の内部に金属原子を内包した機能性分子である。フラーレン殻と内包金属原子との電荷交換により分子内に電子状態の偏りと極性、つまり、永久双極子モーメントを有しているため、金属内包フラーレンを用いたスイッチについて多くの研究者がその動作の確認を試みてきた。



本発明者等は、非特許文献1において、金属内包フラーレンを用いた分子素子のスイッチング現象を世界で最初に報告した。金属内包フラーレンを用いた分子素子は、Au(111)上にアルカンチオールからなる自己組織化単分子膜(SAM)を形成し、この膜構造上に金属内包フラーレンとしてTb@C82を配置した素子である。走査トンネル分光(STS)測定を行った結果、Tb@C82の双極子モーメントの配向に起因したスイッチング現象が、極低温の13Kで初めて観測された。観測した電流電圧特性においては、電圧の掃引方向の違いによるヒステリシスや負性微分コンダクタンスも観測された。非特許文献1の金属内包フラーレンを用いた新規な分子素子は、ITRS(International Technology Roadmap for Semiconductors)2005において、半導体素子に代わる新規なロジックデバイスの候補として引用されている。



一方、ナノギャップ電極を作製する方法として、例えば、メカニカルブレイクジャンクション法(非特許文献2)、エレクトロマイグレーション法(非特許文献3)、エアブリッジマスクを用いた斜め蒸着法(非特許文献4及び5)、EBL(Electron Beam Lithography)による直接描画法(非特許文献6)、めっき法(非特許文献7及び8)などの各種方法が提案されている。そのうち、EBLによる直接描画法と無電解めっき法とを兼用することにより、幅3.3±1.4nmや5nm以下の隙間を再現性よく、かつ90%の歩留まりでナノギャップ電極を作製することが報告されている(非特許文献9)。



ところで、金属膜上に形成することができる自己組織化単分子膜として、ジチオカルバメート基及びその誘導体が非特許文献10に、β-シクロデキストリンチオール(Thiolated β-chyclodextrins)が非特許文献11に、ビオロゲン終端チオール(Viologen-terminated thiol)やフェロセン終端チオール(Ferrocene-terminated thiol)が非特許文献12に、N-(2-メルカプトエチル)-4-フェニルアゾベンゼンザミド(N-(2-mercaptoethyl)-4-phenylazobenzamide)が非特許文献13に、ジチオービスサクシニミジル終端チオール(Dithio-bis-succinimidyl-terminated thiol)が非特許文献14に、4’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-ブタン(4'-methyl-1,1'-biphenyl-4-butane)が非特許文献15に、メルカプトアルカノール(Mercaptoalkanol)やメルカプトアルカン酸(Mercaptoalkanoic Acid)が非特許文献16に、アミド終端チオール(amide-terminated thiol)、アミノ終端チオール(amino-terminated thiol)、3-アミノチオールフェノール(3-aminothiolphenol)が非特許文献17に、それぞれ報告されている。



