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炭素系微細構造物群、炭素系微細構造物の集合体、その利用およびその製造方法

国内特許コード P110003883
整理番号 RX03P40
掲載日 2011年7月1日
出願番号 特願2006-512552
登録番号 特許第4512750号
出願日 平成17年4月19日(2005.4.19)
登録日 平成22年5月21日(2010.5.21)
国際出願番号 JP2005007480
国際公開番号 WO2005102924
国際出願日 平成17年4月19日(2005.4.19)
国際公開日 平成17年11月3日(2005.11.3)
優先権データ
  • 特願2004-123476 (2004.4.19) JP
発明者
  • 中山 喜萬
  • 野坂 俊紀
  • 末金 皇
  • 長坂 岳志
  • 後藤 俊樹
  • 土屋 宏之
  • 塩野 啓祐
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
  • 大阪府
  • 公立大学法人大阪府立大学
  • 大塚化学株式会社
  • 大陽日酸株式会社
  • 日新電機株式会社
  • 大研化学工業株式会社
発明の名称 炭素系微細構造物群、炭素系微細構造物の集合体、その利用およびその製造方法
発明の概要

強い相互作用にて互いに引き合った状態の複数の炭素系微細構造物が集合した集合体であって、その取り扱い性や加工性を向上させることができる程度の長さの集合体を提供する。本発明の炭素系微細構造物の集合体は、複数の炭素系微細構造物が集合したものであり、各炭素系微細構造物が同一方向に配向している。

従来技術、競合技術の概要

炭素系微細構造物の1つであるカーボンナノチューブ(以下、CNTと称する)は、直径が約0.5nmから10nm程度、長さが約1μm程度のパイプ状のカーボン素材であり、1991年にNECの飯島氏によって発見された新しい炭素材料である。また、CNTには、1層構造のシングルウォールナノチューブ、多層構造のマルチウォールチューブの存在が確認されている。


しかしながら、CNTは微細な構造を有するため、その取り扱い性や加工性が悪い。このため、肉眼で確認しながら取り扱うことが可能な大きさのCNTを製造することが試みられている(例えば、非特許文献1・2参照)。


非特許文献1および2には、長さが従来の1μm程度よりも長いCNTが報告されている。非特許文献1で得られたCNTの長さは、10cm~20cm程度であり、非特許文献2で得られたCNTの長さは、25cm~30cm程度となっている。このため、いずれのCNTも肉眼で確認できている。


また、CNTは、組成の違いにより、金属の性質を示すものや、半導体の性質を示すもの等が存在するため、応用製品の開発や製造方法の開発などが盛んに行われている。また、その水素吸蔵素材としての性能も注目されており、燃料電池への応用も検討されている。


CNTを素材として利用した例として、CNTを用いた織布やシートが開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、CNTを繊維あるいは糸の一部またはそのものとして、その一部あるいは全部に用いた織布やシートが記載されている。



【特許文献1】特開平7-138838号公報(平成7年(1995)5月30日公開)
【非特許文献1】H.W.Zhu、外5名、「Direct Synthesis of Long Single-Walled Carbon Nanotube Strands」、Science、2002年5月3日、Vol 296、p.884-886
【非特許文献2】Kaili Jiang、外2名、「Spinning continuous carbon nanotube yarns」、Nature、2002年10月24日、Vol 419、p.801


しかしながら、上記非特許文献1に記載のCNTは、10cm~20cm程度の長さを有するものの、連続的な形成が困難である。


また、上記非特許文献2に記載のCNTは、いわゆるブラシ状に形成したCNTを用いて製造している。具体的には、まず、基板上に、基板に対して垂直方向に配向するCNTを複数形成させる。そして、これら複数のCNTからなる束を基板から剥離させ、引っ張ることによって製造している。


このように、長いCNTの集合体は、ブラシ状のCNTを引っ張ることによって隣接するCNTが絡み合った状態となっている。従って、ブラシ状のCNTは、基板上に形成するCNTの長さがある程度長いものであるとともに、CNTが高密度で形成されている必要がある。


ところが、従来のブラシ状CNTを製造する方法では、基板上にCNTを成長させる速度が遅く、長いCNTを配向させたブラシ状CNTを得ることができていない。また、CNTの成長速度が遅いため、生産性という観点からも不利である。


