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標的分子の認識場が再構築可能な分子認識ポリマーおよびその製造方法 コモンズ

国内特許コード P110003890
整理番号 N081P29
掲載日 2011年7月1日
出願番号 特願2006-512999
登録番号 特許第5184780号
出願日 平成17年5月6日(2005.5.6)
登録日 平成25年1月25日(2013.1.25)
国際出願番号 JP2005008351
国際公開番号 WO2005108443
国際出願日 平成17年5月6日(2005.5.6)
国際公開日 平成17年11月17日(2005.11.17)
優先権データ
  • 特願2004-139046 (2004.5.7) JP
発明者
  • 竹内 俊文
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 標的分子の認識場が再構築可能な分子認識ポリマーおよびその製造方法 コモンズ
発明の概要 モレキュラーインプリンティング法を応用することにより製造される、標的分子の認識場が再構築可能な分子認識ポリマーを提供する。 標的分子の認識場が再構築可能な分子認識ポリマーは、ポリマー中に標的分子と相互作用する分子を有し、標的分子認識場が形成されており、かつ、上記標的分子と相互作用する分子を脱着または交換することができる。上記分子認識ポリマーは、標的分子と標的分子に対して特異的かつ可逆的に結合する分子との複合体を合成し、当該複合体、標的分子と相互作用する分子および架橋剤を共重合して重合体を得た後に、得られた重合体から標的分子および標的分子と相互作用する分子を脱離させることにより製造できる。
従来技術、競合技術の概要

生体系には極めて多種多様な化学種が含まれている。これらの化学種の相互作用、あるいは化学反応を整然とした秩序を保って行うことにより、生体系はその活動を維持している。この秩序を保っているものは、生体系に含まれる分子自身がもつ分子認識機能であり、生体機能分子の最小必要機能とされている。生体内では高度に洗練されたこの分子認識機能の組み合わせにより、様々な特異的機能の発現を可能にしている。このような生体系の優れた機能を模倣し、応用しようという試みのひとつに、人工レセプターの創成があり、新しい機能性材料の一つとして頻繁に研究・開発が行われている。


近年、標的分子を特異的に認識できる人工レセプター合成法の1つとして、モレキュラーインプリンティング法という手法が注目されている(非特許文献1参照)。モレキュラーインプリンティング法とはポリマーに対して認識させたい分子(標的分子)の形をインプリント(押印)し、その結果生じた穴(標的分子認識場)を用いて分子認識を行う技術である。まず、標的分子と、当該標的分子に対して特異的に相互作用する部位とビニル基などの重合可能な官能基をもつ分子(機能性モノマー)とを架橋剤とともにラジカル重合させ、その後、標的分子をポリマー内から除去することによって、標的分子に対して相補的な結合部位をポリマー内に構築する。このようにして合成したポリマーをモレキュラーインプリントポリマーと呼ぶ。


高い分子認識機能を得るためには、いかにうまく選択性を有する穴(標的分子認識場)をポリマー内に安定に構築できるかがポイントであり、標的分子と機能性モノマーの相互作用様式の設計がこれに大きな影響を及ぼす。一般的には、この様式は非共有結合型と共有結合型に大別される。前者は水素結合や静電的相互作用などの非共有結合を利用して、重合反応溶液中に標的分子-機能性モノマー複合体を生じさせる方法であり、後者は、あらかじめ複合体を合成・単離し、それを架橋剤とともに重合する方法である。この二つの方法は、標的分子の化学的性質によって、より有効な効果がでるように使い分けられている。モレキュラーインプリンティング法は標的分子を中心として機能性モノマー、架橋性モノマーによる結合部位の構築が進むので、結合部位のエントロピー的な最適化を行うと同時に、テーラーメイド的に分子認識場を得ることが可能である。


また、分子認識ポリマー中の結合部位(機能性モノマー)に標的分子が結合するとシグナルを発信するようなシグナリング分子を有する分子認識ポリマーは、センシング素子として極めて有用である。例えば、本発明者らはポルフィリン亜鉛錯体を機能性モノマーとし、それに軸配位可能なシンコニジンを標的分子として、ターゲットの結合による蛍光の消光によるセンシングが可能なモレキュラーインプリントポリマーを開発している(非特許文献2参照)。
【非特許文献1】
蒲池幹治、遠藤剛監修者、『ラジカル重合ハンドブック』(1999)エヌティーエス
【非特許文献2】
Matsui,J.,Higashi,M.,Takeuchi,T.Molecularly Imprinted Polymer as 9-Ethyladenine Receptor Having a Porphyrin-based Recognition Center,J.Am.Chem.Soc.2000,122,5218-5219.


上述のように、分子認識機能を持つ人工レセプターの設計と合成は、バイオミメティックスの重要な研究分野であり、多種多様のホスト分子がこれまで合成されてきている。しかしながら、生体系のレセプターに匹敵する精緻な機能を発揮する人工レセプターは殆ど知られていない。これは、生体系の機能発現機構が、多段階の分子認識機能を含むことに起因している。


生体系では、分子認識されるべき分子を供給し、分子認識の結果レセプターが発する情報を読み取るための多くの補助・支援システムがあって初めて完全な機能を発現している。このような生体系のシステムを人工的に構築することは、複雑な生命現象を分子間相互作用としてとらえ、一般性を持たせることにつながる。これにより、生命現象をより深く、より正確に理解することができ、さらにその応用が可能になると考えられる。


本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の分子の存在により機能発現(標的分子の特異的な認識)が可能となるよう、標的分子の認識場の再構築が可能な分子認識ポリマー、および当該分子認識ポリマーの製造方法を提供することにある。

産業上の利用分野

本発明は、標的分子の認識場が再構築可能な分子認識ポリマーおよびその製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
標的分子に対して特異的かつ可逆的に結合する分子の重合体、該重合体に吸着している、標的分子と相互作用する分子とを有する分子認識ポリマーであって、
上記分子認識ポリマー中に、標的分子を認識するための空間が形成されており、
かつ、上記標的分子と相互作用する分子を、上記重合体に対して着することができ、
上記標的分子または上記標的分子と相互作用する分子の少なくともいずれかが生体分子であり、
上記標的分子と相互作用する分子は、ポルフィリン亜鉛錯体であることを特徴とする分子認識ポリマー。

【請求項2】
上記標的分子と相互作用する分子は、標的分子と相互作用して情報を発信する機能を有していることを特徴とする請求項1に記載の分子認識ポリマー。

【請求項3】
上記標的分子に対して特異的かつ可逆的に結合する分子は、標的分子に対して特異的かつ可逆的に共有結合を形成する共有結合性官能基を有することを特徴とする請求項1または2に記載の分子認識ポリマー。

【請求項4】
上記標的分子と上記標的分子と相互作用する分子とが共に存在する場合に、上記標的分子と結合することができることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の分子認識ポリマー。

【請求項5】
請求項3に記載の分子認識ポリマーの製造方法であって、
上記標的分子と、上記標的分子に対して特異的かつ可逆的に結合する分子が有する、上記標的分子に対して特異的かつ可逆的に共有結合を形成する共有結合性官能基とを結合させ複合体を合成する、複合体合成工程と、
上記複合体と上記標的分子と相互作用する分子と、を架橋剤によって共重合し重合体を得る重合工程と、
得られた重合体から上記標的分子および上記標的分子と相互作用する分子を脱離させる脱離工程とを含む分子認識ポリマーの製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 情報、バイオ、環境とナノテクノロジーの融合による革新的技術の創製 領域
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