【非特許文献1】
Y. Yasutake, Z. Shi, T. Okazaki, H. Shinohara, and Y. Majima, "Single Molecular Orientation Switching of an Endohedral Metallofullerene", Nano Letters, 5, pp.1057-1060, 2005
【非特許文献2】
M.A.Reed,他4名, "Conductance of a Molecular Junction", Science, 278, p.252, 1997
【非特許文献3】
H.Park,他5名, "Nanomechanical Oscillations in a single-C60 Transistor", Nature, 407, p.57, 2000
【非特許文献4】
Kazuki Sasao,他5名, "Observation of Current Modulation thorough Self-Assembled Monolayer Molecule in Transistor Structure", Jpn.J.Appl.Phys.,43, pp.L337-L339, 2004
【非特許文献5】
J.O.Lee 他8名, "Absence of Strong Gate Effects in Electrial Measurements on Pheneylene-Based Conjugated Molecules", Nano Lett. 3, pp.113-117, 2003
【非特許文献6】
M.S.M.Saifullah 他3名, "A reliable scheme for fabricating sub-5nm co-planar junctions for single-molecule electronics", Nanotechnology, 13, pp.659-662, 2002
【非特許文献7】
Y.V.Kervannic 他4名, "Nanometer-spaced electrodes with calibrated separation", Appl.phys.Lett.,80, pp.321, 2002
【非特許文献8】
B.Liu 他7名, "Controllable nanogap fabrication on microchip by chronopotentiometry", ElectrochimicaActa, 50, pp.3041-3047, 2005
【非特許文献9】
C.S.Ah 他5名, "Fabrication of integrated nanogap electrodes by surface-catalyzed chemical deposition", Appl.Phys.Lett.,88, pp.133116, 2006
【非特許文献10】
Y. Zhao,他3名, Journal of the American Chemical Society, 127, pp.7328-7329, 2005
【非特許文献11】
J.-Y. Lee, 他1名, Journal of Physical Chemistry B, 102, pp.9940-9945, 1998
【非特許文献12】
R. A. Wassel, 他3名, Nano Letters 3, pp.1617-1620, 2003
【非特許文献13】
S. Yasuda, 他3名, Journal of the American Chemical Society, 125, pp.16430-16433, 2003
【非特許文献14】
P. Wagner, 他4名, Biophysical Journal 70, pp.2052-2066, 1996
【非特許文献15】
B. Lussem, 他5名, Langmuir, 22, pp.3021-3027, 2006
【非特許文献16】
D. A. Hutt, 他1名, Langmuir, 13, pp.2740-2748, 1997
【非特許文献17】
A. E. Hopper, 他3名, Surface and Interface Analysis, 31, pp.809-814, 2001

産業上の利用分野


本発明は、機能長スケールがナノメートル(nm)単位である電子デバイス及び光デバイスに係り、より詳細にはスイッチング素子として有用な分子素子に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
第1の電極と、該第1の電極上に配置される第1の自己組織化単分子膜と、第2の電極と、該第2の電極上に配置される第2の自己組織化単分子膜と、上記第1の自己組織化単分子膜と上記第2の自己組織化単分子膜との間に配置される金属内包フラーレンと、を備え、
上記金属内包フラーレンと上記第1の電極との間には上記第1の自己組織化単分子膜を介して第1のトンネル接合が形成され、
上記金属内包フラーレンと上記第2の電極との間には上記第2の自己組織化単分子膜を介して第2のトンネル接合が形成され、
上記金属内包フラーレンに印加する電界で、上記金属内包フラーレンの双極子モーメントの方向を制御することを特徴とする、分子素子。

【請求項2】
前記第1の電極と前記第2の電極とがナノオーダーの間隙で配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の分子素子。

【請求項3】
前記金属内包フラーレンに外部電界を印加して、該金属内包フラーレンの双極子モーメントを多段に変化させ、多段スイッチとして動作させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の分子素子。

【請求項4】
前記第1の電極と前記第2の電極との配置方向に対し直交する方向に、ゲート電極を備えることを特徴とする、請求項1に記載の分子素子。

【請求項5】
前記第1の電極と前記第2の電極との配置方向に対し直交する方向の両側に、一対のゲート電極を備えることを特徴とする、請求項1に記載の分子素子。

【請求項6】
前記一対のゲート電極に電圧を印加し、前記金属内包フラーレンのオフセット電荷を変えることにより第1及び第2の電極間の電流を制御し、排他的論理和回路(XOR)又は排他的論理和の否定回路(XNOR)の動作を行わせることを特徴とする、請求項に記載の分子素子。

【請求項7】
前記自己組織化単分子膜は、前記第1又は第2の電極となる金属原子に化学吸着する第1の官能基と、該第1の官能基に結合する第2の官能基とから成り、
上記第1の官能基が、チオール基、ジチオカルバメート基、キサンテート基の何れかの基であることを特徴とする、請求項1に記載の分子素子。

【請求項8】
前記自己組織化単分子膜の第2の官能基が、アルカン、アルケン、アルカン又はアルケンの水素分子の一部又は全部をフッ素に置換したもの、アミノ基、ニトロ基、アミド基の何れかの基であることを特徴とする、請求項に記載の分子素子。
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2006336439thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) SORST 平成15年度採択課題
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