さらに、従来の方法では、高密度にCNTを形成させることができない。このため、隣接するCNTが互いに絡み合うことができる程度の相互作用を有するブラシ状CNTを得ることはできていない。その結果、ロープ状CNTを得ることは困難である。


本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の炭素系微細構造物が群をなす炭素系微細構造物群と、複数の炭素系微細構造物が強い相互作用にて互いに引き合った状態の炭素系微細構造物の集合体であって、その取り扱い性や加工性を向上させることができる程度の長さを有する炭素系微細構造物の集合体と、それを用いた種々の用途と、製造する方法とを提供することにある。

産業上の利用分野

本発明は、炭素系微細構造物群、炭素系微細構造物の集合体、その利用およびその製造方法に関するものである。より詳しくは、例えば、カーボンナノチューブ等の炭素系微細構造物が群をなす炭素系微細構造物群と、炭素系微細構造物がファンデルワールス力等による強い相互作用で互いに結合した集合体と、それを用いた種々の用途と、製造する方法とに関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】 カーボンナノチューブが複数集合した炭素系微細構造物の集合体であって、
上記複数のカーボンナノチューブは、同一方向に配向しているとともに、該配向方向に沿って集合するとともに、該配向方向に対して直角方向にも集合し、シート状に形成されており、
上記カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブを形成するための原料気体の濃度の割合が全気体の濃度に対して23%以上である気体を用いて、触媒化学気相成長法により作製されたものであり、
上記カーボンナノチューブの周囲にはアモルファス炭素層が形成されており、該アモルファス炭素層の厚さは、上記カーボンナノチューブの直径に対して10%以下であることを特徴とする炭素系微細構造物の集合体。
【請求項2】 カーボンナノチューブが複数集合した炭素系微細構造物の集合体であって、
上記複数のカーボンナノチューブは、同一方向に配向しているとともに、該配向方向に沿ってロープ状に集合しており、
上記カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブを形成するための原料気体の濃度の割合が全気体の濃度に対して23%以上である気体を用いて、触媒化学気相成長法により作製されたものであり、
上記カーボンナノチューブの周囲にはアモルファス炭素層が形成されており、該アモルファス炭素層の厚さは、上記カーボンナノチューブの直径に対して10%以下であることを特徴とする炭素系微細構造物の集合体。
【請求項3】 上記カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブを形成するための原料気体の濃度の割合が全気体の濃度に対して28%以上である気体を用いて、触媒化学気相成長法により作製されたものであることを特徴とする請求項1またはに記載の炭素系微細構造物の集合体。
【請求項4】 上記カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブを形成するための原料気体の濃度の割合が全気体の濃度に対して70%以上である気体を用いて、触媒化学気相成長法により作製されたものであることを特徴とする請求項1またはに記載の炭素系微細構造物の集合体。
【請求項5】 上記原料気体は、アセチレンであることを特徴とする請求項ないしのいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体。
【請求項6】 上記原料気体が一定時間だけ供給され、該一定時間以外は、原料気体を搬送するための搬送気体のみが供給された気体を用いて作製されたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体。
【請求項7】 上記複数のカーボンナノチューブは、ファンデルワールス力により結合していることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体。
【請求項8】 上記複数のカーボンナノチューブは、物理的または化学的に結合していることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体。
【請求項9】 上記カーボンナノチューブは、上記配向方向の長さ1μm当たりに存在する屈曲部が10個以下であることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体。
【請求項10】 金属を担持していることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体。
【請求項11】 表面修飾が施されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体。
【請求項12】 補強材、電線、導線、センサ、透明導電体、刃物、モータ、建材、振動板、摺動材、人工筋肉、衣服、釣り糸、光吸収材、反射板、不織布、人工誘電体用媒体、インク、塗料、耐熱材、または耐磨耗材として用いられることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体。
【請求項13】 請求項1ないしのいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体を複数撚ってなる撚糸状構造物。
【請求項14】 樹脂を含浸した上記請求項1ないしのいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体を複数撚ってなる布状構造物。
【請求項15】 請求項1ないしのいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体を巻き取ってなるコイル状構造物。
【請求項16】 請求項1ないしのいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体を含んでなる樹脂シート。
【請求項17】 請求項16に記載の樹脂シートを少なくとも1層以上含み積層してなる積層体。
【請求項18】 請求項16に記載の樹脂シートまたは請求項17に記載の積層体を用いてなる高熱伝導シート。
【請求項19】 請求項1ないしのいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体からなるフィルム。
【請求項20】 透明電磁波吸収材として用いられることを特徴とする請求項19に記載のフィルム。
【請求項21】 基板上に、該基板に対して略垂直方向に配向するように複数のカーボンナノチューブが設けられた炭素系微細構造物群であって、
上記基板1cm当たりに存在するカーボンナノチューブが1×1011本以上であり、 上記カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブを形成するための原料気体の濃度の割合が全気体の濃度に対して23%以上である気体を用いて、触媒化学気相成長法により作製されたものであり、
上記カーボンナノチューブの周囲にはアモルファス炭素層が形成されており、該アモルファス炭素層の厚さは、上記カーボンナノチューブの直径に対して10%以下であることを特徴とする炭素系微細構造物群。
【請求項22】 上記カーボンナノチューブは、上記配向方向の長さ1μm当たりに存在する屈曲部が10個以下であることを特徴とする請求項21に記載の炭素系微細構造物群。
【請求項23】 請求項21または22に記載の炭素系微細構造物群に含まれるカーボンナノチューブの少なくとも1つを引っ張ることによって得られたことを特徴とする炭素系微細構造物の集合体。
【請求項24】 基板上に、基板に対して垂直方向に配向した複数のカーボンナノチューブを形成する形成工程と、
上記基板上でシート状に配列している上記カーボンナノチューブのうちの複数本を引っ張り、シート状に集合したカーボンナノチューブの集合体を形成する引張工程とを有し、
上記形成工程は、基板に対して、カーボンナノチューブを形成するための原料気体と、該原料気体を搬送するための搬送気体とを供給して触媒化学気相成長法により行われ、全気体の濃度に対する原料気体の濃度の割合が23%以上であり、上記カーボンナノチューブの周囲に、厚さが上記カーボンナノチューブの直径に対して10%以下であるアモルファス炭素層を形成することを特徴とする炭素系微細構造物の集合体の製造方法。
【請求項25】 上記引張工程の前に、基板を劈開する劈開工程を有することを特徴とする請求項24に記載の炭素系微細構造物の集合体の製造方法。
【請求項26】 基板に対して、カーボンナノチューブを形成するための原料気体と、該原料気体を搬送するための搬送気体とを供給し、触媒化学気相成長法を用いて、上記基板に対して垂直方向の配向した複数のカーボンナノチューブを形成する形成工程と、
上記カーボンナノチューブの少なくとも1つを引っ張る引っ張り工程とを有し、
上記形成工程において、全気体の濃度に対する原料気体の濃度の割合が23%以上であり、上記カーボンナノチューブの周囲に、厚さが上記カーボンナノチューブの直径に対して10%以下であるアモルファス炭素層を形成することを特徴とする炭素系微細構造物の集合体の製造方法。
【請求項27】 上記複数のカーボンナノチューブを物理的または化学的に結合させる結合工程をさらに有することを特徴とする請求項24ないし26のいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体の製造方法。
【請求項28】 上記原料気体はアセチレンであることを特徴とする請求項24ないし26のいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体の製造方法。
【請求項29】 全気体の濃度に対する原料気体の濃度の割合が28%以上であることを特徴とする請求項24ないし26のいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体の製造方法。
【請求項30】 全気体の濃度に対する原料気体の濃度の割合が70%以上であることを特徴とする請求項29に記載の炭素系微細構造物の集合体の製造方法。
【請求項31】 上記原料気体が一定時間だけ供給され、該一定時間以外は、上記搬送気体のみが供給された気体を用いて作製されたことを特徴とする請求項24ないし26のいずれか1項に記載の炭素系微細構造物の集合体の製造方法。
産業区分
  • 無機化合物
  • 高分子化合物
  • その他機械要素
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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